日本からの輸出に関する制度

混合食品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するHSコード

(ただし、必ずしも次のHSコードに該当するものが混合食品に分類されるわけではない点、また、次のコード以外にも混合食品に該当するHSコードがある点に留意してください。)

1604:魚(調整しまたは保存に適する処理をしたものに限る)、キャビアおよび魚卵から調製したキャビア代用物のうち混合食品に分類されるもの
1902:スパゲッティ、マカロニ、ヌードル、ラザーニヤ、ニョッキ、ラビオリ、カネローニ、その他のパスタ(加熱による調理をし、肉その他の材料を詰めたまたはその他の調製をしたものであるかないかを問わない)およびクースクース(調製してあるかないかを問わない)のうち混合食品に分類されるもの
2005:調製または保存に適する処理をしたその他の野菜(冷凍してないものに限る)のうち混合食品に分類されるもの
2104:スープ、ブロス、スープ用またはブロス用の調製品および均質混合調製食料品のうち混合食品に分類されるもの
2106:調製食料品(他の項に該当するものを除く)のうち混合食品に分類されるもの

英国では、動物性加工済原材料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特別な規制を設けています(維持決定2007/275/EC第2条)。加工の程度や種類によっては、「動物性未加工食品」や「肉製品」に分類され、「混合食品」とは見なされない場合があります。事前に、混合食品に該当するか判断に迷う場合は、英国の国境管理所(BCP:Border Control Post)に確認することもできます。
混合食品の定義やリスク分類の詳細は、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を確認してください。

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国は、多くのEU規制が引き継がれているものの、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点にも留意してください。なお、北アイルランドは英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英包括的経済連携協定(日英・EPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)を享受できますが、食品規制に関してはEU規制が適用されます。本ポータルサイトでは特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

EUは2021年4月21日以降、植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度へ移行しており、関連規則がEUと英国で相違が生じている点にも留意してください。

例えば、EUにおいては2021年4月21日から新しい混合食品の規則に関する制度が適用されており、混合食品の分類方法や添付書類が英国のものとは異なるため、注意が必要です。英国の規則では、動物性加工済原料の割合(50%未満など)によるリスク分類がされていますが、EUの新規則では割合によるリスク分類はされていません。

なお、「公的管理」とは、国外から輸入する食品などに関して、次の各分野に関する英国国内法化されたEU法令・その他のルールへの適合有無を政府当局による統一的な手続きなどにより、確認・検査することを指します。同制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など)の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

関連リンク

※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available(Revised)」で最新時点のものを確認してください。

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年8月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている可能性に留意してください。

混合食品の英国への輸入条件は、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」および「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等」の項を、英国輸入時の国境検疫検査(公的管理)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3. 輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

英国の輸入業者として必要な情報

英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたり、VAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」に登録したアカウントなどの情報が必要となります。その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1.英国の輸入にかかる通関手続き」の項を確認してください。

EORI番号について
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入しました。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。
GB EORI番号は、英国で輸出入通関手続きを行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイト(Get an EORI number)を参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年8月

混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて注意が必要です。

個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除き、輸入港の英国の国境管理所(BCP:Border Control Post)に貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、英国独自の電子システムである「IPAFFS」を通して行います。また、EU向け輸出製造者としてTRACESに登録している場合は、英国向けに輸出を行う場合に、情報をIPAFFSにあらためて登録する必要があります。詳細は、次項の「3. 輸入時の検査・検疫」で確認してください。

日本から混合食品を英国に輸入する際には、次の書類が必要になります。輸入申告の前に、輸入者は「輸入手続き」の「1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録等(登録に必要な書類)」の項に記載のとおり、英国の輸入業者として必要な手続きを、あらかじめ終えている必要があります。

  1. 通関申告書通常の輸入申告または簡易輸入申告においても、輸入者は、CDS(Customs Declaration Service)の電子通関処理システムを通じて、電子申告を行う。単一貨物識別番号(UCR:unique consignment reference)の情報も必要です。旧システムの、CHIEFシステムは2023年3月31日に終了し、CDSが2024年3月31日より単一のプラットフォームに移行されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書:P/L)
  4. その他、通関業者に求められるCustoms Declaration Service (CDS)に必要な情報(IORI番号、請求書、契約書、商品説明、認証や証明など)
  5. VATを支払うためのアカウント(duty deferment account)
  6. 船荷証券(B/L:Bill of Lading)/航空運送状(AWB:Air Waybil)
  7. 公的証明書(動物衛生証明書Health certificatesや公衆衛生証明書が必要な場合)および識別マーク・その他必要に応じた証明書。共通衛生入域文書(CHED:Common Health Entry Documents)に必要な情報やIPAFFSシステム申請のため入力事項
  8. 有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。
  9. 公的証明書が不要な場合、当該動物性原材料がEUへの輸入が認められた第三国産のものであることおよび認定施設で加工されたことを示す商業文書など

簡易輸入申告適用のための申請資格・方法については英国政府のウェブサイトで確認することができます。

また、日英包括的経済連携協定(「日英・EPA」)や環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。

輸入時の獣医検査については、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)(No. 2)規則 (2020 No. 1631)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)28/2012(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU)2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則 (EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持決定2007/777 /EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)605/2010(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)798/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)206/2010(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国政府「ヒトの消費向け混合食品に関する法定ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「混合食品の動物衛生証明書の様式 (COMP)」(2023年8月版)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(209KB)
英国政府 BCP所在地について「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts (BCP) in the UK」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 簡易輸入申告 ガイダンス(英語) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 輸入申告(非簡易申告)ガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国向け税関申告の(経過措置後の)要件 ガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 ガイダンス「税関手続きを(通関業者などに)依頼する前に確認すべき点」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA)「輸入情報通知(IIN) 動物製品の獣医検疫 」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省 日英包括的経済連携協定(日英EPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局・税関「日英 EPA 自己申告及び確認の手引き(2020 年 12 月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(704KB)
ジェトロ「日英EPA関連情報」
ジェトロ「日英EPA解説書:日英EPAの特恵関税の活用について」PDFファイル(9.2MB)
税関「EPA・原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.5MB)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
ジェトロ ビジネス短信 (2024年08月13日)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年8月

混合食品に関しては、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて注意が必要です。

英国では、輸入食品に対して「国境目標運用モデル(BTOM:Border Target Operating Model)を導入し、リスク分類に基づく国境管理を強化しています。
2024年4月30日から日本を含む、EU域外から英国へ輸入される「混合食品」は、「中リスク」または「低リスク」に区分されます。「中リスク」に分類される混合食品は、衛生証明書が必要で、完全な事前通知、文書検査、同一性検査、現物検査が実施されます。常温で保存可能で、特定の処理で滅菌されている混合食品に関しては「低リスク」に分類され、IPAFFSによる事前通知のみで通関できます(衛生証明書が不要)。 維持決定 2007/275/EC第6条に該当する混合食品は、BTOMにおける「中リスク」「低リスク」の分類の対象からも除外されているため、BTOMの運用においても国境における公的管理が免除されます。

「中リスク」に区分される混合食品に関しては、BTOM導入前に比べて、同一性検査の検査頻度が100 %から1~30%に、現物検査の検査頻度が15~30%から1~30%にそれぞれ引き下げられています。詳細は、ビジネス短信記事でも確認することができます。

事前通知と輸入港

英国の国境管理所(BCP:Border Control Post)での動物検疫検査(公的管理)の対象となるのは、肉製品を含む混合食品、動物性原材料を50%以上含有する混合食品、「安定していない」混合食品、維持決定2007/275/ECのANNEX Iに規定されるCNコードの混合食品(維持実施規則(EU)2019/2007)です。

このため、公的管理の対象法令などに基づき、添付が求められる公的証明書、公的証書(当局の管理下で発行される識別マークやラベル)、商業文書などの書類が必要な要件を満たしているかどうかの審査やリスクに応じて同一性検査と現物検査が実施されます。 混合食品に該当するか、混合食品の分類に判断に迷う場合は、事前に、英国の国境管理所(BCP:Border Control Post)に確認するようにしてください。

表9 維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されるCNコード※1
分類 CNコード/品目
第15類 動物性、植物性又は微生物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう 1501、1502、1503、1504、1505 00、1506 0000、1516 10、1517、1518 0091、1518 0099、1521 90 91、1521 90 99、1522 00※2
0209、1804 、0405、2301、2304、2305 、2306、1518に分類されるものはこれに分類されない
第16類 肉、魚、甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物又は昆虫類の調製品 ※3 1601 00、1602、1603 00、16 04、16 05
第2類、3類、0504に分類されるものはこれに分類されない
第17類 糖類及び砂糖菓子 1702(人工はちみつ及びカラメル、乳糖、ブドウ糖なども含む)
2940に分類されるものはこれに分類されない
第18類 ココア及びその調製品 1806(チョコレートその他のココアを含有する調製食料品)
0403、1901、1904、1905、2105、2202、 2208、 3003、3004に分類されるものはこれに分類されない
第19類 穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品 19 01、1902 11 00、1902 20 10、1902 20 30、1902 20 91、1902 20 99、1902 30、1902 40、1904 10 10、1904 90 10、19 05
第20類 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品 20 04、20 05
第21類 各種の調製食料品 2103 90 90、21 04、2105 00、2106 10、2106 90 92、2106 90 98
第22類 飲料、アルコール及び食酢 2202 90 91、2202 90 95、2202 90 99、2208 70
第99項 9930 24 00(CNコード第1項~24項に分類され、船便または航空便で第三国から配送される混合食品)

9930 99 00(上記以外で船便または航空便で第三国から配送される混合食品)

動物検疫検査(公的管理)の対象となる混合食品を輸出する場合には、必ず、動物検疫検査の実施が可能なBCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは、英国政府のウェブサイト「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts(BCP)in the UK」で確認することができます。

さらに、BCPに貨物が到着する24時間前までに電子システムIPAFFS経由で事前通知を行う必要があります。本事前通知に関しては、EUのウェブシステム「TRACES」から、英国独自の電子システムである「IPAFFS」に変更されています。また、英国向けに輸出を行う場合、EU向け輸出製造者として「TRACES」に登録している情報を「IPAFFS」にあらためて登録する必要があります。

この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通衛生入域文書(CHED)」で要求される情報を添える必要があります。

維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードについては「2 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の表5を確認してください。

公的管理・国境管理所におけるチェック
ヒトの消費を目的とする特定の動物および製品の貨物の英国への入域に関する要件に関し、動物衛生上の観点から、維持規則(EU)2017/625および関連規則に動物検疫の手続きなどについて規定されているとおり、公的管理の枠組みで検査が実施されます。
  1. 文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)
  2. 同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)
  3. 現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)
    の3段階により行われます。
1の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、3の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます。
国境管理所における動物検疫に合格した際に最終化された「共通衛生入域文書(CHED)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
公的証明書(衛生証明書Health certificates)の様式は、英国政府のウェブサイトにおいて確認することができます(維持規則(EU)28/2012の様式GBHC088X)。
これら動物検疫上の検査に加えて、食品添加物規制や残留農薬基準など、食品衛生に関するほかの規制への適合状況も検査される場合があります(維持規則(EU)2017/625 第45条)。いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、英国政府は発送国の当局に対して、必要な調査と是正を要請します。
公的管理については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)(No. 2)規則 (2020 No. 1631)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EC)853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持決定2007/777/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EU)206/2010(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国政府 BCP所在地について「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts (BCP) in the UK」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA)「ヒトの消費向け混合食品に関するガイドライン」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(426KB)
英国政府 「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「混合食品の動物衛生証明書の様式 (COMP)」(2023年8月版)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(209KB)
英国動植物衛生庁(APHA)「輸入情報通知(IIN) 動物製品の獣医検疫 」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

4. 販売許可手続き

調査時点:2024年8月

食品事業者は英国法または英国国内法に組み込まれたEUの食品衛生関連法令に従い、動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(維持規則(EC)852/2004(一般食品衛生規則)第6条および維持規則(EC)853/2004(動物由来食品衛生規則)第4条)。

英国において食品事業を開始する際も、その施設を登録しなくてはならず、管轄の地域の自治体に開業の28日前に登録・通知をする必要があります。レストラン、小売り、テイクアウト、ケータリングだけでなく、遠隔販売、宅配、一時的なポップアップストアなど、食品を調理、料理、保管、流通、供給、販売など取り扱いをする事業者は登録が必要です。

また、食肉、生乳、卵や水産物など動物性食品を製造・加工する食品事業者は施設認定が必要となりますが、直接消費者に販売する商店(肉屋や魚屋など)は前述の自治体への登録・通知のみとなります。ただし、例外規定もあるため管轄地域の当局に問い合わせる必要があります。詳細は、英国食品基準庁(FSA)のウェブサイトで確認することができます。

これらの衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、維持規則(EC)178/2002(食品一般法規則)、維持規則(EC)852/2004 (一般食品衛生規則)、維持規則(EC)853/2004 (動物由来食品衛生規則)そして、維持規則(EU)2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

5. その他

調査時点:2024年8月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年8月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている可能性に留意してください。

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されているため、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、次の表のとおりです。ただし、「日英・EPA」が適用されない場合(同EPAのルール上の原産性を満たさない場合など)、前述の「UKGT」による税率が適用されます。

「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。

また、「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

表10 混合食品一部のCNコードと関税率の一例
CNコード/品目 関税率
通常 日英・EPA適用
1604 2005 00
魚の調製しまたは保存に適する処理をしたもので、「すりみ」の混合食品に分類されるもの
20.00% 非課税
(0%)
1902 1100 20
スパゲッティ、マカロニ、ヌードル、ラザーニヤ、ニョッキ、ラビオリ、カネローニ、クスクス、その他のパスタのうち加熱していないパスだで卵を含有し米(米粉)を含有する混合食品に分類されるもの
6.00%
+20 ポンド/100kg
非課税
(0%)
2104 1000 11
トマトを含するスープ、ブロス、スープ用またはブロス用の調製品及び均質混合調製食料品のうち混合食品に分類されるもの
10.00% 非課税
(0%)

※CNコードは参考として記載していますが、変更になることがあるため、必ず英国の関税検索サイトで確認または仕向け地の税関に確認してください。

また、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への英国の加入に関する議定書が2024年12月15日に発効しており、同協定の適用を受ける場合も同様に原産地証明書が必要です。原則的に本定義品目のCNコードの関税に関しては、日英・EPAと同じく協定発効時に即時撤廃となっており、日英・EPAとCPTPPのどちらを適用しても非課税で輸入できます。

2. その他の税

調査時点:2024年8月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)や物品税が品目によって課されますが、前述の混合食品に該当するCNコード(表10)の販売にVATは課されません。

3. その他

調査時点:2022年7月

なし

その他

調査時点:2024年8月

なし