COP26で新たな気候変動対策目標を発表、メタン排出削減への貢献も

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年11月18日

ブラジル政府は11月1日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のブラジル・パビリオン・オープニングイベントで 、気候変動への対策を総括する「気候中立性に向けた全国戦略ガイドライン」と題する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。報告書では、二酸化炭素(CO2)排出量削減や、森林保全に貢献する事業展開支援のための500億ドル以上の融資(注)を設定する「グリーン成長全国計画」が紹介された。本計画は11人の大臣で構成される委員会によって運用されることは決まっているものの、具体的な融資の利用対象者などは未定で、具体的な審査内容は明らかになっていない。また、森林保全に向けた取り組みについては、違法森林破壊の削減率を2022~2024年に年平均15%、2025~2026年に40%、2027年に50%、2028年に100%にするといった目標も盛り込まれた。

そのほかにも、COP26のブラジル・パビリオン・オープニングイベントでは、ジョアキン・レイテ環境相はブラジリアからの中継で2050年までにカーボン・ニュートラルを目指すことをあらためて宣言した上で、2030年までの温室効果ガス排出量の削減目標を2005年比で43%から50%に引き上げると表明した。しかし、11月1日付の現地紙「バロール」によると、43%(12億トン)とした削減目標が設定された2015年以降、基準となる2005年の排出量の数値が定期的に見直されており、今回示した50%(12億2,000万トン)は実質的にはほぼ変わらない、と指摘する専門家もいるという。

また、国際協力への動きもみせている。環境省は11月2日付プレスリリースにおいて、2030年までに森林破壊を終わらせることを目標とする「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」への署名も表明した。また、11月3日には、世界のメタン排出量を2030年までに2020年比で30%を削減する目標を掲げる、米国・EU主導の「グローバル・メタン・プレッジ」に参加することも明らかにした。

ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)の研究員ギリェルメ・マラファイア氏は11月3日付現地紙「バロール」へのインタビューで、多くのメタン排出は牛の廃棄物や曖気から出るものとした上で、「今後、畜産業における経営能力と知識の必要性が高まるだろう。社会環境責任を遂行しない畜産事業者は2040年までに排除されるかもしれない」と指摘した。また、ブラジル全国農業連合(CNA)のムニ・ロウレンソ副会長は「グローバル・メタン・プレッジ」への参加が決まったことを受けて、11月4日付のCNNブラジルのインタビューで、「グローバル・メタン・プレッジへの参加により畜産の効率性を向上させることができる」としつつ、畜産事業者が既存のさまざまな技術を利用できるようにするため「投資が必要だ」と述べた。なお、米国農務省の統計によると、ブラジルは2020年の世界の牛肉輸出量で1位、生産量で2位の牛肉輸出大国となっている。

(注)環境省の公式サイト(10月25日付)によれば、政府系金融機関などが関わるとみられる。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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