日本からの輸出に関する制度

コメの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するコメのHSコード

1006.20:玄米
1006.30:精米(研磨の有無またはつや出しの有無を問わない)
1102.90:米粉など(小麦粉およびメスリン粉、とうもろこし粉、大麦粉および裸麦粉などを除く)
1904.9010コメの調整食料品(あらかじめ加熱による調理その他の調製をしたもの)

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国は、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英EPAを享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載していますので、北アイルランド議定書などに関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」およびジェトロビジネス短信を確認してください。

※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文は、ページ左側の「Latest available(Revised)」で最新時点のものを確認してください。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。なお、調査時点では、コメに関して、英国独自の輸入禁止(停止)や制限品目(放射性物質規制など)の存在は確認されていません。
また、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(グレートブリテン)にかかる規制について記載し、北アイルランド議定書に関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」または、ジェトロビジネス短信を確認してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了後も、移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。本項目に関しては、特記すべき変更事項は確認されていませんが、広く輸出者側で必要な手続きとしては、ほかの項目に記載の日英EPAや有機食品に関するものなど、英国独自の規制・手続きがあります。

英国に輸入する前に必要な手続き(EORI番号の取得など)に関しては、輸入手続きの「1.輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」の項を確認してください。

主要食糧の需給および価格の安定に関する法律
コメを日本から海外へ販売などの目的で輸出する場合は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)第36条に基づき、事前に最寄りの農政局管内の窓口へ輸出数量の届け出を行うことが義務付けられています。届け出を行わなかったり、虚偽の届け出によりコメを輸出したりした場合には、20万円以下の過料に処せられることがあるため注意が必要です。個人的使用に供するために非商業的に輸出される米穀や、コメ加工品(レトルト米飯、米粉など)は届け出の必要はありません。詳細は関連リンクの「米麦等を輸出される方へ」(農林水産省)を確認してください。
原産地証明書
日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)の適用を受けるには、原産地証明(日本原産の証明)が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。詳細は税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。
輸出側としては、日英・EPA に定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日英・EPA 自己申告および確認の手引き(2020 年 12 月)」に記載されているとおり、同 EPA 第 3 章 附属書 3-Eに規定された原産地に関する申告文を日本語または英語で、インボイスその他の商業上の文書上に記載することとなっています。

申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄空欄で可。)
その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」を参照してください。

その他、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象となる場合があるため、注意が必要です。詳細は、ジェトロの「英国・菓子の輸入規制、輸入手続き」または「英国・調味料の輸入規制、輸入手続き」のウェブサイトを参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、移行期間終了時点のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。

日本から英国にコメを輸出する場合、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。ただし、栽培用のコメについては植物検疫証明書が必要となります。

ただし、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になるため、注意が必要です。

※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文は、ページ左側の「Latest available(Revised)」で最新時点のものを確認してください。

英国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、上市されるすべての製品に対して同水準の品質を保証するという観点から、消費者に新鮮な状態で供給される農産物や水産物を中心に取引規格(marketing standard)が定められていますが、コメについては、取引規格は定められていません。

ただし、輸入ライセンスにかかる維持規則(EU)No 2016/1237および維持規則(EU)No 2016/1239に記載されているとおり、維持規則(EU)No 1308/2013に規定されるANNEX IのCNコード、ANNEXII に記載されている英国市場におけるもみ殻付のコメ(脱穀前の状態のコメpaddy rice)、玄米を含む籾米(husked rice)、半精米(胚芽精米semi-milled rice)、精米(wholly milled rice)、短粒種(round grain rice)、中粒種(medium grain rice)、長粒種(long grain rice A or B)、砕精米(broken rice)の定義を順守する必要があります。これらの定義は基本的にはコーデックス規格とほぼ同じ基準ですが、胚芽精米(semi-milled rice)や砕精米(broken rice)に関しては、英国市場が定める定義にのっとる必要があります。

なお、パックご飯や米粉に関する食品規格は定められていませんが、英国に輸入される食品については、維持規則(EC)178/2002に基づき、英国が求める食品に関する要件またはそれと同等と認められた要件(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)に適合している必要があるため、注意が必要です。食品衛生に関する要件は、維持規則(EC)852/2004のANNEX IおよびIIに食品事業者に関する一般的な衛生基準が定められています。

加えて、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になるため、注意が必要です。

関連リンク

2. 残留農薬

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit、MRL)が規定されています(欧州議会・理事会維持規則(EC)No 396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの下限値が適用されます。
すべての食品に対するMRLは、「GB MRL register(英国農薬データベース)」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。その他、詳細はジェトロ調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」も参照してください。

なお、パックご飯のような加工食品や混合食品についても本規制の対象となりますが、加工食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていません。ただし、原材料として使用するコメなどについては設定されたMRLを順守する必要があります。

いもち病対策として使用されることが多いトリシクラゾールについて、2017年6月30日から、MRLが1mg/kgから0.01mg/kgに大幅に引き下げられました。日本でのトリシクラゾールのMRLは3ppm(=mg/kg)であり、英国とは基準値が大きく異なるため、注意が必要です。
コメなどに使用されている農薬活性成分であるイプロジオンもEU(英国を含む)での登録が撤回されたことに伴い2019年7月31日からコメのMRLは0.01mg/kgに引き下げられています。詳細は、ジェトロ調査レポート「EU農薬登録規制改正が輸出に与える影響調査(2019年3月)」を参照してください。

なお、パックご飯のような加工食品や混合食品についても本規制の対象となりますが、加工食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていません。ただし、原材料として使用するコメなどについては設定されたMRLを順守する必要があります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 396/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「令和元年度日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)
ジェトロ EU農薬登録規制改正が輸出に与える影響調査(2019年3月)
英国農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁食品の残留農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、欧州委員会維持規則(EC)No 1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会維持規則(EEC)No 315/93 Article 1(1))。

コメの場合、アフラトキシン、オクラトキシンA、カドミウム、メラミン、無機ヒ素の残留濃度の上限値が規定されています。
アフラトキシンについては、最も毒性の強いアフラトキシンB1単独での上限値と、B1・B2・G1・G2の総量の上限値がそれぞれ定められています。

汚染物質の上限値(コメ)
物質名 上限値 対象品目
アフラトキシン B1:5.0㎍/kg ヒトの消費/食品原材料として使用する前に選別その他の物理的処理を経るコメやトウモロコシ
B1,B2,G1,G2の総量:10.0㎍/kg
B1:2.0㎍/kg 前述および乳児・幼児向けを除くすべての穀物および穀物加工品※1
B1,B2,G1,G2の総量:10.0㎍/kg
オクラトキシンA 5.0㎍/kg 未加工穀物
3.0㎍/kg 穀物加工品およびヒトが直接消費する穀物を含む、未加工穀物から作られるすべての製品※2
0.2mg/kg 穀物および豆類
カドミウム 0.2mg/kg コメ
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
無機ヒ素 0.2mg/kg 精白米(パーボイルド加工なし)
0.25 mg/kg パーボイルドライスおよび玄米
過塩素酸イオン 0.01mg/kg 乳幼児用向け食品など

その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC) 850/2004は新規則(EU) 2019/1021により改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。
なお、コメそのものには直接関連しませんが、コメ調理品などEU域内(英国を含む)で流通する食品は維持規則(EC) 2073/2005に規定される微生物学的基準を順守する必要があります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 2073/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) No 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁汚染物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素のポジティブリストについては、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC)
1333/2008
それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。
食品香料 維持規則(EC)
1334/2008
それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
食品酵素 維持規則(EC)
1332/2008
植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。

また、食品添加物には「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物の使用可否とその許容含有量についても確認する必要があります。カテゴリーごとに検索する場合、欧州委員会データベースにおいて、パックご飯は、サブカテゴリ―6.7「Pre-cooked or processed cereals」に属する。)で確認することが可能ですが、最終的な根拠法令としては、英国における維持規則(EC)1333/2008 に基づいています。

また、維持規則(EU) 2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する維持規則(EC) 1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。 食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または、通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品を「食品接触素材(FCM:Food Contact Material)」と呼んでいます。維持規則(EC) 1935/2004により、すべての食品接触素材は、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています。

また、維持規則(EC)2023/2006において、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

食品接触素材に関する主な規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU)
10/2011
ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC)
450/2009
食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC)
282/2008
同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令
84/500/EEC
カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令
2007/42/EC
ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
維持規則(EU)2018/213:BPA(ビスフェノールA)
維持規則1895/2005/EC:エポキシ樹脂
維持指令93/11/EEC: ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

なお、英国向け、ウェールズ向け、北アイルランド向けの食品接触材の国内法が制定されています。関連リンクをご参考ください。

6. ラベル表示

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、ラベル表示についても、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則
英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、2022年9月30日までにラベル表示を英国の規則に基づき変更する必要があることとされています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとされているものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・農村地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、FBO住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。
EU維持規則で規定されるラベル表示規則
英国では、食品のラベル表示は、欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011で規定されています。ただし、英国の保険医療法案により同規則を修正することが示唆されているため、今後、EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。
調査時点で、英国で流通する食品全般(最終消費者向けおよび調理施設(レストラン、食堂など)向けの輸入食品を含む)には欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011が適用されており、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
コメやパックご飯を輸出する場合、同規則Article 9およびEU維持指令2011/91/EUに基づき次の項目を表示する義務があります。なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。


英国におけるラベル表示に関する規則
コメ・米粉 パックご飯 項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
(1)法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
(2)慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
(3)説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
原材料リスト 原則として、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。
ただし、加工助剤や最終製品に技術的な機能を持たない担体(キャリアー)などについては同規則20条を参照。
単一原材料の「コメ」や「米粉」で食品の名称同一の「コメ」や「米粉」である場合は不要。
アレルギー物質 表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が1キロ/1リットル当たり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
ただし、コメはアレルゲン物質には該当しないため、実質的な表示義務はありません。
特定原材料の分量 次の場合には、原材料の分量を表示する必要があります。
  • 当該原材料が食品の名称に使用されている場合
  • 当該原材料がラベル上で言葉・写真・図で強調されている場合
  • 当該原材料がある食品を特徴づけ、名称や見た目が類似する他の製品と区別するのに必須な場合
正味量 重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。 文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC により、次のとおり規定されています。
公称重量 (g) 許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量 に対する% g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
義務ではありませんが、表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。英国でも2021年1月1日以降も引き続き表示することが可能です。
eマーク

〇g
図:eマーク

賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the‘use by’date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。
例:「Keep in the fridge below 5℃(冷蔵庫で5℃未満で保管)」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 包装済み食品またはチーズの主成分になるカゼインを当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO)
(英国内事業者でない場合は、英国への輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示 次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号(EU維持指令2011/91/EU) 英国内の小売りで流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。(LOTなど)明確な表示の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。

食品のラベルに使用される言語は、英語となり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上


補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起)
その他、維持規則(EU)No 1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。例えば、パックご飯などで、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんしたガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規制ANNEX III)。
【グルテンフリー食品】
実施維持規則(EU) 828/2014により、グルテン含有量が20mg/kg以下である場合には「gluten-free」の表示が可能です。その際には、「gluten-free」の表示とともに「suitable for people intolerance to gluten(グルテン不耐症のヒト向け)」または「suitable for coeliacs(セリアック病患者向け)」の文言を付すことも可能です。
【遺伝子組換え食品】
維持規則(EC) 1829/2003により、認可を受けた遺伝子組換え作物のみが英国内での流通・販売を認められており、遺伝子組換え作物を含む食品を流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組換え食品を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組換え)」または「produced from genetically modified (name of ingredient)(遺伝子組換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified(name of organism)(遺伝子組換え(生物名)を含む)」または「contains(name of ingredient) produced from genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。
【新規食品】
維持規則(EU)2015/2283により、EU内で新規食品を市場に出すための規則が定められています。原材料として新規食品を使用する場合には、新規食品の認可リストを確立する実施規則(EU) 2017/2470に規定される新規食品の特定の表示要件に従う必要があります。
【栄養・健康に関する強調表示】
維持規則(EC)1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(英国リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素等・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。


関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 農村決済局 (RPA : Rural Payments Agency )(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 828/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令94/62/CE (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
維持規則(EC)1829/2003(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令76/211/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 2021年1月1日からの飲食物のラベル表示の変更について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
欧州委員会Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会Your Europe: e-mark(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)
ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)

7. その他

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

1)英国外から輸入される食品については、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002に基づきEU維持規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。

2)英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

英国の食品の食品衛生要件に関しては、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 852/2004 (一般食品衛生規則)と欧州議会・理事会維持規則(EC)No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 178/2002外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 852/2004外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 853/2004外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「令和元年度日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の輸入業者として必要な情報
英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度英国の輸入にかかる通関手続き」で確認することができます。
【EORI番号について】
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入します。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。
GB EORI番号は、英国で輸出入通関を行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイトを参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
輸入ライセンス等
移行期間が終了した2021年1月1日以降も、EUの共通農業政策(CAP)保護対象農産品に適用されていた欧州委員会委任維持規則(EU)2016/1237および欧州委員会維持規則(EU)No 2016/1239 が引き続き適用されています(ただし、英国はEUのCAPから離脱し、保護対象農産品などに変更がある点に留意が必要)。これらの維持規則に基づき、玄米または精米を、1トンを超えて輸入する輸入事業者は、事前に輸入ライセンスを取得する必要があり、1トン当たり26ポンドの担保預入が求められます。ただし、担保預入額が、500ポンド以下の場合、所定の宣誓文書を提出すれば、担保預入が不要となる可能性があります。さらに、同宣誓文書に当該取引の関係者がすべて署名同意した場合、担保預入額が100ポンド以下であれば、預入は不要となります。
一方、WTO輸入関税割当制度を利用する場合(関税割当番号05.4148、05.4130、05.4119、05.4166)、当該制度に基づく輸入ライセンスの取得が必要であり、こちらの担保預入額は、1トン当たり40ポンドです。
輸入ライセンスを取得すると、輸入の許可と同時に義務も負います。輸入量の実績が許可された量の±5%以内であれば、輸入義務が果たされたとみなされます。輸入義務が果たされなかった場合、預け入れた担保は払い戻されません。
輸入ライセンスを取得した輸入事業者には、当該ライセンスに定められた有効期間内に、当該ライセンスで定められた数量(±5%)を輸入することが認められます。輸入ライセンスは、貨物が税関に到着するまでに取得する必要があります。
また、輸入ライセンスの有効期間は、取得した月から2カ月後の月末までとされています。輸入関税割当制度を利用する場合は、輸入ライセンスの申請受付期間が限定されているため、注意が必要です(英国の場合、1月、4月、7月、9月の各月の最初の10営業日)。
英国の場合、環境・食糧・農村地域省(Department of Environment, Food and Rural Affairs: Defra)所管の行政機関であるRural Payments Agency(RPA)がライセンスを管理しており、輸入ライセンスを取得するためには、事前にRPAへの事業者登録が必要です。ライセンスはEメールまたは郵送による申請が可能で、電子ライセンスが発行されます。 申請様式は、英国政府サイト(Rural Payments Agency(RPA))内に掲載されています。
英国政府のガイダンスによると、輸入関税割当制度外の輸入については、これまでと同様のライセンス取得手続きになるとされています。詳細は英国政府の当局に問い合わせください。
混合食品
その他、調理済みパックご飯など、原材料に動物由来加工製品を含む場合には、混合食品規制が適用されるため、注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
英国 農村決済局 (RPA : Rural Payments Agency )外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則 (EU) No 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 2016/1237(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 2016/1239(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU) 1273/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
2020年The Customs (Tariff Quotas) (EU 離脱法)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
コーデックス・アリメンタリウス(STANDARD FOR RICE CXS 198-1995)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「輸入/輸出英国農業政策品」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 CAP 保護品目の輸入について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 CAP保護品目の輸出入に関するガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(207KB)
英国政府 関税割当制度の下での輸入ライセンス(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(267KB)
英国政府 一般の輸入ライセンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 関税割当の輸入ライセンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農村決済局 (RPA) 通商通知 Trader Notice 38/20PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)175KB
農村決済局 (RPA) 通商通知 Trader Notice 39/20PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)157KB
英国政府 申請様式(Rural Payments Agency(RPA))PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)241KB
英国政府 英国農業政策(UKAP)農産物の輸出入者の登録のガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 EORI番号について(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農村決済局 (RPA) 通商通知 Trader Notice 84/21外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府特定の農産物の輸出入に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年8月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

日本から英国にコメを輸入する際に、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document C88フォーム))
    英国外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施維持規則(EU)2016/341 Appendix B1および英国政府のサイトに記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は維持規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB
    有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。

なお、動物由来成分を含む食品を輸入する場合、公的管理の維持規則(EC)2017/625により、貨物の到着1日前までに電子システムIPAFFS経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EU)No 2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU)2016/341(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
英国政府SAD(C88)様式(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFS(飼料、食品、動物および製品の輸入システム)のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国に日本からコメやパックご飯を輸入する場合、特別な検疫上の措置は求められません。ただし、公的管理の維持規則(EU)No 2017/625第44条および第47条に基づき、通常国境管理所で公的管理の対象とならない製品も、リスクに応じた適切な頻度で定期的に、英国の食品衛生基準に適合しているか、消費者を誤認させる可能性があるかどうかのサンプリング検査をしており、書類検査または、同一検査あるいは現物検査が実施される場合があります。

検査に要した費用は請求されます。

関連リンク

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

ただし、英国で販売される食品については、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制(英国を含む)が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Artile 11)。同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

この衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、欧州議会・理事会維持規則 (EC) No 852/2004(一般食品衛生規則)、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 853/2004(動物由来食品衛生規則)
そして、欧州議会・理事会維持規則(EU)2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

また、コメそのものの販売には関連しませんが、動物性食品を使用するパックご飯やコメ調理品などの輸入に関しては動物由来成分の製造施設のEU HACCP衛生認可の取得などが必要となる場合があります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。

5. その他

調査時点:2021年9月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。

日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれている場合、原産性は日英・EPAの品目別原産地規則に基づいて判断してください。判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

なお、コメ、コメ粉、コメ由来の調理品は関税撤廃の対象外です。

日英 EPAにおける玄米および精米が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率(UKGT) 日英・EPA適用
1006.20.9200
玄米のうち短粒種
25.00ポンド/1,000kg 25.00ポンド/1,000kg
1006.30.9210
完全精米(研磨してあるかないかまたはつや出ししてあるかないかを問わない)
短粒種のうち、正味重量が5キログラム以下に包装されたもの
121.00ポンド/1,000kg 121.00ポンド/1,000kg
1006.30.9220
完全精米(研磨してあるかないかまたは、つや出ししてあるかないかを問わない)
短粒種のうち、正味重量が5キログラム超20キログラム以下に包装されたもの
121.00ポンド/1,000kg 121.00ポンド/1,000kg
1006.30.9290
完全精米(研磨してあるかないかまたは、つや出ししてあるかないかを問わない)短粒種のうちその他のもの
121.00ポンド/1,000kg 121.00ポンド/1,000kg
1904.90.10
コメ由来の事前調理品
100kgあたり8.30% + 38ポンド 100kgあたり8.30% + 38ポンド
1102.90.50
米粉など
115ポンド/1,000kg 115ポンド/1,000kg

なお、精米については、行政委任立法2020 No. 1432に基づき、米国、タイ、オーストラリア以外のすべての国の合計で年間一定数の輸入関税割当が設けられています。この割当の枠内に該当する輸入については、関税率がゼロに設定されます。
また、玄米についても、同規則に基づき、従価税が15%、EU以外のすべての国の合計で年間218トンの輸入関税割当が設けられています。なお、日本産の玄米の場合、通常、価格単価が高いため、関税割当を用いた場合の関税率よりも、通常の関税率の方が低くなる場合があります。
輸入関税割当を利用するには、輸入ライセンスを取得し、担保額(40ポンド)を預ける必要があります。輸入ライセンスについては、「輸入手続き」の「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」の項を参照してください。

2. その他の税

調査時点:2021年9月

英国へのコメの輸入販売において、VATは課されません。

3. その他

調査時点:2021年9月

なし

その他

調査時点:2021年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。また、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

有機食品に関する規制
2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合、英国の規則(イングランド、ウェールズ、スコットランド)を順守する必要があり、EUの規則と類似のものとなっています。英国に有機食品を輸入する場合、英国の有機認証団体から認可を受け、その詳細を商品のラベルに記載することが必要です。また、2021年1月1日以降、英国の食品にEUの有機ロゴを利用することはできません。
ただし、英国はEU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイスの有機認証の同等性を2023年12月31日まで認めています。このため、この期間はEUなどで有機認証されている食品は、英国で有機食品として登録することが可能です。(EUの有機認証食品をEUから英国に輸入する場合、2022年7月1日まで検査認証(COI certificate of inspection)も不要。)
日本の特定の有機JAS食品は、調査時点で、英国との間で同等性が認められており、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)に有機食品として輸出できますが、紙ベースの有機食品の輸入検査認証(COI)が必要となります。
英国に有機食品を輸入する際、EUの TRACESシステムは利用できません。ただし、北アイルランド向けはEUの TRACESシステムを経由する必要があります。詳細はジェトロポータルサイトEU向け「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。
英国で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会維持規則(EC)No 834/2007および維持規則(EC)1235/2008で規定されています。