日本からの輸出に関する制度

鶏卵の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する卵のHSコード

0407 鳥の卵(殻付き、生鮮、保存用、または調理済み)
0408 殻付きでない鳥卵および卵黄(生鮮、乾燥、蒸し調理、水煮、成形、冷凍、その他の保存をしたもの。砂糖やその他の甘味料を加えているかどうかを問わない)

卵については輸入時の形態で政府機関の管轄当局・部署が異なり、また個別製品の詳細によって取り扱いが異なるため十分な注意と確認が必要です。具体的な製品の内容により異なる場合があるため、詳細は必ずご確認ください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年9月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。

米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプリング検査などを課しています。インポートアラート(輸入警告)は米国保健福祉省食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されています。

卵製品
卵製品検査法(EPIA)(合衆国法典第21巻第1031条以下(21U.S.C.1031以下)に基づき、米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)は卵製品を検査する責任を有しています。EPIAとFSISの卵製品検査規則(9 CFR Part 590)の両方に定義されているように、卵製品は成分の有無にかかわらず、液体、冷凍、または乾燥した卵のことを指します。
米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2カ国のみとなっています。
殻付き卵
殻付き卵を管轄する機関はFDA、米国農務省(USDA)の動植物検査局(APHIS)、およびUSDAの農業マーケティングサービス(AMS)の3つで、FDAは食品医薬品化粧品法(FD&C法)のもと、米国に輸入された殻付き卵に関する規制当局となっています。
殻付き卵の製造業者は21 CFR Part 118にある「製造、貯蔵及び輸送の間の殻付き卵のサルモネラエンテリティディス予防措置」という卵に関する規制の要件を順守しなければなりません。サルモネラエンテリティディス予防措置では、めんどりの飼育条件、バイオセキュリティ、有害生物防除、洗浄および殺菌、冷蔵、環境サンプリング、卵のサンプリング、保管および輸送について定められています。詳細は21 CFR Part 118、およびFDAの「Egg Safety Final Rule」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

殻付き卵
米国への輸出用に卵を生産する個々の農場は、21 CFR Part 118に基づいてFDAに殻付き卵生産者登録(Shell Egg Producer Registration)をしなくてはなりません。卵を別の施設に輸送して、輸出する前にほかの卵とあわせて梱包または統合する場合、その施設は食品施設としてFDAの食品施設登録する必要があります
殻付き卵を米国へ輸入する際には、FDAに事前通知を行う必要があります。事前通知については、関連リンクの米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報に記載の「事前通知」を参照してください。
日本からの輸出に際しては、輸出検疫証明書(Health Certificate:衛生証明書)の取得が必要となります。
「卵製品」にも「殻付き卵」にもあてはまらないが卵を含有する製品について
卵を含有する製品で前述のようなUSDAによる「卵製品」の定義にあてはまらない製品は、FDAの管轄となり(USDAの管轄外)、 FDAの食品安全にかかわる規制に従う必要があります。例えばエッグヌードル、カスタード、ケーキミックス、フレンチトースト、卵を使用したサンドイッチなどがこのカテゴリーに含まれます。卵を含有する製品については「菓子の輸入規制、輸入手続き」を参考にしてください。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省動植物検査局(USDA APHIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省農業マーケティングサービス(USDA AMS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省・動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年9月

殻付き卵
米国に輸入される殻付き卵については米国食品医療品局(FDA)、米国農務省(US Department of Agriculture:USDA)の動植物検査局(Animal and Plant Health Inspection Service:APHIS)と農業マーケティングサービス(Agricultural Marketing Service:AMS)が関連しています。
米国向けに殻付き卵を輸出するには、次の対米国輸出殻付き卵の条件をすべて満たしたうえで、動物検疫を受ける必要があります。
  1. 少なくとも産卵後36時間経過したときから動物検疫所による検査を受けるまでの間、常時、周辺の温度が摂氏7.2℃(華氏45 º F)以下となるように保管または輸送されたものであること。また、輸出入業者が、米国に本殻付き卵を輸送するに際して、常時、周辺の温度が摂氏7.2℃(華氏45 º F)以下となるように維持されるべきであることを知らしめていること。
  2. 日本国において生産された殻付き卵であること。
  3. 米国官報21 Part118に基づき、米国に殻付き卵を輸出しようとする農場において、サルモネラの管理がなされていること。
  4. 90%以上がグレードB以上の殻付き卵であり、軽度のひび割れが10%未満、重度のひび割れ、汚れおよびロス(※)の合計が5%未満(※ただしロスが3%を超えないこと)であること。
  5. 米国食品安全強化法に基づき米国政府によって関連施設の登録などがなされていること。

日本から米国に殻付き卵を輸出するには、これらの条件を理解し、またウとオを完了したうえで、日本の動物検疫所に対し、家畜伝染病予防法施行規則(昭和26年農林省令第35号)第52条に定める輸出検査申請書に申告書を添えて輸出検疫検査を申請します。

動物検疫所は、提出書類などにより得られた情報により、米国向けに輸出が可能であるものとして前述アおよびイを満たすことが確認できた殻付き卵に対して、家畜伝染病予防法第45条第3項に基づき輸出検疫証明書を交付します。申請者は、殻付き卵の輸出にあたり輸出検疫証明書の原本を当該殻付き卵に添付して輸出します。

日本での手続きの詳細は、農林水産省動物検疫所のウェブサイト「家きんの畜産物の輸出」から米国の「食用生鮮殻付き卵」を確認してください。

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年9月

卵製品は卵製品検査法(EPIA)と卵製品検査規則(9 CFR part 590)の両方に定義されているように、成分の有無にかかわらず、液体、冷凍、または乾燥した卵のことを指します。卵製品検査法(EPIA)(合衆国法典第21巻第1031条以下(21U.S.C.1031以下)に基づき、米国農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)が卵製品を検査する責任を有しています。

殻付き卵とは、飼養された鶏の殻つき生鮮卵であって、ヒトの食用に供されるもの(加工用を含む)をいいます。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年9月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)および、米国農務省(USDA)または米国食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、USDAまたはFDAは、卵製品についてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および農作物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、その基準を満たしていなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の米国農薬情報センター〔National Pesticide Information Center(NPIC)〕のウェブサイトで確認してください。

EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留している製品は、輸入することができないため、日本から米国向けの輸出にあたっては、使用可である農薬か否か、そして残留する農薬の許容値について事前に確認しておく必要があります。

また、許容量が設定されている農薬成分が残留しているものについては、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。
(1)加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていないこと。
(2)現行適正製造規範(CGMP)に基づく製造工程が行われ、残留農薬ができる限り取り除かれていること。
(3)加工後の製品の残留農薬が、加工前の原料の許容量を超えていないこと。

食品の残留農薬の基準に関する詳細は、連邦規則集第40巻パート180(40CFR Part180)に係る説明項目(Indexes to Part 180 Tolerance Information for Pesticide Chemicals in Food and Feed Commodities)で確認してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年9月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

(1)有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

(2)トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
2006年から2013年に行ったサンプリングでは次のような結果となっており、米国で消費されている食品に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標として活用することができます。
ここでは例として、スクランブルエッグとゆで卵について取り上げます。

スクランブルエッグとゆで卵に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)

スクランブルエッグ(含油)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0 0.29 0.001
カドミウム 0 0.003 0.0001
0.4 0.6 0.5
0 0 0
マンガン 0 0 0
亜鉛 7.9 14.3 11.5
ゆで卵
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0 0 0
カドミウム 0 0 0
0.6 0.9 0.7
0 0.014 0.0004
マンガン 0 0.42 0.12
亜鉛 11.5 20.4 13.8

(3)その他

米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’暴露する’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。Prop.65の有害物質リストは900種類以上におよび、年に2~3回はリストの内容が更新されます。2021年6月にも新たに4つの発がん性物質の追加の意向が発表されています。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

また、近年、Prop.65の有害化学物質のアクリルアミドについて警告文がない事による訴訟が急増していましたが、2021年3月に連邦裁判所はアクリルアミドを対象としたProp.65訴訟を一時的に禁止する暫定的な差し止め命令を発行しました。

アクリルアミドはアミノ酸と糖分が加熱される際に自然に発生する物質で、食品製造工程に添加されるものではありません。カリフォルニア州は現在次のような修正案を協議中ですがまだ結論は出ていません。

1)製造会社が現在可能な限り、アクリルアミドを最小化する製造プロセスを取っていればProp.65の対象外となる
2)食品別に最大許容量を設定する

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻109.30(21CFR109.30)「PCB暫定残留許容濃度」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
カリフォルニア州司法省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2021年9月

食品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻第170条 から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP)をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、包装、梱包、輸送または保管に用いられる材料を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、「5. 食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻第70~82条(21CFR Part70-82)」を事前に確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年9月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21USC348(h)(6)〕。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDAへ食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集 21CFR Part 182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part 170.39)

2. FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification

食食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集 21CFR Part170.100)。通知から120日の間に FDA から異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンクの「申請フォーム FDA3480」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
連邦規則集
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6. ラベル表示

調査時点:2021年9月

1. 表示の事前承認

殻付き卵
食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)により規制されています。殻付き卵を商業目的で米国に輸入するには、CBP、FDAおよびUSDAが定める表示を行わなければなりません。殻付き卵の販売には、承認のためにラベルをUSDAのAMSに提出する必要があります。提出先については、USDA AMSの「Shell Egg Label Approval」を参照してください。
卵製品
USDAのFSISが、ラベルのガイダンス、ポリシー、検査方法を策定、提供しています。卵製品の販売には、ラベル表示内容について原則としてUSDAから事前承認を受ける必要があります。FSISの表示の「事前承認」を担当しているThe Labeling and Program Delivery Division(LPDD)に、様式FSIS Form 7234-1、ラベルなどの必要書類にカバーレターを添えて郵送、またはFAXで送付し、承認申請手続きを行います。もしくは、LSAS(Label Submission and Approval System)を通じてオンラインで申請することも可能です。
なお、米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2カ国のみとなっています。

2. 表示項目

殻付き卵
殻付き卵について一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。表示方法などはFDAの「食品表示ガイド」で確認してください。
輸送用外包装
1.食品名称
2.原産国
3.品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
4.包装日
5.要冷蔵(Keep Refrigerated)
6.生産者、包装業者または流通業者の名称および住所
7.正確な数量(個数)
最小販売単位である容器・包装
8.商品の一般名称
9.原産国
10.品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
11.要冷蔵(Keep Refrigerated)
12.栄養表示
13.大きさ(Jumbo, Extra Large, Large, Medium, Small、個別の最小平均重量は次のとおり、Jumbo 68.52g, Extra Large 61.43g, Large 54.34g, Medium 47.25g, Small 40.17g)
14.取り扱い上の注意に関する表示
“SAFE HANDLING INSTRUCTIONS: To prevent illness from bacteria: keep eggs refrigerated, cook eggs until yolks are firm, and cook foods containing eggs thoroughly.”
※SAFE HANDLING INSTRUCTIONSはすべて大文字かつ太字。
卵のグレードやサイズはUSDAにより規定されています。詳しくは、米国農務省・農業マーケティングサービス(AMS)の「殻付き卵のグレードや重量について」で確認してください。
卵製品
一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。
1.製品名
2.商品名(任意)
3.原材料表示
4.公式マーク(Official Mark)
5.製造者名、包装者名、流通者名
6.正味重量の表示
7.USDAによる承認番号
表示に記載される追加情報としては、栄養表示、賞味期限、冷蔵保存、使用期限または販売期限に関する表示があります。これらの情報を使用するには、LPDDの承認が必要です。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴い消費者が家庭用の卵購入を増やしたことによる需要増に応えるため、FDAは2020年4月に、殻付き卵の包装・ラベルに関する緩和措置を公表し、商品名や製造者名などを明示するなど一定の条件下ではラベルがない状態でも卵を販売することを暫定的に認めています。ただし、この方針は、COVID-19の公衆衛生上の緊急事態の期間中のみ有効であることを意図しており、梱包材およびラベリング材の入手が可能になれば、できるだけ早く完全なラベル表示を再開することをお勧めします。

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7. その他

調査時点:2021年9月

食品の衛生および安全性
米国に輸入される殻付き卵の安全は、FDAが管轄しており、卵製品の検査はUSDAのFSISが所管しています。また卵製品を使用した加工品を製造/加工、梱包、保管する施設は、FSMA第103条により、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。
また、FSMA第301条に基づき、卵の輸入業者は外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証を行う必要があります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

輸入通関にあたり米国農務省(USDA)からの輸入許可証および日本からの輸出検疫証明書が必要になります。USDAのVS Permit Form 16-3を使用し輸入許可証を取得する必要があります。なお輸入許可証が必要な場合には、初回の貨物が到着する30日前に、米国側の輸入者が申請をしなければなりません。

前述の手続きに加えて、殻付き卵についてはForm LPS-222「輸入リクエスト」を、USDAのAMSに提出します。

また輸入者は、貨物ごとに、輸入許可証のコピーをその他の通関に必要な書類とともに税関へ提出しなければなりません。輸入に課される条件は、動植物検査局(APHIS)のデータベースで確認することができます。

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2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年9月

日本から殻付き卵を輸入するにあたって、主な必要書類などは次のとおりです。

  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かなどを判断するために必要な関連資料・情報(Entry SummaryCBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、輸入許可証、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、輸出検疫証明書など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります。)

また、日本から殻付き卵を輸入するにあたって、FDAへの食品関連施設登録と事前通知などが必要になります。「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

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3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年9月

卵については輸入される際の形態によって政府機関の管轄当局・部署が異なり、また個別製品の詳細によって取り扱いが異なるため、十分な注意と確認が必要です。

卵製品
米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2つとなっています。
殻付き卵
卵製品検査法(EPIA)の下で、農業マーケティングサービス(AMS)は輸入された殻付き卵をチェックする責任があります。AMSは、制限付き卵(米国のUSDAが承認した卵製品工場で処理されておらず、ヒトが消費するのに適さない卵)が適切に廃棄され、米国の消費者グレードBの基準で許可されている卵に満たないような制限付き卵が消費者に販売される卵の中に混入しないこと、さらに消費者に販売される卵が適切にラベル付けされて必要な文書(7 CFR Part57を参照)があることを保証するためにこれを実施します。
AMSは、米国に食卓卵を輸入する申請が行われたとき、および、国内取引のために大量の殻付き卵をリリースする前に、FDAに通知します。AMSはまた、輸入された卵が21 CFR 118.11に従ってFDAに登録された国外の農場で生産されたものであり、21 CFR 118.4(e)に従って冷蔵されていることを確証します。殻付き卵を米国に輸入するための申請には、Form LPS-222をAMSに提出するとともに、生産国の輸出検疫証明書(Health Certificate:衛生証明書)を添付する必要があります。

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4. 販売許可手続き

調査時点:2021年9月

米国で殻付き卵や卵製品を販売するのに必要となる連邦政府が定める免許や登録はありませんが、一般的に食品の販売には、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録が必要です。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態などによって必要となる手続きは異なります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

なお、販売者が食品の保管、ラベル貼付や再梱包も行う施設の場合は、FDAへの食品関連施設登録が必要です。

5. その他

調査時点:2021年9月

なし

米国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年9月

米国に輸入される殻付き卵や卵製品は、関税の対象となります。関税表は、米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。

表:鶏卵の関税率
HSコード 税率
0407:
鳥の卵(殻付き、生鮮、保存用、または調理済み)
2.8セント/doz.
Doz.はダース、つまり12個を意味しています。
0408:
殻付きでない鳥卵および卵黄(生鮮、乾燥、蒸し調理、水煮、成形、冷凍、その他の保存をしたもの。砂糖やその他の甘味料を加えているかどうかを問わない)
乾燥:47.6セント/kg
その他:9.7セント/kg

2. その他の税

調査時点:2021年9月

州、地方自治体へ納付する売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率は異なるため、USITC、CBP、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。

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3. その他

調査時点:2021年9月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入者は卵の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464%で、最低27.23ドル、最高528.33ドルとなっています。さらに、船便による輸入の場合には、輸入者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)が徴収しています。

その他

調査時点:2021年9月

FDAによる食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(食品関連の規制「7.その他」を参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。