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エストニア発AIスタートアップに聞く、日本企業との協業メリット

2020年11月25日

人工知能(AI)による感情分析技術を開発し、英国ロンドンに拠点を置くエストニア発スタートアップのリアルアイズ(Realeyes)。新型コロナ禍の中でも、日本での事業開発を積極的に進めている。2020年7月に日本電気(以下、NEC)との戦略的提携に合意し、10月に両社の技術を組み合わせたビデオ通話上の感情分析サービスの開発を発表した。

同社の考えるグローバル戦略や日本企業との協業メリットなどについて、日本法人マネージング・ディレクターの田中希卯子(きょうこ)氏に聞いた(10月30日)。

質問:
リアルアイズの概要と競合優位性は。
答え:
2007年にエストニアのタリンで創業したAIによる感情分析技術に特化したスタートアップで、現在の社員数は約75人。事業の拡大に伴い、経営機能をロンドンに移している。また、開発チームをハンガリーのブダペストに置き、画像分析や機械学習、データサイエンスのエンジニア約40人を擁する。加えて、ニューヨークと東京にマーケティング拠点を持つ。
当社の一番の優位性はデータベースの規模と質だ。世界81カ国から2万5,000以上の動画データを収集し、文化的・民族的背景を考慮した上でデータ加工する。そうすることで、感情をより精緻に検知できるAIアルゴリズムの開発が可能になる。

同社感情分析サービス(同社提供)

同社感情分析サービス(同社提供)
質問:
エストニア発のスタートアップとして特有のカルチャーはあるか。
答え:
社風は、私自身が長く住み、経験してきた米国西海岸のスタートアップと似ている。エストニアらしさを挙げるとすれば、エストニア人はどこにいてもエストニア人だというスピリットを大事にしているところだ。エストニアはさまざまな国から支配を受けた歴史的背景があり、(物理的な所属にこだわらない)電子政府など同国政府の取り組みにもつながっているようだ。会社全体にポジティブでエネルギッシュな人が多く、とても風通しが良い。
質問:
NECと協業に至った経緯は。
答え:
当社サービスをアジア太平洋(APAC)市場で展開する上で、他社とのパートナーシップが不可欠と考えていた。NECは顔認証やコンピュータビジョンで世界トップクラスの技術力を持ち、かつ、当社の事業領域である感情分析への理解も早く深かった。企業理念や歴史も鑑み、当社と親和性が高いと思い協業を決めた。
質問:
新型コロナウイルス感染症の影響はあったか。
答え:
ソフトウエアを扱うため、商談では特に大きな影響はなく、粛々と進めた。市場に関しては、ステイホームが追い風になっている面もあれば、主戦場の広告市場が広告主である事業会社の経営不振の影響を受けるなど、良い面と悪い面両方ある。
質問:
欧州発スタートアップから見て、日本企業との協業や日本市場に対して一般的にどのような期待があるか。
答え:
本社では当初、日本とのビジネスに少なからず課題があると考えていた様子だ。しかし、実際進めてみて誤解とわかったことも多かったようだ。日本はAPAC市場の玄関口になるし、スタートアップが起業、進出する際の規制も以前より良くなったと感じる。日本の大手企業と組み、他国に横展開していくことも可能だ。当社の場合、欧米市場を攻めつつ、日本からの事業展開も進めていくことで、グローバル市場を東西で挟み撃ちするようなイメージを持っている。別の視点でいえば、日本市場は成熟度が高く、日本企業からの技術的要求レベルも高く、それをクリアすれば世界中どこでも売ることができる。日本企業はステップ・バイ・ステップで計画的に協業を進める点も特徴だ。
質問:
今後、日本でどのような活動を予定しているか。
答え:
主戦場であるメディア広告での拡販の仕組みづくりを行う。また、NECとも今後より深いレベルで協業を進め、感情分析技術の持つさまざまな可能性を追求していきたい。

同社日本法人立ち上げ担当者。中央が田中氏(同社提供)
執筆者紹介
ジェトロ・ロンドン事務所
伊藤 吉彦(いとう よしひこ)
2009年、ジェトロ入構。先端技術交流課、ジェトロ広島、ジェトロ・ムンバイ事務所、スタートアップ支援課などを経て2020年8月から現職。
執筆者紹介
ジェトロ・ロンドン事務所
ギャビン・バーンズ
2018年からジェトロ・ロンドン事務所に勤務。英国・北欧のスタートアップの日本進出支援事業を担当。

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