2020年の自動車販売台数は前年比29.0%減(コロンビア)
エコカーは大幅増

2021年8月18日

2020年のコロンビアにおける新車販売台数は、長期間にわたる厳格な新型コロナウイルス対策の影響を受け、前年比大幅減となった。一方で、ハイブリッド自動車や電気自動車などのエコカーの販売は、大幅増を記録した。2019年にエコカー推進のための法律が公布されたことを受けた結果と考えられる。2020年のコロンビアの自動車市場を概観するとともに、エコカー普及のための官民の取り組みを紹介する。

コロナ禍対策が響き、販売減

コロンビア自動車協会(ANDEMOS)によると、2020年の新車販売(登録)台数は18万8,665台だった。前年比28.5%減と落ち込んだ。

コロンビアでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年3月25日から8月31日まで、5カ月余りにわたって全土で外出禁止措置が取られた。特に4月はほぼ全ての経済活動が停止したため、販売台数はわずか217台だ(前年同月比98.9%減)。その後も外出禁止措置が続いた8月まで、月1万台前後と低い水準で推移した。

販売台数をブランド別にみると、首位は2019年に続きルノーで、3万9,864台(シェア:21.1%)だった。次いでゼネラルモーターズ(GM)のシボレー(注1)が3万3,790台(17.9%)。3位と4位には、マツダが1万6,092台(8.5%)、日産が1万4,170台(7.5%)と日系メーカーが続いた。そのほかの日系メーカーでは、6位にトヨタ(前年:6位)、8位にスズキ(9位)、15位に日野自動車(16位)、16位にホンダ(13位)が名を連ねた(表1参照)。

表1:ブランド別新車販売(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
順位 ブランド 2019年
台数
2020年
台数 シェア 前年比
1 ルノー フランス 57,066 39,864 21.1 △ 30.1
2 GM(シボレー) 米国 46,521 33,790 17.9 △ 27.4
3 マツダ 日本 20,424 16,092 8.5 △ 21.2
4 日産 日本 21,579 14,170 7.5 △ 34.3
5 起亜 韓国 20,015 12,493 6.6 △ 37.6
6 トヨタ 日本 16,187 12,471 6.6 △ 23.0
7 フォルクスワーゲン ドイツ 14,214 9,600 5.1 △ 32.5
8 スズキ 日本 8,716 7,696 4.1 △ 11.7
9 フォード 米国 10,926 6,668 3.5 △ 39.0
10 現代 韓国 5,694 3,358 1.8 △ 41.0
11 メルセデス・ベンツ ドイツ 4,822 3,209 1.7 △ 33.5
12 福田汽車(FOTON) 中国 2,467 2,781 1.5 12.7
13 BMW ドイツ 3,623 2,497 1.3 △ 31.1
14 安徽江淮汽車(JAC) 中国 2,521 2,262 1.2 △ 10.3
15 日野自動車 日本 2,405 1,954 1.0 △ 18.8
16 ホンダ 日本 2,800 1,704 0.9 △ 39.1
17 スカニア スウェーデン 692 1,282 0.7 85.3
18 プジョー フランス 1,851 1,248 0.7 △ 32.6
19 ボルボ スウェーデン 1,498 1,112 0.6 △ 25.8
20 江鈴汽車(JMC) 中国 813 1,108 0.6 36.3
その他 18,850 13,306 7.1 △ 29.4
合計 263,684 188,665 100.0 △ 28.5

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

一方、エコカーの販売は大幅に伸びた。2020年のハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)の販売台数は6,011台。前年比で、実に91.8%増だ。内訳はHEVが前年の2.4倍の4,230台、EVが1,321台(前年比43.1%増)、プラグインハイブリッド車(PHEV)が460台(4.1%増)だった(表2参照)。メーカー別では、トヨタが1,917台でトップ(前年の約4倍、シェア:32%)。次いで、起亜(20.6%増、16%)、フォード(約46倍、12%)と続いた。

表2:エコカー販売(登録)台数(単位:台、%)
種類 2019年 2020年 前年比
ハイブリッド車(HEV) 1,769 4,230 139.1
電気自動車(EV) 923 1,321 43.1
プラグインハイブリッド車(PHEV) 442 460 4.1
合計 3,134 6,011 91.8

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

コロンビアでは2019年7月、EVへの優遇措置と自動車の排ガス規制を定める法律が相次いで施行された。2019年法律第1964号では、EVの普及を期し、優遇措置が盛り込まれた。例えば、EVは(1)自動車税を車両価格の最大1%とする(通常は最大3.5%)、(2)自動車強制保険料を10%割り引く、(3)走行規制(注2)の対象外とする、ことが規定されている。市民の足であるバスなどの大量輸送システムに使用される車両については、2025年以降、新規納入車両の10%をEVまたはゼロエミッション車とし、2035年以降は100%にすると明記。また、同法施行後3年以内に、急速充電スタンドを人口200万人規模の都市で最低5カ所、ボゴタ市では最低20カ所に設置することも定められた。

自動車の排ガス規制について定めた2019年法律第1972号には、国内で流通するディーゼル燃料の硫黄含有量を、2023年1月1日までに15~10ppm、2025年12月1日までに10ppmとする目標が明記された。新たに製造または輸入される自動車については2023年以降、既に市場に流通している自動車については2035年以降、「ユーロ6」の基準を満たすことを義務付けた。ほか、2030年以降、新規に納入される公共交通機関の車両の最低20%をゼロエミッション車とすることが定められた。

大手銀行各社による後押しもある。EVやHEV購入に際しては、頭金なしで、最長7年のローンが低金利で提供されている。このように、エコカーの普及は官民一体で推し進められている。

国立保健所(INS)が2019年に発表したところによると、国内で大気汚染および水質汚染が原因とみられる病気で死亡した人の数は年間1万7,549人に上る。これは、凶悪犯罪によらない死者数の8%に相当する。INSは、深刻な大気汚染を改善するために、代替エネルギーへの転換を進めることや、ガソリン車の使用を抑制する仕組みをつくることなどを提言している。

販売台数全体に占めるエコカーの割合はまだまだ小さいものだが、官民一体での新たな取り組みにより、今後もエコカー市場が拡大していくことが期待される。


注1:
GMが展開する他ブランドとの差別化のため、表1では「GM(シボレー)」と表記した。
注2:
主要都市では、ナンバープレート末尾番号が奇数の車両は奇数日に、偶数番号の車両は偶数日に、走行できない時間帯が定められている。この措置の狙いは、渋滞緩和や大気環境改善にある。
執筆者紹介
ジェトロ・ボゴタ事務所
茗荷谷 奏(みょうがだに かな)
2016年、ジェトロ入構。ジェトロ・ボゴタ事務所で管理・渉外・調査を担当。

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