サウジアラビアの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2025年のGDP成長率は4.5%と好調な伸びを記録。
  • 鉱物資源の輸出額は減少したものの、輸出額全体は前年比2.1%増。
  • 新投資法発布。投資ライセンスの取得を廃止し、登録制度へ。投資環境の自由化も加速。
  • 日本からの輸送用機器の輸入が増加。
  • 日本とは官民における対話枠組みが制度的深化。中長期的な戦略的協力関係へ。

公開日:2026年7月10日

マクロ経済

石油部門の伸びに加え非石油部門も堅調に成長、財政赤字は中期的に低位で推移

2025年のサウジアラビアの実質GDP成長率は4.5%となり、前年の2.7%から1.8ポイント上昇した。部門別の成長率では、2023年以降に実施されていたOPECプラスによる自主的追加減産の影響が徐々に緩和され、石油生産が回復したことを背景に、石油部門が5.7%と最も高い伸びを示した。また、非石油部門が4.9%、政府部門も0.9%とそれぞれプラス成長を記録した。

産業別では、卸売・小売業・レストラン・ホテル業が6.2%で最も高い成長率となり、続いて金融・保険・ビジネスサービスが6.1%、電気・ガス・水道事業が6.0%を記録した。また、石油精製(5.8%)や原油・天然ガス活動(5.7%)も高い成長率を示し、全ての産業でプラス成長を達成した。

2025年の失業率は前年を0.3ポイント下回る3.2%だが、サウジアラビア人に限った場合は7.0%(前年7.4%)だった。そのうち、男性の失業率は4.7%(4.3%)と微増したのに対し、女性は11.1%(13.1%)と大幅に減少し、自国民全体での失業率は低下した。女性の社会進出が年々進んでおり、国家改革戦略「ビジョン2030」で掲げる女性の労働参加率は35%まで上昇、目標値の40%に近付いている(2026年5月20日ビジネス短信参照)。

2025年の財政収支予測は、歳入が1兆910億サウジ・リヤル〔約46兆1,493億円、1サウジ・リヤル=約42.3円(2026年5月6日時点)、以下、リヤル〕、歳出が1兆3,360億リヤルで、2,450億リヤルの赤字となった。

2026年の政府予算は、歳入が前年実績見込みから5.1%増の1兆1,474億リヤル、歳出が1.7%減の1兆3,128億リヤルで、財政収支は1,654億リヤルの赤字を見込む。経済多角化を促進するため、対象を絞った景気対策などの支出政策を維持しているため、財政赤字は中期的に低い水準で推移する見通しである(2025年12月12日ビジネス短信参照)。

表1 サウジアラビアの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。
項目 2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 0.5 2.7 4.5 3.7 4.5 4.8 5.0
民間最終消費支出 7.7 3.8 3.5 3.2 4.6 2.7 3.6
政府最終消費支出 5.5 3.1 △3.5 3.5 △4.1 △3.1 △8.5
国内総固定資本形成 9.4 10.1 △1.7 4.2 △7.4 △0.7 △3.1
財・サービスの輸出 △5.6 2.5 8.9 2.4 2.9 18.4 12.8
財・サービスの輸入 15.1 7.4 4.7 5.2 8.7 4.3 1.0

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。

〔出所〕サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)

貿易

再輸出を含む非石油製品の輸出額は増加、鉱物資源の輸出は減少

2025年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比2.1%増の1兆1,699億7,100万リヤル、輸入が8.8%増の9,498億2,500万リヤルだった。

輸出を品目別で見ると、機械類・電気機器・同部品が前年比91.8%増、真珠、貴石または金属とその製品、宝飾品が61.0%増、生きた動物・動物性生産品が17.1%増、卑金属・同製品が10.1%増で、輸出額の増加に寄与した。一方、全体の約7割を占める鉱物資源・同製品が3.9%減、プラスチック・ゴム・同製品も1.7%減となった。再輸出を含む非石油製品の輸出額は前年比18.9%増の3,660億8,000万リヤル、再輸出を除く非石油製品の輸出額は0.1%減の2,171億4,400万リヤルであった。

輸入では、機械類・電気機器・同部品が前年比24.6%増、真珠・貴石または金属とその製品・宝飾品が16.6%増となった一方、鉱物資源・同製品が12.6%減となり、唯一の減少品目となった。

表2-1 サウジアラビアの主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万サウジ・リヤル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物資源・同製品 842,440 809,967 69.2 △ 3.9
化学製品 78,564 82,256 7.0 4.7
機械類・電気機器・同部品 42,709 81,930 7.0 91.8
プラスチック・ゴム・同製品 72,366 71,133 6.1 △ 1.7
車両・航空機・船舶等輸送機器 38,346 39,616 3.4 3.3
卑金属・同製品 22,279 25,638 2.2 10.1
真珠、貴石または金属とその製品、宝飾品 10,257 16,518 1.4 61.0
食料品・飲料・酢・たばこ類 10,519 11,412 1.0 8.5
生きた動物・動物性生産品 7,199 8,431 0.7 17.1
合計(その他含む) 1,145,623 1,169,971 100.0 2.1

〔出所〕サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)

表2-2 サウジアラビアの主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万サウジ・リヤル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
機械類・電気機器・同部品 220,863 275,194 29.0 24.6
車両・航空機・船舶等輸送機器 125,138 129,602 13.6 3.6
卑金属・同製品 83,462 90,009 9.5 7.8
化学製品 78,630 80,567 8.5 2.5
鉱物資源・同製品 53,220 46,522 4.9 △ 12.6
真珠、貴石または金属とその製品、宝飾品 38,627 45,019 4.7 16.6
野菜類 40,773 42,512 4.5 4.3
食料品・飲料・酢・たばこ類 39,814 40,353 4.3 1.4
プラスチック・ゴム・同製品 29,267 29,835 3.1 1.9
合計(その他含む) 873,024 949,825 100.0 8.8

〔出所〕サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)

輸出を国・地域別に見ると、中国が輸出額全体の14.6%を占め、8年連続首位であったものの、前年比2.4%減であった。2位にアラブ首長国連邦(UAE)、3位にインドが続いた。サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)によると、非石油製品の中国向け品目別輸出(再輸出を含む)では、鉱物製品が1,441億9,800万リヤルで輸出額全体の84.6%を占めた。次いで化学製品が111億4,200万リヤル、プラスチック・ゴム製品が100億8,500万リヤルだった。2位のUAEは機械・電気製品が610億9,700万リヤルで輸出総額の52.1%、3位のインドは鉱物製品が766億5,900万リヤルで輸出総額の69.7%を占めた。

輸入も輸出と同様に中国が首位となっており、前年比25.1%増で輸入額全体の27.5%を占めた。中国からの品目別輸入では、機械・電気製品が1,273億4,500万リヤルで中国からの輸入額の48.7%を占め、最大品目となった。次いで輸送機器が317億6,100万リヤル、卑金属・同製品が298億リヤルであった。2位の米国も機械・電気製品が261億5,000万リヤルで最大品目となり、33.5%を占めた。3位のUAEは真珠・貴石または金属とその製品、宝飾品が205億1,300万リヤルで最大品目となり、38.0%を占めた。

表3-1 サウジアラビアの主要国・地域別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万サウジ・リヤル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 174,512 170,378 14.6 △ 2.4
アラブ首長国連邦(UAE) 86,831 117,162 10.0 34.9
インド 102,287 109,859 9.4 7.4
韓国 107,430 97,858 8.4 △ 8.9
日本 106,323 97,696 8.4 △ 8.1
米国 47,959 49,486 4.2 3.2
エジプト 32,283 43,136 3.7 33.6
バーレーン 37,065 36,578 3.1 △ 1.3
ポーランド 39,768 32,897 2.8 △ 17.3
マルタ 19,029 26,205 2.2 37.7
合計(その他含む) 1,145,623 1,169,971 100.0 2.1

〔出所〕サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)

表3-2 サウジアラビアの主要国・地域別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万サウジ・リヤル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 208,746 261,226 27.5 25.1
米国 73,748 77,983 8.2 5.7
アラブ首長国連邦(UAE) 48,125 53,930 5.7 12.1
インド 47,463 45,577 4.8 4.0
ドイツ 37,598 42,016 4.4 11.8
日本 31,835 38,197 4.0 20.0
イタリア 30,230 30,838 3.3 2.0
フランス 18,447 25,290 2.7 40.5
スイス 26,604 25,169 2.7 △ 5.4
エジプト 29,020 24,789 2.6 △ 14.6
合計(その他含む) 873,024 949,825 100.0 8.8

〔出所〕サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)

対内直接投資

新投資法発布、新規投資ライセンス発行数は前年比69%の増加

2025年の対内直接投資(FDI)の純流入額(ネット)は前年比53.2%増の1,224億リヤルであった。2025年のFDI流入額は11.7%増の1,332億リヤル、流出額は72.1%減の109億リヤルとなった。

サウジアラビア投資省(MISA)は、2024年8月に新投資法(2026年3月調査レポート参照)を発布し、2025年2月から施行した。さらに、4月には投資法施行規則も施行された。これにより、従来求められていた「投資ライセンスの取得」は廃止され、MISAへの登録制度へと変更された。また、内外無差別の原則が明確化されるなど、国家安全保障関連事項や外国企業の活動が制限・禁止される一部の分野を除き、原則として投資環境の自由化が進んだ。

MISAによると、2025年に登録された投資ライセンス数は2万4,244件(注)となり、前年比で69.3%増加した。2025年第3、第4四半期に登録されたライセンスの大部分は建設業、卸売・小売業、製造業であり、登録総数の60%以上を占めた。一方、サウジアラビア商業省(MOC)によると、2025年の商業登記件数は約48万件となり、7.0%減少した。

2024年1月に地域統括会社(RHQ)のみを政府調達の応札対象とする新ルールが施行され、同年2月には税規則が発表されたことで、不透明とされていたRHQ制度の枠組みが明確化された。その後、制度は本格運用段階に入り、2025年には詳細な規制案が公表されるなど制度整備が進展している。

RHQの設立数も増加しており、2025年には新たに143社が設立された。また、2025年10月に首都リヤドで開催されたフォーチュン・グローバル・フォーラムにおいて、ハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相は、RHQの数が最大で675社に達したと述べた。日本企業では、2025年時点で18社がRHQを設立しており、製造業や情報通信、医療分野など幅広い業種で参入が進んでいる。個別企業の新規発表は限定的であるものの、投資規模の拡大や業種の多様化が進んでいる(2025年8月7日地域・分析レポート参照)。

なお、公共調達制度については、RHQを保有しない企業であっても一定の条件を満たせば応札可能となる例外措置が制度化されており、完全義務化には至っていない。

(注)
本件数は、外国投資に係る通常の投資ライセンス(登録)を対象としたもの。違法な名義貸し行為(商業隠蔽)の是正を目的として政府が実施する「タサットゥル(Tasattur)反隠蔽イニシアチブ」の下で付与された特別措置としてのライセンスは含まれてない。

対日関係

輸送用機器の輸出額が大きく増加。バス・トラックの輸出額は67.2%増

日本の「貿易統計(通関ベース)」をドル換算すると、対サウジアラビア輸出額は前年比17.0%増の71億960万ドルとなった。輸出額の73.6%を占める輸送用機器のうち、自動車が23.4%増の50億2,606万ドルとなり、中でもバス・トラックが67.2%増の9億5,613万ドルと著増した。また、輸出額の9.9%を占める一般機械のうち、原動機が2.1倍の1億5,583万ドル、加熱用・冷却用機器が71.8%増の2,210万ドルと高い伸びを見せた。

輸入額は前年比12.5%減の261億9,901万ドルと前年に続き大きく減少した。輸入額の96.8%を占める原油および粗油は、原油価格の下落、減産などの影響により12.1%減の253億5,508万ドルで、輸入額全体の減少要因となった。その他では非鉄金属が9.5%減の1億2,659万ドルだった。

表4-1 日本の対サウジアラビア主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
輸送用機器 4,306,087 5,234,119 73.6 21.6
自動車 4,073,010 5,026,060 70.7 23.4
乗用車 3,500,078 4,069,930 57.2 16.3
バス・トラック 571,842 956,130 13.4 67.2
自動車の部品 214,529 182,929 2.6 △ 14.7
一般機械 591,196 705,921 9.9 19.4
ポンプ・遠心分離機 210,162 262,607 3.7 25.0
原動機 73,308 155,834 2.2 112.6
荷役機械 106,408 89,825 1.3 △ 15.6
加熱用・冷却用機器 12,863 22,104 0.3 71.8
原料別製品 610,711 551,224 7.8 △ 9.7
織物用糸・繊維製品 166,569 173,752 2.4 4.3
鉄鋼 227,120 161,228 2.3 △ 29.0
ゴム製品 146,474 133,533 1.9 △ 8.8
金属製品 36,506 49,404 0.7 35.3
電気機器 219,834 246,048 3.5 11.9
化学製品 194,863 197,537 2.8 1.4
合計(その他含む) 6,078,718 7,109,598 100.0 17.0

〔出所〕財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成

表4-2 日本の対サウジアラビア主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性燃料 29,201,023 25,445,272 97.1 △ 12.9
原油及び粗油 28,848,056 25,355,087 96.8 △ 12.1
化学製品 375,039 384,201 1.5 2.4
有機化合物 274,054 284,860 1.1 3.9
原料品 193,636 226,742 0.9 17.1
原料別製品 140,485 127,241 0.5 △ 9.4
非鉄金属 139,915 126,591 0.5 △ 9.5
合計(その他含む) 29,943,358 26,199,005 100.0 △ 12.5

〔出所〕財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成

官民連携の深化と投資案件の進展

2025年は、日本企業によるサウジアラビアへの投資や、サウジアラビア政府・企業との協力関係構築の動きが継続的に拡大した年となった。その基盤となったのが、「日・サウジ・ビジョン2030」の枠組みを活用した官民レベルでの対話と制度整備の進展である。

2025年1月、武藤容治経済産業相(当時)のサウジアラビア訪問にあわせて、「日・サウジ・ビジョン2030閣僚ラウンドテーブル」がリヤドで開催された。同ラウンドテーブルには両国の政府・企業関係者約200人が参加し、2025年に国交樹立70周年を迎えることを契機とした協力深化の方向性が示された。会合では、「日・サウジ・ビジョン2030」発足以降、サウジアラビアに投資する日本企業数が65社から100社へと増加していることや、日本企業によるRHQ申請が1年間で倍増したことなどが紹介された。また、日・サウジ間の協力案件が官民合わせて累計270件に達していることが示され、再生可能エネルギー、金融、eスポーツ、観光など分野横断的な連携拡大が確認された。さらに、日本企業・団体とサウジアラビア側との間で計13件の協力覚書(MOU)が締結・披露され、金融、製造業、サステナビリティ分野を中心に、両国の民間協力が具体化した(2025年1月17日ビジネス短信参照)。

2025年2月には、「第2回日・サウジアラビア外相級戦略対話」が開催され、両国は戦略的パートナーシップ評議会の設立に関する覚書に署名した。経済分野では、脱炭素、クリーンエネルギー、重要鉱物、デジタル分野などでの協力強化が確認され、日本企業の事業参画を後押しする中長期的な協力枠組みづくりが進められた。こうした制度的・外交的基盤の整備と並行して、2025年には日本企業による具体的な現地展開も進展した。

多様な分野で進む協力案件

金融分野においては、サウジアラビア公共投資基金(PIF)とみずほ銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)との間で、2024年に包括的な協力覚書が締結されている。2025年は同枠組みを基盤として、インフラ、エネルギー、脱炭素分野などにおける投資・金融分野での連携が進展した。三井住友銀行は、サウジ電力公社(SEC)向けに約10億ドル規模のシンジケートローンを主幹事として実行し、インフラ・エネルギー分野における資金供給を担った。また、JBICは、2026年1月に丸紅が参画する西部ヤンブーでの陸上風力発電事業に対し、プロジェクトファイナンスを提供するなど、脱炭素分野での具体的案件も確認されている。

一方、こうした経済協力の広がりを制度面から支える動きとして、2025年9月に日本で「第8回日・サウジ・ビジョン2030閣僚会議」が開催された。同会議では、これまでの協力進捗が確認されるとともに、新たな協力分野として自動運転の人工知能(AI)技術、デジタルインフラ、エンターテインメント分野が提示された。会議に合わせて、日本のセガ(SEGA CORPORATION)と、サウジアラビアのeスポーツ統括団体であるサウジアラビアeスポーツ連盟(Saudi Esports Federation)との間で、eスポーツ分野における協力覚書が締結・披露された。また、日本のティアフォー(TIER IV)とサウジアラビアの公共系デジタル企業エルム(Elm)との間で、自動運転分野における協力覚書が締結され、民間レベルでの連携拡大が具体化した。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のサウジアラビア・パビリオン関連行事として、2025年9月に万博会場で「日・サウジEXPO投資フォーラム」が開催され、両国の政府・企業関係者約600人が参加した。同フォーラムでは、国交樹立70周年および万博開催を背景に、製造業、エネルギー(水素・再生可能エネルギー)、デジタル、宇宙、観光・エンターテインメント分野を中心とする「ビジョン2030」関連の投資機会が紹介された。また、2030年のリヤド万博に向けた協力や万博運営ノウハウの共有、新産業分野での連携が確認され、計19件の覚書が披露された(2025年10月2日ビジネス短信参照)。

日本企業の現地展開の進展

また、同フォーラムでは、ゲーム・エンターテインメント分野における象徴的な投資案件も発表された。日本のジェイピー・ユニバース(JP UNIVERSE)は2025年9月、リヤドに現地法人を設立した。同法人は、MISAとの基本合意の締結とあわせて設立され、オリジナルゲーム開発の中核拠点として位置付けられており、両国間のコンテンツ産業における協力深化を象徴する事例となった。

このように、2025年は官民両面における対話枠組みが制度的に深化し、日本企業によるサウジアラビア市場への関与は、個別案件ベースから中長期的な戦略的協力の段階へと移行しつつある。今後も、「サウジ・ビジョン2030」関連プロジェクトを軸として、日本企業の投資および進出案件のさらなる拡大が期待される。

なお、2026年2月末以降のイスラエル・米国とイランの衝突を巡る地域情勢の緊張の高まりを受け、中東地域の政治・経済情勢は不確実性を増している。とりわけ、ホルムズ海峡の一時運航停止により、世界的にエネルギーや物資の供給への影響が懸念されている。サウジアラビアの物流については「2026年4月28日5月8日地域・分析レポート」、また、中東情勢と世界各国の動きは特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」にもまとめている。

基礎的経済指標

(△はマイナス値) 〔注〕 失業率:サウジアラビア人、外国人含む 貿易収支:国際収支ベース(財のみ) 為替レート:米ドルペッグ制
項目 単位 2023年 2024年 2025年
実質GDP成長率 (%) 0.5 2.7 4.5
1人当たりGDP (米ドル) 36,157 35,528 35,464
消費者物価上昇率 (%) 2.5 1.5 2.0
失業率 (%) 4.0 3.5 3.2
貿易収支 (10億サウジ・リヤル) 424 273 220
経常収支 (100万米ドル) 25,948 △ 16,254 n.a.
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 436,527 436,769 459,796
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) n.a. n.a. n.a.
為替レート (1米ドルにつき、サウジ・リヤル、期中平均) 3.75 3.75 3.75

〔注〕
失業率:サウジアラビア人、外国人含む
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
為替レート:米ドルペッグ制

〔出所〕
実質GDP成長率、失業率、貿易収支:サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)
1人当たりGDP、消費者物価上昇率、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
経常収支:世界銀行