2021年の貿易は輸出入ともに過去最高を記録（ハンガリー）

2021年のハンガリーの貿易は、欧州向けが回復した輸出と、エネルギー価格高騰の影響を受けた輸入がそれぞれ過去最高額を記録した。輸入の増加幅が輸出を上回り、貿易黒字額は2009年以降で最少となった。対日貿易は輸出入とも増加し、輸出増には事務用機器・コンピュータなどが貢献した。

輸出入ともに過去最高を記録

2021年の貿易は、輸出が前年比13.6％増の1,193億900万ユーロ、輸入は18.2％増の1,174億1,300万ユーロとなり、ともにデータが公開されている2001年以来最高を記録した。貿易収支は18億9,600万ユーロの黒字だが、輸出より輸入の増加幅が大きかったため、黒字額は前年から37億2,200万ユーロ減少し、リーマン・ショックの影響を受けた2009年以降で最少となった。

輸出は主力産業の自動車関連が好調、最大の輸出先はドイツ

輸出を品目別にみると（表1参照）、主力産業の自動車関連が欧州市場の復調に合わせて回復、道路走行車両（構成比15.4％）が前年比7.9％増となった。電気・電子機器（14.9％）の18.0％増、通信・録音機器（8.7％）の8.4％増、プラスチック（2.1％）の64.8％増も輸出の伸びに貢献した。

輸出を国・地域別にみると（表2参照）、全体の8割弱（構成比76.6％）を占めるEUが前年比12.7％増だった。中でも、主要な大手自動車メーカーの組み立て工場をハンガリーに有するドイツ（26.8％）が9.1％増だった。主要品目の道路走行車両（21.5％）が5.7％増、電気・電子部品（21.1％）が21.5％増と伸びた。EU域外では最大の輸出先の英国（3.1％）が15.0％増、米国（2.9％）が11.6％増だった。アジア大洋州では中国（1.7％）が14.9％増だった。

注1：EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
注2：アジア大洋州は、ASEAN＋6（日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド）に香港、台湾を加えた合計値。
出所：ハンガリー中央統計局

輸入では、エネルギー価格高騰の影響で、石油製品、ガス、電力の伸び目立つ

輸入を品目別にみると（表3参照）、最大品目の電気・電子機器（構成比14.6％）が前年比15.8％増だった。石油製品（3.7％）は油価の上昇の影響で53.6％増を記録した。鉄鋼（3.1％）の61.1％増、電力（2.6％）の2.8倍、天然ガスおよび製造ガス（2.6％）の2.1倍もそれぞれ、輸入の大幅増に寄与した。

注：EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
出所：ハンガリー中央統計局

輸入を国・地域別にみると（表2参照）、全体の7割（71.7％）を占めるEUが前年比20.1％増だった。首位のドイツ（23.8％）は14.6％増となった。EU域外では、ドイツに続く輸入元の中国（7.0％）が4.4％増にとどまった一方、ロシア（3.1％）は、天然ガスなどエネルギー価格の上昇が大きく影響し、58.0％増と大幅に伸長し、輸入増に寄与した。

対日貿易は輸出入ともに回復

2021年の対日輸出は前年比12.4％増の7億ユーロ、対日輸入は16.0％増の13億9,400万ユーロだった。

輸出は、最大品目の道路走行車両（31.9％）が6.7％減となったものの、事務用機器・コンピュータ（10.5％）の63.2％増、通信・録音機器（7.3％）が2.6倍、非金属鉱物製品（4.0％）の3.4倍などが輸出増に寄与した（表4参照）。

出所：ハンガリー中央統計局

輸入は、電気・電子機器（22.6％）の18.2％増、一般機械（11.9％）の33.6％増、化学材料・製品、その他（3.4％）の2.5倍が牽引した（表5参照）。

出所：ハンガリー中央統計局