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2020年の乗用車新規登録台数は前年比20%減、EV販売は好調(オランダ)

2021年7月2日

新型コロナウイルス感染拡大による消費の落ち込みなどにより、オランダの2020年の乗用車新車登録台数は前年比20.0%減の35万6,051台と大幅減になった。一方、バッテリー電気自動車(BEV)の新車登録台数は18.1%増の7万2,945台となり、全体の約20%を占め、引き続き増加傾向にある。政府は、電気自動車(EV)市場拡大に向け、優遇措置の実施やインフラ整備を進めている。

2020年の乗用車新車販売は40万台を割り込み、中古自動車の販売が増加

オランダ自転車・自動車工業会(RAI)は2021年1月1日、2020年のオランダの乗用車新車登録台数を前年比20.0%減の35万6,051台と発表した(図参照)。2017年の41万4,306台から3年連続で増加し、2019年には44万5,217台を記録したが、2020年は前年から9万台近い減少となった。例年12月の自動車販売は、翌年からの税制改正による電気自動車(EV)の駆け込み需要がみられ、2020年12月のEV販売のシェアは全体の約3分の2を占めた。

図:新車登録台数の推移
2000年59万7,625台、2001年53万231台、2002年51万702台、2003年48万8,841台、2004年48万3,745台、2005年46万5,152台、2006年48万3,970台、2007年50万5,538台、2008年49万9,918台、2009年38万7,152台、2010年48万2,567台、2011年55万5,844台、2012年50万2,496台、2013年41万6,674台、2014年38万7,572台、2015年44万8,925台、2016年38万2,514台、2017年41万4,306台、2018年44万3,530台、2019年44万5,217台、2020年35万6,051台。

出所:2000-2018欧州自動車工業会(ACEA)、2019-2020オランダ自転車・自動車工業会(RAI)

RAIの2021年5月7日の発表によると、2020年のバン、トラックなどの商用車の新車登録台数は前年比20.8%減の6万406台だった。一方、オランダ自転車・自動車商業組合(BOVAG)の2021年1月4日の発表によると、2020年の中古自動車の販売台数は2.8%増の202万5,309台となり、初めて200万台を超えた。新型コロナウイルス感染拡大防止策で、個別輸送の必要性が高くなった2020年6月以降に販売が拡大した。

新車登録はフォルクスワーゲンが16年連続1位

2020年の新車登録台数をメーカー・ブランド別にみると、フォルクスワーゲン(VW)が16年連続1位(4万4,670台、市場シェア:12.5%)、2位は唯一、前年より登録台数を増加させた起亜(2万6,777台、7.5%)だった(表1参照)。起亜は、「ニロ」の販売を伸ばしたのが要因。3位はプジョー(2万3,938台、6.7%)で、これに、トヨタ(2万2,852台、6.4%)、オペル(2万377台、5.7%)が続いた。

表1:ブランド別新車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
ブランド 2019年 2020年 シェア 前年比
VW 47,386 44,670 12.5 △ 5.7
起亜 25,207 26,777 7.5 6.2
プジョー 29,290 23,938 6.7 △ 18.3
トヨタ 27,114 22,852 6.4 △ 15.7
オペル 32,322 20,377 5.7 △ 37.0
ルノー 26,128 20,335 5.7 △ 22.2
フォード 25,266 19,381 5.4 △ 23.3
BMW 22,138 17,992 5.1 △ 18.7
シュコダ 18,562 16,597 4.7 △ 10.6
ボルボ 16,315 16,174 4.5 △ 0.9
合計(その他含む) 445,217 356,051 100.0% △ 20.0

出所:オランダ自転車・自動車工業会(RAI)

モデル別では、起亜「ニロ」(1万1,880台、市場シェア:3.3%)、VW「ID.3」(1万954台、3.1%)、現代「コナ」(1万823台、3.0%)がトップ3で、VW「ポロ」(8,975台、2.5%)、ボルボ「XC40」(8,477台、2.4%)と続いた(表2参照)。

表2:2020年のモデル別新車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー モデル 台数 シェア
起亜 ニロ 11,880 3.3
VW ID.3 10,954 3.1
現代 コナ 10,823 3.0
VW ポロ 8,975 2.5
ボルボ XC40 8,477 2.4
オペル コルサ 8,473 2.4
テスラ モデル3 8,369 2.4
フォード フォーカス 7,773 2.2
ルノー クリオ 7,478 2.1
プジョー 208 6,916 1.9
合計(その他含む) 356,051 100.0

出所:オランダ自転車・自動車工業会(RAI)

日系ブランドはトヨタが健闘

日系ブランドの新車販売台数は前年比26.7%減の5万951台、新車登録台数全体に占めるシェアは14.3%で前年から1.3ポイント低下した(表3参照)。うち、トヨタは15.7%減の2万2,852台となり、日系ブランドの多くが前年比で30%以上減少した中で、健闘した。日産は8,427台(35.9%減)、マツダは7,094台(35.7%減)で、ともに1万台を下回った。これに、スズキの6,084台(31.2%減)、三菱自動車の4,058台(36.2%減)が続いた。

表3:日系ブランド別新車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
ブランド 2019年 2020年
台数 シェア 台数 シェア 前年比
トヨタ 27,114 6.1 22,852 6.4 △ 15.7
日産 13,143 3.0 8,427 2.4 △ 35.9
マツダ 11,028 2.5 7,094 2.0 △ 35.7
スズキ 8,838 2.0 6,084 1.7 △ 31.2
三菱自動車 6,358 1.4 4,058 1.1 △ 36.2
ホンダ 1,454 0.3 1,255 0.4 △ 13.7
レクサス 1,040 0.2 916 0.3 △ 11.9
スバル 526 0.1 265 0.1 △ 49.6
合計 69,501 15.6 50,951 14.3 △ 26.7

出所:オランダ自転車・自動車工業会(RAI)

バッテリー電気自動車(BEV)が大幅増加

オランダ企業庁(RVO)の2021年2月19日の発表によると、2020年のバッテリー電気自動車(BEV)の新車販売台数は前年比18.1%増の7万2,945台で、乗用車全体の約20%を占めた。国内で登録されたBEVの台数は18万2,486台となり、2019年末の10万7,335台から70.0%増と大幅に増加した。2020年に最も販売されたBEVは、同年に発売開始されたフォルクスワーゲン「ID.3」で1万945台だった。これに、テスラ「モデル3」が8,252台、現代「コナEV」が7,598台と続いた(表4参照)。

表4:2020年のBEV新車販売台数(単位:台)
メーカー モデル3 台数
VW ID.3 10,945
テスラ モデル3 8,252
現代 コナEV 7,598
起亜 ニロEV 6,377
VW e-ゴルフ 3,003
Polestar Polestar2 2,939
ボルボ XC40 EV 2,597
ルノー Zoe 2,054
MG ZS EV 2,099
シュコダ Citigo 1,883

出所:オランダ企業庁(RVO)

2020年のプラグインハイブリット車(PHEV)の新車登録台数は1万5,396台で、前年の販売台数5,204台から3倍近くに増加した。国内で登録されたPHEVの台数は13.7%増の10万9,754台となった。水素燃料電池車(FCEV)は2020年に147台(5.8%減)が販売され、国内の登録台数は390台となった。

充電インフラについては、2020年のEV充電ポイントが6万3,586基(公共、セミプライベート)となり、前年の4万9,520基から28.4%増加した。さらに急速充電ポイント(公共、セミプライベート)も前年の1,252基から61.9%増加して2,027基だった。

2030年以降、新車販売はゼロ・エミッションに

オランダ政府はパリ協定を履行するため、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で49%削減、2050年には95%削減することを目標に掲げている。この目標を達成するため、政府は2019年6月に「国家気候協定(National Climate Agreement)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を政府、企業、市民社会組織との間で締結し、5つのセクター(建築環境、モビリティ、産業、農業と土地利用、電力)における具体的な行動計画を発表した。モビリティ分野では、持続可能なエネルギーキャリアとして電気を使用することとし、電化が進まない状況においては持続可能な方法で開発、生産されたバイオ燃料を使用することとしている。また、2030年以降の新車販売はBEVもしくは水素、太陽光を利用した電気自動車とし、充電ポイントは2030年までに約180万基を設置することを目標にしている。ロジスティック分野では、2030年までに公共交通のバスや建設分野のトラックなどをゼロ・エミッション車両にすること、物流の効率化を図ることで2030年までに内陸輸送と大陸輸送による二酸化炭素(CO2)排出量を30%削減することを目指すとしている。

電気自動車(EV)に対する優遇措置

オランダ政府はEV普及に向けて、優遇措置を導入している。主な内容は次の通り。

  • 自動車税(MRB)の減免:BEVは2024年まで課税されない。2025年は75%が減税される。PHEVは2024年まで50%減税、2025年は25%減税。
  • 自動車登録税(BPM)の減免:CO2排出量に応じて課税。BEVは2024年まで課税されない。なお、PHEVはCO2を排出することから課税対象。
  • 個人用電気自動車に対する補助金制度(SEPP):航続距離120キロ以上のEVの購入またはリースに対して補助金を支給。2021年の補助額は、新車の場合が4,000ユーロ、中古の場合が2,000ユーロ。新車価格が1万2,000ユーロ以上、4万5,000ユーロ以下が補助対象となる。期間は2020年7月1日から2025年7月1日まで。

また、オランダでは、会社が乗用車を購入またはリースして従業員に支給する「カンパニーカー」制度が一般的だが、EVを購入する場合は購入価格の一部を経費として計上できるインセンティブがある。同時に、カンパニーカーを利用する従業員に対し、車両価格の一部は所得とみなされて課税対象になるが、EVについては、通常車両よりも低い税率が適用されるインセンティブがある。2021年以降のEVの課税状況は次の通り。

  • 2021年:4万ユーロまでは12%、4万ユーロ超の部分は22%に課税
  • 2022~2024年:4万ユーロまでは16%、4万ユーロ超の部分は22%に課税
  • 2025年:4万ユーロまでは17%、4万ユーロ超の部分は22%に課税

このインセンティブは年々縮小される傾向にあり、2025年に終了する予定。

2021年に再び40万台の予測、EV市場もさらに増加へ

RAIは、2021年の乗用車新車販売台数は新型コロナウイルス感染拡大の動向に大きく左右されるとしながらも、40万台に回復すると予測している。そのうち、EVは少なくとも5分の1のシェアを占めると予測しており、環境への配慮に加え、燃料車に比べて購入時に税制面で有利であり、かつ維持費も含めると経済的に引き続き魅力的だとしている。また、2020年のEVのカーシェアリング利用者数は約73万人(2019年:約51万人)と増加しており、カーシェアリング台数に占めるBEVとPHEVの割合も8.2%(6.8%)で年々増加しており、今後もこの傾向は続くとみられる。

執筆者紹介
ジェトロ・アムステルダム事務所長
高橋 由篤(たかはし よしとく)
1990年、ジェトロ入構。ジェトロ新潟所長、海外投資課長、ジェトロ・ロサンゼルス事務所次長、総務部主幹(安全対策・環境社会配慮担当)、サービス産業課長などを経て2018年から現職。

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