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【中国・潮流】新たな日本語人材の大幅な減少は何を物語っているか

2018年5月11日

大連の特徴と言えば、日本語人材が多いということが挙げられる。大連にある18の大学全てに日本語学科があり、日本語を学んだ約4,000人の大学生が毎年卒業している。また、2017年の日本語能力試験1級の受験者数は6,175人で、中国の都市別では広州、上海に次ぐ第3位だ(表1)。人口100万人に占める受験者数でみると1,036人となり、第1位に躍り出る(表2)。

表1:日本語能力試験1級受験者数(2017年)
順位 都市 受験者数(人)
1 広州 8,919
2 上海 8,426
3 大連 6,175
4 北京 6,126
5 武漢 3,979
6 南京 3,490
7 杭州 3,290
8 西安 2,692
9 天津 2,504
10 長沙 2,445
中国大陸計 80,898
出所:
「日本語能力試験」ウェブサイト
表2:日本語能力試験1級、100万人に占める受験者数(2017年)
順位 都市 100万人に占める受験者数(人) 総人口(万人)(注)
1 大連 1,036 596
2 広州 993 898
3 上海 583 1,446
4 南京 512 681
5 武漢 466 854
6 北京 451 1,359
7 杭州 436 754
8 長沙 309 792
9 西安 297 906
10 天津 238 1,050
注:
2017年末時点の戸籍人口。但し、大連は2016年末時点の戸籍人口、長沙は2017年末時点の常住人口。
出所:
「日本語能力試験」ウェブサイト、各地統計局の発表を基にジェトロが作成

しかし、2010年と比較してみると(表3)、日本語能力試験1級の受験者数は、中国全体で93,618人から80,898人に大幅に減少している。都市別でみても、上位10位の中で受験者数が増えているのは、広州と武漢の2都市のみで、上海や大連などは大幅に減少している(表4)。

表3:日本語能力試験1級受験者数(2010年)
順位 都市 受験者数(人)
1 上海 12,352
2 大連 9,927
3 広州 7,295
4 北京 6,627
5 長春 4,103
6 南京 3,944
7 天津 3,875
8 杭州 3,530
9 蘇州 3,129
10 武漢 3,048
中国大陸計 93,618
出所:
「日本語能力試験」ウェブサイト
表4:日本語能力試験1級、100万人に占める受験者数(2010年)
順位 都市 100万人に占める受験者数(人) 総人口(万人)(注)
1 大連 1,694 586
2 広州 905 806
3 上海 869 1,421
4 南京 624 632
5 長春 541 759
6 北京 527 1,258
7 杭州 512 689
8 蘇州 490 638
9 武漢 364 837
10 天津 393 985
注:
2010年末時点の戸籍人口。
出所:
「日本語能力試験」ウェブサイト、各地統計局の発表を基にジェトロが作成

最近は、日本語学科の定員数を削減する動きもある。大連で日本語学科の定員が最も多い大学にヒアリングしたところ、2017年9月の募集定員は約400人だったが「最も多かった時は約800人だった」という。大連は日本語人材が多いものの、日本語を勉強する学生数が大幅に減少している状況だ。

日本語を学ぶ学生が減少している要因としては、一つには日系企業への就業機会の減少が挙げられるだろう。今までは、日本語を学んだ新卒の学生を採用していた日系企業にも、新卒ではなく、ある程度日本語での仕事の経験を積んだ中堅を採用する動きがみられる。そして、二つ目には、給与や昇進面で日系企業にそれほど魅力を感じなくなり、力をつけてきている中国企業で働くという選択肢が以前よりも増えていることが考えられる。

日本語を学ぶ人材が減少するというのは、日本にとっても良いこととは言えないだろう。このような現状について、当地の大学関係者、中国政府関係者、日系企業などの率直な意見を聞いてみたい。

執筆者紹介
ジェトロ・大連事務所長
水田 賢治(みずた けんじ)
1992年、ジェトロ入構。中国語研修、ジェトロ・上海事務所勤務などを経て、2017年6月から現職。

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