新型コロナ感染拡大を受け、2020年の新車販売は前年比2割減、生産は4割減(モロッコ)

2021年8月12日

モロッコ自動車輸入者協会(AIVAM)の統計によると、2020年のモロッコの新車販売台数は、前年の16万5,918台(小型商用車1万7,729台を含む)から19.7%減の13万3,308台(同1万6,325台を含む)となった。AIVAMは、販売台数の減少は新型コロナウイルス感染拡大の影響だとしている。

新車販売台数は前年比約20%減

メーカー・ブランド別の乗用車販売台数をみると、1位は前年に続いてダチアで、3万6,548台(前年比17%減)、2位は同様にルノーで1万4,235台(前年比34%減)と続いたが、3位は前年4位だった現代が8,441台(前年比15%減)となり、順位を上げた。各社が軒並み前年の販売台数を下回る中、唯一、オペルが前年比47%増の5,679台と、順位を前年の11位から6位に上げている。日本メーカーでは日産自動車がトップ10に入っている(表参照)。

表:メーカー・ブランド別の新車(乗用車)販売台数 (単位:台、%)(△はマイナス値)
2020年
順位
(2019年
順位)
メーカー・ブランド 2019年 2020年 前年比 シェア
1 (1) ダチア 44,228 36,548 △17% 31.20%
2 (2) ルノー 21,673 14,235 △34% 12.20%
3 (4) 現代 9,937 8,441 △15% 7.20%
4 (3) プジョー 10,818 7,650 △29% 6.50%
5 (5) フォルクスワーゲン 9,668 7,227 △25% 6.20%
6 (11) オペル 3,874 5,679 47% 4.90%
7 (6) シトロエン 7,844 5,378 △31% 4.60%
8 (7) フィアット 5,870 4,051 △31% 3.50%
9 (10) フォード 3,988 3,613 △9% 3.10%
10 (9) 日産自動車 4,550 3,175 △30% 2.70%
11 その他 25,739 20,986 △18% 17.90%
合計 148,189 116,983 △21%

出所:モロッコ自動車輸入者協会(AIVAM)

自動車生産も前年比37%減

モロッコでは、ルノーがタンジェとカサブランカの工場で自動車(乗用車、小型商用車)を生産しており、グループPSAが2019年からケニトラの工場で「208」モデルの生産を開始したが、両社とも生産活動に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。ルノーは2020年3月から4月にかけてモロッコ国内2工場の生産を一時停止、PSAも2020年3月19日から15日間、工場を一時停止するといった対応を迫られた。

国際自動車工業連合会(OICA)の統計をみると、2020年のモロッコの自動車生産台数は24万8,430台となり、昨年の39万4,652台から37%減と大きく減少した。モロッコの新型コロナウイルス感染状況は、2021年1月から6月初旬までは新規感染者数が減少して安定していたが、7月から感染第3波が到来しており、今後の感染拡大状況によっては2021年の自動車販売、生産に悪影響を及ぼすことが懸念される。

執筆者紹介
ジェトロ・ラバト事務所長(執筆当時)
石橋 洋一郎(いしばし よういちろう)
1999年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ愛媛、ジェトロ・パリ事務所に勤務し、2018年7月から現職。