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2019年は輸出が伸び悩み、貿易赤字が拡大(英国)
対日貿易は輸出入ともに微増

2020年8月27日

2019年の英国の貿易は、赤字幅が前年より360億ポンド拡大し、1,754億7,300万ポンド(約24兆3,907億円、1ポンド=約139円)の貿易赤字となった。輸出では、主力の機械類・輸送機器類の伸び率が1.6%にとどまったほか、上位品目の多くで前年と比べ微増または減少となった。対日貿易は、赤字幅が前年より1億5,600万ポンド拡大し、38億2,500万ポンドの貿易赤字となった。輸出、輸入ともに上位品目の多くで減少傾向がみられ、最大品目の機械類・輸送機器類は、輸出で0.2%減、輸入で5.5%減となった。

英国の歳入関税庁の発表によると、2019年の貿易は、輸出が前年比0.7%増の3,669億3,600万ポンド、輸入が7.7%増の5,424億900万ポンドで、輸出は低い伸びにとどまったものの、輸入は大きく拡大した。貿易収支は1,754億7,300万ポンドの赤字で、赤字幅は前年からさらに360億ポンド拡大した。

輸出を品目別にみると、雑製品(構成比:14.9%)が前年比16.8%増となり、輸出増に貢献した(表1参照)。中でも、芸術作品・骨董品(2.6%)と金銀細工・宝飾品(1.5%)の大幅な伸びにより、その他雑製品(7.5%)が28.5%増となり、雑製品の伸びを牽引した。他方、未分類のその他製品(7.5%)が13.4%減、鉱物性燃料、潤滑油等(8.6%)が9.5%減となったことで相殺され、輸出全体は微増にとどまった。その両者はそれぞれ、非貨幣用金(5.1%)の急減、過去2年間上昇していた原油価格の下落を受け石油・同製品(8.0%)が減少したことによる。それ以外の品目をみると、構成比の大きい品目の多くで前年と比べ微増または減少となった。最大品目である機械類・輸送機器類(37.1%)が1.6%増にとどまったほか、3位の化学工業製品(14.7%)は1.4%減となった。機械類・輸送機器類が低い伸びにとどまった理由の1つに、道路走行車両(10.5%)が、乗用車(8.2%)の4.1%減、輸送用機器部品(1.4%)の4.6%減により、4.2%減となったことがあげられる。

表1:英国の主要品目別輸出入(通関ベース)(単位:、100万ポンド、%)(△はマイナス値)
品目 輸出 輸入
2018年 2019年 2018年 2019年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械類・輸送機器類 133,874 135,960 37.1 1.6 178,949 183,062 33.7 2.3
階層レベル2の項目道路走行車両 40,112 38,441 10.5 △ 4.2 55,986 57,719 10.6 3.1
階層レベル2の項目原動機 27,254 29,209 8.0 7.2 23,841 24,092 4.4 1.1
階層レベル2の項目その他輸送機器 16,272 16,268 4.4 △ 0.0 11,057 11,130 2.1 0.7
階層レベル2の項目一般機械 14,379 15,304 4.2 6.4 16,768 17,451 3.2 4.1
階層レベル2の項目電子・電気機器 13,751 14,175 3.9 3.1 23,896 24,407 4.5 2.1
階層レベル2の項目産業用機器 8,651 8,505 2.3 △ 1.7 7,782 7,926 1.5 1.8
階層レベル2の項目通信、録音・音声再生装置 6,722 7,196 2.0 7.1 23,120 23,402 4.3 1.2
雑製品 46,691 54,550 14.9 16.8 74,654 78,430 14.5 5.1
階層レベル2の項目その他雑製品 21,355 27,444 7.5 28.5 23,796 25,459 4.7 7.0
階層レベル2の項目専門・科学・計測・制御機器 10,342 11,207 3.1 8.4 9,789 10,376 1.9 6.0
階層レベル2の項目衣料品 6,796 7,113 1.9 4.7 19,908 20,686 3.8 3.9
化学工業製品 54,778 54,021 14.7 △ 1.4 57,945 57,116 10.5 △ 1.4
階層レベル2の項目医薬品 23,596 22,637 6.2 △ 4.1 23,435 22,551 4.2 △ 3.8
階層レベル2の項目有機化学品 8,610 8,760 2.4 1.7 8,263 8,089 1.5 △ 2.1
原料別製品 31,754 31,991 8.7 0.7 55,512 56,067 10.3 1.0
階層レベル2の項目非鉄金属 9,119 9,457 2.6 3.7 10,300 12,106 2.2 17.5
階層レベル2の項目金属製品 6,115 6,488 1.8 6.1 12,729 12,549 2.3 △ 1.4
鉱物性燃料、潤滑油等 35,010 31,675 8.6 △ 9.5 50,416 43,936 8.1 △ 12.9
階層レベル2の項目石油・同製品 31,929 29,217 8.0 △ 8.5 37,079 35,405 6.5 △ 4.5
未分類のその他製品 31,853 27,593 7.5 △ 13.4 28,041 64,421 11.9 129.7
階層レベル2の項目非貨幣用金 24,192 18,757 5.1 △ 22.5 19,854 56,318 10.4 183.7
食料品・動物 14,840 15,757 4.3 6.2 39,773 40,601 7.5 2.1
飲料・たばこ 7,743 8,008 2.2 3.4 6,436 6,545 1.2 1.7
食用でない原材料(鉱物性燃料除く) 7,299 6,860 1.9 △ 6.0 10,744 10,839 2.0 0.9
合計(その他含む) 364,384 366,936 100.0 0.7 503,833 542,409 100.0 7.7

注:EU域外貿易は通関ベース(輸出はFOB、輸入はCIF)、EU域内貿易は各企業などのインボイス報告に基づく。
出所:英国歳入関税庁

輸出を国・地域別にみると、最大の輸出先である米国(構成比:15.6%)が前年比16.7%増となった(表2参照)。2位の中国(6.4%)は13.8%増となった。いずれも非貨幣用金が大幅に伸びたためで、同品目の米国への輸出は48倍 、中国へは48.7%増となった。減少が目立ったのはスイス(3.3%)とオランダ(6.5%)で、スイスは非貨幣用金などが落ち込んで36.9%減、オランダは天然ガスや石油・同製品を含む鉱物性燃料・潤滑油等の減少などで8.0%減となった。

表2:英国の主要国・地域別輸出入(単位:100万ポンド,%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2018年 2019年 2018年 2019年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
欧州 207,545 198,442 54.1 △ 4.4 312,425 329,059 60.7 5.3
階層レベル2の項目EU 171,537 169,860 46.3 △ 1.0 266,528 266,766 49.2 0.1
階層レベル3の項目ユーロ圏 151,185 150,175 40.9 △ 0.7 228,069 229,214 42.3 0.5
階層レベル4の項目ドイツ 35,506 36,207 9.9 2.0 68,342 66,216 12.2 △ 3.1
階層レベル4の項目フランス 24,033 24,552 6.7 2.2 27,555 29,515 5.4 7.1
階層レベル4の項目オランダ 25,852 23,784 6.5 △ 8.0 41,706 42,121 7.8 1.0
階層レベル4の項目アイルランド 21,159 21,763 5.9 2.9 13,717 13,756 2.5 0.3
階層レベル4の項目ベルギー 14,212 12,902 3.5 △ 9.2 25,956 25,121 4.6 △ 3.2
階層レベル4の項目スペイン 10,467 10,706 2.9 2.3 15,745 16,546 3.1 5.1
階層レベル4の項目イタリア 10,458 9,952 2.7 △ 4.8 19,437 19,856 3.7 2.2
階層レベル3の項目非ユーロ圏 19,176 18,328 5.0 △ 4.4 36,308 35,892 6.6 △ 1.1
階層レベル4の項目ポーランド 5,268 5,299 1.4 0.6 10,785 11,103 2.0 3.0
階層レベル4の項目スウェーデン 5,511 4,986 1.4 △ 9.5 7,129 6,421 1.2 △ 9.9
階層レベル2の項目スイス 19,150 12,074 3.3 △ 36.9 6,821 20,588 3.8 201.8
階層レベル2の項目トルコ 7,044 5,023 1.4 △ 28.7 8,944 9,664 1.8 8.1
アジア太平洋 62,122 63,996 17.4 3.0 92,861 105,986 19.5 14.1
階層レベル2の項目中国 20,752 23,610 6.4 13.8 42,560 46,375 8.5 9.0
階層レベル2の項目ASEAN 9,954 10,094 2.8 1.4 14,641 15,856 2.9 8.3
階層レベル3の項目シンガポール 5,151 5,385 1.5 4.5 2,274 3,343 0.6 47.0
階層レベル2の項目香港 7,718 8,770 2.4 13.6 6,932 8,333 1.5 20.2
階層レベル2の項目日本 6,277 6,527 1.8 4.0 9,946 10,352 1.9 4.1
北米 56,135 64,023 17.4 14.1 57,436 66,160 12.2 15.2
階層レベル2の項目米国 49,182 57,392 15.6 16.7 44,466 51,066 9.4 14.8
階層レベル2の項目カナダ 5,441 5,215 1.4 △ 4.2 11,299 12,892 2.4 14.1
中東および北アフリカ 20,387 20,455 5.6 0.3 14,039 13,905 2.6 △ 1.0
階層レベル2の項目アラブ首長国連邦 7,564 7,776 2.1 2.8 3,417 2,766 0.5 △ 19.1
サブサハラアフリカ 5,765 5,928 1.6 2.8 10,477 9,800 1.8 △ 6.5
階層レベル2の項目南アフリカ共和国 1,935 1,840 0.5 △ 4.9 6,041 6,500 1.2 7.6
中南米 6,320 6,457 1.8 2.2 7,784 8,601 1.6 10.5
合計(その他含む) 364,384 366,936 100.0 0.7 503,833 542,409 100.0 7.7

注1:EU域外貿易は通関ベース,EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
注2:アジア大洋州はASEAN+6(ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリア、 ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
出所:英国歳入関税庁

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目は前年と同様に機械類・輸送機器類(構成比:33.7%)で2.3%増、そのうち最大品目である道路走行車両(10.6%)は3.1%増だった。続く、雑製品(14.5%)も5.1%増と堅調だった。特筆すべきは未分類のその他製品(11.9%)で、非貨幣用金(10.4%)が2.8倍と著増したことから、前年から2.3倍となった。英国のEU離脱など地政学的な緊張の高まりなどにより、金の価格が上昇したことが一因とみられる。英国の中央銀行であるイングランド銀行も、2019年下半期から保有量を増加させた。その一方で、輸出と同様、原油価格の下落で鉱物性燃料、潤滑油等(8.1%)は12.9%減と落ち込んだ。

輸入を国・地域別にみると、ドイツ(構成比:12.2%)からの輸入が引き続き最大だったが、前年比3.1%減となった。主に道路走行車両の2.9%減、オフィス機器の26.4%減が響いた。最も増加したのはスイス(3.8%)で、前年比3倍になった。米国(9.4%)は、14.8%増となった。いずれも、非貨幣用金の増加が寄与した。

2020年に入ってからは、3月に本格化した新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う各種制限措置により、英国の経済活動は減速した。第1四半期(1~3月)の貿易は、輸出が前年同期比9.1%減の838億4,700万ポンド、輸入が12.3%減の1,218億7,000万ポンドで、輸出入ともに減少に転じた。

4月単月ではより顕著となり、輸出が前年同月比18.6%減の243億3,900万ポンド、輸入が23.7%減の305億1,100万ポンドに落ち込んだ。輸出入ともに、最大品目の機械類・輸送機器類(構成比:25.3%、27.5%)が輸出で37.5%減、輸入で39.5%減となった。特に、道路走行車両(2.7%、3.7%)の米国への輸出とドイツからの輸入減少がそれぞれ響いた。一方、非貨幣用金を主とした未分類のその他製品(22.3%、13.5%)の好調は継続し、輸出は48.0%増、輸入は30.8%増だった。また、医薬品の取引増加に伴い、化学工業製品(18.8%、14.3%)も輸出が5.8%増、輸入が7.7%増となった。

対日は輸出入ともに主要品目で減少傾向

2019年の対日貿易は、輸出が前年比4.0%増の65億2,700万ポンド、輸入が4.1%増の103億5,200万ポンドで、対日貿易赤字は38億2,500万ポンドと前年より1億5,600万ポンド増加した(表3参照)。日本は英国にとって、輸出では13位、輸入では15位の貿易相手国となっている。

主な対日輸出品目をみると、最大品目の機械類・輸送機器類(構成比:50.6%)が前年比0.2%減で、中でも主要品目の原動機(18.4%)がターボジェットエンジンやディーゼルエンジンの輸出減により2.2%減、続く道路走行車両(17.5%)が乗用車(15.9%)の減少により3.4%減と影響した。化学工業製品(17.1%)は2.5%減となり、中でも有機化学品(1.0%)が27.6%減となったことが響いた。従来の主要品目でない品目の輸出が伸び、雑製品(15.5%)は16.1%増、原料別製品(10.6%)は20.3%増となった。

日本からの主要輸入品目をみると、最大品目の機械類・輸送機器類(構成比:59.1%)が前年比5.5%減だった。原動機(11.5%)のターボジェットエンジン(8.2%)や、その他の輸送機器(3.9%)の鉄道車両(2.6%)が減少した。化学工業製品(6.3%)は、医薬品(2.0%)が36.0%増と好調だったものの、有機化学品(1.5%)が41.2%減だったことが響き、2.4%減となった。原料別製品(6.2%)も、非鉄金属(5.9%)の大きな減少により、26.7%減となった。一方、雑製品(8.9%)は、専門機器・計測機器・制御機器(3.8%)の14.5%増などにより、7.0%増となった。そのほか、未分類その他の製品(14.1%)に含まれる非貨幣用金(13.2%)が前年比3.6倍と大幅に増加した。

表3:英国の対日主要品目別輸出入(通関ベース)(単位:100万ポンド、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2018年 2019年 2018年 2019年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械類・輸送機器類 3,307 3,301 50.6 △ 0.2 6,471 6,116 59.1 △ 5.5
階層レベル2の項目原動機 1,230 1,203 18.4 △ 2.2 1,420 1,195 11.5 △ 15.8
階層レベル2の項目道路走行車両 1,183 1,143 17.5 △ 3.4 1,919 1,993 19.2 3.9
階層レベル2の項目電子・電気機器 257 344 5.3 34.0 911 994 9.6 9.1
階層レベル2の項目その他の一般工業用機械など 256 258 3.9 0.5 560 534 5.2 △ 4.6
階層レベル2の項目産業用機器 146 130 2.0 △ 11.4 515 517 5.0 0.4
階層レベル2の項目その他の輸送機器 144 129 2.0 △ 10.7 650 399 3.9 △ 38.7
化学工業製品 1,145 1,116 17.1 △ 2.5 670 654 6.3 △ 2.4
階層レベル2の項目医薬品 736 740 11.3 0.6 149 203 2.0 36.0
階層レベル2の項目有機化学品 92 67 1.0 △ 27.6 266 156 1.5 △ 41.2
雑製品 873 1,013 15.5 16.1 860 920 8.9 7.0
階層レベル2の項目専門機器・計測機器・制御機器 364 388 5.9 6.7 340 389 3.8 14.5
階層レベル2の項目その他の雑製品 224 343 5.3 53.2 189 224 2.2 18.4
原料別製品 575 692 10.6 20.3 872 639 6.2 △ 26.7
階層レベル2の項目非鉄金属 311 383 5.9 23.0 456 287 2.8 △ 37.0
未分類のその他の製品 31 34 0.5 12.1 474 1,460 14.1 207.8
階層レベル2の項目非貨幣用金 0 2 0.0 4,409.1 383 1,368 13.2 257.2
合計(その他含む) 6,277 6,527 100 4.0 9,946 10,352 100 4.1

出所:英国歳入関税庁

執筆者紹介
ジェトロ・ロンドン事務所
杉田 舞希(すぎた まき)
2020年2月、ジェトロ・ロンドン事務所入所。
執筆者紹介
ジェトロ・ロンドン事務所
宮口 祐貴(みやぐち ゆうき)
2012年東北電力入社。2019年7月からジェトロに出向し、海外調査部欧州ロシアCIS課勤務を経て2020年8月から現職。

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