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物流ハブへと変容を遂げる北部ルアンナムター県の開発の現状(ラオス)

2019年4月11日

ラオス北部の中国国境地域であるルアンナムター県ボーテン地区は、中国ラオス鉄道やボーテン・デーンンガーム経済特区の建設など、中国政府の「一帯一路」構想やラオス政府の「ランドリンク戦略」の起点として、さまざまな事業が推進されている。2019年3月に実施した当地での実地調査を基に、同地域の最新の状況を報告する。

中国ラオス鉄道の建設が進む

中国の「一帯一路」構想の一環である中国ラオス鉄道建設事業は、約60億ドルの投資で2016年12月25日から建設がスタートし、ラオスの首都ビエンチャンからボーテンまで417キロメートルの単線鉄道を建設中だ。出資比率は、ラオス政府が30%、残りの70%は中投公司などの中国企業とされている。ラオス政府によると、2019年1月末までの進捗(しんちょく)率は全体の55%で、2021年末に完成する計画だ。

現在、ボーテン地域では中鉄5局集団が元請けとなり、特にトンネルと橋の建設工事が急ピッチで進められている。中でも、鉄道でラオスと中国国境を結ぶ中国ラオス友好トンネルは全長9,595メートル(うち中国側が7,170メートル、ラオス側が2,425メートル)で両端からの掘削工事が進んでいる。ラオス側の出口周辺では、ボーテン駅の建設準備も進む。ルアンナムター県による報告によると、県内で総距離1万845メートルに及ぶ3本のトンネルが掘削工事中であり、これまでに5,000メートル以上が掘り進められたという。ラオス国内でも注目されている住民の土地の補償問題について、ルアンナムター県では予定地の98%で完了し、事業会社へと引き渡されたと発表している。


中国ラオス友好トンネルのラオス側出口
(ジェトロ撮影)

鉄道用高架橋は県内に29本建設される計画だ
(ジェトロ撮影)

ボーテン・デーンンガーム経済特区では開発が再燃

中国国境のボーテン・デーンンガーム経済特区では、至る所で建設が行われている。同経済特区は2003年から香港資本による開発が進められ、3つのカジノやホテルなどの大規模総合観光施設が建設され、中国人を中心に多くの観光客が訪れていた。しかし、2010年にはカジノに絡む治安悪化や中国政府によるビザ発給の厳格化により訪問客が激減し、2012年3月にカジノの停止措置がとられていた。同年4月には、雲南海誠実業集団が株式の85%を取得して、脱カジノによる国境地域の総合開発を行う経済特区として新生したものの、その後しばらくは開発が停滞していた。そのような中、中国ラオス鉄道の建設開始に伴い、同地域の重要性が見直され、開発が再開された。

同経済特区の開発計画によると、1,640ヘクタールの広大な特区に、ゴルフ場などの観光施設と併せて国際商業金融センター、国際教育・医療産業区を、さらにボーテン駅周辺には国際保税物流加工区などを建設するとしている。今回の訪問時は何百台ものトラックが往来し、至る所で造成や建設が進められていた。デベロッパーによると、2015年から2018年7月までに1億2,000万ドルをインフラ整備に投資したという。今後、中国本土からの投資がどのように進むのかが注目される。

なおボーテンは、2014年6月から中国側国境地域のモーハンとの間で、2カ国共同による越境型経済区開発事業が進められている。さらにモーハンは、2016年7月には中国で5番目となる重点開発試験区に指定されるなど、一帯一路戦略の先兵として国境地域の開発と対外開放の推進を担う重要地域となっている。


開発の進むボーテン・デーンンガーム経済特区
(ジェトロ撮影)

ボーテン・デーンンガーム経済特区の開発のため
往来するトラック(ジェトロ撮影)

物流のハブを目指すボーテン

中国、ラオス両国は、「運命共同体」として中国ラオス経済回廊を構想している。中でもボーテンは、中国ラオス鉄道が完成すれば、中国南部の昆明まで4時間30分(593キロメートル)、首都ビエンチャンまで3時間10分(418キロメートル)で結ばれ、メコン地域の要所となる。また鉄道のみならず、道路インフラなどの計画も進む。南北経済回廊の一部とされる国道3号線を使えば、ボーテンからはタイのチェンライまで330キロメートルの距離にある。さらにボーテンからタイ国境フエサイ間(167キロメートル)、ボーテンから首都ビエンチャン間(460キロメートル)の高速道路を建設する計画が進められており、交通インフラの整備が今後ますます進む計画だ。2016年5月には、北京においてブンニャン国家主席と習近平国家主席との会談後に、国際保税物流加工区建設事業の調印が行われ、2018年3月にはボーテンにインランドコンテナデポ(ICD)の貨物検査施設がオープンするなど、物流ハブとしての機能整備が着々と進んでいる。

その中で、タイ企業の動きも出てきている。タイの大手工業団地開発会社のアマタ・コーポレーションは、ボーテンから南に18キロメートルのナトゥイ地区に800ヘクタールの物流拠点を建設する計画である。同地区はボーテンと同様に、中国ラオス鉄道の駅や倉庫が建設される計画となっており、タイの中国との結節点と見据えての動きである。ラオス北部は今後、数年内に中国やタイの動きに応じてダイナミックに変容していきそうだ。


ナトゥイの三差路。左折するとボーテン、
右折は首都ビエンチャン(ジェトロ撮影)

南北経済回廊(国道3号線)を走るタイ国籍の
セミトレーラー(ジェトロ撮影)
執筆者紹介
ジェトロ・ビエンチャン事務所
山田 健一郎(やまだ けんいちろう)
2015年より、ジェトロ・ビエンチャン事務所員

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