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サウジアラビアで観光ビザが解禁か

2019年9月10日

サウジアラビアでは2018年12月以降、特定の娯楽イベントのチケット購入者に対して単発のビザを発給するE-ビザ制度は整備されたものの、いわゆる観光ビザは発給されていない。しかし、国内の一部メディアで、政府筋の情報として具体的な観光ビザ発給概要が報道されるなど、解禁に向けた期待が高まっている。国外からの観光客訪問で観光産業を確立することに加え、サウジアラビア政府は、国外でサウジアラビア人が消費する莫大(ばくだい)な観光支出も国内に振り向けたい考えだ。

具体的な報道で解禁の期待高まる

9月4日付で、複数の当地紙(アラビア語紙「アル・リヤド」、英字紙「アラブ・ニュース」など)が、2019年9月27日に50カ国程度の国に対して観光ビザの発給を解禁する、と報道した。

報道内容によると、ビザ代は440リヤル(約1万3,200円、1リヤル約30円、滞在者に義務付けられている医療保険を含む)で、発給方法は事前のオンライン申請、もしくは到着時に取得可能なオンアライバルでの申請、のいずれかとのこと。

ただし、同日時点ではサウジ遺跡・観光庁やサウジ国営通信など、公的な関連機関からの正式なアナウンスはなかった。また、当地の旅行代理店などにヒアリングしたところ、当局から正式な観光ビザ解禁の通達は出されていないとの回答を得たほか、記事に言及されているサウジ外務省ウェブサイトのビザ申請オンラインプラットフォームも、記事執筆時点ではまだ見当たらない。

観光ビザの発給をめぐっては、解禁間近との憶測が出ては消える状況が、過去数年続いてきた。今回の報道では、具体的な解禁の日付とともにビザの金額が報道されたことで、いよいよ解禁間近かもしれないとの期待感がわくが、外国人旅行者(特に女性)に推奨される服装や、未婚の男女が同室に宿泊する可能性の是非など、この国の文化的、宗教的、伝統的価値観に照らし合わせた議論は、まだ残されたままと言える。

着々と進む国内観光地の整備

観光分野の発展は、国家改革「ビジョン2030」の中にも明記されており、国内に5カ所存在する世界遺産を中心に、現在、国内各地で観光地の整備が急ピッチで進められている。これまで国内居住者でも入場できなかった、サウジアラビア北西部に位置するマダインサーレハ遺跡やリヤドのディルイーヤ遺跡は、2019年に入り一部期間限定でオープンするなど、観光客を受け入れる準備が整いつつある。遺跡・観光庁では、外国語が堪能なサウジアラビア人による、いわゆる「観光ガイド」の登録も始まっているようだ。


マダインサーレハ遺跡のサウジ人ツアーガイド(ジェトロ撮影)

2019年に入ってからは、季節ごとにサウジアラビアの各州に焦点を当てる「サウジ・シーズン(Saudi Season)」プロジェクトが立ち上がっており、これまで6~7月の「ジェッダ・シーズン」、8月の「ターイフ・シーズン」が盛り上がりを見せるなど、比較的成功裏に終了している。首都リヤドでは10月15日から「リヤド・シーズン」が始まるが、周囲のサウジアラビア人の声を聞くと、女性を中心に期待を寄せる声が多い。

サウジアラビアといえば、砂漠のイメージを持つ人も多いと思われるが、国土が広いこともあり、西岸の紅海、イエメン国境の山岳地帯、土獏、農業地帯など、13州ごとに違った地形や風土が見られ、非常に魅力的だ。これまで観光客が容易に入れなかった国だけに、いち早く訪れたいという旅行者も多いだろう。ただし、見どころが集中する地方都市間を移動する際には、自家用車以外の移動手段が限られているといった交通インフラの問題や、大都市以外の宿泊施設数も現時点ではまだ十分とは言えないため、当面は団体旅行や当地ツアー会社を利用した旅行が適しているのではないかと思われる。

サウジアラビア中央銀行によると、2018年にサウジアラビア人が国外で支出した観光関連の支出は400億リヤルに達している(図1参照)。サウジ人旅行者の渡航先を地域別に観ると、アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどの周辺GCC(湾岸協力会議)諸国で、休暇やショッピングを楽しむ旅行スタイルが浮かび上がってくる(図2参照)。政府としては、国内の観光地を整備することにより、この消費を国内に振り向けたい考えだ。

図1:サウジアラビア人による国外での休暇・ショッピング支出額推移
2018年にサウジアラビア人が国外で消費した休暇・ショッピング関連支出は約400億リヤル。

注:2018年は推定値。
出所:サウジアラビア中央銀行からジェトロ作成

図2:サウジアラビア人の観光渡航先
2018年のサウジアラビア人の観光目的での渡航先は、GCC諸国が10,234,000組、GCC諸国以外の中東が5,049,000組、南アジアが2,939,000組、欧州が1,438,000組と続く。

注:2018年は推定値。
出所:サウジアラビア中央銀行からジェトロ作成


変更履歴
文章中に誤りがありましたので、次のように訂正いたしました。(2019年9月18日)
小見出し「着々と進む国内観光地の整備」以下の記述
(誤)北部タブーク州のマダインサーレハ遺跡
(正)サウジアラビア北西部に位置するマダインサーレハ遺跡
執筆者紹介
ジェトロ・リヤド事務所
柴田 美穂(しばた みほ)
2004年、ジェトロ入構。海外調査部(中東アフリカ課)、企画部(中東・アフリカ担当)、農林水産・食品部を経て2018年8月より現職。

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