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滝澤鉄工所、高品質な「日本ブランド」でベトナムに進出

2019年11月13日

岡山市に本社を構え、旋盤やマシニングセンタなどの工作機械を製造・販売する滝澤鉄工所(資本金:約23億円)は世界50カ国に製品を展開するなど、グローバルメーカーだ。1971年、台湾に製造・販売拠点を設けて以来、米国やドイツ、中国(上海)、タイ、インドネシアに進出している。次に目を付けたのがベトナムだ。同社は2019年7月、ベトナム・ハノイに駐在員事務所を開設した。ベトナム駐在員事務所長を務める海外営業推進課長の寺崎伸一氏と、海外業務課長の小西毅氏に、同社の海外戦略、ベトナムへの進出経緯、海外ビジネスでの秘訣(ひけつ)などについて聞いた(10月2日)。


寺崎海外営業推進課長(左)と小西海外業務課長(ジェトロ撮影)

国内で製造した高品質の製品を海外の顧客へ

質問:
海外ビジネスにおける戦略は。
答え:
単体では、当社の製造拠点の要となる岡山工場で今後も独自の技術力で勝負しながら、日本品質を維持し、多くの機械を世界に発信していきたいと考えている。その考えの下に1963年、海外への輸出を始め、今年で56年になる。現在、販売比率は国内7に対し、海外3となっているが、2023年までには海外の比率を半分まで持っていきたいと考えている。その1つとして2019年、ベトナムに新たに事務所を開設し、アジアでの販売網の拡充を狙っている。
質問:
海外の競合メーカーと比較した強みは何か。
答え:
似たようなタイプの工作機械というのは、世界各メーカーで製造されている。その中で当社の強みは、日本国内で製造された「日本ブランド」だということ。ドイツの販売会社からは、「製品の品質、特に長期的に安心して使えるという点を重視し、日本の製品を購入したい」という顧客が一定数いると聞く。こういった層をターゲットとすることで、コスト面で優位な海外メーカーと差別化が図られていると考えている。

ベトナム進出は顧客の動きに対応、「安心感」のため

質問:
ベトナムに進出した経緯は。
答え:
昨今の米中貿易摩擦の関係で、中国からベトナムに進出するという話もあるが、ベトナムには既に多くの日系企業が進出している。その数は2,000社近くになるとも聞く。大都市近郊では、日系の工業団地も整備され、インフラ環境も整っている。特にハノイやハイフォン、ホーチミン周辺には、多くの日系企業が進出している。今まで当社は、タイから出張ベースで営業活動を行っていたが、顧客のより近いところで活動し、「安心感」を持ってもらうことを考えて進出した。
質問:
ハノイに進出した理由は。
答え:
一般的に、工作機械メーカーや販売代理店はホーチミンに拠点を置くケースが多いが、当社の顧客である自動車部品メーカーや一般機械メーカーの多くがハノイ周辺に拠点を持っているためだ。
質問:
現地法人としてではなく、活動の限られる駐在員事務所として進出した経緯は。
答え:
いきなり現地法人として進出するリスクの回避が挙げられる。これまで販売拠点のタイで行ってきた全てをいきなりベトナムで行うというのは難しい。われわれの重視する「お客さまへの安心感」という意味では、いきなりセールスを配置して営業拠点を作るよりは、まずは技術的なサポートに重点を置き、顧客ニーズを把握した上で法人化の是非を判断したい。
質問:
駐在員事務所を開設した際、苦労した点はあるか。
答え:
設立申請の手続きで苦労した。私(寺崎氏)が事務所長を兼任しているので、非居住者となる。滞在日数が少ないため、申請書を提出すれば、個人所得税が免除となるが、当局とのやり取りに苦労した。また、人員雇用について総務課、人事課とも連携し、立ち上げ時は頻繁に現地に出向いたりもした。

現地に根付いたビジネスを目指して

質問:
駐在員事務所を開設し数カ月経過した。
答え:
短期間で効果を実感しているところもある。ベトナムはネット社会であるためか、駐在員事務所を開設したことを日本で案内したら、すぐにベトナムにも情報が伝わったようだ。日本で今まで付き合いがなかった顧客から現地事務所に連絡があった。将来的には、ローカル企業もターゲットにしたいと考えている。これは、ベトナムだけではなく、どこの国でも重視していることだ。そのためには、その国に根付いた商売をしていかないといけない。
ベトナム事務所では、顧客や販売店とはベトナム語で対話することで、より親密なコミュニケーションが可能になった。
質問:
海外に進出して、50年近く経つ。海外でビジネスする上での秘訣(ひけつ)は何か。
答え:
私(寺崎氏)はドイツにも駐在していたが、いかに現地になじむかが大切だ。その国にはその国のルールがあり、日本のやり方をいくら現地に押し付けても、物事はうまく進まない。現地がどう感じているかなどを日本側が真摯(しんし)に聞いてあげないといけない。言葉は大事であり、特にその国の言葉を使ってコミュニケーションすることが重要だ。

岡山に本社を構える滝澤鉄工所(ジェトロ撮影)
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部アジア大洋州課
上田 弘大(うえだ こうだい)
2016年、富山県庁入庁。2019年からジェトロ海外調査部アジア大洋州課勤務(出向)。

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