世界有数の炭素市場大国になるか(ブラジル)
カーボンクレジット供給国で今、何が

2023年8月3日

アマゾン熱帯雨林を有するブラジルで、環境対策は避けて通れない問題だ。その分、ビジネスチャンスも大きい。国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)で温室効果ガス(GHG)排出量の削減が求められる中、ブラジル政府もこれに協調する姿勢を見せている。

GHG排出量削に向けたブラジルの具体策として、国内外の企業から炭素市場(carbon market)を活用した脱炭素ビジネスに注目が集まっている。 他方、ブラジルの官民の動きをみると、炭素市場の法整備に異なる考え方がみられる。その結果、業界横断的な法整備の導入に時間を要している。例えば、バイオエタノールやバイオディーゼル、バイオガスなどの生産比率を拡大することでGHG排出量削減を目指す国家バイオ燃料政策 「RenovaBio(ヘノバビオ)」に基づいて、GHG排出削減義務を課す考え方が局所的に見られる。これは、いわば政府主導の炭素市場を追求する考え方と言える。一方、民間部門が任意でボランタリー炭素市場を活用しながらGHG排出量削減を目指す動きもある。

ブラジルは既に、カーボン(炭素)クレジット供給国としての役割を果たしつつある。確かに、カーボンクレジット発行にかかる時間や費用面の課題はある。しかし、その拡大余地は今後もあるだろう。

カーボンクレジットはブラジルに好機

ブラジル政府は2021年10月31日から11月13日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に参加。2030年までのGHG排出量の削減目標を2005年比で50%と設定した。また、「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」に署名した(2021年11月18日付ビジネス短信参照)。この宣言は、2030年までに森林破壊を終わらせることを目標とするものだ。

COP26での成果の1つに、カーボンクレジット市場メカニズムの規定で合意に至ったことがある。当該メカニズムは、GHG排出量削減や森林保全を実現する方法の1つ。そもそもはパリ協定第6条で規定され、長年にわたって交渉が継続してきた。交渉に当たりブラジル政府は、カーボンクレジットの二重計上防止策が厳格に規定されていることに懸念を示していた。しかしCOP26では、パリ協定の実施方針(ルールブック)を評価。カーボンクレジット市場へ高い期待を寄せた。ジョアキン・レイテ環境相(当時)は2021年12月17日付の環境省公式サイトで、COP26を振り返り、「カーボンクレジットはブラジルにとって好機」との認識を示した。森林保全や低カーボン農業など、多くの方法でクレジットを発行できることを踏まえたとみられる。マリーナ・シルバ環境相も4月6日、ビジネス界向けの講演会で「ブラジルはカーボン市場で世界のトップ10に入るべき」と、自国の強みを意識して発言している。

ブラジル企業もパリ協定第6条の合意を歓迎している。例えば、持続可能な開発のためのブラジル経済会議(CEBDS、注1)のマリナ・グロッシ会長は、2021年11月13日付の現地紙「エスタード」のインタビューで、COP26での交渉成立を評価。「ブラジルは有利な立場にある。世界で最もカーボンクレジットが発行できる国の1つになる可能性がある」と強調した。

カーボンクレジット制度に強い関心

ここで、カーボンクレジットに関するブラジルの現状と今後の展望について紹介する。

ブラジルで注目されているのは、カーボンプライシングだ。カーボンプライシングとは、二酸化炭素(CO2)排出に価格を付け、市場メカニズムを通じて排出を抑制するシステムのこと(注2)。大きく分けて、(1)炭素税と(2)炭素市場の2種類がある。(2)では、CO2排出1トン当たりに価格を付けた証書が取引されることになる。

さらに、(2)で取引される証書には、排出枠とカーボンクレジットの2種類が存在する。当地で特に関心を集めているのは、カーボンクレジットだ(注3)。ちなみに排出枠とは、1トンのCO2を排出できる許可を証するもの。事例として、EUが2005年に導入した排出量取引制度(Emissions Trading System、ETS)で取引されるEU排出枠(European Union Allowance、EUA)が挙げられる(注4)。

一方、カーボンクレジットは、許可に基づく排出可能量ではない。むしろ、排出を抑制または相殺するプロジェクトを進めることにより認められる。再生可能エネルギー(再エネ)導入や森林保全活動など、CO2を抑制するプロジェクトが立ち上がると、その芽が出てくる。これを国際機関や民間事業者などがプロジェクトを承認した場合、CO2の排出削減量を1トン単位で示す証書が発給されることになる(注5)。国連気候変動枠組み条約のクリーン開発メカニズム(CDM)や民間事業者のVerraなどによって承認されるクレジットがその例だ。カーボンクレジットは、約7割が民間事業者によって承認されている(注6)。

図1:カーボンプライシング
カーボンプライシングには、炭素税と、カーボンマーケットと大きく分けて2種類ある。そのうちのカーボンマーケットで取引される証書には、排出権(排出できる許可)とカーボンクレジット(排出削減)の2種類が存在し、排出権は例としてEU-ETSが挙げられ、カーボンクレジットにはCDM、Verraなどが挙げられる。

出所:世界銀行、国連気候変動枠組み条約の資料を基にジェトロ作成

パリ協定第6条に基づく新規炭素市場に期待感

炭素市場は、別の観点から2種類に分けられる。(1)コンプライアンス炭素市場(企業が排出削減義務を果たすために証書を購入する)と、(2)ボランタリー炭素市場(企業が任意でカーボンニュートラル実現のために排出削減目標を宣言し、それを達成するために証書を購入する)だ(注7)。EU-ETSやCDMは(1)に当たることが多く、Verraは(2)が多そうだ。この分類は炭素市場の下で発行される証書を購入する(消費する)側で、どのような目的を持っているかの違いによる。

なおブラジルでは、EU-ETSのような独自の排出量取引制度は、現時点で設立されていない(実現に向けた議論はある)。コンプライアンス炭素市場に関して、当地で最も歴史ある枠組みとしてはCDMが挙げられる。CDMには、2004年にブラジル初のプロジェクトが登録されて以降、2023年5月31日時点で385のプロジェクトが認められている。これにより、2億928万2,949CO2削減量トン相当のクレジットが発行された。

中でも、カーボンクレジット発行量最大規模なのが、テレス・ピレス水力発電所(在パラー州・マットグロッソ州)だ。このプロジェクトは、スペインのネオエネルジア(イベルドローラ・グループ傘下)が運営するもの。同発電所の再エネ活用は、排出量削減に貢献する。2012年にブラジル連邦政府の許可を得た上で、CDMのプロジェクトとして登録された。その際に認証したのは、米国のペリー・ジョンソン・レジスターズ・カーボン・エミッションズ・サービシス(CDMに認定されている第三者企業)だった。2019年からは、イタリアのリナ・サービシス(同じく第三者企業)が2015年以降の排出削減状況などを確認。相当するクレジットが発行されている(2023年5月31日時点で、1,103万4,218 CO2削減量トン)。ネオエネルジアによると、発行されたクレジットはオランダやブラジル、インドなどに所在する企業から購入された。

そうしたブラジルのCDMプロジェクトのクレジットは、発行済みのものはそのまま残されていく。一方で、連邦政府は2021年11月以降、新規プロジェクトの許可を中止した。政府と企業のいずれにも、パリ協定第6条の合意に基づく新たな炭素市場への期待が高いためだ。国際商業会議所ブラジル委員会が2022年10月に発表したレポート「炭素市場におけるブラジルにとっての機会」によると、「2030年には、パリ協定第6条が定める新たな炭素市場のうち、約28%をブラジルが占める」可能性があるとされている。その理由として、ブラジルには森林保全関連のプロジェクトが多数あることが挙げられる。

コンプライアンス炭素市場を活性化する連邦政府の取り組みとして、国家バイオ燃料政策 「RenovaBio(ヘノバビオ)」がある。同政策は、2017年12月26日付法律第13,576号で導入。2019年12月から施行を開始した。その狙いは、生産するエネルギーに占めるバイオ燃料の割合を拡大し、GHG排出削減を目指すところにある。鉱山エネルギー省は2017年、その導入理由を「GHG排出量削減にとどまらないエネルギー安全保障の観点でさまざまな燃料確保が必要」と説明した。2017年といえば、(1)国営石油会社ペトロブラスの投資力低下や、(2)エタノール生産の停滞、(3)米国から輸入するトウモロコシ由来エタノールの増加など、ブラジルのエネルギー安全保障にとってリスクが指摘された年に当たる。その対策として、同省はバイオ燃料の生産拡大を目指した。その結実が、ヘノバビオということになる。

ちなみに同省は、燃料分野全体で炭素強度(CI)を算出している。CIとは、燃料1メガジュール(MJ)当たりから発生するGHG排出量のこと。年次目標を設定し、1年ごとにその目標値を引き下げている。言い換えると、CIを下げることで、環境負荷を少なくしていくことになる。CIを低下させる方法として、バイオエタノールやバイオディーゼルなど、GHG排出量が少ない燃料を生産・輸入・販売する企業に対して、脱炭素化クレジット(CBIO)と呼ばれるカーボンクレジットを付与する。一方、ガソリンやディーゼルなど化石燃料を配給する企業には、CBIOの購入義務を負わせる。こうした取り組みにより、バイオ燃料の生産量を増加させる目的がある。バイオ燃料を生産・輸入・販売する企業がヘノバビオに参加するかどうかは任意だ。しかし、同制度に加入するには、鉱山エネルギー省に認定された調査会社の承認が必要になる(注8)。

CBIOでは、化石燃料の代わりにバイオ燃料が生産されることで削減できたCO2の量を1トン単位で示す証書が発給される。この証書はサンパウロ証券取引所での登録銘柄になっていて、売買可能だ。2022年10月31日時点では、8,696万9,468 CO2削減量トン相当のクレジットが発行されている。 2022年初頭からはCBIOの平均価格が上昇。2022年1月6日に約45レアル(約1,305円、1レアル=約29円)だったCBIOは、6月30日に約203レアルまで上昇した。ただ、7月以降は価格が下落している。その理由としては、連邦政府が2022年7月22日に2022年の目標達成時期をこれまでの2023年3月31日から2023年9月30日へ6カ月先送りしたことがある。その結果として、「購入を促すプレッシャーがなくなったことが影響した」というのが、多くのアナリストの見解だ。それでも5月4日時点では、価格が2021年までの水準を上回っていた。CBIOに一定のニーズがあることはうかがえる(図2参照)。

そうした中で、新政府(2023年1月発足)は4月25日、2023年の目標達成時期を、本来の2024年3月31日に戻した。また、2024年からは、目標達成時期を12月31日にすることも、あわせて定めた。

図2:CBIOの平均価格の推移
2020年6月15日は50.5レアル、2020年8月14日は19.75レアル、2020年10月15日は49.95983レアル、2020年12月15日は41.63333レアル、2021年2月17日は32.29レアル、2021年4月15日は30.996レアル、2021年6月15日は28.42265レアル、2021年8月16日は27.57731レアル、2021年10月15日は43.91546レアル、2021年12月15日は59.89827レアル、2022年2月15日は89.80049レアル、2022年4月14日は100.1902レアル、2022年6月15日は142.0689レアル、2022年8月15日は91.45166レアル、2022年10月14日は89.19538レアル、2022年12月15日87.09829レアル、2023年2月15日は100.1724レアル、2023年4月14日は94.73463レアル、2023年6月15日は132.8937レアル。

出所:サンパウロ証券取引所のデータを基にジェトロ作成

なお、ブラジルでは、ボランタリー炭素市場でのクレジット発行が近年増加している(図3参照、注9)。米国のカリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院ゴールドマンスクールのデータベースによると、2022年末時点までの累計で最も多くボランタリークレジットが発行された国は、米国(4億168万7,569CO2削減量トン相当)だった。第2位インド(2億8,604万2,979 CO2削減量トン相当)、第3位が中国(1億9,794万8,268 CO2削減量トン相当)だ。

これに続く第4位がブラジル(1億151万9,196 CO2削減量トン相当)だ。その93.7%が、Verraの下で発行されている。

図3:ブラジルにおけるボランタリー炭素市場でのクレジット発行量(単年度毎)
2009年は2,646,166、2010年は1,261,240、2011年は898,079、2012年は9,108,239、2013年は2,769,765、2014年は1,974,245、2015年は5,736,211、2016年は3,296,898、2017年は3,473,168、2018年は3,825,896、2019年は7,199,377、2020年は19,070,086、2021年は31,525,129。

出所:カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院ゴールドマンスクールのデータを基にジェトロ作成

Verraに承認された事例として、2013年に登録された北部パラ州のパカジャイ・プロジェクトがある。その目的は、同地域の13万5,106ヘクタールの森林破壊を防ぐことにある。現地の人々に森林破壊を監視する訓練を通じて、最終的に監視業務を任せることで、プロジェクトを管理している。

このプロジェクトは、英国のオーク・グループ(注10)が考案した。対象地域の所有者による許可を得て、オーク・グループが米国の環境分野専門コンサルティング企業エコシステムサービシスに、具体的なプロジェクト管理を委託した。その後、ノルウェーのデット・ノルスケ・ベリタス(船舶サービス事業者)がバカジャイ・プロジェクトとそのプロジェクトに基づく排出削減量を承認。2014年以降、カーボンクレジットの発行を開始した。2022年4月時点では1,006万355のCO2削減量トン相当のクレジットを発行。アンビパール(ブラジルの衛生サービス大手)やオンリーナチュラルペット(米国ペットフードメーカー)などが購入している。

ブラジルを代表するシンクタンクのジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)は2022年4月、ボランタリー炭素市場に関して報告書を作成した。この報告書によると、ブラジルでは特に森林管理や植林に関するプロジェクトが直近2年間で増加傾向にある。その理由として、「森林管理や植林に関するプロジェクトはCO2排出量削減だけでなく、CO2吸収に貢献する」ことを挙げた。また、「森林を管理することで、生物多様性や伝統的なコミュニティーの保全にもつながり、その付加価値の高さにも注目が集まっている」と分析した(2022年5月27日付ビジネス短信参照)。また、国際商業会議所ブラジル委員会が2022年10月に発表したレポートによると、2030年時点で、ブラジルは世界のボランタリー炭素市場の48.7%を占める可能性があるという。

新政権と法整備の動きに注目

連邦政府が炭素市場に法的枠組みを設けるかどうかは、今後の注目点だ。ETSなどコンプライアンス炭素市場の設立はもちろん、ボランタリー炭素市場でも連邦政府への期待は大きい。例えば、ボランタリー炭素市場にカーボンクレジットを販売するためにプロジェクトを運営する事業者には、土地の所有権に関するより明確なルールやカーボンクレジットに関する税制の簡素化を政府に求める声が多い。

そうした期待もあり、2021年2月23日には法案第528号が提出された。この法案の趣旨は、コンプライアンス炭素市場を設置するというものだ。2022年3月には、経済省(当時)と環境省がこの法案について議論した経緯がある。しかし、下院議会で審議が止まっている(2023年6月19日時点)。

ただ、2023年1月1日に就任したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は2022年11月(当時は大統領就任前)、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、環境問題への取り組みの重要性を強調した。その後も、同様の発言を繰り返している。4月13日には、フェルナンド・アダジ財務相がグリーンエコノミーを推進する「環境移行計画」を準備していると報じられた。また、財務省は6月12日、ブラジルにETSを導入するため新たな法案を作成していると発表している。

新政権は、税制改革やOECDに適合した移転価格税制の導入など、ビジネス環境の改善に着手している。脱炭素という世界の潮流の中で、ルーラ政権が環境分野でブラジルのポテンシャルを引き出せるのか。投資家や企業の注目が集まる。


注1:
ブラジルの大企業95社がCEBDSの会員になっている。
注2:
CO2以外のGHGを排出する場合、排出量はCO2に換算されることが多い。「カーボン(炭素)」と表示されているものの、他のGHGもこのシステムに組み込むことが可能だ。
注3:
報道やコンサルティング会社が作成した資料では、排出権とクレジットを同義として言及するものもある。
注4:
EU-ETSでは、域内の対象企業(発電や石油精製、製鉄、セメントなどエネルギー多消費産業)に対し、1年間の排出量に相応するEUAを提出することが義務付けられる。EUAは欧州委員会によって発行され、基本的にオークション方式で域内企業に割り当てられる。一方で、企業間の第二次市場で売買することも認められる。欧州委員会は、対象企業ごとに総排出量の上限(キャップ)を設定。発行されるEUA量は、それに相応することになる。
そのキャップは毎年、引き下げられる。そのため、購入できる排出権量はさらに限られていく。結果的に、対象企業は排出量を減らすよう促されることになる。
なお、EU-ETSで規定される「域内」には、EU加盟国だけでなく、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが加わる。
注5:
カーボンクレジットの同義として、「オフセット」という表現もしばしば使用される。
注6:
世界銀行の報告書「State and Trends of Carbon Pricing 2022」によると、カーボンクレジットの発行割合は2021年時点で、74%が民間事業者、11%がCDM、15%が各国政府・自治体に登録されているプロジェクト、になっている。
注7:
ただし、コンプライアンス炭素市場で取引される証書を、ボランタリー炭素市場で売買することもある。その逆も同様だ。
例えば、CDMのカーボンクレジットを誕生日祝いや家庭の排出量をオフセットするためにボランタリー炭素市場で購入することも可能。民間事業者のAmerican Carbon Registry (ACR)で発行されるカーボンクレジットを、米カリフォルニア州排出量取引制度のコンプライアンス炭素市場で限定的に利用することもできる。
注8:
CBIOの発行手続きは次のとおり。
  • ヘノバビオに加入しているバイオ燃料企業は取引の際、発行された税務伝票を経済省が運営するプラットホームにアップロードする。
  • このプラットホームで税務伝票が承認され、CBIO証書の発行量が計上される。
  • その後、バイオ燃料企業は鉱山エネルギー省に認定された銀行や金融機関にCBIOの発行とサンパウロ取引所の登録を依頼する。
燃料分野以外の事業者によるCBIOの購入(ボランタリー炭素市場)も可能だ。ただし、大半は化石燃料を配給する企業が義務的に購入している。
各企業が購入すべきCBIOの量を計算する基準としては、前年の化石燃料市場のシェアが使用される。
注9:
ブラジルのみならず、世界中でボランタリー炭素市場でのクレジット発行量が2019年以降増加している。世界銀行はその理由としてネットゼロ宣言を表明する企業がこの時期から相次いでいることを挙げている。一方、2022年には世界中でクレジット発行量が減少し、ブラジルにも同様の傾向が見られた。世界銀行の報告書作成に協力するコンサルティング会社クライメイト・フォーカスによると、2022年2月に勃発したウクライナ危機による経済的な混乱が減少の主な原因だ。ただし、2022年10月以降は発行量が再び伸び始め、増加傾向が回復した。
注10:
オーク・グループは、チャンネル諸島内の英国王室属領ガーンジーを拠点にする英国企業。
執筆者紹介
ジェトロ・サンパウロ事務所
エルナニ・オダ
2020年、ジェトロ入構。現在に至る。
執筆者紹介
ジェトロ・サンパウロ事務所
古木 勇生(ふるき ゆうき)
2012年、ジェトロ入構。お客様サポート部オンライン情報課(2012~2015年)、 企画部海外地域戦略班(中南米)(2016~2017年)、海外調査部米州課中南米班(2018年)を経て、2019年2月からジェトロ・サンパウロ事務所勤務。