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サウジアラビア、SNS上でトルコ製品の不買運動

2020年10月13日

サウジアラビアのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で、トルコ製品の不買運動が起こりつつある。2020年8月以降、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)・バーレーンとの国交正常化により、中東域内の政治バランスとして、湾岸諸国と、イラン、イランとの関係を継続しているカタールやトルコを取り巻く対立関係がさらに鮮明になりつつある。また、折しも、2018年10月にトルコで発生したサウジアラビア人ジャーナリスト殺害事件から丸2年となるタイミングになった。同事件以降、サウジアラビアを引き続き追及したいトルコと、サウジアラビアの関係は悪化しつつあった。両国には貿易、投資、観光などにおける一定の重層的な経済的関係があるが、サウジアラビアのビジネス界のリーダーも、トルコとの経済的関係のボイコットを呼び掛けるなど、実際のビジネスの影響が大きくなる可能性がある。

ビジネス界トップもビジネス停止を呼び掛け

トルコの日刊紙「ジュムフリエット」が9月27日に、サウジアラビア政府がトルコ製品の輸入を10月1日から禁止する、と報じたことをきっかけに、サウジアラビア国内ではSNS上でトルコ製品の不買運動の動きが起こっている。9月28日に、アラビア語で「Ban of Turkish Products」を意味するハッシュタグが現れたことに続き、10月3日には、同じく「Boycott of Turkish Products」が登場した。

SNS上の動きが、市民の実際の行動にどの程度結び付くかを予測することは難しい。しかし同日、リヤド商工会議所およびサウジアラビア商工会議所連盟の会頭を務めるアジュラーン・アルアジュラーン氏が自身のSNS上で、「トルコのサウジアラビアに対する継続的な敵意に対し、トルコからの輸入、トルコへの投資や観光のいずれもボイコットすることは、サウジアラビアの貿易事業者と消費者の責任である」と言及。ビジネス界のリーダーがトルコ製品の購買やトルコ企業との取引自粛を呼び掛けたことで、実際のビジネスにも少なからず影響を与えそうだ。折しも、2018年10月にトルコで発生したサウジアラビア人ジャーナリスト殺害事件から丸2年の時期であると同時に、イスラエルとUAE・バーレーンの国交正常化で域内の政治バランスが大きく動いたこのタイミングで、不買運動が起こった。

なお、冒頭のトルコ紙が報じたトルコ製品の輸入禁止措置に対し、サウジアラビア政府からの公式な発表は出されていない。また、10月4日にサウジアラビア税関に電話で問い合わせたところ、トルコ製品の輸入禁止の正式な措置は取られていない、との回答を得た。

サウジアラビアの対トルコ輸入額(2019年、総合統計庁)は111億8,000万リヤル(約3,354億円、1リヤル=約30円)で、サウジアラビアにとって第11位の輸入相手国。カーペットや、トランスフォーマー、コンバーター、蓄電池などの電気機器等が主要品目となっている。また、サウジアラビア国内で見られるトルコの主要ブランドとしては、家電メーカーのベコや、菓子類のウルケル(一部はOEMで国内生産)などが有名だ。2019年にサウジアラビア投資省がトルコ企業に供与した外国投資ライセンス数は21件(全体で1,131件)と件数は少ないものの、トルコ建設大手のユクセルがリヤドのメトロ事業の一部を請け負っている。また、トルコの南部や黒海沿岸のトラブゾンはサウジアラビア人にとって人気の観光地でもあるなど、これまで両国には一定の経済的関係があったことから、関係悪化に伴うビジネスへの影響が注視される。

執筆者紹介
ジェトロ・リヤド事務所
柴田 美穂(しばた みほ)
2004年、ジェトロ入構。海外調査部(中東アフリカ課)、企画部(中東・アフリカ担当)、農林水産・食品部を経て2018年8月より現職。

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