ライブラリーデザイン、アロマのインテリアで海外販路拡大(世界)
石膏とアロマの香りを世界に運ぶ

2025年12月23日

ライブラリーデザイン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(東京都渋谷区)は、アロマ製品の生産・販売を行う会社だ。主力ブランドは「BALLON」。さまざまなモチーフでかたどられたオーナメントは全て石膏(せっこう)でできている。特徴は、エッセンシャルオイルを上から垂らすことで、自然の揮発により香りが柔らかく充満する点だ。また、部屋を引き立てるインテリアとして目で楽しむこともできる。

同社の鈴木いづみ代表取締役に、製品への想いを聞いた(取材日:2025年11月11日)。

見本市への出展が海外展開への転機

ライブラリーデザイン社の原点は2001年に遡る。鈴木氏は大学卒業後ウェブデザイナーとして活動した後、2009年にアロマオーナメントの発表とともにデザインアロマブランド「BALLON」を立ち上げ、ものづくりの世界へとシフトした。海外の有名見本市を視察する中で、ブランドを前面に出すフランスが同社のブランドイメージにあっていたことと、たまたまパリの有名コンセプトショップから注文が入ったことなどが重なり、2017年~2020年までパリの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展した。これが海外展開の大きなきっかけとなった。

新型コロナ禍に入ると、国内外の見本市の在り方が大きく変わった。同氏は過去にウェブ制作チームで培ったデザインスキルを活かし、EC(電子商取引)に注力し、オンライン展示会などにも積極的に出展。その結果、米国、英国、オーストラリア、香港などに引き合いが広がったが、対面での人との繋がりの重要性も改めて認識した。

BALLONは石膏と香りのコンビネーション

「BALLON」は前述のとおり、石膏にエッセンシャルオイルを直接垂らして香りを楽しむ「アロマオーナメント」がシグニチャー商品(注1)となっている。

石膏は着色せず、あえて白いまま製品として販売している。同氏によると、会社設立当初はアイボリーに近い色で着色することを想定していた。しかし、石膏の白さと日本人が微細にこだわる「白」に共通するものを感じ、これを会社のブランド・アイデンティティーにしたいと考え、あえて石膏本来の白さで挑んでいる。

製品のモチーフは、西洋の彫刻を連想させるものや、動物や菓子など広く一般に受け入れられやすいものなど多岐にわたる。動物では猫が多く、DAIFUKUシリーズの猫はスタッフの飼い猫がモデルという。今年から登場したCHIFFONシリーズでは、猫の毛並みが細部まで丁寧に描かれている。


BALLON(猫のDAIFUKUシリーズ)(同社提供)

作り方はいたってシンプルで、国産の石膏粉末に水を加えて固めるものだ。分量は天候や気温により調節する。練り混ぜた材料を、モチーフの型に流し込み固める。型取りの際は継ぎ目に石膏が入り、バリ(注2)がどうしても生じるため、仕上げにこれを取り除く作業を行う。完成品となるまで一点一点、手作業の工程が多く、素材上も量産には適さない。一日に制作可能な個数も限られるため、同社では主に受注の数量や出荷の波に応じて最短ピッチでの生産に重点を置き、月ごとに計画を立てて実行している。

香料やバスソルトの塩にもこだわりがある

同社では「BALLON」の他に、バスソルトやサシェ、ハンドクリーム、ハーブティーなどの生産・販売に力を注いでいる。また、国内外の有名キャラクターとのコラボレーション製品にも数多く取り組んでいる。

国内で売り上げが伸びているのはバスソルトだ。複数の香料をブレンドしている。例えば「日本の四季の香り」という製品には、ゼラニウムやジュニパーなどの精油に、桜の花びらやピール状のゆずなどを入れており、和洋折衷の香りが楽しめるようになっている。

製品の「きよめ塩」は、身を清める禊(みそぎ)や穢れ(けがれ)を払う日本古来の風習から、入浴によって浄化する意味を込めて、塩作りの伝統が続く瀬戸内海の塩を使用している。これに精油のフランキンセンスとミルラ、そしてサンダルウッド(白檀)をブレンドしている。入浴以外に、玄関先やデスクに盛り塩として置くことも可能だ。


バスソルト「日本の四季の香り」(同社提供)

お香「TOKYO」にはグリーンティー、ネロリなど、
和と洋の香りがブレンドされている。(同社提供)

アロマ関連製品は、国によって輸出規制の取り扱いが異なる。バスソルトは国内では「雑貨/雑品」として扱われるが、EU圏に輸出する際は「化粧品」となり、EU独自の厳しい輸入規制と製品規則が課される。一方、お香にはそういった規制がない。お香は、売り上げの約9割が海外だ。そのため、国内向け販売はバスソルト、海外向け販売はお香に力を入れるなど、各国の規制に合わせてMD(注3)を変更している。

今後の展望について

鈴木いづみ代表取締役にとって、関係者や社員たちとともに製品開発・計画立案し、出来上がった製品をお客様に喜んでもらうことが、この上ない喜びであり、次なる挑戦へのモチベーションに繋がっているという。

また、海外見本市への出展も同氏にとって大きな意味がある。今まで雑誌やSNSなどでしか見ることのなかった憧れの海外有名ブランドと直接会ってやり取りができるからだ。これは仕事で味わえる大きな醍醐味であり、1つの「冒険」となっているという。さらに、出展を通じて知り合った同業者やバイヤーと、刺激しあえる関係が築けることも魅力であり、面白味が感じられる点だ。

近年、SNSの普及により、国内外のバイヤーの動きに大きな変化が生じている。彼らはインスタグラムなどを通じて製品をくまなくチェックできるため、見本市に足を運ばなくても売り手と直接コンタクトを取ることが容易となった。しかし同氏は、海外展開の道筋となった海外見本市とのつながりは今後も継続していきたいという。そしてSNSでトレンド(流行)を把握しながら、見本市参加を通じて対面での商談を大切にし、さらなる販路拡大に繋げたいと語った。


鈴木いづみ代表取締役(同社提供)

注1:
シグニチャー商品とは、代表的な看板商品やトレードマークとなる特別なアイテムのこと。
注2:
バリとは欠けや突起のこと。
注3:
MD(マーチャンダイズ)とは、小売業などにおける仕入れから価格設定、陳列、販売促進まで、商品が売れるための活動全般を計画・実行する仕事や戦略のこと。
執筆者紹介
ジェトロ調査部調査企画課
岡田 篤子(おかだ あつこ)
海外調査部、ビジネス展開支援部、総務部などを経て、2022年6月から現職。