2024年の新車販売台数は7.7%増、電動車が好調(コロンビア)

2025年4月24日

コロンビア自動車協会(ANDEMOS)は、新車販売統計(登録ベース)を公表している。2024年は、前年比7.7%増(20万1,219台)だった。

2024年は、物価上昇が落ち着いた。1月に年率8.35%だった消費者物価指数上昇率が、12月には同5.2%まで低下している。政策金利も引き下げが続き、11月には約2年ぶりに1桁(9.75%)に戻った。また、「国際自動車サロン」(11月にボゴタ市で開催)が、年末の販売を後押しした。

新車販売台数をメーカー別にみると、首位はトヨタの2万7,023台(シェア13.4%)。続いてルノーが2万5,339台(12.6%)、3位が起亜で2万4,251台(12.1%)だった。日系メーカーでは、首位トヨタのほか、5社が上位20位以内に名を連ねた〔5位:マツダ(8.9%)、6位:日産(6.1%)、7位:スズキ(5.4%)、16位:スバル(0.9%)、20位:ホンダ(0.8%)/表1参照〕。

表1:メーカー別新車販売(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 メーカー 国名 2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
1 トヨタ 日本 25,940 27,023 13.4 4.2
2 ルノー フランス 26,417 25,339 12.6 △ 4.1
3 起亜 韓国 15,746 24,251 12.1 54.0
4 GM(シボレー) 米国 23,838 19,605 9.7 △ 17.8
5 マツダ 日本 17,583 17,968 8.9 2.2
6 日産 日本 9,741 12,211 6.1 25.4
7 スズキ 日本 10,389 10,814 5.4 4.1
8 フォルクスワーゲン ドイツ 6,735 8,220 4.1 22.0
9 現代 韓国 5,185 7,206 3.6 39.0
10 フォード 米国 6,476 7,128 3.5 10.1
11 BYD 中国 1,437 4,595 2.3 219.8
12 福田汽車(FOTON) 中国 5,019 4,218 2.1 △ 16.0
13 メルセデス・ベンツ ドイツ 2,647 2,930 1.5 10.7
14 BMW ドイツ 2,563 2,377 1.2 △ 7.3
15 安徽江淮汽車(JAC) 中国 2,372 2,115 1.1 △ 10.8
16 スバル 日本 1,472 1,910 0.9 29.8
17 シトロエン フランス 1,901 1,757 0.9 △ 7.6
18 江鈴汽車(JMC) 中国 1,370 1,667 0.8 21.7
19 ボルボ スウェーデン 935 1,632 0.8 74.5
20 ホンダ 日本 1,476 1,581 0.8 7.1
その他 17,584 16,672 8.3 △ 5.2
合計 186,826 201,219 100.0 7.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

SUVが引き続き人気

車種別に2024年の販売台数上位を確認すると、(1)マツダ「Cx-30」、(2)トヨタ「カローラクロス」、(3)ルノー「ダスター」の順だった(表2参照)。上位10車種のうち5車種がスポーツ用多目的車(SUV)であり、販売全体の約52%を占めた(表3参照)。

表2:モデル別新車販売(登録)台数 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 メーカー モデル 2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
1 マツダ Cx-30 5,748 7,825 3.9 36.1
2 トヨタ カローラクロス 5,798 7,517 3.7 29.6
3 ルノー ダスター 7,014 6,653 3.3 △ 5.1
4 起亜 ピカント 5,604 5,795 2.9 3.4
5 トヨタ ハイラックス 5,423 4,958 2.5 △ 8.6
6 シボレー オニキス 5,771 4,126 2.1 △ 28.5
7 ルノー クウィッド 4,710 3,744 1.9 △ 20.5
8 トヨタ フォーチュナー 3,797 3,571 1.8 △ 6.0
9 ルノー ロガン 2,967 3,559 1.8 20.0
10 起亜 K3クロス 3,337 1.7
11 スズキ スウィフト 3,415 3,164 1.6 △ 7.3
12 ルノー ステップウェイ 3,344 3,057 1.5 △ 8.6
13 シボレー ジョイ 2,855 2,995 1.5 4.9
14 日産 キックス 1,829 2,969 1.5 62.3
15 マツダ Cx-5 2,700 2,966 1.5 9.9
16 シボレー トラッカー 4,211 2,947 1.5 △ 30.0
17 日産 フロンティア 2,054 2,836 1.4 38.1
18 トヨタ ランドクルーザープラド 6 2,812 1.4 46,766.7
19 起亜 K3クロス 20 2,548 1.3 12,640.0
20 マツダ 2 ハッチバック 2,752 2,228 1.1 △ 19.0
合計(その他含む) 186,826 201,219 100.0 7.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

表3:セグメント別新車(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
セグメント 2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
SUV 82,765 105,011 52.2 26.9
乗用車 56,772 54,649 27.2 △ 3.7
ピックアップ 17,400 15,009 7.5 △ 13.7
商用車(10.5トン未満) 12,210 11,171 5.6 △ 8.5
タクシー 4,894 5,299 2.6 8.3
バン 3,546 3,514 1.7 △ 0.9
トレーラーヘッド 2,581 1,904 0.9 △ 26.2
商用者(10.5トン以上) 2,501 1,568 0.8 △ 37.3
マイクロバス 807 811 0.4 0.5
バス 1,227 796 0.4 △ 35.1
救急車 519 506 0.3 △ 2.5
ダンプカー 855 483 0.2 △ 43.5
小型バス 256 363 0.2 41.8
四輪バギー 493 135 0.1 △ 72.6
合計 186,826 201,219 100.0 7.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

電動車販売が堅調に推移

動力タイプ別に販売台数をみると、ガソリン車が11万6,364台の前年比1.1%減(シェア57.8%)だった。

一方、ハイブリッド車(HEV)が4万631台(20.2%)の同56.3%増、電気自動車(BEV)が9,193台の同2.5倍と大きく伸びた(表4参照)。電動車(注1)は、都市走行規制(注2)の対象外になる。また、その購入者は自動車税、強制保険、車検などで、優遇を受けることができる。

表4:動力タイプ別新車販売(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
種類 2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
ガソリン 117,638 116,364 57.8 △ 1.1
ハイブリッド(HEV) 25,994 40,631 20.2 56.3
ディーゼル 37,097 32,306 16.1 △ 12.9
電気(BEV) 3,708 9,193 4.6 147.9
プラグインハイブリッド(PHEV) 1,799 2,067 1.0 14.9
天然ガス 342 345 0.2 0.9
天然ガス(ガス転換改造済み) 248 309 0.2 24.6
合計(その他含む) 186,826 201,219 100.0 7.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

電動車販売をメーカー別にみると、首位がトヨタの1万2,479台(シェア24.0%)。これに、マツダ(14.8%)、スズキ(12.9%)が続いた(表5参照)。この日系3社のシェアは2023年には6割以上であったが、2024年は全体の51.7%となった。

表5:メーカー別電動車(xEV)販売台数(単位:台、%)(-は値なし)
順位 メーカー 2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
1 トヨタ 9,772 12,479 24.0 27.7
2 マツダ 5,542 7,691 14.8 38.8
3 スズキ 4,120 6,709 12.9 62.8
4 BYD 1,437 4,595 8.9 219.8
5 フォード 1,292 2,788 5.4 115.8
6 起亜 367 2,772 5.3 655.3
7 日産 1,434 2,012 3.9 40.3
8 メルセデス・ベンツ 1,462 1,655 3.2 13.2
9 ルノー 206 1,548 3.0 651.5
10 ボルボ 919 1,523 2.9 65.7
11 現代 516 1,475 2.8 185.9
12 BMW 777 1,355 2.6 74.4
13 スバル 820 1,291 2.5 57.4
14 アウディ 697 707 1.4 1.4
15 MG 290 401 0.8 38.3
16 奇瑞汽車(Chery) 398 0.8
17 GM(シボレー) 123 336 0.6 173.2
18 クプラ 249 0.5
19 安徽江淮汽車(JAC) 222 235 0.5 5.9
20 長安汽車(Changan) 70 230 0.4 228.6
合計(その他含む) 31,501 51,891 100.0 64.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

電動車販売の状況について、動力タイプ別に主要モデルでみると、次に示す通り(表6参照)。

  • HEV
    トップ3は、(1)トヨタ「カローラクロス」(7,100台)、(2)マツダ「Cx-30」(6,234台)、(3)スズキ「スウィフト」(3,164台)。上位10モデル中9モデルが日系メーカーだった。
  • BEV
    最多販売モデルは(1) BYDの「シーガル」(1,513台)と(2)「元アップ」(1,168台)。(3)ボルボ「Ex30」(763台)、(4)起亜「Ev5」(596台)が続いた。
  • プラグインハイブリッド車(PHEV)
    2024年の販売は、前年同期比14.9%増(2,067台)。最多販売モデルは(1)ボルボ「Xc60」で34.9%増(390台)。続いて、(2) BYD「宋プラス DM-i」(338台)、(3)現代「ツーソン・ハイブリッド」(245台)だった。
表6:モデル別電動車(xEV)販売(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 メーカー モデル 動力
タイプ
2023年
台数
2024年
台数 シェア 前年比
1 トヨタ カローラクロス HEV 4,963 7,100 13.7 43.1
2 マツダ Cx-30 HEV 3,696 6,234 12.0 68.7
3 スズキ スウィフト HEV 3,415 3,164 6.1 △ 7.3
4 トヨタ ヤリスクロス HEV 2,192 2,203 4.2 0.5
5 日産 X-trail t33 HEV 1,355 1,975 3.8 45.8
6 トヨタ カローラ HEV 1,991 1,848 3.6 △ 7.2
7 スズキ フロンクス HEV 1,795 3.5
8 スズキ グランドビターラ HEV 703 1,599 3.1 127.5
9 BYD シーガル BEV 2 1,513 2.9 75,550.0
10 BYD 元アップ BEV 1,168 2.3
11 起亜 ニロ HEV 140 1,164 2.2 731.4
12 マツダ 3 HEV 1,341 1,112 2.1 △ 17.1
13 ルノー アルカナ HEV 1,079 2.1
14 現代 コナ ハイブリッド HEV 485 983 1.9 102.7
15 フォード プラチナム ハイブリッド HEV 483 947 1.8 96.1
16 起亜 ストニック HEV 220 945 1.8 329.5
17 トヨタ RAV4 HEV 501 881 1.7 75.8
18 フォード エスケープ ST-Line ハイブリッド HEV 279 869 1.7 211.5
19 ボルボ Ex30 BEV 763 1.5
20 起亜 Ev5 BEV 596 1.1
合計(その他含む) 31,501 51,891 100.0 64.7

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

起亜が大きく成長

起亜の新車販売は、前年同期比54.0%増(2万4,251台)。GM(シボレー)とマツダを抜き、トヨタ、ルノーに次ぐ第3位になった。また、電動車販売台数では、同7.6倍の大幅増を記録した(2,772台)。

コロンビアにおける起亜自動車の代理店であるメトロキア(Metrokia)は、2023年3月に経営陣の交代を発表。ゼネラルマネージャーにホルヘ・ネイラ氏が就任した。同氏は、シボレー、フォード、現代、JACなど主要な自動車メーカーで、23年以上の経験を持つ。2023年末には展示場を改装し、企業イメージを一新するため、5,000万ドル以上投資した。

同氏は国内メディアのインタビューに対し、起亜コロンビアの2025年の目標を「国内販売台数3万台、シェア13%~14%」とした。また、新型電動SUV「EV3」、全面改良した「スポーテージ」、コロンビア初上陸のピックアップ「タスマン」などが成長を後押しするだろうと話している。

2025年の新車販売は22万台の予想

コロンビア全国商業者連合会(Fenalco)と全国産業連盟(ANDI)は、2025年の新車販売台数を前年同期比9.3%増の22万台と予想。また、22万台の販売を達成するため、政府への要求として次の点を挙げた。

  • 金利:1桁台を継続すること。新技術へのアクセスを容易にする優遇金利を検討すること。
  • 貿易および自動車産業の強化:35万人以上の雇用を生む自動車産業と貿易産業に対して、強化戦略を打ち出すこと。
  • 法的安定性と規制の確立:自動車産業に適応する規制を明確にすること。生産と物流に影響を与えない合理的な移行期間を設けること。
  • エネルギー転換のためのインセンティブ
  • 古い車からの乗り換えを促す政策

注1:
当地で言う電動車(xEV)は、(1)バッテリー式電気自動車(BEV)、(2)プラグインハイブリッド車(PHEV)、(3)ハイブリッド車(HEV)または(4)マイルドハイブリッド車(MHEV)のいずれか。
注2:
スペイン語で「pico y placa」。渋滞緩和や大気汚染防止のため、主要都市では、ナンバープレート末尾の番号により走行できない曜日や時間帯を定めている。
執筆者紹介
ジェトロ・ボゴタ事務所
木村 香菜(きむら かな)
2023年からジェトロ・ボゴタ事務所勤務。