日本からの輸出に関する制度

鶏卵の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する卵のHSコード

0407 鳥の卵(殻付き、生鮮、保存用、または調理済み)
0408 殻付きでない鳥卵および卵黄(生鮮、乾燥、蒸し調理、水煮、成型、冷凍、その他の保存をしたもの。砂糖やその他の甘味料を加えているかどうかを問わない)

卵については輸入時の形態で政府機関の管轄当局・部署が異なり、また個別製品の詳細によって取り扱いが異なるため十分な注意と確認が必要です。具体的な製品の内容により異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。

米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプリング検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

【卵製品】
卵製品検査法(EPIA)(合衆国法典第21巻第1031条以下(21U.S.C.1031以下)に基づき、米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)は卵製品を検査する責任を有しています。EPIAとFSISの卵製品検査規則(連邦規則集第9巻第590条:9 CFR Part 590)の両方に定義されているように、卵製品は成分の有無にかかわらず、液体、冷凍、または乾燥した卵のことを指します。
米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2カ国のみとなっています。
【殻付き卵】
殻付き卵を管轄する機関はFDA、米国農務省(USDA)の動植物検査局(APHIS)、およびUSDAの農業マーケティングサービス(AMS)の3つで、FDAは食品医薬品化粧品法(FD&C法)のもと、米国に輸入された殻付き卵に関する規制当局となっています。
国内における高病原性鳥インフルエンザ発生により一部輸出できないものがあります。詳細は関連リンク「鳥インフルエンザの発生に伴う家きん肉・家きん卵の輸出停止・再開について」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

【殻付き卵】
米国への輸出用に卵を生産する個々の農場は、連邦規則集第21巻第118条(21 CFR Part 118)に基づいてFDAに殻付き卵生産者登録(Shell Egg Producer Registration)をしなくてはなりません。殻付き卵を別の施設に輸送して、輸出する前にほかの卵とあわせて梱包または統合する場合、その施設は食品施設としてFDAの食品施設登録をする必要があります。また、殻付き卵を米国へ輸入する際には、FDAに事前通知を行う必要があります。
FDA食品施設登録
バイオテロ法により、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造/加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者またはエージェントは、FDAに食品施設を登録することを義務付けられています。さらに食品安全強化法により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。
FDA向け事前通知
食品の到着までに、FDAへ
事前通知を提出する必要があります(連邦規則集第21条第1.279(c)条:21 CFR 1.279(c))。事前通知は、必要な情報を持っている者であれば、誰でも行うことができます。また、輸入申告によって提出する情報はFDAに事前通知として提供されます。米国国土安全保障省税関・国境取締局(CBP)のシステム(ABI/ACS)を通じて提出する場合は到着予定日の30日前から、FDAのシステム(PNSI)を通じて提出する場合は到着予定日の15日前から行うことができます。
さらに、日本からの輸出に際しては、輸出検疫証明書(Health Certificate:衛生証明書)の取得が必要となります。
【「卵製品」にも「殻付き卵」にもあてはまらないが卵を含有する製品について】
卵を含有する製品で前述のようなUSDAによる「卵製品」の定義にあてはまらない製品は、FDAの管轄(USDAの管轄外)となり、 FDAの食品安全にかかわる規制に従う必要があります。
例えばエッグヌードル、カスタード、ケーキミックス、フレンチトースト、卵を使用したサンドイッチなどがこのFDA管轄のカテゴリーに含まれます。卵を含有する製品については「菓子の輸入規制、輸入手続き」を参考にしてください。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省動植物検査局(USDA APHIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省農業マーケティングサービス(USDA AMS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
動物検疫所から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年7月

【殻付き卵】
米国に輸入される殻付き卵についてはFDA、USDAのAPHISとAMSが関連しています。
米国向けに殻付き卵を輸出するには、次の対米国輸出殻付き卵の条件をすべて満たしたうえで、動物検疫を受ける必要があります。
  1. 少なくとも産卵後36時間経過したときから動物検疫所による検査を受けるまでの間、常時、周辺の温度が摂氏7.2℃(華氏45 º F)以下となるように保管または輸送されたものであること。また、輸出入業者が、米国に本殻付き卵を輸送するに際して、常時、周辺の温度が摂氏7.2℃(華氏45 º F)以下となるように維持されるべきであることを知らしめていること。
  2. 日本国において生産された殻付き卵であること。
  3. 米国官報21 Part118に基づき、米国に殻付き卵を輸出しようとする農場において、サルモネラの管理がなされていること。
  4. 90%以上がグレードB以上の殻付き卵であり、軽度のひび割れが10%未満、重度のひび割れ、汚れおよびロス(※)の合計が5%未満(※ただしロスが3%を超えないこと)であること。
  5. 米国食品安全強化法に基づき米国政府によって関連施設の登録などがなされていること。

日本から米国に殻付き卵を輸出するには、これらの条件を理解し、またウとオを完了したうえで、日本の動物検疫所に対し、家畜伝染病予防法施行規則(昭和26年農林省令第35号)第52条に定める輸出検査申請書に申告書を添えて輸出検疫検査を申請します。

動物検疫所は、提出書類などにより得られた情報により、米国向けに輸出が可能であるものとして前述のアおよびイを満たすことが確認できた殻付き卵に対して、家畜伝染病予防法第45条第3項に基づき輸出検疫証明書を交付します。申請者は、殻付き卵の輸出にあたり輸出検疫証明書の原本を当該殻付き卵に添付して輸出します。

日本での手続きの詳細は、動物検疫所のウェブサイト「家きんの畜産物の輸出」から米国の「食用生鮮殻付き卵」を確認してください。

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年7月

【卵製品】
卵製品は卵製品検査法(EPIA)(合衆国法典第21巻第1031条以下(21U.S.C.1031以下)と卵製品検査規則(連邦規則集第9条第590条:9 CFR Part 590)の両方に定義されているように、成分の有無にかかわらず、液体、冷凍、または乾燥した卵のことを指します。EPIA)に基づき、米国農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)が卵製品を検査する責任を有しています。
【殻付き卵】
殻付き卵とは、飼養された鶏の殻つき生鮮卵であって、ヒトの食用に供されるもの(加工用を含む)をいいます。
殻付き卵の製造業者は連邦規則集第21条第118条(21 CFR Part 118)「殻付き卵の製造、貯蔵及び輸送」の「サルモネラ・エンテリティディス(SE)予防措置」の要件を順守しなければなりません。SE予防措置では、めんどりの飼育条件、バイオセキュリティ、有害生物防除、洗浄および殺菌、冷蔵、環境サンプリング、卵のサンプリング、保管および輸送について定められています。詳細は連邦規則集第21条第118条(21 CFR Part 118)および米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイト「卵の安全に係る最終規則」を参照してください。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年7月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)および、USDAまたはFDAが管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、USDAまたはFDAは、卵製品についてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および農作物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、その基準を満たしていなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の「その他参考情報」にある農林水産省の「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」や連邦規則集第40巻第180条40CFR Part180で確認してください。連邦規則集での確認方法はEPAのウェブサイト「残留農薬許容量情報(Part 180)の索引」を参照してください。

EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留している製品は、輸入することができないため、日本から米国向けの輸出にあたっては、使用可である農薬か否か、そして残留する農薬の許容値について事前に確認しておく必要があります。

また、許容量が設定されている農薬成分が残留しているものについては、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。

  1. 加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていないこと。
  2. 現行適正製造規範(CGMP)に基づく製造工程が行われ、残留農薬ができる限り取り除かれていること。
  3. 加工後の製品の残留農薬が、加工前の原料の許容量を超えていないこと。(食品医薬品化粧品法(FD&C 法)第 408 条(a)(2)、合衆国法典21USC346a(a)(2))。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、FD&C法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(連邦規則集第21条第109.30条:21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるものです。
ここでは例として、ゆで卵について取り上げます。

ゆで卵に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
590 770 658
検出なし 検出なし N/A
マンガン 230 360 289
亜鉛 12,000 16,000 12,963

3.その他

米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上におよび、年に2~3回はリストの内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

また、近年、Prop.65の有害化学物質のアクリルアミドについて警告文がない事による訴訟が急増していましたが、2021年3月に連邦裁判所はアクリルアミドを対象としたProp.65訴訟を一時的に禁止する暫定的な差し止め命令を発行しました。

アクリルアミドはアミノ酸と糖分が加熱される際に自然に発生する物質で、食品製造工程に添加されるものではありません。1日摂取量の最大許容量を超えている場合に必要となる警告ラベルの文章のオプションが2022年11月に公表され2023年1月1日から施行されました。また、2023年4月1日に発がん性物質として、生殖毒性がある物質として警告ラベルをつける必要のない最大許容量の数値も設定されました。アクリルアミドについては、この数値を上回る場合には通常の警告ラベルか、オプションとして新しく決められた文言のどちらかで警告ラベルを記載する必要があります。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
カリフォルニア州司法省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2023年7月

食品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかわる規則は、連邦規則集第21巻第170条 から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物のリストについては、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「使用が許可されている添加物一覧(着色料以外)」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知や食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP)にてFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは、食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質を食品添加物として定義しています。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻第70条から82条(21CFR Part70-82)」を事前に確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

また、カリフォルニア州では発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる5種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止する法案(AB-418, Food Product Safety Assembly Bill)が審議されています。規制対象となっているのは、臭素化植物油(VBO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、赤色3号、および二酸化チタンです。法案が成立すれば、2025年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

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関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
カリフォルニア州政府から入手できる主な情報
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年7月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21USC348(h)(6)〕。

FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)ではない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1.食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDA へ食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集 第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
  • GRAS(連邦規則集 第21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part 182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集第21巻第181条: 21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集第21巻第170.39条: 21 CFR Part 170.39)

2.FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDA に通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条: 21CFR Part170.100)。通知から120日の間に FDA から異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 第21巻第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンクの「申請フォーム FDA3480」を参照してください。

3.PFAS

PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。

さらに、米国環境保護庁(EPA)が飲料水に関する規制を発表し、米国素材メーカーの3Mが2025年末までの製造および使用の中止を発表しています。

また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州など、すでにいくつかの州で食品包装のPFASを禁止し始めているため注意が必要です。

4.フタル酸エステル類

FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条:21CFR Part175~178の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。

連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装中のフタル酸エステル類の禁止法が2019年に可決されているなど注意が必要です。

5.食品包装用リサイクルプラスチック

米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR: post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触物品におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。

  1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触物品に出現することで食品に移行する可能性があること
  2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること
  3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること

リサイクルプラスチックから作られた食品接触物品の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。

リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。

FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging: Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDA は食品接触物品の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定プロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
連邦規則集
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食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
厚生労働省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2023年7月

1.表示の事前承認

【殻付き卵】
食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)により規制されています。殻付き卵を商業目的で米国に輸入するには、米国税関・国境取締局(CBP)、FDAおよびUSDAが定める表示を行わなければなりません。殻付き卵の販売には、承認のためにラベルをUSDAのAMSに提出する必要があります。提出先については、USDA AMSの「Shell Egg Label Approval」を参照してください。
【卵製品】
USDAのFSISが、ラベルのガイダンス、ポリシー、検査方法を策定、提供しています。卵製品の販売には、ラベル表示内容について原則としてUSDAから事前承認を受ける必要があります。FSISの表示の「事前承認」を担当しているLPDD(The Labeling and Program Delivery Division)に、様式FSIS Form 7234-1、ラベルなどの必要書類にカバーレターを添えて郵送、またはFAXで送付し、承認申請手続きを行います。もしくは、LSAS (ラベル提出・承認システム:Label Submission and Approval System)を通じてオンラインで申請することも可能です。
なお、米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2カ国のみとなっています。

2.表示項目

【殻付き卵】
殻付き卵について一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。表示方法などはFDAの「食品表示ガイド」およびUSDA AMSの「USDAグレードマークが付いた製品の殻付き卵ラベル表示ガイドライン」で確認してください。
輸送用外包装
  1. 商品名
  2. 原産国
  3. 品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
  4. 包装日
  5. 要冷蔵(Keep Refrigerated
  6. 生産者、包装業者または流通業者の名称および住所
  7. 正確な数量(個数)
最小販売単位である容器・包装
  1. 商品の一般名称
  2. 原産国
  3. 品質あるいは特徴(殻の色や格付けなど)
  4. 要冷蔵(Keep Refrigerated
  5. 栄養表示
  6. 生産者などの名称および住所
  7. 正確な数量
  8. 大きさ(Jumbo, Extra Large, Large, Medium, Small、個別の最小平均重量は次のとおり、Jumbo 68.52g, Extra Large 61.43g, Large 54.34g, Medium 47.25g, Small 40.17g)
  9. 取り扱い上の注意に関する表示
    SAFE HANDLING INSTRUCTIONS: To prevent illness from bacteria: keep eggs refrigerated, cook eggs until yolks are firm, and cook foods containing eggs thoroughly.” ※SAFE HANDLING INSTRUCTIONSはすべて大文字かつ太字。
卵のグレードやサイズはUSDAにより規定されています。詳しくは、USDAAMSの「殻付き卵のグレードや重量について」で確認してください。
【卵製品】
一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。
  1. 製品名
  2. 商品名(任意)
  3. 原材料表示
  4. 公式マーク(Official Mark
  5. 製造者名、包装者名、流通者名
  6. 正味重量の表示
  7. USDAによる承認番号
表示に記載される追加情報としては、栄養成分表示、賞味期限、冷蔵保存、使用期限または販売期限に関する表示があります。これらの情報を使用するには、LPDDの承認が必要です。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴い消費者が家庭用の卵購入を増やしたことによる需要増に応えるため、FDAは2020年4月に、殻付き卵の包装・ラベルに関する緩和措置を公表し、商品名や製造者名などを明示するなど一定の条件下ではラベルがない状態でも卵を販売することを暫定的に認めていました。しかし公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency)が2023年5月11日に終了したことから、当該緩和措置についても同日に終了しています。

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根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
動物検疫所から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2023年7月

食品の衛生および安全性
米国に輸入される殻付き卵の安全は、FDAが管轄しており、卵製品の検査はUSDAのFSISが所管しています。また卵製品を使用した加工品を製造/加工、梱包、保管する施設は、FSMA第103条により、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。さらに、食品関連施設(食品の製造、加工、包装、保管施設)は、FSMA第106条により、食品防御計画(Food Defense Plan)として、異物混入などの食品不良事故が起こりそうな工程を特定させるなど意図的な食品不良事故を防止する措置が義務付けられています。
また、FSMA第301条に基づき、卵の輸入業者は外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証を行う必要があります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。
さらに、FDAはFSMA第204条に基づく「特定の食品のトレーサビリティに関する追加的な要件に関する最終規則」を22年11月に公表しました。26年1月20日から記録保存に関する義務が生じます。
FSMA第204条では、「高リスク」食品を指定し、それらを製造・加工、梱包、保管する施設に対し、トレーサビリティに関する記録保存を義務付けるとされていたのを受け、FDAが「高リスク」食品や記録の保管方法の指定を行ったものです。追加の記録保持要件は、汚染の可能性のある食品をより迅速に特定し、市場から迅速に除去できるようにすることで、食中毒や死亡を減らすことを目的としています。
追加のトレーサビリティ記録要件は、食品トレーサビリティリスト (FTL) に記載の食品および、FTLに記載されている食品を原材料として含む食品(原材料として使用されている記載されている食品がFTLに記載されているのと同じ形態(生鮮な状態など)のままである場合のみ)に適用されます。 殻付き卵はFTLに記載されています。ただ、日本からの輸出にあたっては「特定の農場で生産されたすべての鶏卵が、連邦規則集第21巻第118条(21 CFR Part 118)内§118.1(a)(2)に従って処理される場合の殻付き卵」に該当することから、追加のトレーサビリティ記録の対象外となります。詳細は農林水産省のウェブサイト「米国政府による食品トレーサビリティ規則について」を参照してください。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

輸入通関にあたり米国農務省(USDA)からの輸入許可証および日本からの輸出検疫証明書が必要になる場合があります。輸入許可証が必要かどうかは動植物検査局(APHIS)のデータベースで確認してください。

輸入許可証はUSDAのVS Permit Form 16-3を使用し取得します。なお輸入許可証が必要な場合には、初回の貨物が到着する30日前に、米国側の輸入者が申請をしなければなりません。

前述の手続きに加えて、殻付き卵についてはForm LPS-222「輸入リクエスト」を、USDAの農業マーケティングサービス(AMS)に提出します。

また輸入者は、貨物ごとに、輸入許可証のコピーをその他の通関に必要な書類とともに税関へ提出しなければなりません。輸入に課される条件は、APHISのデータベースで確認することができます。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
動物検疫所から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

日本から殻付き卵を輸入するにあたって、主な必要書類などは次のとおりです。

  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かなどを判断するために必要な関連資料・情報(Entry Summary(CBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、輸入許可証、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、輸出検疫証明書、輸入許可番号の入ったForm LPS-222など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります。)

また、日本から殻付き卵を輸入するにあたって、FDAへの食品施設登録と事前通知などが必要になります。「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

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関係省庁
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その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
米国税関・国境取締局(CBP)から入手できる情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年7月

卵については輸入される際の形態によって政府機関の管轄当局・部署が異なり、また個別製品の詳細によって取り扱いが異なるため、十分な注意と確認が必要です。

【卵製品】
米国に卵製品を輸出することが許可されている国は、カナダとオランダの2カ国のみとなっています。
【殻付き卵】
卵製品検査法(EPIA)の下で、農業マーケティングサービス(AMS)は輸入された殻付き卵をチェックする責任があります。AMSは、制限付き卵(米国のUSDAが承認した卵製品工場で処理されておらず、ヒトが消費するのに適さない卵)が適切に廃棄され、米国の消費者グレードBの基準で許可されている卵に満たないような制限付き卵が消費者に販売される卵の中に混入しないこと、さらに消費者に販売される卵が適切にラベル付けされて必要な文書(連邦規則集第7巻第57条:7 CFR Part57を参照)があることを保証するためにこれを実施します。
AMSは、米国に食卓卵を輸入する申請が行われたとき、および、国内取引のために大量の殻付き卵をリリースする前に、FDAに通知します。AMSはまた、輸入された卵が連邦規則集第21巻第118.11条(21 CFR 118.11)に従ってFDAに登録された国外の農場で生産されたものであり、連邦規則集第21巻第118.4(e)条(21 CFR 118.4(e))に従って冷蔵されていることを確証します。殻付き卵を米国に輸入するための申請には、Form LPS-222をAMSに提出するとともに、生産国の輸出検疫証明書(Health Certificate:衛生証明書)を添付する必要があります。

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根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
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米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
動物検疫所から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年7月

米国で殻付き卵や卵製品を販売するのに必要となる連邦政府が定める免許や登録はありませんが、一般的に食品の販売には、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録が必要です。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態などによって必要となる手続きは異なります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

なお、販売者が食品の保管、ラベル貼付や再梱包も行う施設の場合は、FDAへの食品施設登録が必要です。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし

米国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年7月

米国に輸入される殻付き卵や卵製品は、関税の対象となります。関税表は、米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。

表:鶏卵の関税率
HSコード 税率
0407:
鳥の卵(殻付き、生鮮、保存用、または調理済み)
2.8セント/doz.
Doz.はダース、つまり12個を意味しています。
0408:
殻付きでない鳥卵および卵黄(生鮮、乾燥、蒸し調理、水煮、成形、冷凍、その他の保存をしたもの。砂糖やその他の甘味料を加えているかどうかを問わない)
乾燥:47.6セント/kg
その他:9.7セント/kg

2. その他の税

調査時点:2023年7月

州、地方自治体へ納付する売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率は異なるため、USITC、CBP、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。

関連リンク

3. その他

調査時点:2023年7月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入者は卵の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464%で、最低29.66ドル、最高575.35ドルとなっています。さらに、船便による輸入の場合には、輸入者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国国土安全保障省税関・国境取締局(CBP)が徴収しています。

その他

調査時点:2023年7月

日本の有機JAS制度との同等性
米国は、日本の有機JAS制度を米国の有機制度と同等と認め、輸出時の手続きについて双方で合意しています。これにより、2020年7月16日から有機JAS制度による認証を受けた有機畜産物などに「organic」などと表示して、米国へ輸出できます。 対象範囲は、有機JAS制度に基づき、最終的に日本国内で生産、加工または包装され、格付けがされた有機畜産物、有機畜産加工食品および有機農畜産物加工食品(ただし、有機JASに基づく管理方法により抗生物質を使用していないと認められる家畜、家きんに由来するものに限る。)となっています。
2023年1月に、米国農務省のNOP(National Organic Program)が、有機製品の監視を強化し、不正を防止するための規則(Strengthening Organic Enforcement)を最終決定しました。新規則は、米国へ輸入されるすべての有機製品に電子NOP輸入証明書の使用を義務付け、有機認証取得には輸入業者やトレーダーを含むより多くのサプライチェーン内の企業の参画を要するなど、有機製品への信頼性強化のために、当局の監視と執行の権限を大幅に強化するものです。NOP輸入証明書の申請にはNOP 2210-1を使用します。ただし、日本の有機JAS制度と米国の有機制度との同等性の仕組みを活用した輸出については、本規制の適用前の現在でも、NOP 2210-1の様式が使用されています。本規制の適用期限は2024年3月19日です。
FDAによる食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(食品関連の規制「7.その他」を参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。