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タンザニアで10月28日に5年ぶりの総選挙
大統領選挙は現職のマグフリ氏が優勢

2020年10月29日

現職再選との見方が目立つ大統領選挙

タンザニアで10月28日、5年に1度の総選挙が行われる。大統領、国会議員、地方議会議員を選出するもので、島しょ部のザンジバルを含む全土で行われる。タンザニアの国会は一院制で、2015年10月に行われた前回の総選挙では、与党・革命党(CCM)が389議席中68%となる264議席を獲得した。

今回の大統領選で、CCMからは、現職のジョン・ボンベ・マグフリ氏が立候補した。2015年の就任以来、強いリーダーシップで内政重視の政策を進め、汚職を厳しく取り締まったマグフリ大統領は、「ブルドーザー」との異名を持つ。1992年の複数政党制への移行後、CCMの大統領が2期10年を務めてきた。現地報道では、今回もマグフリ氏の再選という見方が目立つ。

一方、野党からは過去最大となる14人が立候補した。野党第1党の民主開発党(CHADEMA)は、トゥンドゥ・アンディパス・リッス氏を候補者に擁立した。同氏は3年前に銃撃を受け、ベルギーで療養していた。しかし、2019年政党法(改正)に定められた期限(投票日の3カ月前に当たる7月28日)までに、野党連合は成立しなかった(8月25日付「ワシントンポスト」紙外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )。さらに10月2日には、選挙活動中に扇動的な発言があったとして、リッス氏が選挙管理委員会から7日間の選挙活動停止処分を受けた。このように、野党側には厳しい展開だ(10月2日付「イーストアフリカン」誌外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )。

新型コロナウイルスの影響も

マグフリ大統領は2015年、複数政党制に移行して以降、最も低い得票率となる58.8%で当選した。キクウェテ前政権でCCM内の大規模な汚職が発覚し、国民からの不信感が高まっていたためだ。今回の選挙では、前回より高い得票率を目指すと考えられる。

野党は、今回の選挙では連合の成立こそ認められなかったが、ACT-愛国者党が、保守主義で野党第1党のCHADEMAの支援を表明している(10月5日付「オールアフリカ」紙外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。一方で、現政権は、政府への反発や誤った統計情報を発表したメディアには業務停止を命じるなど、メディアや野党の活動を厳格に取り締まってきた、との指摘もある〔アムネスティインターナショナルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.88MB)〕、2019年10月)。

世界的な新型コロナウイルス拡大が、今回の総選挙に少なからず影響することも見逃せない。マグフリ大統領は2020年6月7日、新型コロナウイルスを克服した、と宣言したものの、5月以降の感染者数と死者数などを公式に発表していない。各国の国際選挙監視団は現地で活動せず、選挙の際は、周辺国を中心とした任意の監視チームが組成される見込みだ(9月7日付「イーストアフリカン」誌)。

経済は緩やかに成長、会社法改正などの動きも

人口増加率が高い水準で推移しているタンザニアでは(図1参照)、潤沢な労働力を活用した産業化が課題になっている。マグフリ大統領は就任翌年の2016年、「第2次国家5カ年開発計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を策定し、経済の開発を推し進めた。経済成長は隣国のケニアに比べ緩やかながら、名目GDPが478億8,400万ドル(2015年)から40%増の672億4,100ドル(2020年推定、いずれもIMF)に、1人当たり名目GDPは947.9ドル(2015年)から1,159.3ドル(2020年推定)に拡大した(図2参照)。

現政権は、徴税の強化による歳入の増加と政府内の経費削減に積極的に取り組んできた。このため、GDPに対する政府支出の割合は、13.2%(2015年度)から9.8%(2019年度)まで縮小した。貿易統計をみると、金など鉱物資源の輸出が好調で、貿易赤字は2015年の50億1,640万ドルから2019年には30億9,580万ドルに改善した(図3参照)。世界銀行は、タンザニアの経済成長を総合的に評価し、2020年7月に、タンザニアを低所得国から低中所得国に格上げすると発表した(7月1日付世界銀行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

図1:タンザニアとケニアの人口推移
タンザニアとケニアの1960年から2050年にかけての人口、農村人口比、都市人口比の推移と予測。人口は2019年時点でタンザニア約5,800万人、ケニア約5,300万人。2050年にはそれぞれ、約1億3,000万人、約9,200万人と予想される。農村人口比は両国とも長期的に減少傾向、都市人口比は逆に増加傾向。

出所:世界銀行「人口見込みと予測」(2020年9月9日最終更新)よりジェトロ作成

図2:タンザニアとケニアのGDP推移
タンザニアとケニアの2005年から2020年にかけての1人当たりGDPと名目GDPの推移(一部推計)。両国とも長期的に増加傾向で、2016年からケニアの伸びはタンザニアを上回っている。

出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2019」よりジェトロ作成

図3:タンザニアの貿易収支推移
タンザニアの2015年から2019年の輸出額、輸入額、貿易収支の推移。輸出額はほぼ横ばいだったが、2019年は5年間で最多の約55億ドル。輸入額は2015年が最多で約98億ドル。貿易収支は赤字が続き、2019年は約30億ドル。

出所:タンザニア財務計画省、タンザニア銀行、タンザニア歳入庁データよりジェトロ作成

政府権限の強化は、企業の関連法制度にも表れている。例えば近年、企業活動に関わる主要な法律を改正した。2019年には会社法(Company Act)に、会社登記局の規制権限の強化を含む新しい条項〔 400A条PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(893.59KB)〕が設けられた。この改正で、裁判所の審理を経ることなく、会社登記の抹消を会社登記局が判断できるようになった。また、2020年7月1日に施行された財政法〔Financial Act, 2020PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(327.08KB)〕に基づく会社法の改正では、会社に対し、実質株主(Beneficial Owner、親会社の株式保有者を含む)に関する個人情報を含む事項を、会社登記局に登録、届け出る義務を規定した。会社登記局が保管する実質株主名簿には、タンザニア歳入庁などがアクセスできるといった規定も設けられている。世界銀行の「Doing Business2020」(各国ごとの仕事のしやすさを示す報告書)で、タンザニアは190カ国中141位にランクした。ちなみに、ケニアは56位、ルワンダ21位、ウガンダ138位という結果だった。タンザニアでは、経済活動における政府の役割が強化されたことが反映されたともいえそうだ。

執筆者紹介
ジェトロ・ナイロビ事務所 調査・事業担当ディレクター
久保 唯香(くぼ ゆいか)
2014年4月、ジェトロ入構。進出企業支援課、ビジネス展開支援課、ジェトロ福井を経て現職。2017年通関士資格取得。

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