日本からの輸出に関する制度

混合食品の輸入規制、輸入手続き等

品目の定義

本ページで定義するHSコード

(ただし、必ずしも下記HSコードに該当するものが混合食品に分類される訳ではない点、また、下記以外にも混合食品に該当するHSコードがある点に留意してください)

1604
魚(調整済みまたは保存に適する処理をしたものに限る。)、キャビアおよび魚卵から調製したキャビア代用物のうち混合食品に分類されるもの
1902 スパゲッティ、マカロニ、ヌードル、ラザーニヤ、ニョッキ、ラビオリ、カネローニ、その他のパスタ(加熱による調理をし、肉その他の材料を詰めたまたはその他の調製をしたものであるかないかを問わない)のうち混合食品に分類されるもの
2005 調製または保存に適する処理をしたその他の野菜(冷凍してないものに限る)のうち混合食品に分類されるもの
2104 スープ、ブロス、スープ用またはブロス用の調製品および均質混合調製食料品のうち混合食品に分類されるもの
2106 事前調理済み調製食料品(他の項に該当するものを除く。)のうち混合食品に分類されるもの

英国では、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特別な規制を設けています(維持決定2007/275/EC Article2)。加工の程度や種類によっては、「動物性未加工食品」や「肉製品」に分類され、「混合食品」とは見なされない場合があります。事前に、混合食品に該当するかどうかを英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。定義や分類の詳細は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を確認してください。

2020年12月13日をもって英国はEUを離脱しました。基本的にはEU規制が英国で引き継がれていますが、多くの点でEU規制と相違がある点に注意してください。調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、記載事項は常に変更される可能性がある点にも留意してください。なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英EPAを享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

なお、EUは2021年4月21日以降の植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度へ移行しており、関連規則がEUと英国の規則で変更が生じている点にも留意してください。
例えば、EUにおいては2021年4月21日から新しい混合食品の規則に関する制度が適用されており、混合食品の分類方法や添付書類が英国のものとは異なるため、注意が必要です。英国の規則では動物性加工済原料および植物性原料の割合(50%未満など)により、リスクの分類がされていますが、EUの新規則では、割合によるリスク分類がされていません。

なお、「公的管理」とは、国外から輸入する食品などに関して、次の各分野に関する英国国内法化されたEU 法令・その他のルールへの適合有無を政府当局が統一的な手続きなどにより確認・検査することを指します。同制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

関連リンク

根拠法等
維持規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

EU離脱に関する規則
英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法も別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて注意が必要です。また、放射性物質規制にかかる規則は英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)では撤廃されています。
なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。
放射性物質規制
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、英国への輸入に際して一部政府作成の放射性物質検査証明書が必要な食品がありましたが、2022年6月29日に英国で適用されていた日本産食品に対する放射性物質輸入規制が、北アイルランドを除き、撤廃されました。なお、北アイルランドについては、北アイルランド議定書に基づき、EUによる日本産食品に対する放射性物質輸入規制が引き続き適用されます。詳細は、農林水産省のウェブサイトで確認することができます。
混合食品の英国への入域条件
英国に混合食品を輸出するには、「2020年 公的管理規則(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)」および 維持規則(EC)No 178/2002、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)、維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)そして、維持規則 (EU) 2017/625(新公的管理規則)にのっとり、一次生産から加工に至るまで英国の求める衛生基準を満たすことが求められています。
具体的には、混合食品に使用される動物性加工済原料により、英国への輸出認定国判定要件、動物検疫の有無、政府発行の衛生証明書の有無、英国認定施設での加工証明(施設番号)が必要となります。また、混合食品に分類されない動物由来食品および動物性加工食品を輸出する場合の入域条件は、混合食品と違うため、本ポータルサイト「英国」の「牛肉」「水産品」「牛乳・乳製品」「鶏卵」で確認してください。
混合食品に使用される動物性加工済原料は、対象品目が維持指令2011/163/EU維持指令の国別のリストに掲載されている(残留モニタリング計画の承認)必要があります。日本で残留物質モニタリング計画が承認されている品目は牛・豚・家禽・水産養殖物・乳・鶏卵となっています。(表1)
表 1 日本の残留モニタリング計画承認状況
動物種 残留物質モニタリング計画の承認状況 
ウシおよびウシ科動物(Bovine)
羊・山羊(Ovine/caprine) ×
豚(Porcine)
ウマ科動物(Equine) ×
鶏・家禽類(Poultry)
水産養殖物(Aqua-culture)
乳(Milk)
卵(Eggs)
ウサギ(Rabbit) ×
野生の狩猟獣(Wild game) ×
飼育の狩猟獣(Farmed game) ×
ハチミツ(Honey) ×
表 2 英国に輸出可能な第三国リスト掲載品(日本)
動物種 第三国リスト掲載品目(生きた動物を除く)
生鮮 加工品
生鮮の牛肉 (Bovine animals)
(A判定)
〇 *2 
豚(Porcine) × 〇 *3
鶏・家禽類(Poultry) 〇 *3
水産物 〇*1
水産養殖物の加工品 
乳(Milk)
(生乳・初乳)

(乳製品)
卵(Eggs) 〇 

さらに、英国への輸出が認められた第三国(表2、以下「第三国リスト」という)のリストに日本が掲載されている品目は、生鮮牛肉、肉加工品(牛・豚・鶏肉)、一部の水産養殖物と水産加工品、乳・乳製品、卵・卵製品、ゼラチンおよびコラーゲン(牛肉および魚介由来に限る)となります。

なお、動物性原材料の要件や公的証明書、施設認定などに関しては、次項「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」を必ず確認してください。

前記のリストのとおり、日本は、はちみつの残留モニタリング計画の承認を受けていないため、日本産はちみつあるいは外国産はちみつを使用した混合食品を英国に輸出することはできません。

混合食品と動物性食品の違い
英国では、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原料(Products of plant origin)の両方を含む消費向け食品を「混合食品」と定義し、特別な規制を設けています(欧州委員会維持決定2007/275/EC 第2条)。事前に、混合食品に該当するかどうかを、英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。また、混合食品に該当する場合でも、原材料として含まれる動物性原材料の種類、割合、原産地によって、課せられる規制・必要な証明書、日本からの輸出の可否が異なるため注意が必要です。
混合食品には、原材料に加工済み肉製品(肉エキス・肉パウダーなどを含む)、加工済みの乳製品(乳糖を含む)・卵製品(液卵含む)・水産品(えびの粉末、かつおエキス含む)と植物原材料を混合して製造した食品などが含まれます。「加工」とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、(加工前の)材料を実質的に変化させていない粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となります。原材料に加工済み水産製品を含む場合や、肉製品の加工の程度や種類によっては、「混合食品」ではなく、「動物性未加工食品」や「肉製品」、「水産製品」に分類される場合があるので注意が必要です。
英国における混合食品の分類
  1. 「肉類を含む」または「動物性原材料の割合が50%を超える」混合食品については、当該動物性原材料に関する「第三国リスト掲載国」(例:ビーフエキスを含む混合食品の場合、牛肉にかかる第三国リスト掲載国)で製造される必要があります。
  2. 乳製品を含む混合食品については、乳の割合にかかわらず、使用される乳製品の原料乳は維持規則(EU) No 605/2010のANNEX Iのリストで認定された第三国で処理・加工されており、加工済み乳製品は同リスト「第三国」由来のものである必要があります。(例:ミルクチョコの場合、原料の乳を第三国リスト掲載国(「A欄」「B欄」)で処理・加工したものを日本に調達し、日本で加工済み乳製品から混合食品を製造することは可能)
  3. 前記に該当しない混合食品(肉類および乳製品などを含まず、動物性原材料の割合が50%以下の混合食品)については、後述の維持決定2007/275/EC第6条を満たす場合を除き、「第三国リスト掲載国」で製造される必要はない
なお、混合食品そのものの製造は、「英国認定施設」で行われる必要はありませんが、一部の動物性原料は認定施設由来のものを使用する必要があります(「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等」「3. 輸入時の検査・検疫」で解説)。
また、動物性未加工食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合、加工施設は認定が必須となります。
2022年7月現在、日本国内に、認定を受けた肉製品および乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が存在しないため、調達する原材料の由来により、実質、混合食品を英国へ輸出できない点に留意が必要です。
認定施設の最新リストは英国政府のウェブサイトで確認することができます。
表 3 混合食品の分類
混合食品の分類 第三国リスト要件 動物性原料の原産国
『肉類を含む(畜肉エキスを含む)』混合食品 使用される肉製品は英国に輸出が認められた「第三国リスト」掲載国*1由来であること 使用される肉製品の原産国は混合食品の原産国と同じであるか、英国産あるいは維持決定2007/777のリスト「AP判定国」由来であること
肉製品は含有しないが水産加工品など『動物性原材料の割合が50%を超える』混合食品 使用される動物性加工済原料は「第三国リスト」掲載国*1由来であること ※原料の動物由来加工済食品は認定施設で加工されている必要がある。
乳製品を含む混合食品 割合にかかわらず、使用される乳製品の(原料)乳は維持規則(EU) No 605/2010のANNEX Iのリストで認定された第三国で処理・加工されており、乳製品は同リスト「第三国」*1由来のものであること 当該混合食品に使用される乳製品の原産国は混合食品の原産国と同じであるか、英国産あるいは(混合食品の製造条件が同様と認められた)維持規則(EU) 605/2010のリスト認定国由来の乳製品であること (日本は認定国)
※温度管理が必要あるいは長期保存ができない(安定しない)混合食品の場合、乳製品の割合にかかわらず、認定施設由来の加工済み乳製品を使用する必要がある。
肉類または乳製品等を含まず、動物性原材料の割合が50%未満の混合食品*3 混合食品に使用される原材料は、対象品目が維持指令2011/163/EU維持指令の国別のリスト*2に掲載されていること 維持決定2007/275/EC ANNEX Iに掲載されるCNコードの混合食品は、英国の国境管理所(BCP)で公的管理の対象、ANNEX IIに掲載されるCNコードの混合食品は、公的管理の対象外。

一部の混合食品の輸入に関しては、動物性加工済原料認定施設由来である証明書類の添付が要件化されていませんが、認定施設に由来すること自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めにより英国の認定施設に関する情報を提示する必要があることに留意が必要です。(「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等」「3. 輸入時の検査・検疫」で後述)
EUにおいては、認定施設由来である証明書類の添付は義務となっています。

なお、維持決定2007/275/EC第6条に規定されるとおり、肉類(肉エキス含む)以外の動物性原材料(乳製品、卵、水産品)を使用している混合食品で、
(1)原材料に占めるこれらの動物性原材料の割合が50%未満で、
(2)安定していて(注1)、
(3)原材料の乳・卵・魚介類が認定第三国で加工されている
場合、または維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードの混合食品の場合、公的管理の対象外となり衛生証明書の添付が不要で、必要情報を含めた商業文書を添付することで、英国へ輸出ができます。
(注1)「安定している』とは、次の維持委員会決定 2007/275/EC第6条 (1)(a)で定める条件をすべて満たすことを指します。
(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより未加工製品が変性している、
(2)ヒトの食用であることが明記されている、
(3)清潔な容器に密封されている、
(4)加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。

混合食品の分類フローチャート

関連リンク

関係省庁
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/163/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2019/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2019/626 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU) 2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持決定2007/777 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 605/2010 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 798/2008(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)206/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)一般食品法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 英国向け放射能物質規制に関するプレスリリース 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA)「ヒトの消費向け混合食品に関するガイドライン」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)348KB
英国政府 「英国におけるEU域外からの生きた動物・動物性食品・非動物由来飼料にかかる輸入ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「非EU諸国の動物性製品の輸出が認められた非EU諸国の認定施設一覧」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所 輸出畜産物の検査手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5,299KB)
農林水産省「証明書や施設認定の申請(欧州)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
ジェトロ「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

施設認定要件
動物性加工済原料を調達して混合食品を製造する場合は、「(英国による)認定施設」で行われる必要はありませんが、一部の動物性加工済原料は認定施設由来のものを使用する必要があります。
2022年7月現在、日本国内に、認定を受けた肉製品および乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が存在しないため、調達する原材料の由来により、実質、混合食品を英国へ輸出できない点に留意が必要です。
認定施設の最新リストは英国政府のウェブサイトで確認することができます。
表 4 混合食品の分類と認定施設要件
混合食品の分類 第三国リスト要件
動物性加工済原料の原産国
動物性加工済原料の認定施設要件
『肉類を含む』混合食品 使用される肉製品は英国に輸出が認められた「第三国リスト」掲載国*1由来であること
使用される肉製品の原産国は混合食品の原産国と同じであるか、英国産あるいは維持決定2007/777のリスト「AP判定国」由来であること
認定施設で加工された肉製品を原料として使用する
肉製品を含有しないが『動物性加工済原材料の割合が50%を超える』混合食品 使用される動物性加工済原料は「第三国リスト」掲載国*1由来であること 全ての動物性加工済原料は認定施設で加工されたものを使用する。
乳製品を含む混合食品 割合にかかわらず、使用される乳製品の(原料)乳は維持規則(EU) No 605/2010のANNEX Iのリストで認定された第三国で処理・加工されており、乳製品は同リスト「第三国」*1由来のものであること
使用される乳製品の原産国は混合食品の原産国と同じであるか、英国産あるいは(混合食品の製造条件が同様と認められた)維持規則(EU) 605/2010のリスト認定国由来の乳製品であること (日本は認定国)
温度管理が必要あるいは長期保存ができない(安定しない)混合食品の場合、乳製品の割合にかかわらず、加工済み乳製品は認定施設由来のものを使用する。
その他の動物性加工済原料に関しても「認定施設由来の調達」を免除されているわけではなく、検疫当局の求めにより英国/認定施設に関する情報を提示する必要がある
肉類または乳製品等を含まず、動物性加工済 原材料の割合が50%未満以下の混合食品*3 使用される原材料は、対象品目が維持指令2011/163/EU維持指令の国別のリスト*2に掲載されていること

なお、一部の混合食品の輸入に関しては、動物性加工済原料が認定施設由来である証明書類の添付が要件化されていませんが、食品衛生規則のひとつである維持規則(EC)No 853/2004を法根拠として認定施設に由来すること自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めにより英国の認定施設に関する情報を提示する必要があることに留意が必要です。
EUにおいては、英国の認定施設由来である証明書類の添付は義務となっています。

施設認定手続き
前述のとおり、動物性加工済原料を調達して、混合食品を製造する施設に認定は必要ありません。しかし、(一部の)動物性加工済み原料は、英国の認定施設由来のものを使用する必要があります。
この場合、混合食品の製造施設は、次の1または2の要件を満たす必要があります。
  1. 食品衛生法(昭和 22 年法律第 233 号)に基づく営業許可を有し、または営業届出を行っていること。
  2. 条例などによる食品製造などの営業許可を有するまたは営業に係る届出などを行っていること。
原料となる肉製品、乳製品、卵製品、水産製品の施設認定を受けるための手続きに関しては、本ポータルサイト「英国」の「牛肉」「乳・乳製品」「鶏卵・卵製品」「水産品」で確認してください。また、農林水産省ウェブサイト「欧州『証明書や施設認定の申請』」内の各「取扱要綱」で詳細を確認することができます。基本的には「対EU 輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」に記載される衛生条件や個別基準を確認のうえ、関連書類を添付し、要綱別紙様式3の「対EU 輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱施設認定申請書」を認定施設の管轄の都道府県知事経由で厚生労働省に申請します。
また「水産品」や「ゼラチン及びコラーゲン」に関しては「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」あるいは「英国及び欧州連合向け輸出ゼラチン及びコラーゲンの取扱要綱」でも確認することができます。
認定を受けて、認定番号を取得したと畜場や食肉処理場、卵選別包装施設、加工施設または登録農場、養殖場・漁船・市場などのリストは、農林水産省のウェブサイトおよび英国政府ウェブサイトのデータベースにおいて確認することができます。
公的証明書(衛生証明書)
「肉製品を含有している」または「いずれか一つの動物性原材料の割合が50%を超える」混合食品あるいは、「乳製品を使用した最終製品(混合食品)」が「安定していない」(注1)場合、維持規則28/2012 で要求される公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書または衛生証明書、以下「衛生証明書」)の添付が必要となります。また、前述の3要件のいずれにも当てはまらないものの、動物性原材料を50%以上含有する混合食品は、含まれる動物性原材料に対応した衛生証明書の添付が必要となります。
維持決定2007/275/ECのANNEX Iに掲載されているCNコードの混合食品に関しては、英国の国境管理所(BCP)での公的管理の対象となります。(公的管理の対象法令などに基づき添付が求められる公的証明書(衛生証明書)、公的証書(当局の管理下で発行される識別マークやラベル)、商業文書などの書類が必要な要件を満たしているかどうかの審査のこと。リスクに応じて同一性検査と現物検査が実施される。)詳細は輸入手続き「3. 輸入時の検査・検疫」を確認してください。
ただし、2022年7月の調査時点で、日本国内に、認定を受けた肉製品または乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が存在しないことから、「衛生証明書」の発行に必要な施設番号を付与できません。このため、日本国内で調達した「肉製品」や「乳製品」を原料とする混合食品を英国向けに輸出する体制が整備されていないことに注意が必要です。
肉製品を原材料に使用しておらず、それ以外の動物性原材料(乳製品、卵、魚介類)を使用している混合食品で、
(1)原材料に占めるこれらの動物性原材料の割合が50%未満で、
(2)安定していて(注1)、
(3)原材料の乳・卵・魚介類が認定第三国で加工されている
場合、または維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードの混合食品の場合、2022年7月現在、衛生証明書の添付を要求されておらず、必要情報を含めた商業文書を添付することで、英国へ輸出することができます。
(注1)「安定している」とは、次の維持委員会決定 2007/275/EC 第6条 (1)(a))で定める条件をすべて満たすことを指します。
(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより未加工製品が変性している、
(2)ヒトの食用であることが明記されている、
(3)清潔な容器に密封されている、
(4)加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
表 5 維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコード
CNコード 混合食品
1704 , 1806 20 , 1806 31 , 1806 32 , 1806 90 11 , 1806 90 19 , 1806 90 31 , 1806 90 39 , 1806 90 50 菓子(砂糖菓子含む)やチョコレートで
  • 乳製品・卵製品の含有割合が50 % 未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
1902 19 , 1902 30 , 1902 40 肉製品を含まないパスタまたは麺類で
  • 乳製品・卵製品の含有割合が50 % 未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
1905 10 , 1905 20 , 1905 31 , 1905 32 , 1905 40 , 1905 40 10 , 1905 90 10 , 1905 90 20 , 1905 90 30 , 1905 90 45 , 1905 90 55 , 1905 90 60 , ex 1905 90 90 ; パン、ケーク、ビスケット、ワッフル、ウェアハース、ラスクなどカリカリに焼いたパン類で
  • 乳製品・卵製品の含有割合が20 % 未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
    1905 90は乾いていて、さくさくしたものに限る
ex 2001 90 65 , ex 2005 70 00
ex 1604
魚介類の含有割合が20 % 未満のオリーブ製品の混合食品
魚介類の含有割合が20 % 以上のオリーブ製品の混合食品
ex 2104 10 and ex 2104 20 最終消費者向け包装済みスープストックおよび香料で
  • 魚油、魚粉、または魚抽出物の含有割合が50 % 未満で
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
ex 2106 10 , ex 2106 90 肉製品を含まない最終消費者向け包装済みサプリで、
  • 少量の動物性加工済原料(グルコサミン、コンドロイチン、キトサンを含む)を含有する(含有割合が20 % 未満)混合食品

なお、公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書および衛生証明書)はEUで要求される混合食品の様式と違うため、留意が必要です。
また、前述の維持決定2007/275/ECのANNEX II に掲載されるCNコードは国境における公的管理が免除されているという意味であり、ランダム検査や市場での公的管理が行われないという意味ではありません。

公的証明書の発行手続き
前述の公的証明書(衛生証明書)の発行に際し、動物性原材料の調達元の認定施設番号、事業名、住所が必要となります。また、動物性未加工食品から混合食品を同時に製造する加工施設から最終製品(混合食品)を輸出する場合は、製品に認定施設番号が記載された公的証書(識別マーク: 施設番号と当該施設の所在国名または「JP」などISO基準の2文字略号を記す)をラベル表示します。
「肉製品を含有している」、「いずれか一つの動物性原材料の割合が50%を超える」あるいは、「乳製品を使用した最終製品(混合食品)」が「安定していない」混合食品に関しては、現時点では「取扱要綱」が存在しません。英国政府が求める公的証明書(衛生証明書)の取得については、農林水産省に問い合わせてください。
また、前述の3要件のいずれにも当てはまらないものの、動物性原材料 を50%以上含有する混合食品は、含まれる動物性原材料に対応した衛生証明書の添付が必要となりますので、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」または「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」、および、本ポータルサイト「英国」のポータルサイト英国版「牛肉」「乳・乳製品」「鶏卵・卵製品」「水産品」を確認してください。
基本的には、輸出側で、各「取扱要綱」に指定する別紙様式「衛生証明書発行申請書」などを管轄当局に提出し、「輸出検疫証明書」の発行を受けたうえで、英国政府が求める公的証明書(衛生証明書)が発行されます。
原産地証明書
日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)の適用を受けるには、原産地証明(日本原産の証明)が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。詳細は税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。
輸出側としては、日英・EPA に定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日英・EPA 自己申告及び確認の手引き(2020 年 12 月)」に記載されているとおり、同 EPA 第 3 章 付属書 3-Eに規定された原産地に関する申告文を日本語または英語で、インボイスその他の商業上の文書上に記載することとなっています。
申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄空欄で可。)
その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)28/2012(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EU)2019/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2019/626 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持決定2007/777 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 605/2010 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 798/2008(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)206/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国動植物衛生庁(APHA)「ヒトの消費向け混合食品に関するガイドライン」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)348KB
英国政府 「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2022年5月版)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)179KB
英国政府「非EU諸国の動物性製品の輸出が認められた非EU諸国の認定施設一覧」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5,299KB)
農林水産省 「欧州 : 証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所 輸出畜産物の検査手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局・税関「日英 EPA 自己申告及び確認の手引き(2020 年 12 月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)721KB
ジェトロ「日英EPA関連情報」
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
ジェトロ「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

動物検疫所への輸出検疫検査の申請
「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」での説明のとおり、「肉製品を含有する」または「動物性原材料の割合が50%を超える」混合食品あるいは、乳製品を使用した最終製品(混合食品)が「安定していない」(注1)場合、維持規則(EU)28/2012 で要求される公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書または衛生証明書 以下「衛生証明書」)の添付が必要となり、本証明書の発行には日本側での輸出検疫(「輸出検疫証明書」の入手)が必要となります。
ただし、2022年7月の調査時点で、英国認定を受けた肉製品または乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が日本国内に存在しないことから、衛生証明書の発行に必要な施設番号を付与できません。このため、日本国内で調達した加工済み「肉製品」「乳製品」を原料とする混合食品を英国向けに輸出する体制が整備されていないことに注意が必要です。
(注1)「安定している」とは、以下の維持委員会決定 2007/275/EC 第6条(1)(a)で定める条件をすべて満たすことを指します。
(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより未加工製品が変性している、
(2)ヒトの食用であることが明記されている、
(3)清潔な容器に密封されている、
(4)加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
また、維持決定2007/275/ECのANNEX Iに掲載されているCNコードの混合食品に関しては、英国の国境管理所(BCP)での公的管理の対象となります。
英国政府が求める公的証明書の発行に関して、「肉製品を含有している」、「いずれか一つの動物性原材料の割合が50%を超える」あるいは、「乳製品を使用した最終製品(混合食品)」が「安定していない」混合食品の場合、農林水産省に問い合わせてください。また、前述の3要件のいずれにも当てはまらないものの、動物性原材料 を50%以上含有する混合食品は、含まれる動物性原材料に対応した衛生証明書の添付が必要となりますので、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」および「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」あるいは、本ポータルサイト「英国」の「牛肉」「乳・乳製品」「鶏卵・卵製品」「水産品」を確認してください。
輸出検疫検査については、混合食品に含まれる動物性原材料の種類と含有量により対応が変わりますので、農林水産省に問い合わせてください。
ヒトの消費向け動物性・動物由来製品の輸入に関する公的証明書(衛生証明書)には、食品公衆衛生 (ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、肉製品、乳製品、卵や卵製品には後者の公的証明書が求められます。様式は、英国政府ウェブサイトで定められたもので規定されるものを使用することになります。
肉製品に関しては維持決定2007/777/EC、乳製品に関しては維持規則 (EU) 605/2010、卵製品に関しては維持規則 (EC) No 798/2008、水産品に関しては維持規則 (EU) 2019/626で要件を確認することができます。
輸出国側での現物検査
前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があるとしています。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所および農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、承認された場合に、輸出検疫証明書または英国政府が求める書式の獣医検疫証明書が交付されます。輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは、動物検疫所のウェブサイトで確認することがができます。
公衆衛生に関しては、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項を確認してください。

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4.その他

調査時点:2022年7月

なし

英国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

販売名称
本稿で定義する混合食品には直接関連しませんが、欧州議会理事会維持規則(EU)1308/2013に第75条と第78条により、いくつかの製品・セクター(対象品目)に関しては、流通するための食品の規格または名称の定義が設けられています。
食品公衆衛生
英国の食品衛生関連の法体制「衛生パッケージ」は維持規則(EC)No 178/2002(食品一般法)、維持規則(EC)No 852/2004(一般食品の衛生規則)、維持規則(EC)No 853/2004(動物性食品の衛生規則)、維持規則(EC)No 183/2005(動物の飼料に要求される衛生規則) そして新公的管理維持規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則により構成されています。
英国外から輸入される食品については、維持規則(EC)No 178/2002に基づき英国が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。
そのため、英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、英国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002 第19条)。
英国国内法による食品規格
英国法により、パンと小麦粉、脂肪と油、ジャムとマーマレード、肉を含む製品に関して「食品基準」が設けられています。2021年1月1日からEU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで適用されていた小麦粉の例外措置が2022年3月以降適用されません。英国市場で販売される小麦粉(全粒粉をのぞく)には鉄分、ナイアシン、チアミン、カルシウムの栄養強化が義務付けられているため注意が必要です。ただし、次を使用して製造された小麦粉には適用されません。
  • カルシウムが0.2%以上含有したベーキングパウダー入り薄力粉(Self-raising flour)
  • 麦芽小麦粉(wheat malt flour)
  • グルテン
  • スターチ
  • 炭酸カルシウム、鉄、ナイアシン、チアミンの小麦粉への添加を助ける濃縮製剤
  • 教会や宗教行事で使用されるウェハーやクラッカーも対象外

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(維持規則(EC)No 396/2005)。なお、加工食品や混合食品についても本規制の対象(加工食品は1300000として掲載)となりますが、実際には特定の加工食品・複合食品の MRLは現段階で設定されていない状態です。ただし、混合食品に使用される未加工原料は同規則ANNEX II, IIIに設定されたMRLを順守する必要があります。同規則のANNEX II、III に掲載のない農薬・作物の組み合わせに対しては原則、一律基準(0.01mg/kgまたは不検出)が適用されます。同規則第19条により設定された基準値を上回る原料を使用して加工・混合、または希釈することは禁止されています。

すべての食品に対するMRLは、関連リンクの「英国 農薬データベース」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。

なお、EUにおける動物由来食品向け(動物用医薬品中の)残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、規則(EC)No 470/2009および規則(EU) No 37/2010 ANNEXに記載されていますが、英国においては、2019年EU離脱規則(動物・動物製品と動物医薬品 No. 676)などによりEUの規則から修正または一部無効化されています。その他、詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」で確認することができます。

動物由来食品の薬理活性物質(pharmacologically active substances)や畜産に適用される動物用医薬品(veterinary medicinal products)に関連する規則や英国内の動向については、英国獣医局(VMD : Veterinary Medicines Directorate)または、英国政府ウェブサイトで確認することができます。

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英国 獣医理事局(VMD:Veterinary Medicines Directorate) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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2019年動物・動物製品と動物医薬品(最大残留基準と残留物検査)(修正など)(EU離脱)規則(2019, No. 676)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2019年飲食品、動物医薬品および残留物(修正など)(EU離脱)規則(2019, No. 865)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年動物医薬品と残留物(修正)(EU離脱)規則(2020, No 1461)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則 (EC) 470/2009 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) No 37/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
英国食品基準庁 食品の残留農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「動物用医薬品規則に関するガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 獣医理事局(VMD:Veterinary Medicines Directorate)「Regulatory Science Strategy 2021-2026」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1.25 MB
農林水産省「EUの新たな動物用医薬品規則への対応」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(令和4年10月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,978KB)
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5,299KB)

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、欧州委員会維持規則(EC)No 1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会維持規則 (EEC) No315/93 第1条(1))。これらの最大規定値を超えるものは原材料としても使用できないとされています(維持規則(EC)No 1881/2006第3条)。

なお、EUでは2021年8月30日から、規則(EC)No 1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および規則(EU)2021/1317によりカドミウム、鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」などが追加されています。なお、加工食品などに原材料として使用する場合は注意が必要ですが、調査時点において、英国ではこの規則は適用されていません。

また、英国では特定の食品のアクリルアミドの含有量基準値が定められており、事業者は求められた場合に基準値を上回っていない証明を示す必要があります。アクリルアミドは、食品に自然に含有する特定のアミノ酸と糖類が、高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こし、形成されると考えられており、2018年4月11日からポテトチップス、クラッカー、クッキー、ビスケット、穀粉ベースのシリアル、焼き菓子、乳幼児向けビスケットなどの基準値が引き下げられました。
次の定義に該当する場合は、基準値を順守する必要があります。

表 6 アクリルアミドの含有量基準値(代表的な品目のみ記載している点に注意)
維持規則(EU)2017/2158のANNEX IVに記載される品目の一部 ㎍/kg
フライドポテト(事前調理済み) 500
ポテトチップス、ばれいしょを原料とするクラッカー 750
パン(ソフト) 小麦粉ベースのパン 50
小麦粉ベース以外のソフトパン 100
朝食用シリアル(ポリッジを除く) 籾殻製品・全粒シリアル、パフウィート 300
小麦・ライ麦ベースの製品 300
とうもろこし、オートミール、スペルト小麦、大麦、米ベースの製品 150
ビスケット・ウエハース 350
ばれいしょを原料とするものを除くクラッカー 400
クリスプブレッド、クラッカー状のパン 350
ジンジャーブレッドパン、パンデエピス 800
本カテゴリーのこれらの製品と同様な製品 300
乳幼児用のビスケットとラスクを除く穀類加工品 40
乳幼児用ビスケットおよびラスク 150

その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、維持規則(EU)2019/1021により旧規則(EC)No 850/2004は改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。

REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認ができます。

EU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC)No 2073/2005」も英国国内法化されているため、英国における食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同維持規則により事前調理済み製品のサルモネラ属菌の上限値が定められており、食品事業者が遵守する必要があります。(ただし、製造工程においてサルモネラ菌を不活化させる製造方法または組成を採用している製品は除きます)。さらに、認定施設などでは、HACCPの効果を検証する目的で、一般生菌数、腸内細菌科菌群、サルモネラ属菌の検査を定期的に実施することが求められています。詳細は農林水産省の「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」で確認することができます。

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。

英国では、食品添加物については欧州議会・理事会維持規則(EC)No 1333/2008に類似したポジティブリスト形式で規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。日本と異なり、英国におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「濃度限度(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が該当食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかを確認する必要があります。
なお、同規則 ANNEX II に記載されていない場合でも、同規則 ANNEX IIIに掲載されている添加物や担体(キャリア)は使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。

食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイト(食品添加物検索データベース)でも検索が可能ですが一部英国国内法と相違がある点に注意が必要です。食品酵素のポジティブリストについては、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

表 7 英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC)No 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されないもの、栄養価の有無を問われないもので、食品の一般的な原材料として通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。 ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルール(EU加盟当時の植物衛生関連規則のこと)に従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図し、水処理などで使用される物質
  • 規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 維持規則(EC)No 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
‘‘flavouring”というそのままの表示、あるいは具体的な香料の名称または香料の説明(description)で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 維持規則(EC)No 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売時の説明(description)を考慮して表示。

また、維持規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する維持規則(EC)No 1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は、天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を輸入者などに提供する必要があります。 食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)No 1925/2006のANNEX IIに記載されています。

なお、本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていませんが、維持規則(EC)No 1925/2006の第9条に基づき、グレートブリテンビタミン・ミネラルなどの一覧表(the GB VMS Register)が公表されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、消費者への健康被害ならびに食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならないこと、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならないことが定められています(維持規則(EC)No 1935/2004)。また、維持規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)が定められています。すべての素材の食品接触材について、製品のトレーサビリティー情報(維持規則(EU)1935/2004第17条)、品質保証・品質管理関連資料(維持規則(EU)2023/2006第7条)を英国政府当局の求めに応じて提示する必要があります。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

表8 食品接触素材に関する主な規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC)No450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC)No282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令No 84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令No 2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
維持規則(EU) 2018/213:BPA(ビスフェノールA)
維持規則 No 1895/2005/EC:エポキシ樹脂
維持指令 No 93/11/EEC:ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

なお、イングランド向け、ウェールズ向け、スコットランド向けの食品接触材の地域ごとの規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」を参考にしてください。

その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は、本ポータルサイト「英国」の「花き」を確認してください

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EC)No 2007/42(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持委任規則 (EU) 2019/2125 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 450/2009 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EEC)No 84/500 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令93/11/EEEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
2012年 食品接触材規則(英国向け)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(ウェールズ向け)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(スコットランド向け)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国基準庁 食品接触材の規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(579KB)
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査」

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、ラベル表示についても、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則

英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、2024年1月1日までにラベル表示を英国の規則に基づいて変更する必要があるとされています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。

衛生の識別マーク
なお英国に輸出される一部の水産食品、食肉製品、乳製品、殻付き卵および卵製品には、認定施設由来であることを証明する施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(identification mark)が必要です(維持規則(EC)No 853/2004第5条およびANNEX II Section I)。識別マークは、原則、個々の商品パッケージに貼付または印字する必要があります。ただし、輸送用のコンテナやカートンに入れられ、別の施設において処理、加工、パッケージを予定されている場合については、当該輸送用容器の外面に識別マークを貼付することも認められます。
ラベル表示規則(EUと共通事項)
その他、消費者向け事前包装された食品のラベル表示は、欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011で規定されています。同規制は 英国で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
包装済みの混合食品を輸出する場合、維持規則(EU)No 1169/2011第9条(次の表の中では「同規則」)および関連EU維持規則に基づき次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
表9 ラベル表示項目
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
  2. 慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすい他の製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
原材料リスト

原則として、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称、総重量、原材料リストの順で記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては維持規則(EU)No 1169/2011規則第20条を参照してください。
原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参考にしてください。

アレルギー物質

食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。

  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1kg/1ℓあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品

原材料リストの標記を太字などで強調して表記することが可能です。

正味量 重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。
文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上

また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、指令76/211/EEC により、次のとおり規定されています。

公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5

表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。

eマーク

○g
図:eマーク

賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、その旨表示が必要となります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。
例:「Keep in the fridge below 5℃(冷蔵庫で5℃未満で保管)」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 包装済み食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO)(英国内事業者でない場合は、英国の輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
原産地 最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる場合には、当該主原料の原産地を記載するか、「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ does not originate from ××)と記載する必要があります。例えば、最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる場合、主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります(維持実施規則(EU)2018/775)。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示

次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。

  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号
(EU維持指令2011/91/EU)
包装済み食品は製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
ただし、生鮮牛肉に関しては、【牛肉と牛肉製品の登録と識別ロット】で記載したとおり、すべての加工段階でのトレーサビリティーにかかる「識別ロット」の表示が必要となります(維持規則(EC)No 1760/2000)。
補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起) 維持規則(EU)1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。(例 密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんした“ガス充てん包装”済み食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます)

食品のラベルに使用される言語は、英語で、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
グルテンフリー食品
維持実施規則(EU) 828/2014により、グルテン含有量が20mg/kg以下である場合には「gluten-free」の表示が可能です。その際には、「gluten-free」の表示とともに「suitable for people intolerance to gluten(グルテン不耐症のヒト向け)」または「suitable for coeliacs(セリアック病患者向け)」の文言を付すことも可能です。
遺伝子組み換え食品
維持規則(EC) No 1829/2003により、認可を受けた遺伝子組み換え作物のみが英国内での流通・販売が認められており、遺伝子組み換え作物を含む食品を流通させる場合には、遺伝子組み換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組み換え食品を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組み換え)」または「produced from genetically modified (name of ingredient)(遺伝子組み換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified (name of organism)(遺伝子組み換え(生物名)を含む)」または「contains (name of ingredient) produced from genetically modified (name of organism)(遺伝子組み換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。
ゲノム編集などの「新しい育種技術(NBT:New Breeding Techniques)」に関しては、「7.その他」を参照してください。
新規食品
維持規則(EU) 2015/2283により、EU内で新規食品を市場に出すための規則が定められています。原材料として新規食品を使用する場合には、維持実施規則(EU) 2017/2470に規定される新規食品の特定の表示要件に従い、所定の手続きを経て認可リストに掲載される必要があります。
栄養・健康に関する強調表示
維持規則(EC) No 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(英国リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められており、承認された表現以外は禁止されています。
例えば、カルシウムの強調表示において、「Calcium is needed for the maintenance of normal bones(カルシウムは正常な骨の維持に必要です)」「Calcium contributes to normal blood clotting(カルシウムは正常な血液凝固に寄与します)」という表現は許可されますが、「Calcium helps to keep a healthy blood pressure.(カルシウムは健康的な血圧の維持に寄与します)」という表現は許可されていません。ポジティブリストに関しては欧州委員会のデータベースでも検索が可能ですが、一部英国で認められていない表現もあるため、英国政府のウェブサイト「(データ)リスト登録」でも必ず確認してください。
その他、特定の母集団向け強調表示については、維持規則(EU) No 1228/2014(50代以上の女性向け)で定められています。詳細は、ジェトロレポート「健康食品関連規制調査 (EU)」でも確認することができます。
地理的表示保護(GI)
2021年1月1日付で、日英経済連携協定(「日英・EPA」)が発効されました。これに伴い、日本の地理的表示(GI)として2022年7月現在55産品、英国側のGIとして3産品が相互保護されています。EUで保護されている産品でも英国側で保護されていないこともあるため、注意が必要です。詳細は、農林水産省「英国で保護されている日本側GI」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国保健省(DHSC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 安全・基準局 (OPSS Office for Product Safety and Standards)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 828/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令94/62/CE (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)1829/2003(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
ジェトロ 新食品ラベル表示規則(1169/2011)の適用に関する Q&A(仮訳)(2014年3月)PDFファイル(1.0MB)
ジェトロ EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令76/211/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 2018/775(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU離脱に伴う改正法(2019 No. 822)(The Market Measures (Marketing Standards) (Amendment) (EU Exit) Regulations 2019)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 栄養・健康に関する強調表示のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁「2021年1月1日以降適用される衛生の識別マークに関するガイダンス」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 Your Europe: e-mark(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」(2014年3月)
ジェトロ「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」
ジェトロ「EU向け食品ラベルの翻訳例」(2020年12月)
英国政府 「英国の栄養・健康強調表示一覧(Great Britain nutrition and health claims (NHC) register)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「健康食品関連規制調査(EU)」
英国政府 「地理的保護の食品と飲料の名称(Protected geographical food and drink names)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「地理的表示法とは」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国で保護されている日本側GI」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。また、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

有機食品に関する規制

2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合、英国の規則(イングランド、ウェールズ、スコットランド)を順守する必要があり、EUの規則と類似のものとなっています。
英国に有機食品を輸入する場合、英国の有機認証団体から認可を受け、その詳細を商品のラベルに記載することが必要です。また、2021年1月1日以降、英国の食品にEUの有機ロゴを利用することはできません(EUの有機規則で要求される要件を満たした場合のみ、ユーロリーフロゴの継続使用が可能)。日本のように、英国と有機同等性を持つ第三国内の有機認証団体のリストは関連リンクから確認することができます。

ただし、英国はEU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイスの有機認証の同等性を2023年12月31日まで認めています。このため、この期間はEUなどで要求される要件を満たし、有機認証されている食品は、英国で有機食品として登録することが可能です。

日本の特定の有機JAS食品は、現在、英国との間で同等性が認められており、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)に有機食品として輸出できますが、紙ベースの有機食品の輸入検査認証(COI)が必要となります。また、すべての食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)に問い合わせてください。輸出入手続きや様式などは、農林水産省のサイトで掲載している関連情報(仮訳)でも確認ができます。

英国に有機食品を輸入する際、EUのTRACESシステムは利用できません。ただし、北アイルランド向けはEUのTRACESシステムを経由する必要があります。詳細は本ポータルサイト「EU」の「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。

英国で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会維持規則(EC)No 834/2007および維持規則(EC)No 1235/2008で規定されています。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会農業農村開発総局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 834/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)1235/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 有機食品のラベル規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府(英語)有機食品の輸出入について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国輸出向けEUおよび第三国の有機製品認可団体のリスト」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「有機登録認定機関一覧 」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(148KB)
農林水産省「EU加盟国、スイス、英国の証明書を発行する機関の名称及び住所」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(268KB)
農林水産省「日本とEUの有機同等性について(令和4年10月17日版)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(79KB)
農林水産省「GB 検査証明書(CoI)説明書き(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)142KB
農林水産省「よくある質問: 第三国からグレートブリテン(GB)への有機製品の 輸入(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)218KB
農林水産省「手引き : 移行期間終了時の第三国からグレート ブリテン(GB)への有機製品の輸入(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)144KB
ジェトロ 欧州における有機食品規制調査(2018年3月)

遺伝子組み換え作物に対する規制

英国では、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 1829/2003に基づき、認可を受けた遺伝子組み換え作物のみ(大豆、とうもろこし、綿実、菜種、テンサイ)が英国での販売・流通を認められており、流通させる場合には遺伝子組み換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。認可を受けた遺伝子組み換え体のリストは、英国政府ウェブサイトで検索が可能です。詳細は、ジェトロレポート「遺伝子組み換え食品規制調査 -EU-」も参照してください。

一例として下記の英国と日本の規制の違いについて留意する必要があります。

  1. 日本では、遺伝子組み換え作物のDNAおよびタンパク質が加工工程で除去される食品(醤油や植物油など)については、たとえ遺伝子組み換え作物を原料としていても遺伝子組み換えの表示義務がありませんが、英国では、最終食品におけるタンパク質・DNAの存在の有無にかかわらず、原材料に遺伝子組み換え作物を使用した場合には、その旨の表示義務(原材料名の後ろに‘genetically modified’と記載、または、‘produced from genetically modified ○○(原材料名)’と記載)があります。
  2. 日本では、遺伝子組み換え農産物が食品などの主な原材料(原材料の上位3位以内で、かつ全重量の5%以上を占める場合)ではない場合には、遺伝子組み換えについての表示義務がありませんが、英国では、食品添加物を含む加工食品のすべての原材料について、遺伝子組み換え作物を使用している場合は、表示義務があります(例えば遺伝子組み換え由来の大豆レシチンやコーンスターチなど)。
  3. 日本では、遺伝子組み換えではない原材料について、許容される遺伝子組み換え体の「意図せざる混入」の割合は5%未満となっていますが、英国では、同割合は0.9%未満となっていますので、これを超える場合は遺伝子組み換え作物使用の表示が必要です。
  4. 日本では、表示可能面積が30cm2以下の加工食品については、遺伝子組み換え表示義務の対象外となっていますが、英国では、最大包装面積が10 cm2以上の食品には、遺伝子組み換え表示の義務があります。また、最大包装面積が10 cm2未満の包装食品や非包装食品についても、遺伝子組み換え作物を原材料に使用している場合には、食品陳列棚の近傍に常に見えるかたちで表示する義務があります。
  5. 日本では『遺伝子組み換え不分別』の概念がありますが、EU規制には当該概念がありません。遺伝子組み換え作物を使用もしくは遺伝子組み換え作物を飼料の原料としている場合は表示が必要です。
  6. 食品成分として使用した遺伝子組み換え微生物(酵母エキスなど)にも遺伝子組み換え作物使用の記載義務があります。

英国で適用されるEU規制上は、遺伝子組み換え作物の混入が偶発的な意図せざるものであり、混入割合が当該原材料の0.9%未満であれば、「GM(O)-Free」などの表示を任意で行うことが可能です。ただし、「遺伝子組み換えでない(GM(O)-Free, Non-GM(O)s)」の表示について、EU加盟国および英国での共通規制はなく、各国法で定めることができるため、英国外でも製品を上市する場合には確認が必要です。一方、英国の国内法では「「GM(O)-Free」の表示について独自規制は規定されていませんが、プライベートスタンダードで定められている事例が多いため、取引先の仕様書にのっとる必要があります。

詳細はEU委員会が実施したGM(O)-Freeの表記に関する報告書でも確認することができます。

ゲノム編集など

英国は2022年4月11日に「2002年遺伝子組み換生物(意図的な放出)規則No 2443」を改正する「2022年遺伝子組み換生物(意図的な放出)(改正)規則(イングランド)No 347」を発効しました。本規則の改正により、「"qualifying higher plant(QHPs)”(適格高等植物)」の定義が付け加えられ、「"qualifying higher plant”とは、「a) 自然発生」あるいは「b )本規則5(2)に規定される1つまたは複数の技術(従来の育種法)の使用」のみにより有機体が遺伝的に改変された植物であると明文化されたことにより、自然発生または既存の育種法によって作り出された「新しい育種技術(NBT:New Breeding Techniques)」は、遺伝子組み換え生物/農作物(GMO)と同列でないとしています。本規則は商業用の植物や食品原料などには適用されませんが、EUとの解釈に相違があるため、注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2022年遺伝子組み換生物(意図的な放出)(改正)規則(イングランド)No 347外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2002年遺伝子組み換生物(意図的な放出)規則No 2443(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
環境・食料・農村地域省(DEFRA)「「"qualifying higher plant(QHPs)"のリリースにかかる要件に関する通知」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

混合食品の英国への輸入条件は、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」および「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等」の項を、英国輸入時の国境検疫検査(公的管理)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3. 輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

英国の輸入業者として必要な情報

英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたり、VAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」に登録したアカウントなどの情報が必要となります。その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度英国の輸入にかかる通関手続き」で確認することができます。

EORI番号について
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入しました。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。
GB EORI番号は、英国で輸出入通関手続きを行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイト(Get an EORI number)を参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

事前通知と輸入港
事前に混合食品に該当するかどうかを、英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。また「肉製品を含有している」混合食品、「いずれか一つの動物性原材料の割合が50%を超える」混合食品、「乳製品を使用した最終製品(混合食品)」が「安定していない」混合食品ならびに維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されているCNコードの混合食品(維持実施規則(EU)2019/2007)は、国境管理所(Border Control Post:BCP)における公的検査(国境検疫検査)の対象となります。このため、英国に輸出されるこれらの混合食品は、必ず、動物検疫検査の実施が可能なBCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは、英国政府のウェブサイト「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts (BCP) in the UK」で確認することができます。
個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除き、輸入港のBCPに貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、英国独自の電子システムである「IPAFFS」を通して行います。また、EU 向け輸出製造者として TRACES に登録している場合は、英国向けに輸出を行う場合に、情報をIPAFFS にあらためて登録する必要があります。
事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、共通衛生入域文書(CHED) の発行にあたって要求される情報を添える必要があります。
CHEDは、BCPでの国境検疫検査に合格すると発行されますが、空白や不完全な項目がある場合、事前通知は完了しません。また、完全なCHEDが提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)は認められません。
日本から混合食品を英国に輸入する際には、次の書類が必要になります。輸入申告の前に、輸入者は「輸入手続き」の「1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録等(登録に必要な書類)」の項に記載のとおり、英国の輸入業者として必要な手続きを、あらかじめ終えている必要があります。
  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))通常の輸入申告または簡易輸入申告においても、輸入者は、CHIEF(Customs Handling of Import and Export Freight)またはCDS(Customs Declaration Service)のいずれかの通関処理システムを通じて、電子申告を行う。単一貨物識別番号(unique consignment referenceUCR)の情報も必要です。ただし、CHIEFシステムは2023年3月31日に終了し、CDSが単一のプラットフォームになるとされています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
  5. VATを支払うためのアカウント(duty deferment account)
  6. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  7. 公的証明書(動物衛生証明書Health certificatesや公衆衛生証明書が必要な場合)および識別マーク・その他必要に応じた証明書。共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED)に必要な情報やIPAFFSシステム申請のため入力事項
  8. 有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。
  9. 公的証明書が不要な場合、当該動物性原材料がEUへの輸入が認められた第三国産のものであることおよび認定施設で加工されたことを示す商業文書など
簡易輸入申告適用のための申請資格・方法については英国政府のウェブサイトで確認することができます。
また、日英包括的経済連携協定(「日英・EPA」)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。
輸入時の獣医検査については、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)(No. 2)規則 (2020 No. 1631)(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)28/2012(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU)2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
維持決定2007/777 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 605/2010 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EU)206/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
英国動植物衛生庁(APHA)「ヒトの消費向け混合食品に関するガイドライン」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)348KB
英国政府 「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2022年5月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)179KB
英国政府 BCP所在地について「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts (BCP) in the UK」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 簡易輸入申告 ガイダンス (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国政府 英国向け税関申告の(経過措置後の)要件 ガイダンス 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省 日英包括的経済連携協定(日英EPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局・税関「日英 EPA 自己申告及び確認の手引き(2020 年 12 月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)721KB
ジェトロ「日英EPA関連情報」
ジェトロ「日英EPA解説書:日英EPAの特恵関税の活用について」PDFファイル9.3 MB
税関 原産地規則ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法も別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

英国の国境管理所(BCP:Border Control Post)での動物検疫検査(公的管理)の対象となるのは、肉製品を含む混合食品、動物性原材料を50 %以上含有する混合食品および乳製品を含み「安定していない」混合食品です。さらに、維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されるCNコードの混合食品(維持実施規則(EU)2019/2007)も、国境管理所における公的検査の対象となります。 このため、公的管理の対象法令などに基づき、添付が求められる公的証明書、公的証書(当局の管理下で発行される識別マークやラベル)、商業文書などの書類が必要な要件を満たしているかどうかの審査やリスクに応じて同一性検査と現物検査が実施されます。 事前に、混合食品に該当するかどうかを、英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。

表 10 維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されるCNコード※1
第15項 動物性、植物性又は微生物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう 1501、1502、1503、1504、1505 00、1506 0000、1516 10、1517、1518 0091、1518 0099、1521 90 91、1521 90 99、1522 00※2
0209、1804 、0405、2301、2304、2305 、2306、1518に分類されるものはこれに分類されない
第16類 肉、魚、甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物又は昆虫類の調製品 ※3 1601 00、1602、1603 00、16 04、16 05
第2類、3類、0504に分類されるものはこれに分類されない
第17類 糖類及び砂糖菓子 1702(人工はちみつ及びカラメル、乳糖、ブドウ糖なども含む)
2940に分類されるものはこれに分類されない
第18類 ココア及びその調製品 1806(チョコレートその他のココアを含有する調製食料品)
0403、1901、1904、1905、2105、2202、 2208、 3003、3004に分類されるものはこれに分類されない
第19類 穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品 19 01、1902 11 00、1902 20 10、1902 20 30、1902 20 91、1902 20 99、1902 30、1902 40、1904 10 10、1904 90 10、19 05
第20類 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品 20 04、20 05
第21類 各種の調製食料品 2103 90 90、21 04、2105 00、2106 10、2106 90 92、2106 90 98
第22類 飲料、アルコール及び食酢 2202 90 91、2202 90 95、2202 90 99、2208 70
第99項 9930 24 00(CNコード第1項~24項に分類され、船便または航空便で第三国から配送される混合食品)
9930 99 00(上記以外で船便または航空便で第三国から配送される混合食品)

このため、必ず、動物検疫検査の実施が可能なBCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは、英国政府のウェブサイト「Live animals, animal products and food and feed of non-animal origin border control posts (BCP) in the UK」で確認することができます。

この場合、BCPに貨物が到着する24時間前までに電子システムIPAFFS経由で事前通知を行う必要があります。この事前通知に関しては、EUのウェブシステム「TRACES」から、英国独自の電子システムである「IPAFFS」に変更されています。また、英国向けに輸出を行う場合、EU 向け輸出製造者として「TRACES」に登録している情報を「IPAFFS」にあらためて登録する必要があります。

この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通衛生入域文書(CHED)」で要求される情報を添える必要があります。

公的管理・国境管理所におけるチェック
ヒトの消費を目的とする特定の動物および製品の貨物の英国への入域に関する要件に関し、動物衛生上の観点から、維持規則(EU) 2017/625および関連規則に動物検疫の手続きなどについて規定されているとおり、公的管理の枠組みで検査が行われます。
  1. 文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)
  2. 同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)
  3. 現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)
    の3段階により行われます。
1の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、3の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます。
国境管理所における動物検疫に合格した際に最終化された「共通衛生入域書(CHED)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
公的証明書(衛生証明書Health certificates)の様式は、英国政府のウェブサイトジにおいて確認することができます(維持規則28/2012の様式GBHC088X)。
これら動物検疫上の検査に加えて、食品添加物規制や残留農薬基準など、食品衛生に関するほかの規制への適合状況も検査される場合があります(維持規則(EU)No 2017/625 第45条)。いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、英国政府は発送国の当局に対して、必要な調査と是正を要請します。
公的管理については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
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維持規則 (EU) 605/2010 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 798/2008(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)206/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
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英国政府 「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2022年5月版)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)179KB
英国動植物衛生庁「輸入情報通知(IIN) VCAP動物製品の獣医検疫 (2021年10月)」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)110KB
英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

食品事業者は英国法または英国国内法に組み込まれたEUの食品衛生関連法令に従い動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(「一般食品に関する衛生規則」維持規則(EC)No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」維持規則(EC)No 853/2004第4条)。

英国において食品事業を開始する際も、その施設を登録しなくてはならず、管轄の地域の自治体に開業の28日前に登録・通知する必要があります。レストラン、小売り、テイクアウト、ケータリングだけでなく、遠隔販売、宅配、一時的なポップアップストアなど、食品を調理、料理、保管、流通、供給、販売など取り扱いをする事業者は登録が必要です。

また、食肉、生乳、卵や水産物など動物性食品を製造・加工する食品事業者は施設認定が必要となりますが、直接消費者に販売する商店(肉屋や魚屋など)は前述の自治体への登録・通知のみとなります。ただし、例外規定もあるため管轄地域の当局に問い合わせる必要があります。詳細は、英国食品基準庁(FSA)のウェブサイトで確認することができます。

これらの衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、維持規則(EC)No 178/2002、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)、維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)そして、維持規則 (EU) 2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年7月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。ただし、「日英・EPA」が適用されない場合(同EPAのルール上の原産性を満たさない場合など)、前述の「UKGT」による税率が適用されます。

「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。

また、「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

表 11 「日英・EPA」における混合食品「UKGT」コードと関税率の一例
UKGTコード/品目 関税率
通常 日英・EPA適用
1604 2005 00
魚の調製しまたは保存に適する処理をしたもので、「すりみ」の混合食品に分類されるもの
20.00% 非課税
(0%)
1902 1100 20
スパゲッティ、マカロニ、ヌードル、ラザーニヤ、ニョッキ、ラビオリ、カネローニ、クスクス、その他のパスタのうち加熱していないパスタで卵を含有し米(米粉)を含有する混合食品に分類されるもの
6.00%
+20 ポンド/100kg
非課税
(0%)
2104 1000 11
トマトを含するスープ、ブロス、スープ用またはブロス用の調製品及び均質混合調製食料品のうち混合食品に分類されるもの
10.00% 非課税 (0%)

2. その他の税

調査時点:2022年7月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)や物品税が品目によって課されますが、前述の混合食品に該当するHSコード(表11)の販売にVATは課されません。

関連リンク

関係省庁
英国歳入関税庁(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 関税検索サイト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2022年7月

なし

その他

調査時点:2022年7月

なし