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ハンガリーのEC、外国オンラインショップの利用も浸透

2020年7月6日

ゲーカーイ・デジタル(ハンガリーの民間デジタル市場調査会社、以下GKI)とアールケレシュー(同国の価格・製品比較サイト)は3月11日、2019年版のオンライン小売市場調査結果を発表した。この調査によると、ハンガリーの2019年のオンライン小売販売売上高(税抜き)は4,922億フォリント(約1,723億円、1フォリント=約0.35円)。前年比15.8%増だ。 2019年の小売り全体の売上高伸び率(前年比6.2%増)と比較して、約2.5倍の増加率になった。

図1:オンライン小売販売売上高(左軸、10億フォリント)と
小売販売売上高に占める割合(右軸、%)
2015年が2700億フォリント、3.6%、2016年が3100億フォリント、3.9%、 2017年が3650億フォリント、4.3%、2018年が4250億フォリント、4.5%、 4920億フォリント、6.3%。

出所:ゲーカーイ・デジタル

GKIの世帯調査によると、2019年時点で、インターネットが利用可能な成人の55%、約330万人がオンラインで製品を購入したことがあるという。1年間のオンライン注文数は1人当たり13.2回で、1回の購入額(税込み)は約1万4,000フォリントだった。 1年間に換算すると約18万4,800フォリントになる。

しかし、オンラインショッピングを利用している人の割合については、他の中・東欧諸国に比べると、後れを取っている(図2参照)。

図2:過去12カ月でオンラインショッピングをした人の割合(%)
チェコ、EU28カ国、スロバキア、ポーランド、スロベニア、ハンガリー、 クロアチア、ブルガリア、ルーマニアの過去12カ月でオンラインショッピングをした人の割合は 2008年が36%、50%、32%、34%、31%、22%、16%、7%、12%、 2009年が37%、54%、37%、39%、37%、26%、20%、10%、6%、 2010年が40%、56%、42%、46%、38%、28%、25%、11%、9%、 2011年が41%、58%、48%、46%、45%、32%、29%、13%、13%、 2012年が43%、59%、56%、47%、49%、35%、36%、17%、11%、 2013年が48%、61%、55%、49%、49%、39%、39%、22%、15%、 2014年が52%、63%、58%、49%、50%、42%、40%、28%、17%、 2015年が55%、65%、61%、53%、52%、47%、44%、31%、18%、 2016年が57%、66%、68%、56%、53%、48%、45%、27%、18%、 2017年が65%、68%、70%、58%、57%、49%、42%、27%、23%、 2018年が67%、69%、71%、60%、63%、52%、47%、31%、26%、 2019年が73%、71%、71%、66%、66%、59%、57%、31%、29%。

出所:ユーロスタット

売上高の35%を占めるトップ10オンライン販売店

GKIが2019年5月28日に発表した「e-Toplist」によると、オンラインショップ上位10社は、2018年に500万件を超える注文を受け、約1,500億フォリントを売り上げた。 ただ、ハンガリーで営業している5,000以上のオンラインショップのうち上位10社のマーケットシェアは2018年に35%で、前年から2ポイント低下した。オンラインショップは、多様化傾向にあることが分かる。

表:国内オンライン純売上高(推定)上位10社(2018年時点)
順位 ショップ名 国籍 進出/設立年 商品カテゴリ
1 eMAG ルーマニア 2013 総合
2 エクストリーム・デジタル ハンガリー 2004 総合
3 メディア・マルクト ドイツ 2013 電化製品
4 アルザ チェコ 2017 総合
5 220ボルト ハンガリー 2006 電化製品
6 iPon ハンガリー 2004 コンピュータ
7 テレコム ドイツ 2001 情報通信機器
8 テスコ 英国 2013 日用品
9 アクア ハンガリー 1998 電化製品
10 リブリ・ブックライン ハンガリー 2000 書籍

出所:ゲーカーイ・デジタル、ウェブシッピ―からジェトロ作成

宅配が最も人気だが、店舗受け取りも増加

受け取り方法は、2019年時点で宅配を選択する割合が52%と最大だった。宅配サービスは進化を続け、電話などで配達時間の指定や電話での時間調整も可能になっている。オンラインショップと実店舗をつなぐ世界のトレンドがハンガリーの業界にもより強い影響を与えている。 その最たる例は、顧客がオンラインで注文した商品を選択した店舗で受け取る「クリック・アンド・コレクト」だ。

ハンガリーで電子商取引を扱う宅配会社の多くがさまざまな宅配サービスを展開してきた。 国内の5大物流サービス事業者(MPL、GLS、DPD、スプリンター、エクスプレス・ワン)は、それぞれ独自の集荷ネットワークを構築。MPLとGLSは、受け取りボックスも設置している。


MPLの受け取りボックス(ジェトロ撮影)

受け取りボックスの役割も拡大している。利用可能なボックス数は1年間で2倍になり、2020年初めまでに国内に200カ所以上設置された。B2Cのオンライン小売市場に加え、セルフサービス型の配送サービスにより個人間の発送も容易になった。これが、個人間の売買(C2C)市場の拡大にもつながっている。

人気が高まりつつあるオンラインマーケットプレース

GKIによると、ハンガリーでは米国アマゾンのようなオンラインマーケットプレースはまだ少ない。 手工芸品に特化したメシュカや、農産物に特化したアグロインフォームなどの専門プラットフォーム、C2C向けのプラットフォームであるヨフォガシュやバテラなどが例として挙げられる。国内ではルーマニア系企業のeMAGが運営するマーケットプレースが最大だ。同社のプラットフォームで製品を販売しているハンガリー企業の数は4,000社に達し、2年間で4倍以上になった。同社は2021年春までに1万社を目指すとしている。同社との販売契約にかかる期間は約1週間で、全て電子上で行えることもメリットの1つだ。

eMAGの躍進からもわかるように、ハンガリーの小売企業の中でもオンラインマーケットプレースの人気は高まっている。GKIの推定によると、4,500社以上が国内または外国のオンラインマーケットプレースと契約し、2018年には約120億フォリントの純売上を上げている。

外国のオンラインショップからの注文で、クレジットカード支払いの比率が上昇か

2019年6月にGKIが発表した別の調査によると、オンラインでの商品購入の支払方法として、半数以上が代金引換を選択している。クレジットカードを選択する人が増えているものの、まだ主流ではない。 その理由としては、現地の消費者の習慣や支払データが悪用されることへの懸念などが挙げられる。一方で、そうした層の人々も代金引換のオプションを持たない外国のオンラインショップへの支払いに関しては、カード払いに抵抗感がないとする。外国のオンラインショップの利用度に応じて、クレジットカード払いを選択する人の割合も増加していくとみられる。

外国への注文―有利な価格、幅広い選択肢、国内で入手不可能な製品の取り扱い

外国のオンラインショップは、ハンガリーの消費者の中で存在感を強めている。 冒頭のGKIとアールケレシューの調査によると、2019年に約200万人超が外国のオンラインショップに約1,700万件の注文をしていたという。

GKIが2019年11月に発表した調査結果によれば、オンラインショッピングで外国から商品を購入する理由として回答者が挙げたのは、まず「価格の低さ」、次いで「国内で入手できない製品やブランドを入手できること」だった。外国からの購入経験については、57%が経験ありと回答した。また、約3分の1が「経験がなく、今後注文する予定もない」と回答した(図3参照)。

図3:外国のオンラインショップから商品を注文したことがある人の割合
 注文したことがあると答えた人が180万人で57%、 経験がなく、今後注文する予定がないと答えた人が100万人で32% 経験はないが、今後注文する予定ありと答えた人が20万人で6%、わからないと応えた人が20万人で6%

出所:ゲーカーイ・デジタル

なお、外国の販売者からオンラインで商品を購入した人の割合を中・東欧諸国で比較すると、ハンガリーは、スロベニア、スロバキア、クロアチアに次いで4番目になる(図4参照)。

図4:過去1年のインターネット利用者のうち、
海外の販売者から商品を購入した人の割合(中・東欧諸国)(%)
スロベニアが39%、スロバキアが35%、クロアチアが32%、ハンガリーが31%、チェコが23%、ブルガリアが15%、ポーランドが11%、ルーマニアが5%、EUが30%。

出所:ユーロスタット

執筆者紹介
ジェトロ・ブダペスト事務所
バラジ・ラウラ
2000年よりジェトロ・ブダペスト事務所に勤務、ハンガリー国内の市場調査を担当。現地進出日系企業を対象としたセミナー運営なども行う。英語、数学の修士号のほか、日本語検定1級、経済貿易大学の学士を有する。

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