米国第2四半期の実質GDP、市場予想を上回る年率2.1%成長

(米国)

ニューヨーク発

2019年08月01日

米国商務省が7月26日に発表した2019年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率2.1%〔2019年第1四半期(1~3月)は3.1%〕となり、市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)の1.8%を上回った(添付資料参照)。

在庫投資や純輸出などが反転、プラス幅は前期から縮小

需要項目別の寄与度をみると、個人消費(2.9ポイント増)などが引き続き成長率を押し上げた一方で、前期の押し上げ要因だった在庫投資(0.9ポイント減)、純輸出(0.7ポイント減)、設備投資(0.1ポイント減)などがマイナスに転じ、前期からプラス幅は縮小した。

個人消費支出は前期比年率4.3%増と、前期(1.1%増)から増加幅が拡大し、2017年第4四半期(10~12月)以来、1年半ぶりの大きな伸びとなった。自動車・同部品が15.9%増(前期:10.2%減)と増加したことなどにより、耐久財が12.9%増と前期(0.3%増)からプラス幅が大きく拡大した。また、サービス(2.5%増)、非耐久財(6.0%増)もプラス幅が拡大した。要因としては、それぞれ衣服・履物(14.2%増)や飲食料品(5.1%増)、飲食サービス・宿泊(4.5%増)がプラスに転じたことなどによる。

設備投資は0.6%減と、2016年第1四半期(0.6%減)以来、3年3カ月ぶりの減少に転じた。構築物(10.6%減)が前期(4.0%増)からマイナスに転じたことなどによる。

外需は、輸出が5.2%減と前期(4.1%増)からマイナスに転じた一方で、輸入が0.1%増と前期(1.5%減)からプラスに転じた。

政府最終消費支出・粗投資は、5.0%増(前期:2.9%増)とプラス幅が拡大した。連邦政府の非国防関連支出が、政府機関の一部閉鎖の影響もあって前期(5.4%減)は減少していたが、その反動もあって15.9%増となった。

物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率は1.8%、前年同期比は1.5%となった。

なお、今回の発表に併せて、毎年実施される年次改定が行われ、2014年以降の係数が遡及(そきゅう)改定された。しかし、商務省によると、改定後の2013~2018年の年平均成長率は2.5%と、改定前(2.4%)とそれほど変わっておらず、「経済全体の姿は大きく変化していない」とした。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミストであるグレッグ・ダコ氏は「米国経済の勢いが鈍化し、設備投資が全体的に鈍化する兆候が既に見られている」と指摘した(「NPRニュース」電子版7月26日)。一方で、投資会社グレンミード・トラストの投資戦略責任者のマイケル・レイノルズ氏は、個人消費の堅調さは設備投資や在庫投資といった「製造業部門の弱さという逆風を相殺して余りある」と述べた(「CNBCニュース」電子版7月26日)。

(権田直)

(米国)

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