日本からの輸出に関する制度

鶏卵の輸入規制、輸入手続き

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2019年10月

卵製品検査法(EPIA)(合衆国法典第21巻第1031条以下(21U.S.C.1031以下)に基づき、米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)は卵製品を検査する責任を有しています。EPIAとFSISの卵製品検査規則(9 CFR part 590)の両方に定義されているように、卵製品は成分の有無にかかわらず、液体、冷凍、または乾燥した卵のことを指します。

殻付き卵とは、飼養された鶏の殻つき生鮮卵であって、ヒトの食用に供されるもの(加工用に輸出されるものを含む)をいいます。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2019年10月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)および、米国農務省(USDA)または米国食品医療品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、USDAまたはFDAは、卵製品についてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および農作物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、その基準を満たしていなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の米国農薬情報センター〔National Pesticide Information Center(NPIC)〕のウェブサイトで確認してください。

EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留している製品は、輸入することができないため、日本から米国向けの輸出にあたっては、使用可である農薬か否か、そして残留する農薬の許容値について事前に確認しておく必要があります。

また、許容量が設定されている農薬成分が残留しているものについては、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。(1)加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていないこと。(2)現行適正製造規範(CGMP)に基づく製造工程が行われ、残留農薬ができる限り取り除かれていること。(3)加工後の製品の残留農薬が、加工前の原料の許容量を超えていないこと。

食品の残留農薬の基準に関する詳細は、「米国連邦規則集第40巻パート180(40CFR Part180)」に係る説明項目(Indexes to Part 180 Tolerance Information for Pesticide Chemicals in Food and Feed Commodities)で確認してください。

関連リンク

関係省庁
米国環境保護庁(EPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
米国環境保護庁(EPA)から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2019年10月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有はなるべく避けることが望ましいとされています。

(1)有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

(2)トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
2006年から2013年に行ったサンプリングでは次のような結果となっており、米国で消費されている食品に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標として活用することができます。
ここでは例として、スクランブルエッグとゆで卵について取り上げます。

スクランブルエッグとゆで卵に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)

スクランブルエッグ (含油)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0 0.29 0.001
カドミウム 0 0.003 0.0001
0.4 0.6 0.5
0 0 0
マンガン 0 0 0
亜鉛 7.9 14.3 11.5
ゆで卵
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0 0 0
カドミウム 0 0 0
0.6 0.9 0.7
0 0.014 0.0004
マンガン 0 0.42 0.12
亜鉛 11.5 20.4 13.8

(3)その他

米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’暴露する’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、当該製品の容器に表記する、または小売店の棚の表示でも製品を明確にすることにより消費者などに警告することが義務付けられました。BPAに関しては、緊急法に基づく暫定措置として、全体警告を認め、個々の商品もしくは商品棚への警告の義務は免れていましたが、2017年12月30日で終了し、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。Prop.65の有害物質リストは900種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が変更されるので、確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2019年10月

食品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻第170条 から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP)をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、包装、梱包、輸送または保管に用いられる材料を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、「5. 食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻第70~82条(21CFR Part70-82)」を事前に確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2019年10月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21USC348(h)(6)〕。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者にゆだねられています。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(2参照)が必要です。

(1)食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDA へ食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS (連邦規則集 21CFR Part 182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part 170.39)

(2)FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDA に通知しなければなりません(連邦規則集 21CFR Part170.100)。通知から120日の間に FDA から異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンクの「申請フォーム FDA3480」を参照してください。

なお、カリフォルニア州におけるビスフェノールA(BPA)の警告表示については、「食品関連の規制」の「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2019年10月

食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)により規制されています。殻付き卵を商業目的で米国に輸入するには、CBPおよびFDAが定める表示を行わなければなりません。
条件によっては表示義務が免除されますが、一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAの「食品表示ガイド」で確認してください。

輸送用外包装
  1. 食品名称
  2. 原産国
  3. 品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
  4. 包装日
  5. 要冷蔵(Keep Refrigerated)
  6. 生産者、包装業者または流通業者の名称および住所
  7. 正確な数量(個数)
最小販売単位である容器・包装
  1. 商品の一般名称
  2. 原産国
  3. 品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
  4. 要冷蔵(Keep Refrigerated)
  5. 栄養表示
  6. 大きさ(Jumbo, Extra Large, Large, Medium, Small、個別の最小平均重量は次のとおり、Jumbo 68.52g, Extra Large 61.43g, Large 54.34g, Medium 47.25g, Small 40.17g)
  7. 取扱上の注意に関する表示
    “SAFE HANDLING INSTRUCTIONS: To prevent illness from bacteria: keep eggs refrigerated, cook eggs until yolks are firm, and cook foods containing eggs thoroughly.”
    ※SAFE HANDLING INSTRUCTIONSはすべて大文字かつ太字。
卵のグレードやサイズはUSDAにより規定されています。詳しくは、米国農務省・農業マーケティングサービス(AMS)の「殻付き卵のグレードや重量について」で確認してください。

関連リンク

関係省庁
米国農務省(USDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国税関・国境警備局(CBP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省・農業マーケティングサービス(AMS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる情報
米国農務省(USDA/FSIS)から入手できる主な情報
米国農務省(USDA・FSIS)から入手できる主な情報
米国農務省・農業マーケティングサービス(AMS)から入手できる情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2019年10月

食品の衛生および安全性
米国に輸入される卵製品の安全は、FDAが管轄しています。また卵製品の加工品を製造/加工、梱包、保管する施設は、FSMA第103条により、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。
また、FSMA第301条に基づき、卵製品の輸入業者は外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証を行う必要があります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。

その他

調査時点:2019年10月

FDAによる食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(食品関連の規制「7.その他」参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。

マイリスト マイリストを開く 追加

閉じる

マイリスト
マイリスト機能を使ってみませんか?
ジェトロ・ウェブサイトのお好きなページをブックマークできる機能です。
ブックマークするにはお好きなページで追加ボタンを押してください。