1. サイトトップ
  2. 海外ビジネス情報
  3. 地域・分析レポート
  4. 2020年米大統領選挙に向けて高まる国民の関心

2020年米大統領選挙に向けて高まる国民の関心
世論調査では、半数がトランプ氏の再選望まず

2019年8月14日

2020年米国大統領選挙の民主党立候補者の第2回討論会が2019年7月30日~31日に実施された。医療保険制度に関する議論に時間が割かれ、バーニー・サンダース氏に代表されるリベラル派と穏健派の対立が明確になった。3回目以降の討論会は参加条件が課され、人数が絞り込まれるため、各候補者がより独自性を打ち出すことが期待される。最近の世論調査結果から読みとれる国民の選挙への関心や、ドナルド・トランプ大統領への認識についてまとめた。

民主党各候補者の詳細については、2019年7月30日付ビジネス短信参照

民主党では引き続きバイデン氏がリード

2回目討論会直後の各種世論調査では、これまでもリードを続けてきたジョー・バイデン氏が1位を維持した(表1参照)。2位は、エリザベス・ウォレン氏あるいはバーニー・サンダース氏で、4位以下はカマラ・ハリス氏、ピート・ブッティジェッジ氏の順であった。

表1:民主党の予備選で誰に投票するか(単位:%)
候補者名 キニピアク大学
調査
モーニング
コンサルト調査
エコノミスト、
ユーガブ調査
ジョー・バイデン 32 33 22
エリザベス・ウォレン 21 15 16
バーニー・サンダース 14 19 13
カマラ・ハリス 7 9 8
ピート・ブッティジェッジ 5 6 8

注:3%以下は省略。
出所:キニピアク大学、モーニングコンサルト、エコノミスト、ユーガブ

フォックスニュースの世論調査では、民主党の予備選挙で重視する点は、「トランプ氏に勝てる」が56%で、「経済分野の手腕」41%を上回り、トランプ氏との対決が重視されていることが分かった。表1のキニピアク大学の調査結果によれば、トランプ氏に勝てる可能性がある候補者としては、バイデン氏(49%)、サンダース氏(12%)、ウォレン氏(9%)が挙がっている。

調査会社モーニングコンサルトが、世論調査で常に上位を占める5人の民主党候補者の支持者に、2番目に選択する候補者を聞いたところ、バイデン氏の支持者の選択はサンダース氏(24%)、サンダース氏の支持者の選択はバイデン氏(31%)、ウォレン氏の支持者はサンダース氏(25%)が最も多く、ハリス氏、ブッティジェッジ氏の支持者はいずれもウォレン氏(26%、21%)となり、2番目の選択肢としてはサンダース氏とウォレン氏の支持が高かった(表2参照)

表2:第1候補の次に誰を支持するか(単位:%)
第1候補 第2候補
1位 支持率 2位 支持率 3位 支持率
ジョー・バイデン サンダース 24 ウォレン 20 ハリス 15
バーニー・サンダース バイデン 31 ウォレン 26 ハリス 8
エリザベス・ウォレン サンダース 25 ハリス 22 バイデン 17
カマラ・ハリス ウォレン 26 バイデン 24 サンダース 12
ピート・ブッティジェッジ ウォレン 21 ハリス 18 バイデン 17

出所:モーニングコンサルト

過去の選挙より国民の関心が高い2020年大統領選挙

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターの2019年7月の調査結果によれば、2020年11月の大統領選挙への関心度は、「とても、あるいはかなり関心がある」と回答した割合が63%であり、過去2回の大統領選挙の前年の結果〔2011年7月調査(40%)、2015年8月調査(54%)〕を上回り、前回の大統領選挙の前年の調査結果より9ポイント高かった。また、大統領候補について考えるかという問いに対しては、「よく考える」の回答が52%と、過去2回の結果〔2011年7月調査(24%)、2015年9月調査(46%)〕を上回り、2020年の大統領選挙に向けて国民の関心は高まっている。

トランプ大統領の言動の印象

英国「エコノミスト」紙と調査会社ユーガブが共同で実施した世論調査(2019年7月27日~30日実施)では、トランプ氏の言動から受ける印象などについて質問しているが、イデオロギー的には同氏を保守的と見る人が49%とほぼ半数であり、自由主義的という回答は7%であった(表3参照)。同氏を「正直である、信頼できる」とする人は30%で、「正直でない、信頼できない」(55%)を25ポイント下回った。国際問題にうまく対処しているかという問いに対しては、「していない」が53%と過半数だった。同氏の大統領としてのツイッターでの発言については、60%が「不適切」と回答した。この結果からは、同氏の人となりを前向きに評価する傾向は見られない(注1)。

表3:ドナルド・トランプ氏の言動の印象(単位:%)
質問事項 印象 構成比
同氏のイデオロギーについて 自由主義的 7
中道的 15
保守的 49
人としての同氏について 好ましい 32
好ましくない 48
どちらともいえない 13
同氏の正直さについて 正直である、信頼できる 30
正直でない、信頼できない 55
わからない 15
同氏の気質は大統領に向いているか 向いている 35
向いてない 54
わからない 12
国際問題にうまく対処しているか 対処している 35
対処していない 53
わからない 11
同氏は戦争に向かおうとしているか 思う 47
思わない 35
わからない 19
同氏のツイッターでの発言は大統領として適切か 適切 26
不適切 60
わからない 15
同氏の再選に向けての立候補を望むか 望む 37
望まない 50
わからない 13

出所:エコノミスト、ユーガブ

同調査で、今後数年間トランプ政権が継続することに楽観的であるか悲観的であるか問うたところ、「楽観的」が37%、「悲観的」が46%とトランプ政権を悲観的に捉える割合がより高かった。

また、トランプ氏の再選に向けての立候補を望むかという問いに対しては、「望まない」が50%と半数を占め、「望む」(37%)との差は13ポイントであった。特に女性は「望まない」が54%で「望む」(32%)を22ポイント上回った。男性は「望まない」(46%)が「望む」(43%)を上回ったが、3ポイント差にとどまる。民主党支持者は「望まない」が87%、「望む」が9%で、共和党支持者は「望まない」が10%、「望む」が81%と、支持政党による違いが鮮明であった。

2019年7月にトランプ氏が行った、民主党下院議員への差別的発言が問題になった(注2)が、同氏は再選に向けて自身の支持者へのアピールとして、今後も戦略的にマイノリティーへの同様の発言を行うことが予想される。

対中政策の強硬姿勢は先行き不透明

ABCニュースと「ワシントン・ポスト」紙が共同で実施した世論調査では、トランプ氏への評価として、経済分野が最も高く「認める」が51%であった。その他の項目は、大統領として(44%)、税制(42%)、移民問題(40%)、外交政策(40%)であった。

2019年第2四半期の実質GDP成長率は、前期比年率2.1%と予想を上回り、好調である(2019年8月1日付ビジネス短信参照)。経済の好調さで評価されるトランプ大統領は、対中摩擦の経済への影響を考慮してか、G20以降、中国への制裁を強行する姿勢が弱まり、貿易投資交渉の再開で合意するなど調整を図っているようにもみられた(2019年7月1日付ビジネス短信参照)。しかし、6月末にいったん保留としたリスト4の対中追加関税について、8月初めに自身のツイッターで9月1日からの関税賦課発動を公言し、強硬姿勢を改めて示すなど状況は不透明である。

中国との貿易摩擦によって、既に実行された対中追加関税の影響は貿易にも表れており、追加関税をかけられた品目の対中輸入は減少している。一方で、メキシコやベトナムなどからの代替品の輸入が増加しており、トランプ氏が公約に掲げる貿易収支の改善にはつながらないという状況もある(2019年7月5日付地域・分析レポート参照)。世論調査からも分かるように、トランプ氏が再選を果たすためには、好景気を維持することが重要なポイントとみられ、選挙の行方は今後の政策のかじ取りに左右されるといえる。

第2回民主党討論会については、2019年8月2日付ビジネス短信参照
米中貿易摩擦に関しては、『特集 米国トランプ政権の動向と米中通商関係』参照。


注1:
キニピアク大学の世論調査では、トランプ氏を人種差別的とみなす割合は51%で、過半数を占めた。
注2:
トランプ政権の移民政策を非難する、非白人の民主党下院議員に対して、「自国に帰れ」と発言したことが、人種差別的と批判された。
各種調査の調査時期、対象者数
キニピアク大学調査(表1) 8 月1日~5日、全米の民主党支持者807人対象
モーニングコンサルト調査(表1、表2) 8 月1日~4日、全米の民主党予備選投票予定者9,845人対象
エコノミスト、ユーガブ調査(表1) 8月3日~6日、全国の民主党予備選投票予定者573人対象
フォックスニュース調査 7月21日~23日、全米の有権者1,004人対象
ピュー・リサーチ・センター調査 7月10日~15日、全米の1,502人(18歳以上)
エコノミスト、ユーガブ調査(表3) 7月27日~30日、全国の成人1,500人対象
ABCニュース、ワシントンポスト調査 6月28日~7月1日、全国の有権者1,008人対象
キニピアク大学調査(注1) 7月25日~28日、全国の有権者1,306人対象
執筆者紹介
海外調査部米州課 課長代理
松岡 智恵子(まつおか ちえこ)
展示事業部、海外調査部欧州課などを経て、生活文化関連産業部でファッション関連事業、ものづくり産業課で機械輸出支援事業を担当。2018年4月から現職。米国の移民政策に関する調査・情報提供を行っている。

この情報はお役に立ちましたか?

役立った

役立たなかった

ご質問・お問い合わせ