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2020年の新車登録台数が大幅減少する中、代替燃料車は倍増(オーストリア)
新型コロナウイルス感染拡大受けて、販売・生産ともに落ち込む

2021年3月16日

オーストリア統計局は1月18日、2020年の乗用車と商用車の新車登録台数を発表した。前年比19.0%減の35万3,179台だった。新型コロナウイルス感染拡大に伴って実施されたロックダウン(都市封鎖)や経済不振、観光業の停滞、消費者の収入減などにより、自動車市場も大きく落ち込んだかたちだ。

乗用車の新車登録台数は前年比24.5%減

新車登録台数を車種別にみると、乗用車が前年比24.5%減、トラックが16.7%減、トレーラー用のトラクターが37.1%減、バスが25.0%減と大幅に減少した。一方、二輪車は13.4%増、トラクターが6.9%増と伸長した(表1参照)。全体の7割を占める乗用車24万8,740台は、1987年以来の低水準だ。また例年、新車登録台数の発表の場だったオーストリア最大の自動車見本市「ウィーン・オートショー」も新型コロナ禍のため中止となった。

表1:車種別新車登録台数とシェア(2020年)(単位:台、%)(△はマイナス値)
種別 台数 シェア 前年比
乗用車 248,740 70.4 △ 24.5
二輪車 46,099 13.1 13.4
トラック 40,042 11.3 △ 16.7
トラクター 6,446 1.8 6.9
トラクター(トレーラー用) 2,179 0.6 △ 37.1
バス 872 0.2 △ 25.0
合計(その他含む) 353,179 100.0 △ 19.0

出所:オーストリア統計局のデータを基にジェトロ作成

乗用車の新車登録台数をメーカー、ブランド別でみる。フォルクスワーゲン(VW)グループ(注1)は前年比34.7%減の7万4,312台、シェアも前年から4.7ポイント下げて29.9%に縮小した(表2参照)。VWグループの中でも、フォルクスワーゲンの減少幅が27.3%減で最も大きい。ただ、シュコダ(13.5%減)、セアト(19.7%減)、アウディ(12.8%減)も大幅に減少した点では変わりない。PSAグループ(注2)もオペル(43.7%減)、プジョー(21.0%減)、シトロエン(22.7%減)と大幅に減少。シェアは前年から1.0ポイント減の9.9%になった。そのほか、フォードが27.6%減、ルノーが24.0%減となった。

一方で、20位に電気自動車(EV)メーカーのテスラが初めて入った。前年比8.9%増で登録台数3,229台。上位20社中、テスラだけが前年比で増加となった。

表2:メーカー・ブランド別新車登録台数とシェア(2020年) (単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 メーカー・ブランド 台数 (台数)
前年比
シェア (シェア)
前年比
1 VW 38,272 △ 27.3 15.4 △ 0.6
2 シュコダ 23,602 △ 13.5 9.5 1.2
3 セアト 15,893 △ 19.7 6.4 0.4
4 BMW 15,812 △ 17.4 6.4 0.5
5 フォード 14,019 △ 27.6 5.6 △ 0.2
6 ルノー 13,510 △ 24.0 5.4 0.0
7 現代 13,057 △ 22.6 5.2 0.1
8 メルセデス 13,003 △ 14.8 5.2 0.6
9 アウディ 10,985 △ 12.8 4.4 0.6
10 オペル 9,627 △ 43.7 3.9 △ 1.3
11 プジョー 8,964 △ 21.0 3.6 0.2
12 フィアット 8,919 △ 33.2 3.6 △ 0.5
13 起亜 6,935 △ 26.5 2.8 △ 0.1
14 マツダ 6,876 △ 37.8 2.8 △ 0.6
15 ダチア 6,843 △ 25.2 2.8 △ 0.0
16 シトロエン 5,939 △ 22.7 2.4 0.1
17 トヨタ 5,728 △ 17.3 2.3 0.2
18 スズキ 5,323 △ 38.0 2.1 △ 0.5
19 ボルボ 3,361 △ 24.4 1.4 0.1
20 テスラ 3,229 8.9 1.3 0.4
合計(その他含む) 248,740 △ 24.5 100.0 0.0

出所:オーストリア統計局のデータを基にジェトロ作成

日本メーカーの新車登録台数合計も、前年比32.4%減。シェアは1.3ポイント減の10.4%となった(表3参照)。スズキ(38.0%減)、マツダ(37.8%減)、日産(34.0%減)の新車登録台数がそれぞれ大幅に減少した。他方で、ハイブリッドモデルの多いトヨタは17.3%減と、減少幅が比較的小さかった。EVでは、マツダの新モデル「MX-30」(2020年発売)が370台登録された一方、日産の「リーフ」は250台と前年から半減した。

表3:日本メーカー・ブランド別新車登録台数とシェア(2020年)(単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 メーカー・ブランド 台数 (台数)
前年比
シェア (シェア)
前年比
14 マツダ 6,876 △ 37.8 2.8 △ 0.6
17 トヨタ 5,728 △ 17.3 2.3 0.2
18 スズキ 5,323 △ 38.0 2.1 △ 0.5
21 三菱 3,101 △ 30.2 1.2 △ 0.1
22 日産 2,866 △ 34.0 1.2 △ 0.1
26 ホンダ 1,427 △ 37.0 0.6 △ 0.1
30 スバル 435 △ 12.8 0.2 0.0
33 レクサス 220 △ 31.0 0.1 0.0
52 インフィニティ 4 △ 42.9 0.0 0.0
合計 25,980 △ 32.4 10.4 △ 1.3

出所:オーストリア統計局のデータを基にジェトロ作成

代替燃料車の新車登録台数が全体の2割まで拡大

乗用車の新車登録台数をエンジンの種類別にみると、ガソリン車が前年比39.0%減、ディーゼル車28.0%減と大幅に減少した(表4参照)。一方、代替燃料車は90.0%増と大きく増加し、ハイブリッド車が倍増、電気自動車(EV)が72.8%増だった。乗用車全体の中でガソリン車とディーゼル車を合わせシェアは、8割を占める。ただし、代替燃料車も2割まで拡大している。主な要因としては、国民党と緑の党の連立政権が2020年半ばから導入した代替燃料車の購入に対する補助金の引き上げと、新型コロナウイルス感染拡大に対する企業支援策として導入した設備投資支援金が挙げられる。EVの8割以上が社用車として登録されている。

表4:エンジン種別新車(乗用車のみ)登録台数とシェア(2020年)(単位:台、%)(△はマイナス値)
種別 台数 シェア 前年比
ガソリン 107,771 43.3 △ 39.0
ディーゼル 90,909 36.5 △ 28.0
代替燃料車 50,060 20.1 90.0
階層レベル2の項目ハイブリッド 33,667 13.5 104.0
階層レベル2の項目電気 15,972 6.4 72.8
階層レベル2の項目天然ガス 386 0.2 △ 8.3
階層レベル2の項目天然ガス・ガソリン併用 21 0.0 △ 86.6
階層レベル2の項目燃料電池 14 0.0 △ 26.3
合計 248,740 100.0 △ 24.5

出所:オーストリア統計局のデータを基にジェトロ作成

EVの新車登録台数をメーカー・ブランド別にみると、テスラが最多だ。前年に引き続き首位を占めている(表5参照)。一方、比較的手頃な価格の新モデルを発売したVW(3.0倍)、ルノー(2.2倍)、起亜(2.3倍)の登録台数が大幅に増加した。このため、テスラのシェアは前年比11.9ポイント減の20.2%に縮小した(表5参照)。VWが2020年に新しく発売したモデル「ID.3」の登録台数は1,669台。EVの新車登録台数の10.4%を占めている。

表5:電気自動車(EV)の新車登録台数とシェア(2020年)(単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 メーカー・ブランド 台数 (台数)
前年比
シェア (シェア)
前年比
1 テスラ 3,229 8.9 20.2 △ 11.9
2 VW 2,446 202.7 15.3 6.6
3 ルノー 2,110 123.5 13.2 3.0
4 起亜 1,336 131.5 8.4 2.1
5 現代 1,181 △ 6.1 7.4 △ 6.2
6 アウディ 782 114.8 4.9 1.0
7 BMW 679 △ 43.0 4.3 △ 8.6
8 プジョー 554 3,362.5 3.5 3.3
9 セアト 548 3.4
10 メルセデス 445 1,171.4 2.8 2.4
合計(その他含む) 15,972 72.8 100.0 0.0

注:-は前年のデータなし。
出所:オーストリア統計局のデータを基にジェトロ作成

マグナ・シュタイヤー、EVに集中

自動車の生産台数も、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受けて大幅に落ち込んだ。オーストリアで唯一の完成車の生産工場を有するマグナ・シュタイヤー(グラーツ市)は、1度目のロックダウンにより2020年3月16日から操業を停止した。5月半ばから段階的に再開したものの、2020年上半期の生産台数は前年同期比46%減の4万7,700台だった。第3四半期(7~9月)は前年同期比23%減と改善がみられたが、2020年第1~第3四半期(1~9月)の生産台数は前年同期比40%減にとどまった。同社のフランク・クライン社長は「クライネ・ツァイトゥング」紙のインタビュー(1月19日)に対し、「生産台数も売り上げも前年を下回ったが、新型コロナ感染拡大の状況下での生産台数に満足している。将来に向けてマグナ・シュタイヤーはEVの生産を増やすことに集中する」と述べた。

現在、同社の売り上げの40%はEV関連によるもので、既にジャガーのEV「I-Pace」を生産している。さらに、2020年10月には米国フィスカーと電動SUV(スポーツ用多目的車)「オーシャン」の生産に関する契約を締結し、ソニーともEV「VISION-S」の開発で協力関係にある。


注1:
フォルクスワーゲン、シュコダ、セアト、アウディ、ポルシェ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ。
注2:
プジョー、シトロエン、オペル、ボクスホール、DSオートモビルズ。
執筆者紹介
ジェトロ・ウィーン事務所
エッカート・デアシュミット
ウィーン大学日本学科卒業、1994年11月からジェトロ・ウィーン事務所で調査(オーストリア、スロバキア、スロベニアなど)を担当。

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