「日・サウジEXPO投資フォーラム」開催、リヤド博に向け協力強化
(サウジアラビア、日本)
海外ビジネスサポートセンタービジネス展開課
2025年10月02日
ジェトロは9月24日、サウジアラビア政府、経済産業省、中東協力センターと共催で、「日・サウジEXPO投資フォーラム」を2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のホールで開催し、両国の官民関係者約600人が参加した。
フォーラムでは、日本とサウジアラビアの国交樹立70周年と、日本での万博開催が重なる節目に、両国の協力関係を振り返るとともに、2030年にサウジアラビアで開催されるリヤド万博に向けた展望や、同国への投資の魅力について紹介した。
古賀友一郎・経済産業副大臣は開会あいさつで、「第8回日・サウジ・ビジョン2030」閣僚会議が9月22日に東京で開催され、経済産業省とサウジアラビア投資省との間で、日本が大阪・関西万博の運営ノウハウを体系的にリヤド万博に伝える枠組みの構築に合意したと述べた。また、自動運転の人工知能(AI)技術や宇宙関連技術などの新たな分野で連携を深めるとした。
サウジアラビアのハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相は開会あいさつで、次のポイントに言及した。
○日本との関係
日本は第3位の貿易相手国で、サウジアラビアは日本の石油輸入の約4割を担っている。サウジアラビア国内には120社超の日系企業が進出し、うち18社が地域統括会社(RHQ)だ。日本からの対サウジアラビア直接投資は横ばい状態にある。
○経済変革
サウジアラビアは国家戦略「ビジョン2030」の下、経済の多角化と国際統合を推進している。同戦略を発表した2016年以降、対内直接投資は4倍となり、320億ドルに達した。非石油分野への投資が対内直接投資の9割を占め、経済構造の転換が進む。
○投資機会・協力分野
- 特別経済特区:競争力あるインセンティブとインフラを整備し、日本企業に中東・北アフリカへのハブ機能を提供。
- サプライチェーン強化:外的ショックに強い持続可能な供給網の構築を支援。日本企業の価格競争力維持と多元的な調達体制構築に寄与。
- エネルギー:エネルギー安全保障と持続可能性を両立し、水素分野で日本と協力。ギガプロジェクト(NEOM)では、世界最大規模のグリーン水素プラントを建設中で、日本企業の投資や水素調達への関与を期待している。
- 金融:サウジアラビア証券取引所(Tadawul)は投資適格格付けを有し、安定的な収益が期待できる。日本の金融機関に対し、プロジェクトファイナンスやグリーンボンド(注)を通じた参画を呼びかけたい。
ハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相の開会あいさつ(ジェトロ撮影)
また、日本企業・団体とサウジアラビア政府・企業・団体間で19件の協力覚書(MOU)締結が発表された。
(注)グリーンボンドとは、企業や自治体などが発行する債券の一種で、グリーンプロジェクトのために低コストで長期資金を調達するためのもの。調達した資金の用途は環境問題の解決に資する事業に限定される。
(藤本海香子)
(サウジアラビア、日本)
ビジネス短信 67ef82a03c3b5321