1. サイトトップ
  2. 海外ビジネス情報
  3. 地域・分析レポート
  4. 2020年の白物家電販売数は1.9%減も、Eコマースの利用割合販売は2.1倍(エジプト)

2020年の白物家電販売数は1.9%減も、Eコマースの利用割合販売は2.1倍(エジプト)
白物家電の普及率は上昇傾向

2021年5月10日

英国調査会社ユーロモニターによると、エジプトの2020年の白物家電(生活家電)の販売台数は1,457万台で前年比1.9%減、販売金額は323億エジプト・ポンド(約2,229億円、1ポンド=約6.9円)で10.6%減となった(図参照)。新型コロナウイルス禍で経済活動が落ち込み、また在庫整理で割引販売を行ったブランドもあり、販売金額が減少したとみられる。新型コロナで衛生対策への関心が拡大したことなどを背景に、洗濯機の販売数は増加したが、その他の家電は軒並み減少した。調理器具なども減少し、新型コロナに伴う「巣ごもり需要」とはならなかった。

図:エジプト白物家電販売台数および金額推移
販売台数は2006年の約1,200万台から2020年は約1,460万台まで増加し、2025年にかけても年々増加する見込み。販売金額は2006年の約113億エジプト・ポンドから2018年は約380億エジプト・ポンドまで増加した。2019年は約361億エジプト・ポンド、2020年は約323億エジプト・ポンドまで減少し、2025年にかけて漸減すると見込まれている。

注:2021年以降は予測値。
出所:ユーロモニターからジェトロ作成

Eコマースの占める割合は増加

販売経路では、夜間外出禁止や店舗の営業自粛などにより、家電専門店やハイパーマーケットなどの小売店で販売が落ち込んだ。一方、販売金額におけるEコマースの占める割合は、前年比2.1倍となった。エジプトではスマートフォンが広く普及しており、ナイジェリア発のJumiaや中東発でAmazonに買収されたSouq.comなどのオンライン・ショッピング専門サイトや、エジプト発のEコマースサイト・アプリなどが利用されている。外資小売りのカルフールやエジプト家電製造大手のEl Araby Groupなども、自社のショッピング・ウェブサイトによるオンライン販売を拡大している。また、エジプト政府がコロナ禍で、国内製造の家電販売を促進するため、割引キャンペーンをオンライン上で実施したことも、Eコマースが伸びた要因とみられる。

輸入規制により現地製造シフトも

白物家電の現地製造としては、日系企業などとの協力で製造しているEl Araby GroupやFreshのブランドが高いシェアを占める。そのほか、サムスン、LG、フィリップスなど海外ブランドもシェアを獲得している。エジプトでは、家電などには輸入規制があり、また完成品の輸入関税が高く設定されており、国内製造品と比べて必ずしも競争力がない。さらに、政府が現地製造支援を強化していることで、現地製造能力を増やすブランドもある。

家電の普及率は上昇傾向

白物家電の普及率は、多くの品目で上昇傾向にあり、加熱調理機(オーブン付きなど)82.4%、扇風機67.1%、冷凍庫付き冷蔵庫64.4%となっている。一方で、全自動洗濯機47.06%、食品調理機器39.4%、半自動洗濯機31.6%などはまだ5割以下であり、アイロン22.6%、エアコン17.0%など普及が進んでいない品目もある。郊外や農村地区よりもカイロの家電の普及率の方が高い。

表:エジプトの白物家電普及率

掃除・洗濯機器(単位:%)
項目 2012年 2016年 2020年
掃除機 21.3 22.6 27.6
アイロン 20.9 22.1 22.6
全自動洗濯機 41.2 44.3 47.0
半自動洗濯機 30.7 32.4 31.6
自動乾燥機 0.4 0.4 0.3
キッチン用品(単位:%)
項目 2012年 2016年 2020年
加熱調理機(オーブン付きなど) 71.5 77.6 82.4
加熱調理機(コンロ台など) 31.2 31.9 31.7
食品調理器(ミキサーなど) 38.9 41.5 39.4
電子レンジ 6.6 7.1 7.3
食器洗浄機 2.8 2.7 2.4
冷凍庫付き冷蔵庫 51.4 60.6 64.4
冷凍庫 13.3 13.4 13.2
冷蔵庫 8.2 5.6 2.1
空調・冷暖房機器(単位:%)
項目 2012年 2016年 2020年
扇風機 59.9 81.3 67.1
エアコン 18.0 15.8 17.0
ヒーター 6.3 7.7 8.5

出所:ユーロモニターからジェトロ作成

電気料金の上昇で省エネ意識芽生えるか

エジプトでは、多くの市民にとって家電は高価であり、10年以上の長期にわたり使う家庭も多く、中古品も多く出回っている。一方で、政府は電気料金への補助金を削減する傾向にあり、電気料金は年々高くなっている。そのため、近年、市民はより電気消費に敏感になっており、省エネの家電に買い替える意識も芽生えつつあるようだ。

なお、エジプトは、砂漠では電気が普及していない地域もあるが、人口の約9割が国土の5%ほどのナイル川流域に住んでいるため、配線する地域が狭いこともあり、電気普及率は高い。国際エネルギー機関(IEA)によると電気普及率は、サブサハラ・アフリカで平均47%、中東では平均92%だが、エジプトでは約100%だ。

販売台数は増加の見込み

2021年2月以降、新型コロナの感染者数は横ばいで、ワクチン接種も徐々に進んでおり、市民は通常の生活に戻りつつあった。しかしながら、4月中旬以降はイスラム教行事のラマダン月が開始され、親族と会食や礼拝をする慣習もあり、感染者数が増加傾向にある。3月の母の日などにプレゼントする習慣があり、そのようなイベントでは家電の売り上げが伸びるという。

新型コロナ前、白物家電の販売台数は増加しており、2015~2020年には毎年平均7.7%増加していた。長期的に人口増加も続く見込みであり、今後も販売台数や普及率は伸びると見込まれている。一方で、今後、安価な現地製造の家電も増えると予想され、販売金額は減少する可能性がある(図参照)。

執筆者紹介
ジェトロ・カイロ事務所
井澤 壌士(いざわ じょうじ)
2010年、ジェトロ入構。農林水産・食品部農林水産企画課(2010年~2013年)、ジェトロ北海道(2013~2017年)を経て現職。貿易投資促進事業、調査・情報提供を担当。

この情報はお役に立ちましたか?

役立った

役立たなかった

ご質問・お問い合わせ