バングラデシュに冬が到来、服装やフライト遅延に注意

2020年1月15日

バングラデシュに冬が到来した。当地は通常12月中旬から2月中旬が冬季となる。バングラデシュ統計局のデータでは、2018年1月の月間平均最低気温は12.8度、2018年12月の月間平均最低気温は16.2度だった。特に朝晩は冷え込み、日中との気温差が大きくなる。温暖な気候のイメージがあるバングラデシュだが、特に冬季の出張時などは、着用や持参する服装選びには注意が必要だ。

図:主要都市における最高気温と最低気温(2018年1月)
2018年1月のバングラデシュ主要都市の最高気温は20度前半、最低気温は10度前後となった。

出所:バングラデシュ統計局からジェトロ作成

2019年は12月18日から一気に冷え込みが始まり、街中を歩く人たちがジャケットやセーターを着用、頭にはマフラーやフードをかぶり、寒さをしのぐ姿が一般的になった。12月24日のダッカの最低気温は14度となり、道行く人が体を縮めながら足早に歩いていた。日本人にとって目を引くのが、バングラデシュ人のマフラーの巻き方だ。頭をくるむようにマフラーを巻くのがバングラデシュのスタイルだが、道行く人に理由を聞くと「昔から耳が冷えると頭全体が冷えてしまうから」という生活の知恵のためという。駐在して3カ月というある日系企業の駐在員は、バングラデシュが寒いというイメージが全くなく驚いたという。2月中旬までは、朝晩の気温が下がる時期が続く一方で、日中は最高気温が20度を超えて温暖になる。冬の時期は、一日の温度差が大きくなるため、特に冬季にバングラデシュに出張する際などは服装に注意が必要だ。


ジャケットやフードで寒さをしのぐ。
乾燥するため、マスクをする人も多い
(ジェトロ撮影)

マフラーで耳を覆うのがバングラデシュの
スタイルだ(ジェトロ撮影)

また、冬季には降水量が非常に少ないことから、空気が乾燥する。2018年のダッカの月間総降水量を見ると、1月は0ミリ、12月は13ミリとほとんど雨が降らない。そのため、冬は空気が滞留・乾燥し、蚊も多くなる。道行く人の中でもマスクを着用する姿が目立つ。また、デング熱の発症のピークとなる7月から9月に比べて極端に少なくなるものの、感染事例自体はあるため、出張時などにはマスクや虫除けスプレーを持参するなどの対策が必要だ。

もう1つ、冬の特徴が霧の発生だ。特に朝晩は霧が濃くなるため、飛行機が遅延することが多く、比較的霧の少ない日中のフライトを利用する乗客が多くなる。しかし、2019年12月20日昼にダッカからチョットグラムへ移動したある日系企業の駐在員によると、フライトが2時間遅延したという。冬季に飛行機を利用する際は遅延の可能性があるため、シャージャラル国際空港(ダッカ空港)のフライト情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照するなど、最新情報の入手が必要だ。

バングラデシュには、6つの季節があると言われ、駐在員にとっては、冬が最も過ごしやすい時期となる。2月以降には再び暑さが戻り、4月以降は雨季を迎え、降水量が増加する。バングラデシュの季節の豊富さはバングラデシュ人にとっても自慢のネタの1つだ。日本人が持つイメージと違った、バングラデシュの姿を知っていただけると幸いだ。


朝は霧が下り、視界が悪くなる(ジェトロ撮影)
執筆者紹介
ジェトロ・ダッカ事務所 所長
安藤 裕二(あんどう ゆうじ)
2008年、ジェトロ入構。アジア経済研究所研究企画部、ジェトロ・ダッカ事務所(実務研修生)、生活文化・サービス産業部、ジェトロ浜松などを経て、2019年3月から現職。著書に「知られざる工業国バングラデシュ」。