2022年の自動車新車登録台数は前年比減、EVが3割強を占める(イスラエル)

2023年10月13日

イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)によると、イスラエルの2022年の自動車新車登録台数は26万8,145台で、前年比7.8%(約2万2,800台)の減少となった(図1参照)。2016年の28万6,728台をピークに4年連続で減少を続けた後、2021年には2016年の数字を上回る過去最高を記録したが、2022年は再び減少に転じた。半導体不足などによる主要自動車生産国での生産制約が影響したものと考えられる。

図1:自動車新車登録台数および日本勢・韓国勢のシェアの推移
イスラエルの自動車新車登録台数は、2016年の28万6,728台をピークに5年連続で減少を続けた後、2021年には2016年の数字を上回る過去最高を記録したが、2022年は再び減少に転じ、26万8,145台の前年比7.8%の減少となった。2022年の日本メーカーの総登録車数は前年比15.0%減の8万7,943台で、シェアは32.8%だった。

出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)

韓国勢が上位独占、日本勢は低迷

登録台数をメーカー・ブランド別にみると、韓国メーカーは前年比で減少したものの、上位を独占した。一方で、日本勢は前年比2桁減のメーカーが目立ち、低迷した。

韓国メーカーの中では、現代が前年比1.4%減の4万2,540台で、全体の15.9%を占め、首位を維持した。起亜は4.5%減の3万8,224台だったが、シェアを14.3%と前年から0.5ポイント伸ばし、順位を1つ上げて2位となった。日本メーカーでは、トヨタは11.3%減の3万6,881台(シェア13.8%)にとどまり、順位を1つ下げて3位となった。マツダは24.2%増の1万8,770台(同7.0%)と好調で、4位と順位を1つ上げた。三菱自動車は8.9%減の1万1,689台(4.4%)で6位、スズキは17.8%減の8,683台(3.2%)で7位、スバルは20.7%減の4,367台(1.6%)で16位だった。また、日産は68.7%減の3,554台(1.3%)で20位、ホンダは86.7%減の407台(0.2%)の42位と、大きく順位を落とした。日本メーカーの総登録台数は15.0%減の8万7,943台で、シェアは32.8%だった(表1参照)。

韓国と日本以外のメーカーでは、チェコのシュコダ(Skoda)が30.4%減の1万3,559台(5.1%)で、5位と順位を1つ下げた。フランスのシトロエンは10.7%増の8,246台(3.1%)で、順位を5つ上げて8位となった。中国の吉利は前年比41.8倍の6,816台(2.5%)と急伸し、前年の40位から9位へと大きく順位を上げた。米国のテスラは4.0%減の6,047台(2.3%)で10位に入った。

表1:自動車新車登録台数上位10社(2022年末時点)と日本勢の推移(2020~2022年)

(単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
自動車新車登録台数上位10社および日本メーカー・ブランド
順位 メーカー
/ブランド
2020年 2021年 2022年
登録台数 登録台数 登録台数 シェア 前年比 寄与度
1 現代 33,565 43,156 42,540 15.9 △ 1.4 △ 0.2
2 起亜 25,483 40,035 38,224 14.3 △ 4.5 △ 0.6
3 トヨタ 28,756 41,579 36,881 13.8 △ 11.3 △ 1.6
4 マツダ 9,499 15,116 18,770 7.0 24.2 1.3
5 シュコダ 17,908 19,469 13,559 5.1 △ 30.4 △ 2.0
6 三菱自動車 12,895 12,836 11,689 4.4 △ 8.9 △ 0.4
7 スズキ 9,234 10,565 8,683 3.2 △ 17.8 △ 0.6
8 シトロエン 5,901 7,449 8,246 3.1 10.7 0.3
9 吉利 0 163 6,816 2.5 4081.6 2.3
10 テスラ 0 6,299 6,047 2.3 △ 4.0 △ 0.1
16 スバル 3,763 5,504 4,367 1.6 △ 20.7 △ 0.4
20 日産 7,425 11,338 3,554 1.3 △ 68.7 △ 2.7
27 レクサス 1,482 1,854 1,845 0.7 △ 0.5 △ 0.0
29 いすゞ 887 1,557 1,612 0.6 3.5 0.0
42 ホンダ 2,542 3,071 407 0.2 △ 86.7 △ 0.9
47 インフィニティ 182 84 135 0.1 60.7 0.0
総計 214,544 290,952 268,145 100.0 △ 7.8 △ 7.8
自動車新車登録台数(日本勢・韓国勢・その他)
国名 2020年 2021年 2022年
登録台数 登録台数 登録台数 シェア 前年比 寄与度
日本勢 76,665 103,504 87,943 32.8 △ 15.0 △ 5.3
韓国勢 59,048 83,191 80,764 30.1 △ 2.9 △ 0.8
その他 78,831 104,257 99,438 37.1 △ 4.6 △ 1.7

注:太字は日本勢。
出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)

モデル別の2022年の登録台数をみると、1位が起亜・ピカントで1万2,968台、2位はトヨタ・カローラで1万2,481台、3位は現代・ツーソンで7,649台だった。

EV登録台数は9万台超で全体の34%

ハイブリッド車(HEV)を含む2022年の電気自動車(EV)の登録台数は9万1,129台で、全登録台数の34.0%を占めた。EVの登録台数をメーカー・ブランド別にみると、トヨタが2万6,594台でEV全体の29.2%を占め、現代が1万6,259台(シェア17.8%)、スズキが7,703台(同8.5%)で続いた。

種類別のシェアをみると、HEVでは、トヨタが2万6,130台でHEV全体の52.3%を占めた。BEV(バッテリー車)では、吉利が6,816台で24.6%、テスラが6,047台で21.9%、中国の比亜迪(BYD)が3,710台で13.4%だった(表2参照)。

表2:EV新車登録台数上位10社と日本勢の種類別内訳(2022年)

EV新車登録台数(単位:台)
順位 メーカー/ブランド BEV HEV PHEV
(ガソリン)
PHEV
(ディーゼル)
合計
1 トヨタ 85 26,130 379 0 26,594
2 現代 2,642 13,617 0 0 16,259
3 スズキ 0 7,703 0 0 7,703
4 吉利 6,816 0 0 0 6,816
5 テスラ 6,047 0 0 0 6,047
6 起亜 405 962 4,501 0 5,868
7 MG 34 0 5,047 0 5,081
8 BYD 3,710 0 0 0 3,710
9 メルセデス・ベンツ 712 0 713 105 1,530
10 レクサス 83 1,065 377 0 1,525
21 ホンダ 0 272 0 0 272
34 日産 0 42 0 0 42
総計 27,671 49,963 13,390 105 91,129
登録台数に占める割合 10.3 18.6 5.0 0.0 34.0
シェア(単位:%)
順位 メーカー/ブランド BEV HEV PHEV
(ガソリン)
PHEV
(ディーゼル)
合計
1 トヨタ 0.3 52.3 2.8 0.0 29.2
2 現代 9.5 27.3 0.0 0.0 17.8
3 スズキ 0.0 15.4 0.0 0.0 8.5
4 吉利 24.6 0.0 0.0 0.0 7.5
5 テスラ 21.9 0.0 0.0 0.0 6.6
6 起亜 1.5 1.9 33.6 0.0 6.4
7 MG 0.1 0.0 37.7 0.0 5.6
8 BYD 13.4 0.0 0.0 0.0 4.1
9 メルセデス・ベンツ 2.6 0.0 5.3 100.0 1.7
10 レクサス 0.3 2.1 2.8 0.0 1.7
21 ホンダ 0.0 0.5 0.0 0.0 0.3
34 日産 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0
総計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

注:太字:日本勢。
出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)

中国からの輸入額は前年比3.7倍、生産国の1位は韓国

イスラエルには自動車の生産工場はないため、国内で販売される自動車は全て輸入車となっている。イスラエル中央統計局(CBS)の輸入統計から乗用車(HSコード8703)の輸入額をみると、1位の中国は前年比3.7倍の12億5,093万ドルと急拡大した。EV輸入の拡大が主因だ。2位の韓国は同41.7%増の12億1,419万ドル、3位の日本は18.9%増の7億5,603万ドルだった(表3参照)。

表3:乗用車(HS8703)の国別輸入額の推移(2019~2022年)(単位:100万ドル、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 国名 2019年 2020年 2021年 2022年
金額 金額 金額 金額 前年比 寄与度
1 中国 29 48 342 1,251 265.4 19.3
2 韓国 901 620 857 1,214 41.7 7.6
3 日本 776 802 636 756 18.9 2.5
4 ドイツ 326 197 321 528 64.4 4.4
5 チェコ 480 406 412 500 21.6 1.9
6 米国 198 201 432 474 9.8 0.9
7 トルコ 670 597 325 388 19.5 1.3
8 スペイン 210 254 198 308 55.7 2.3
9 タイ 55 52 65 132 103.2 1.4
10 フランス 169 150 129 129 △ 0.1 0.0
世界計 5,120 4,169 4,709 6,575 39.6 39.6

出所:イスラエル中央統計局(CBS)

I-viaが公開しているデータを基に、生産国別の登録台数をみると、1位は韓国の6万1,127台で全体の22.0%を占め、2位は日本の3万9,206台(シェア14.1%)、3位はチェコの2万5,115台(9.1%)と続いた(表4参照)。韓国メーカーに限定してみると、韓国で生産された車が69.2%を占め、トルコ製が11.7%、チェコ製が9.3%で続いた。日本メーカーでは、日本での生産車が43.2%で、タイ製が17.4%、トルコ製が14.1%で続いた。

表4:主要生産国別の新車登録台数(2022年)(単位:台、%)
順位 国名 台数 シェア
1 韓国 61,127 22.0
2 日本 39,206 14.1
3 チェコ 25,115 9.1
4 中国 24,782 8.9
5 トルコ 24,684 8.9
6 スペイン 16,629 6.0
7 タイ 15,840 5.7
8 フランス 13,911 5.0
9 ドイツ 11,229 4.0
10 米国 9,166 3.3
11 スロバキア 8,456 3.0
12 ハンガリー 7,148 2.6
13 英国 5,229 1.9
14 メキシコ 3,971 1.4
15 インド 2,311 0.8
16 ルーマニア 2,216 0.8
17 ポルトガル 2,102 0.8
18 イタリア 1,573 0.6
19 ベルギー 1,050 0.4
20 スウェーデン 623 0.2
世界計 277,478 100

出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)からジェトロ作成

日本での生産車では、トヨタのRAV4ハイブリッドやマツダのCX-5、三菱のアウトランダーが上位だった。タイ製では、マツダ2や三菱のスペーススター、トヨタのハイラックス、トルコ製では、トヨタのカローラやC-HRが上位に上がった。

2023年上半期の新車登録台数、前年同期比9.7%増

I-viaによると、イスラエルの2023年上半期の自動車新車登録台数は17万4,336台で、前年同期比9.7%(約1万5,500台)の増加となった(表5参照)。登録台数をメーカー・ブランド別にみると、韓国メーカーは前年同期比で減少したものの、引き続き上位を独占した。日本メーカーは前年同期比増のメーカーと前年同期比減のメーカーに二分された。

韓国メーカーでは、現代が前年同期比6.1%減の2万9,385台で全体の16.9%を占め、首位を維持した。起亜は0.1%減の2万1,514台(シェア12.3%)で2位だった。韓国メーカーの総登録車数は同3.6%減の5万899台で、シェアは29.2%となり、日本メーカーを上回った。日本メーカーでは、トヨタは29.3%減の1万6,845台(9.7%)と減少を続けて3位となり、マツダは3.8%減の1万156台(5.8%)の4位で順位は変わらなかった。三菱は16.0%減の6,426台(3.7%)で8位、スズキは28.2%増の5,423台(3.1%)と増加に転じたものの、9位とそれぞれ順位を下げた。スバルは38.9%増の3,191台(1.8%)で15位だった。日産は31.1%減の1,765台(1.0%)で22位、ホンダは2.1倍の399台(0.2%)だった。日本勢の総登録車数は同14.1%減の4万5,942台で、シェアは26.4%だった。

表5:自動車新車登録台数上位10社(2023年上半期時点)と日本勢の推移

(単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
自動車新車登録台数上位10社および日本メーカー・ブランド
順位 メーカー/ブランド 2022年上半期 2023年上半期
登録台数 登録台数 シェア 前年同期比 寄与度
1 現代 31,283 29,385 16.9 △ 6.1 △ 1.2
2 起亜 21,531 21,514 12.3 △ 0.1 △ 0.0
3 トヨタ 23,812 16,845 9.7 △ 29.3 △ 4.4
4 マツダ 10,561 10,156 5.8 △ 3.8 △ 0.3
5 BYD 0 9,698 5.6 全増 6.1
6 シュコダ 7,234 8,976 5.1 24.1 1.1
7 奇瑞 0 8,166 4.7 全増 5.1
8 三菱自動車 7,654 6,426 3.7 △ 16.0 △ 0.8
9 スズキ 4,230 5,423 3.1 28.2 0.8
10 プジョー 4,376 5,037 2.9 15.1 0.4
15 スバル 2,298 3,191 1.8 38.9 0.6
22 日産 2,560 1,765 1.0 △ 31.1 △ 0.5
27 レクサス 1,072 963 0.6 △ 10.2 △ 0.1
31 いすゞ 1,076 701 0.4 △ 34.9 △ 0.2
36 ホンダ 194 399 0.2 105.7 0.1
55 インフィニティ 56 73 0.0 30.4 0.0
総計 158,850 174,336 100.0 9.7 9.7
自動車新車登録台数(日本勢・韓国勢)
国名 2022年上半期 2023年上半期
登録台数 登録台数 シェア 前年同期比 寄与度
韓国勢 52,814 50,899 29.2 △ 3.6 △ 1.2
日本勢 53,513 45,942 26.4 △ 14.1 △ 4.8

注:太字は日本勢。
出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)

韓国と日本以外のメーカーでは、中国のBYDが9,698台(シェア5.6%)で、2022年(通年)から順位を13上げて5位となった。中国の奇瑞(Chery)も8,166台(4.7%)と好調で、前年(通年)の32位から7位へと大きく順位を上げた。

EV登録台数は6万台超で全体の37%

2023年上半期のEVの登録台数は6万4,338台で、自動車新車登録台数全体の36.9%を占めた。種類別にみると、BEVが2万8,834台で全体の16.5%、2022年の登録台数を上回った。HEVが2万5,854台で14.8%、PHEV(プラグインハイブリッド車)がガソリン車とディーゼル車を合わせて9,650台で5.5%を占めた。

EVの登録台数をメーカー・ブランド別にみると、トヨタが1万2,618台でEV全体の19.6%を占め、現代が1万126台(シェア15.7%)、BYDが9,698台(15.1%)で続いた。種類別のシェアをみると、HEVではトヨタが1万1,904台でHEV全体の46.0%、BEVではBYDが9,698台で33.6%、吉利が4,492台で15.6%、テスラが3,298台で11.4%だった。

表6:EV新車登録台数上位10社と日本勢の種類別内訳(2023年上半期)

EV新車登録台数(単位:台)
順位 メーカー/ブランド BEV HEV PHEV
(ガソリン)
PHEV
(ディーゼル)
合計
1 トヨタ 541 11,904 173 0 12,618
2 現代 3,134 6,992 0 0 10,126
3 BYD 9,698 0 0 0 9,698
4 起亜 600 335 4,909 0 5,844
5 スズキ 0 5,028 0 0 5,028
6 吉利 4,492 0 0 0 4,492
7 テスラ 3,298 0 0 0 3,298
8 MG 689 0 1,963 0 2,652
9 メルセデス・ベンツ 773 0 516 71 1,360
10 シュコダ 908 0 46 0 954
11 レクサス 21 605 284 0 910
17 日産 0 476 0 0 476
18 ホンダ 0 385 0 0 385
36 三菱自動車 0 0 61 0 61
総計 28,834 25,854 9,579 71 64,338
登録台数に占める割合 16.5 14.8 5.5 0.0 36.9
シェア(単位:%)
順位 メーカー/ブランド BEV HEV PHEV
(ガソリン)
PHEV
(ディーゼル)
合計
1 トヨタ 1.9 46.0 1.8 0.0 19.6
2 現代 10.9 27.0 0.0 0.0 15.7
3 BYD 33.6 0.0 0.0 0.0 15.1
4 起亜 2.1 1.3 51.2 0.0 9.1
5 スズキ 0.0 19.4 0.0 0.0 7.8
6 吉利 15.6 0.0 0.0 0.0 7.0
7 テスラ 11.4 0.0 0.0 0.0 5.1
8 MG 2.4 0.0 20.5 0.0 4.1
9 メルセデス・ベンツ 2.7 0.0 5.4 100.0 2.1
10 シュコダ 3.1 0.0 0.5 0.0 1.5
11 レクサス 0.1 2.3 3.0 0.0 1.4
17 日産 0.0 1.8 0.0 0.0 0.7
18 ホンダ 0.0 1.5 0.0 0.0 0.6
36 三菱自動車 0.0 0.0 0.6 0.0 0.1
総計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

注:太字:日本勢。
出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)

イスラエル政府は2018年10月に、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する目標を発表している(詳細はイスラエル政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。エネルギー・インフラストラクチャー省は、BEVの年間販売台数は2025年までに17万7,000台、2028年までに66万5,000台、2030年までに140万台に拡大するとみている。

イスラエルは、面積が約2万2,000平方キロメートルと、日本の四国程度の大きさのため、1日当たりの走行距離は比較的短い。また、2022年の人口は996万人と、神奈川県を少し上回る規模で、人口密度が高く、充電インフラを整備しやすい。こうした理由から、イスラエルはEVの普及に適していると言われている。さらに、国内でのガソリン価格高騰がEV化に拍車をかけている。エネルギー・インフラストラクチャー省によると、2020年11月のオクタン価95のガソリン価格(セルフサービス)は1リットル当たり5.34シェケル(約208円、1シェケル=約39円)だったが、2022年7月には8.08シェケルまで値上がりした(図2参照)。その後、下落に転じたものの、足元の2023年9月は6.94シェケルと、高止まりが続いている。

図2:オクタン価95のガソリン価格の推移(セルフサービス)
2020年11月のオクタン価95のガソリン価格(セルフサービス)は1リットル当たり5.34シェケルだったが、2022年7月には8.08シェケルまで値上げした。その後、下落に転じたものの、2023年9月は6.94シェケルと高止まりが続いている。

出所:エネルギー・インフラストラクチャー省

他方、EV化推進の課題の1つが、電力需要の増加による送電網への潜在的な負担だ。EVの急速な普及に伴い、既存のインフラとその負荷増大への対応能力を総合的に評価する必要があると指摘されている(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙2023年6月5日)。また、国内での販売価格が高いことも、EV普及を妨げる要因の1つになり得る。テスラのモデル3の日本とイスラエルの販売価格を比較すると、日本では571万3,000円から(注)となっているのに対し、イスラエルでは20万5,630シェケルとなっている。そのうち、関税や物品購入税、付加価値税(VAT)が4万5,082シェケルかかっており、今後のEV普及に向けて、これら各種税率の低減が不可欠と考えらえる。


注:
消費税以外の税金や登録諸費用などが別途かかる。
執筆者紹介
ジェトロ・テルアビブ事務所長
中溝 丘(なかみぞ たかし)
1997年、ジェトロ入構。海外調査部、国際交流部、経済産業省通商政策局(出向)、ジェトロ・ヒューストン事務所、産業技術部、企画部、経済産業省貿易経済協力局(出向)、ジェトロ・ヒューストン事務所長、サービス産業部、調査部米州課長などを経て、2023年5月から現職。