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ミシシッピ州の投資環境や魅力を紹介(米国)
ミシシッピ州政府とジェトロがビジネスセミナー開催

2018年7月9日

米国ミシシッピ州政府経済開発庁とジェトロは5月22日、東京都内で同州への投資を呼び掛ける「ミシシッピ州ビジネスセミナー」を開催した。同州政府駐日代表事務所の小林幸夫代表、在日米国大使館のキース・カーカム商務担当公使、ジェトロの前田茂樹理事のあいさつがあり、同州経済開発庁のグレン・マッカラ長官、同州で事業展開を行っている日系企業を代表した3社が、ビジネスチャンスや投資環境、魅力、海外戦略についてそれぞれ説明した。

投資環境の整備・改善に努めたミシシッピ州

冒頭、小林代表、カーカム公使、前田理事のあいさつの後、急な公務のため本セミナーへの出席がかなわなかったフィル・ブライアント・ミシシッピ州知事のビデオメッセージが紹介された。同知事は「ミシシッピ州には日産、トヨタ、横浜ゴムをはじめ日系企業46社が進出し、1万5,000人以上を雇用している。労働者は勤勉で雇用主に忠実であり、米国で急速に成長している南東部地域において事業を行いたいのであれば、ミシシッピ州は最適な場所だ」と投資を呼び掛けた。


フィル・ブライアント・ミシシッピ州知事のビデオメッセージ(ジェトロ撮影)

続いて、ミシシッピ州経済開発庁マッカラ長官は、ビジネス上の魅力として、労働・事業・生活コストが低く、許認可が早く、高速道路や湾岸施設、鉄道網などの輸送網が充実していることを強調した。同州の主要産業の1つが製造業で、自動車、航空宇宙、造船、ヘルスケア分野などで企業の集積があり、日産とトヨタの両社が組立工場を持っている米国唯一の州で、200社以上の自動車関連企業が本社を構えていると述べた。また、アグリビジネスも盛んで、米国3位の鶏肉生産加工業者のサンダーソン・ファームズの本社があり、カルビーや味の素も進出していることや、州政府は総額5,000万ドルの労働者訓練基金を創設しており、進出企業で働く労働者に必要な技能の訓練を、州内の15のコミュニティーカレッジで提供できるようにしていることを紹介した。


講演するグレン・マッカラ州経済開発庁長官(ジェトロ撮影)

進出日系3社が取り組みや課題を紹介

続いて、日系企業3社が同州での事業展開などについて紹介した。

特別基調講演を行ったカルビー代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)(当時)の松本晃氏は、同社のグローバル成長戦略や海外経営の成功の秘訣(ひけつ)を紹介した。同社は2015年6月から州北部のセナトビア工場が稼働しており、従業員は真面目で離職率も低いと述べた。また、同社の成長戦略として、(1)海外戦略、(2)新商品開発、(3)ポテトチップスの市場シェア70%、(4)ペプシコとの提携拡大、(5)L&A(ライセンス契約と事業買収)、(6)新規ビジネスの6つの柱を掲げた。同社は成長戦略の柱として海外事業の拡大に力を入れており、松本会長は海外経営の成功する4つの秘訣(ひけつ)として、(1)コスト、(2)スピード、(3)ローカライゼーション、(4)パートナーの4点を挙げた。具体的には、商品の品質を上げながら顧客が求める売値から適正な利益を引いてコストを算出すること、失敗を恐れることなくスピード勝負に挑むこと、徹底したローカライゼーションと分権化を行うことが重要と述べるとともに、同社の海外戦略モデルとして、カルビー単独、グローバル企業との提携、ローカル企業との提携の3つのパターンがあることを紹介した。


講演する松本晃カルビー代表取締役会長兼CEO(当時)(ジェトロ撮影)

トヨタ車体の現地子会社、オートパーツ・マニュファクチャリング・ミシシッピ(APMM)のエグゼクティブ・コーポレート・アドバイザーの土谷清氏は、自身の駐在経験を基にミシシッピ州進出から工場稼働までのさまざまな出来事や、工場のある地元との関係を紹介した。APMMは2007年に設立されたが、2008年のリーマン・ショック、2009年のトヨタ・リコール問題の影響を受け、雇用調整をせざるを得ない危機的状況に陥ったという。そうした中で同社は「われわれは撤退しない」という強いメッセージを出し、地元からは「自分たちが何をすればいいのか?教えてくれ」といった反応があったことを紹介した。土谷氏は、地元の人々はホスピタリティー精神にあふれ、お節介を焼いてもらったりされることで、相互理解につながっていると述べた。同社は2011年から稼働し、工場は最新の設備を有しているが、ハード面やソフト面で最先端のオペレーションを行うには、しっかりとした人材ベースとともに、それを生み出すコミュニティーがカギと述べた。


講演する土谷清APMMエグゼクティブ・コーポレート・アドバイザー(ジェトロ撮影)

日産生産企画部部長の和地秀一氏は、同社の北米戦略やキャントン工場を紹介した。日産の世界の生産・販売台数とも年々増加しているが、地域的には北米と中国とが伸びているという。和地氏は北米生産の考え方として、マーケットに近い米国生産と、北米自由貿易協定(NAFTA)を活用したコストの安いところでの生産を挙げた。米国の生産拠点は、1983年から操業しているテネシー州のスマーナ工場と、2003年から操業しているミシシッピ州のキャントン工場があり、合わせて110万台/年の生産能力がある。キャントン工場では、高級車から大型バンまでさまざまな車種を生産しており、スポーツ用多目的車(SUV)の「ムラーノ」は世界戦略車として100カ国以上に輸出している。同工場では5,600人以上を雇用しており、工場の敷地内には医療所や薬局、フィットネス、銀行、運動場もある。同工場では、環境への影響を軽減すべく最大限の配慮を行うとともに、地元の教育、ダイバーシティー、人道支援、環境に焦点を置いて積極的に支援していると話した。


講演する和地秀一日産生産企画部部長(ジェトロ撮影)

最後にジェトロ海外調査部米州課の中溝丘課長代理は、米国南部の魅力と日系企業の投資動向について説明した。

米国南部16州の名目GDPを合計すると約6兆2,000億ドルで日本のGDPを上回り、人口も合計1億2,300万人で、日本と同規模であることを紹介した。また、南部地域は労働コストや税負担が低く、事業コストの観点やロジスティクスの観点、さらに市場性からも魅力的と述べた。

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部米州課
小山 勲(こやま いさお)
2013年、TOKAIホールディングス入社。2018年4月よりジェトロに出向し、海外調査部米州課勤務。

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