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宇和島市との提携で真珠作品コンテスト「ベル・ハーモニー2020」開催(スイス、日本)

2021年1月12日

スイス宝飾職人協会(ASMEBI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は愛媛県宇和島市と連携し、2020年12月3日、真珠作品コンテスト「ベル・ハーモニー 2020」の表彰式をジュネーブで開催した。「宇和島産の不ぞろいな真珠を使う」という初めてのテーマに、スイス各地から多くの宝飾職人が参加した。新型コロナウイルス感染症対策のため、式典は録画をオンラインで流す形式とならざるを得なかったが、宝飾品関連分野を代表する審査員の協力により表彰式の開催にこぎつけることができた(注1)。ジェトロ・ジュネーブ事務所は、同コンテストを後援した。

最優秀賞は、キャサリン・シュメール氏による「モビル・バロック」ペンダントだ。また、芸術賞は、アーツ・フュージョン(本社:ジュネーブ)による「尺」ペンダント、技術賞は、ベロニック・パロ・キアンピ氏による「オーロラ」ネックレスだった。


「モビル・バロック」
(ASMEBI提供)

「尺」
(ASMEBI提供)

「オーロラ」
(ASMEBI提供)

表彰式では、ASMEBIのアンドレ・ペラン会長から受賞者を発表。宇和島市の岡原文彰市長から同コンテストの開催を祝してビデオメッセージが寄せられた。また、在スイス日系企業代表として、ジェトロ・ジュネーブ事務所の和田恭所長が宇和島市長賞の授与を行った。最優秀賞に輝いたキャサリン・シュメール氏には、宇和島市への旅行が副賞として提供された。また、今回の参加作品は、宇和島市ほか日本の展示会への出品も予定されている。

この「ベル・ハーモニー 2020」について、ペラン会長にジェトロ・ジュネーブ事務所がインタビューした。

質問:
まず、ASMEBIの紹介を。
答え:
ASMEBIは1987年に製造職人組合とジュネーブ宝石貴金属・時計ケーシング製造組合が合併して発足した。ASMEBIは宝飾品分野で職能教育の質を維持向上させることを目的としている。また、連邦政府の宝石と型取りについての職業教育資格の管理も担う。ドイツ語圏では、同様の取り組みを金鍛冶・時計店組合(VSGU)が受け持つ。フランス語圏で特徴的なのは、金銀などの細工を行う職人(ビジュティエ) と宝石を用いた細工を行う職人(ジョアイエ)を区別して人材育成していることだ。
質問:
なぜ、日本との交流が始まったのか。
答え:
自分の息子の妻は、日本人だ。そういう家族的な関係があり、2016年に日本を訪れたのがきっかけ。地元の手工芸文化に魅せられて、2018年に複数都市を訪問し、2019年にはASMEBIのメンバーと、日本の宝飾品関係者を訪問した。宇和島市を訪問したときに、コンテストの素材として真円でない真珠(バロック真珠)を入手した。帰国後、職業訓練実習2年生に訓練の一環として、その真珠でイヤリングを作らせた。
質問:
今回、開催された「ベル・ハーモニー2020」について。
答え:
この名前は、昨年導入された日本の新たな年号「令和」にちなんだもの。令和は英語で「ビューティフルハーモニー(Beautiful Harmony)」と訳されており、フランス語でもっとも近い言葉として「ベル・ハーモニー(Belle Harmonie)」を選んだ。2019年の日本旅行の際に入手したバロック真珠は、真円でなかった。そのため、本来なら不良品とみなされ値がつかない。しかし、品質自体は非常によいもので、可能性があると考えた。スイス全土からコンテスト応募者を募り、フランス語圏から21組、ドイツ語圏からも7組が参加し、合計28組のコンテスト参加者に3つずつの真珠を与えた。参加いただいた審査員は、ASMEBIから3人、デザイナー2人、芸術家、ジュネーブ州、スイス日本協会から各1人、という構成だった。
質問:
宝飾品産業におけるスイスの長所を。
答え:
表現するのは難しいが、職業教育の質だと思う。一般的な職業訓練は60年以上という程度の歴史だ。しかし、宝飾品産業における職業訓練は同産業と同じだけの歴史がある。「装飾美術学校」は、宝飾品技術を180年間指導してきた。また、スイスの宝飾品は、ユグノー(注2)の移民と深い関係がある。約350年前にフランス国内の迫害を逃れてスイスに来た人には、手工芸者や時計技術者が多かった。そうした工芸者・技術者がその知識をもたらし、スイスに根をおろした。当初、宝飾品技術は時計ケーシングを飾るためのものだった。
質問:
日本の宝飾品産業との今後の協力予定は。
答え:
今回の「ベル・ハーモニー2020」は、スイスと日本双方にとって良いイベントだったと考えている。良質の宝石とバロック真珠の組み合わせを提示することにより、スイスの宝飾職人の知識や技能を示すことができ、日本の真珠養殖者にとってはこれまで捨てられていたバロック真珠が有効活用されることになる。新型コロナウイルス感染症が収束すれば、今回の受賞者とともに日本にわたり、コンテスト参加作品の展示を各地で行いたい。

注1:
表彰式の概要PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.81MB)はASEMBIサイトより参照ができる。
注2:
フランスでの宗教改革派。または、カルバン派とも。
執筆者紹介
ジェトロ・ジュネーブ事務所長
和田 恭(わだ たかし)
1993年通商産業省(現経済産業省)入省、情報プロジェクト室、製品安全課長などを経て、2018年6月より現職。
執筆者紹介
ジェトロ・ジュネーブ事務所
マリオ・マルケジニ
ジュネーブ大学政策科学修士課程修了。スイス連邦経済省経済局(SECO)二国間協定担当部署での勤務を経て、2017年より現職。

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