水産物
品目の定義
本ページで定義する水産物のHSコード
(いずれにも「ブリ(セリオーラ属のもの)」が含まれる。)
0304.49 :『その他の魚のフィレ(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)』のうち『その他のもの』(※2)
0304.59 :『その他のもの(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る。)』(※1)のうち『その他のもの』(※2)
0304.89 :『その他の魚のフィレ(冷凍したものに限る)』のうち『その他のもの』(※2)
0304.99 :『その他のもの(冷凍したものに限る)』(※1)のうち『その他のもの』(※2)
※1 この『その他のもの』とは、『HSコード0304 魚のフィレその他の魚肉(生鮮のものおよび冷蔵しまたは冷凍したものに限るものとし、細かく切り刻んであるかないかを問わない)」のうち「フィレ」以外のものが該当する。
※2 この『その他のもの』には、「まぐろ」「ブリ(セリオーラ属のもの)」のほか、ほかのいずれの関税分類にも属さない魚種が含まれる。
調査時点での最新情報を記載していますが、英国は、EU離脱に伴う諸規制の移行期間にあり、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。また、英国では、多くのEU規制が引き継がれますが、2019年12月14日から2021年4月にかけてEUの植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行中である点にも留意してください。なお、同制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」も参照してください。
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EEC)No 2658/87(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
財務省貿易統計
- ジェトロレポート EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)
英国の輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、福島県産の水産物のうち、HSコード0302、0303、0304、0305、0308、1504.10、1504.20および1604に該当するもの(ただし、甲殻類、軟体動物、ブリ・ヒラマサ、カンパチ、マダイ、シマアジ、クロマグロ、マサバ、海藻および活魚を除く)またはこれらを50%以上含む食品を英国に輸入する際は、政府作成の放射性物質検査証明書が必要です。その他の都道府県産の水産物の場合は産地証明書が必要です。また、2019年11月14日以降、証明書の新様式が変更となっています。いずれの場合も、輸入国においてサンプリング検査が行われる場合があります。
欧州議会・理事会規則規則(EC)853/2004 ANNEX III、SECTION VIIIのCHAPTER Vに基づき、次の魚類については、有毒な魚類として上市(市場での販売)が禁止されています。
- フグ科(Tetraodontidae)
- マンボウ科(Molidae)
- ハリセンボン科(Diodontidae)
- キタマクラ科(Canthigasteridae)
さらに、クロタチカマス科(Gempylidae)、バラムツ(Ruvettus pretiosus)およびアブラソコムツ(Lepidocybium flavobrunneum)に属する生鮮、調製済み、冷凍および加工済みの水産物は、ラッピングまたはパッケージングされた形態でのみ上市することが認められています。
また、ふぐ毒のほか、シガテラ毒など生物毒素を含む水産物の上市は禁止されており、日本からの輸出が禁止されている魚種として、厚生労働省により指定されています(厚生労働省「対EU輸出水産食品の取扱要領」別添12)。
- ふぐ毒を含有するおそれのある魚種
- フグ科 Famille CANTHIGASTERIDAE
- ハリセンボン科 Famille DIODONTIDAE
- マンボウ科 Famille MOLIDAE
- マフグ科 Famille TETRAODONTIDAE
- シガテラ魚による健康被害を起こすおそれのある魚種
- アカマダラハタ Epinephelus fuscoguttatus(Forsskal)
- アマダレドクハタ Plectropomus oligacanthus(Bleeker)
- バラハタ Variola louti(Forsskal)
- バラフエダイ Lutjanus bohar
- フエドクタルミ Lutjanus gibbus(Forsskal)
- オニカマス Spyraena barracuda(Walbaum)(Picuda)
- ワックスによる健康被害を起こすおそれのある魚種
- アブラソコムツ Lepidocybium flavobrunneum
- バラムツ Puvettus
- ビタミンAによる健康被害を起こすおそれのある魚種
- イシナギ Stereolepis ischinagi
※本項以降では、EU規制に加え、英国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものです。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
水産庁
-
農林水産省 EU等向け輸出証明書等の概要について
- 根拠法等
-
2018年EU離脱法(英語)
-
2020年EU(離脱協定)法(英語)
- 規則(EU)No 2016/6(英語)
- 実施規則(EU)2019/1787 (英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
農林水産省 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応
-
水産庁 EU向けに輸出される水産物に関する水産庁による証明書の発行について(原発事故関連)
(156KB)
-
農林水産省 EUによる日本産食品の輸入規制の改正について
-
厚生労働省 対EU輸出水産食品の取扱要領
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
EORI番号について
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入します。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。 GB EORI番号は、英国で輸出入通関を行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。 GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイトを参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
認定施設について
英国にブリを含む水産物(海藻類を除く)を輸出するためには、生産(養殖場、漁船)から加工・流通に至るまで英国の求める衛生基準を満たすことが求められており、国レベルでは、次の(1)(2)の要件を満たす必要があります。
- 欧州委員会規則 (EU) 2017/625 に基づき、『残留物質モニタリング計画』の承認を受ける
- 欧州委員会実施規則(EU) 2019/626 ANNEX IとIIの『第三国リスト』に掲載されている
また、事業者レベルでは、次の(3)(4)の条件を満たす必要があることから、加工施設のEU・HACCP認定取得だけでなく、加工施設に原料を供給する漁船や養殖場、市場を経由する場合は市場の登録も必要となります。
- 輸出元国などにおいて登録(必要に応じて欧州委員会に通報)された漁船・市場などを経由する
- 輸出元国の所轄当局にEU規則(英国を含む)に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たしている旨の認定を受けた加工施設などで加工する
が必要となることから、加工施設のEU・HACCP認定取得だけでなく、加工施設に原料を供給する漁船や養殖場、市場を経由する場合は市場の登録も必要となります。
EU規制(英国を含む)において、日本は水産物に関して、残留物質モニタリング計画の承認を受け、第三国リストに掲載されているため、認定施設で生産・加工された水産物は、輸出元国の所轄当局が発行する衛生証明書を添付して英国に輸出することが可能です〔ただし、二枚貝、棘皮動物(ヒトデ、ウニ、ナマコなど)、ホヤ、腹足類(巻貝など)については、冷凍または加工処理を施したものに限り英国への輸出が認められています〕。英国を含むEU向け輸出の生産海域として指定され、貝毒などに関する海域のモニタリングを受ける必要があります。現在指定されている生産海域については水産庁のウェブサイトを確認してください。
養殖魚介類を原材料とした製品を製造している施設が認定を取得する場合は、水産庁に相談する必要があります。
認定を受けた加工施設などのリストは、関連リンクの農林水産省のウェブサイト「証明書や認定施設の申請」(欧州)において確認することができます。衛生証明書に関しては、「3.動植物検疫の有無」を参照してください。
加工施設などの認定を受けるための手続きは、厚生労働省管轄下の都道府県(衛生部局)あるいは水産庁が実施しており、認定取得後も定期的な監視・検査が行われます。なお、冷凍船を含む漁船や養殖場については都道府県の水産部局が、市場については衛生部局が担当しています。
認定施設の基準の詳細については、「対EU輸出水産食品の取扱要領(厚生労働省)」および「対EU輸出水産食品取扱施設の認定申請ガイドライン(水産庁)」を参照してください。
漁獲証明書について
これらの認定施設の条件を満たしたのち、欧州委員会規則(EC)1005/2008に基づき、日本船籍の漁船により漁獲された、稚魚(養殖魚)、淡水魚を除く水産物を英国に輸出する際は、当該水産物が違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported and Unregulated)漁業で漁獲されたものではない旨を証明するため漁獲証明書の提出が必要です。
また、日本船籍以外の漁船で漁獲された水産物を日本で加工したうえで英国に輸出する場合には、当該船籍国が英国から旗国通知を受けている必要があり、かつ当該国の漁獲証明書に加えて加工証明書が必要です。
ただし、漁獲証明書・加工証明書の提出を求められるのは、規則(EC)No 1005/2008のANNEX Iに列記された品目を除く、次のHSコードに該当する水産物を英国に輸出する場合に限られます。
- 03類(HSコードの先頭が03の魚ならびに甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
- 1604(調製または保存処理済みの魚)
- 1605(調製または保存処理済みの甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
日本産ホタテ・ブリ(ハマチ)・太平洋サケ(シロザケおよびカラフトマス)は、稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品であることを日本政府からEU担当局(英国)に説明しているため、漁獲証明書の提出義務の対象外です。万が一、ほかの加工貿易国を経由した場合などに、漁獲証明書の提出を英国から求められた場合は、水産庁の発行するレターを提示することで、「稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品」 であることを証明できます。
漁獲証明書、加工証明書については水産庁で発行しています。発行に係る詳細については、 水産庁のウェブサイトで確認が可能です。
なお、本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。
原産地証明書
英国は、EU離脱移行期間終了後、日EU経済連携協定(日EU・EPA)の適用外となりますが、一方で、日英包括的経済連携協定(日英・EPA)の発効が見込まれています。日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれか(または通関業者も可能と推測)が、自ら原産地を証明することになります。書式などに関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認が必要ですが、日英・EPAにおける手続きの詳細は、現時点で公表されていません。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。
関連リンク
- その他参考情報
-
農林水産省 EUにおける新たな混合食品規制への対応について
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1005/2008(英語)
-
規則(EU)2017/625(英語)
-
実施規則 (EU) 2019/626 (英語)
- 規則(EC)No 2074/2005(英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
水産庁 EUのIUU漁業規則について
- ジェトロ IUU漁業規則と水産食品の対EU輸出(2014年3月)
- ジェトロ「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について」(2017年3月発行 / 2019年5月更新)
- EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査 ―動物由来食品・植物・混合食品等の EU への輸出条件を中心に―(2020年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
- ジェトロ 日英EPA関連情報
-
英国政府 EORI番号について(英語)
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
動物検疫の対象となる食品のリストは、欧州委員会規則(EU)2017/625および実施規則(EU)No 2019/2007のANNEX Iに示されています。衛生証明書の雛形については、欧州委員会実施規則(EU)2019/628のANNEX IIIにおいて確認することができます。日本から輸出する場合の衛生証明書の発行は、厚生労働省で施設認定を受けた場合は都道府県などの衛生部局(市場など)、水産庁で施設認定を受けた場合(漁船や養殖場など)は水産庁となります。
英国(北アイルランドを除く)への動物性製品などの輸入の際の衛生証明書は、非 EU 諸国から EU への輸入の際に使用されている衛生証明書と実質的には同様のものとなります。 なお、EU(英国を含む)において、動物由来加工製品(動物性原材料)と植物性原材料の両方を含む食品(魚粉末やカツオエキスなど)を「混合食品」として、独自の規制を設けています。混合食品に関する詳細は、本ポータルサイト(英国)の「菓子」「調味料」「乳製品」および関連リンクにある農林水産省およびジェトロのウェブサイトを参照してください。
(注)『加工』とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となる。
関連リンク
- 関係省庁
-
水産庁
-
厚生労働省
- 根拠法等
-
規則(EU)2017/625(英語)
-
実施規則(EU) No 2019/2007(英語)
-
実施規則(EU) 2019/628 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
厚生労働省 対EU輸出水産食品の取扱要領
-
農林水産省 EUへの対応
- ジェトロレポート EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査 ―動物由来食品・植物・混合食品等の EU への輸出条件を中心に―(2020年3月)
英国の食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制(英国を含む)が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国 が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。例えば、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う日本産食品に対する措置は、同規定に基づくものです。
動物由来食品の衛生規則である欧州議会・理事会規則(EC)No 853/2004は、食品事業者に対し、
- 生食用
- 殺虫には不十分なマリネ、塩漬けおよびその他の処理しか施されていない
魚類または頭足類由来の水産物については、加工施設などにおいて特定の温度で一定の期間冷凍処置を施し、寄生虫の殺虫処理を徹底することを義務づけています。
冷凍処置に際して、食品事業者は、当該水産物のすべての部位について少なくともマイナス20度の温度で24時間以上、またはマイナス35度で15時間以上冷却する必要があります。
なお、次に該当する水産物に関しては、前述の冷凍処理を実施する必要はありません。
- 熱処理を行った、または消費前に熱処理を行うことが意図されている水産物で、これにより寄生虫が殺虫されるもの。吸虫類以外の寄生虫の場合、当該水産物は中心温度60度以上で1分以上加熱されなければならない
- 寄生虫を殺虫するのに十分な期間冷凍保存された水産物
- 次の条件を満たす、野生で捕獲された水産物
- 原産漁場が寄生虫の存在に関して健康上の危険をもたらさないことを示す、有効な疫学データがあること
- 所轄官庁がそのことを承認していること
- 胚から養殖されたうえで、健康上の危険をもたらす寄生虫を含まない飼料のみを与えられた養殖魚に由来する水産物で、次のいずれかの要件を満たすもの
- 寄生虫のいない環境に隔離されて養殖されている
- 食品事業者が、当該水産物が寄生虫による健康上のリスクがないことを、所轄官庁が承認した手続きで検証している
これらの水産物を市場に出す際は、最終消費者に供給される場合を除き、冷凍処理を施した業者が作成した冷凍処理の種類を明記した書類が添付されていなければなりません。 また食品事業者は、前述の(c)(d)に該当し、冷凍処理が施されていない、または消費前にその他の殺虫処理を施す予定がない水産物を市場に出す前には、該当水産物が各要件を満たしていることを確認しなければなりません。
また、食品事業者は水産物を市場に出す前に目視検査を実施しなければならず、検査の結果明らかに寄生虫に汚染されている水産物をヒトの食用として市場に出すことはできません。
その他、EU(英国を含む)の食品の食品衛生要件に関しては、欧州議会・理事会規則 (EC) No 852/2004(一般食品衛生規則)にも則る必要があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 178/2002(英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
規則 (EC) No 852/2004 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
- ジェトロ IUU漁業規則と水産食品の対EU輸出(2014年3月)
-
厚生労働省 対EU輸出水産食品の取扱要領
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
欧州委員会規則(EU)2017/625に基づき、EU域内(英国を含む)に養殖魚介類を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、厚生労働省が定めたモニタリング計画および実施要領に従い、残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要です。
サンプリングは毎年、生産量100トンにつき少なくとも1サンプル以上実施されます。検査物質により養殖場の段階で行われる場合と、出荷段階、加工施設あるいは卸売市場の段階で行われる場合とがあります。 検査対象となる残留動物用医薬品などのモニタリング検査の詳細については、厚生労働省の「対EU輸出水産食品の取扱要領」の「10.養殖魚介類を使用した水産食品等の残留動物医薬品等の取扱い」でも確認できます。
なお、本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。
関連リンク
- 関係省庁
-
水産庁
-
厚生労働省
- 根拠法等
-
規則(EU)2017/625(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
厚生労働省 対EU輸出水産食品の取扱要領
-
水産庁 水産庁による対EU水産食品の取扱要領
(108KB)
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
EU(英国を含む)では、欧州委員会規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則 (EEC) No315/93 Article 1(1))。
水産物の場合、次のとおり、鉛、カドミウム、水銀、ダイオキシン類、PCB類、メラミンの上限値が規定されています。
項目 | 上限値 | 対象品目 |
---|---|---|
鉛 | 0.30 mg/kg | 魚肉(*1) |
鉛 | 0.05 mg/kg | 飲み物を除く乳幼児向け食品と穀物ベースの加工品 |
カドミウム | 0.050 mg/kg | 魚肉(*2) |
カドミウム | 0.04 mg/kg | |
水銀 | 0.50 mg/kg | 魚肉(*3) |
メラミン | 2.5mg/kg | 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品 |
過塩素酸イオン | 0.01mg/kg | 乳幼児用向け食品など |
項目 | 上限値 | 対象品目 |
---|---|---|
ダイオキシン類合計〔OMS-PCDD/F-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※4)〕 | 3.5pg/g湿重量 | 魚肉、水産物とその派生品(*5) |
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計〔OMS-PCDD/F-PCB-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※4)〕 | 6.5pg/g湿重量 | 魚肉、水産物とその派生品(*5) |
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) | 75ng/g湿重量 | 魚肉、水産物とその派生品(*5) |
*1:甲殻類の付属肢、腹部の肉(カニおよびカニ類甲殻類(ズワイガニ、ケガニなどの短尾下目とタラバガニ、ヤシガニなどの異尾下目)の場合は付属肢の肉)、二枚貝、頭足類(内臓は除く)に関しては、別途上限値が定められているため注意。
*2:*1、二枚貝に加えサバ、マグロ、ハリボウズハゼ、マルソウダ、アンチョビ、メカジキ、イワシの魚肉に関しては別途上限値が定められているため注意。
*3:アンコウ、シロオオカミウオ、カツオ、ウナギ、シラスウナギ、ヒウヒダイ、ソコダタ、オヒョウ、キングクリップ、ニシクロカジキ、ヒラメ、ボラ、ミナミアカヒゲ、カワカマス、プアーコッド、マルバラユメザメ、エイ、タイセイヨウアカウオ、バショウカジキ、タチウオ、タイ、サメ全種、マナガツオ、チョウザメ、メカジキ、マグロの魚肉に関しては別途上限値が定められているため注意。
*4:WTOが適用する毒性等価係数を乗じた毒性等量
*5 : 捕獲野生ウナギ、捕獲野生アブラツノザメ、捕獲淡水魚肉(淡水で捕獲される回遊魚を除く)、魚のレバーおよびその加工派生品、海洋油を除く。
その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC) 850/2004は新規則(EU) 2019/1021により改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。
REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認ができます。
さらに、規則(EC)852/2004に記載されている食品衛生基準の順守のほか、鮮度基準を確保するための官能試験、ヒスタミンの限界値、総揮発性窒素、寄生虫、ヒトの健康に有害な毒素に関する保健基準が規則(EC)853/2004により規定されています。
なお、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC) 2073/2005」により英国における食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則により、水産物中のヒスタミン濃度の上限値が定められています。
ヒスチジンが豊富な魚類を原料とする水産品の濃度基準の測定に際しては、1ロットあたり任意に採取した9 (または18)サンプルについて検査し、次の基準により判定します。
- すべてのサンプルの平均値が100mg/kgを超えないこと
- 2サンプルは100mg/kg以上200mg/kg未満でも可
- すべてのサンプルが200mg/kgを超えない
ヒスチジン含有量の多い魚種由来の食品(特にサバ科、ニシン科、カタクチイワシ科、シイラ科、オキスズキ科、サンマ科など)については留意が必要です。
ヒスチジンが豊富な魚類を原料とする水産品で、酵素による塩蔵処理を施されたもの(前述に属する食品を除く)に関しては(1)のヒスタミン濃度の平均値が200 mg/kg (3)の許容値が400 mg/kgとなります。ただし、水産品を原料に発酵により製造された液体に関しては(1)と(3)が400 mg/kgとなります。
ブリは該当しませんが、一部の水産物にサルモネアやE.Coliの基準値が規定されています。
その他、ブリは該当しませんが、欧州委員会規則(EC)2074/2005では全揮発性塩基性窒素(TVB-N)の上限値が定められています。表の魚種で未加工水産物の場合、TVB-Nが上限値を超えている場合は市場に出すことはできません。
上限値 | 対象魚種 |
---|---|
25mg/100g | メヌケ類、ユメカサゴ、メバル |
30mg/100g | カレイ類(オヒョウを除く) |
35mg/100g | 大西洋サケ、メルルーサ類、タラ類 |
60mg/100g | 食用に供する魚油原材料 |
事業者は生寄生虫(viable parasite)の発見を目的とする目視検査を実施し、明らかに寄生虫に汚染されている水産物を、ヒトの食用の市場に出してはならないとしています。
なお、EU実施規則案において、第三国から輸入されるアフラトキシン、残留農薬、ダイオキシンおよびマイコトキシンなど汚染物質に関する国境検査での強化が提案されていますが(例:中国産の茶やインド産青果など)、現在のところ日本産製品はリストアップされていませんが、EU離脱移行期間終了後の英国において規則が変更されることもあるため、注意が必要です。(SANTE/10898/2019)
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1881/2006(英語)
-
規則(EC)No 2073/2005(英語)
-
規則(EC)No 2074/2005(英語)
-
規則(EEC)No315/93(英語)
-
規則(EC) No852/2004(英語)
-
規則(EC) No853/2004(英語)
-
規則(EU)2020/685 (英語)
-
規則(EU) 2019/1021 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
厚生労働省 対EU輸出水産食品の取扱要領
-
水産庁 水産庁による対EU水産食品の取扱要領
(108KB)
-
ジェトロ EU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」
(528KB)
4. 食品添加物
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
英国では、食品添加物については欧州議会・理事会規則(EC)No 1333/2008に基づきポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。 EU規制(英国を含む)におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「09.1.1未加工の水産品」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかについても確認する必要があります。
ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。
また、規則(EU) 2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。 食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。
その他、酵素に関しては、規則(EC)1332/2008、香料に関しては規則(EC)1334/2008を確認する必要があります。詳細はジェトロレポート「EU における 食品香料・食品酵素に対する規制動向(2017年3月)」でも確認できます。
なお、本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1333/2008(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
規則(EC)1925/2006 (英語)
-
規則(EU) 2019/649 (英語)
-
規則(EC)1332/2008(英語)
-
規則(EC)1334/2008(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - 指令2009/32/EC(英語)
- その他参考情報
-
食品添加物検索データベース(英語) (化学物質名や食品カテゴリーでの検索が可能)
- ジェトロ EUにおける食品添加物に関する規制(2014年3月)
- ジェトロ 食品添加物規制調査 EU(2016年2月)
- ジェトロ EUにおける食品香料食品酵素に対する規制動向(2017年3月)
-
英国政府 承認された食品添加物・E番号一覧(英語)
5. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004)。また、欧州委員会規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)が定められています。
欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004 ANNEX Iには、食品接触素材の製造に使われる17の素材および製品(アクティブ・インテリジェント素材、接着剤、セラミック、コルク、ゴム、ガラス、イオン交換樹脂、金属・合金、紙・ダンボール紙、プラスチック、印刷用インク、再生セルロース、シリコン、繊維、ニス・コーティング材、ワックス、木材)が列挙されていますが、そのうちアクティブ・インテリジェント素材、セラミック、プラスチック、再生セルロースにのみEUレベル(英国を含む)で特定の規則が定められています。
アクティブ・インテリジェント素材(鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など))、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)については、食品と誤認されるおそれがある場合には、委員会規則(EC)No 450/2009の規定により、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
セラミック素材については、カドミウムと鉛の検出上限値が欧州理事会指令(EEC)No 84/500に規定されています。
プラスチック素材については、ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会規則(EU)No 10/2011 ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています(ただし、複数のプラスチック層からなる食品接触素材で、食品と接触しない層に使われるプラスチック原料については、当該層が機能的なバリア層によって食品接触層から隔離されており、かつ、当該原料が食品に移行しないことが検査によって確認できていれば、ANNEX Iのリストに記載されていない物質も利用することができます)。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
また、再生セルロースについてもポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会指令(EC)No 2007/42 ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
さらに、欧州委員会規則(EC)No 1895/2005により、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)、ノボラックグルシジルエーテル(NOGE)は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)への使用が禁止されるとともに、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)およびその派生物は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)に使用する場合の上限値が定められています。
英国において、食品接触素材に関する独自規制はみられません。
その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は「花き」を確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 食品接触材に関する各国当局窓口(英語)
(882KB)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1935/2004(英語)
-
規則(EC)No 2023/2006(英語)
-
規則(EC)No 1895/2005(英語)
-
規則(EU)No 10/2011(英語)
-
規則(EC)No 450/2009(英語)
- その他参考情報
-
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)
(579KB)
-
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)
-
農林水産省輸出先国における容器・包装に関する規制
(86KB)
-
欧州委員会 食品接触材について(英語)
- ジェトロ海外向け食品の包装制度調査
6. ラベル表示
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、2022年9月30日までにラベル表示を変更する必要があることが書かれています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。北アイルランドについては、北アイルランド議定書に基づき北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとされているものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、FBO住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。 また、衛生識別マークについて、英国および北アイルランドで製造および販売される動物由来製品、または英国外に輸出される動物由来製品は、2022年9月30日までに、新しい英国の健康および識別マークに置き換える必要があると記載されています。
英国に輸出される水産物には、当該水産物の加工などを行った認定施設の施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(identification mark)が必要です(規則(EC)No 853/2004 Article 5およびANNEX II Section I)。識別マークは、原則、個々の商品パッケージに貼付または印字する必要があります。ただし、輸送用の容器に入れられており、さらなる小分け、加工などがされるものについては、当該輸送用容器の外面に識別マークを貼付することも認められます。
食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011で規定されています。同規制は英国で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。英国 市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
水産物を輸出する場合、同規則Article 9に基づき次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
- 食品名
- 原材料リスト(食品添加物を添加した場合)
- アレルゲン(該当物質は次のとおり。詳細については、同規則のANNEX IIを参照。)
- グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
- 甲殻類および同製品
- 卵および同製品
- 魚および同製品(一部例外あり)
- ピーナッツおよび同製品
- 大豆および同製品(一部例外あり)
- 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
- ナッツ類およびその製品
- セロリおよび同製品
- 辛子および同製品
- ゴマおよびその製品
- 濃度が 1キログラムまたは1リットル当たり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
- ルピナス(マメ科植物)および同製品
- 軟体動物および同製品
- 正味量
- 賞味期限/消費期限
- 特別な貯蔵条件/使用条件(ある場合)
- (当該商品について責任を負う)EU域内の事業者あるいは輸入業者の名称と住所
- 使用方法(指示がないと使用が困難と思われる場合)
その他、冷凍未加工水産物の場合は、冷凍日を『Frozen on 日/月/年』(複数回冷凍されている場合には最初の冷凍日)の表示義務が追加されます(同規則ANEX III.6)。
また、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充填したガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規則ANEX III.1)。
切り身、骨付き、スライス、塊、フィレ、または魚全身の外観を有する水産加工品および水産調製品で、添加水が最終製品の重量の5%を超える場合は、食品の名称に添加水の存在の表示を含める必要があります(同規則ANNEX VI Part A)。
これらに加え、水産物のマーケティング標準について定める欧州議会・理事会規則(EU)No 1379/2013 Article 35に基づき、次のHSコードに該当する水産物を英国で実需者または消費者に販売する際は、表示義務項目が追加されます(包装されていない水産物を小売販売する場合は、ポスターなどの手法により提供もできます)。
- 該当HSコード
-
03 魚ならびに甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物
(ただし、0308に該当する水棲無脊椎動物(ナマコ、ウニ、クラゲなど)は対象外)
1212.2- 海藻その他の藻類 - 追加義務表示項目
-
- 当該水産物の商業上の名称および学名
- 生産方法(漁獲/淡水漁獲/養殖)
- 漁獲/養殖された海域および漁獲に使用された漁具の分類
(規則(EU)No 1379/2013 ANNEX IIIの漁具コードを用いて表記) - 当該水産物が解凍されたかどうか(ただし、生産過程において凍結が不可避な場合、衛生目的で凍結された場合、くん製・塩蔵・酢漬け・調理・乾燥の前に行われた解凍については対象外)
- (該当する場合には)品質保持期限(the date of minimum durability)
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。

- 包装面の最大面積が80 cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
- 包装面の最大面積が80 cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
英国において、水産物に適用され得るラベル表示の独自規制はみられません。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 貿易総局(英語)
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
-
英国食品基準庁(FSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EU)No 1169/2011(英語)
-
規則(EU)No 1379/2013(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
欧州委員会Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)
- EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)
- ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
-
英国政府2021年1月1日からの飲食物のラベル表示の変更について(英語)
-
英国政府食品ラベルと包装(英語)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
- EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)
-
欧州委員会Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)
7. その他
調査時点:2020年10月
プライベートスタンダードについて
プライベートスタンダードとは、国・地域が取得・適合を必須要件として定める規制・規格・認証ではないが、商取引を行うにあたり各事業者などが任意で取得・適合する民間基準です。
水産物関係では、環境・自然保護に対する取組みが高まっていることを受けて「海のエコラベル」とも呼ばれる水産物の認証制度が存在します。天然魚を対象とするMSC認証やMEL認証、養殖魚を対象とするASC認証やAEL認証などが存在します。
現地の大手小売との商談などでこれらの認証が求められることがあります。 MSC認証をはじめとする水産物関係の認証の詳細については、関連リンクの「その他参考情報」を参照してください。
英国での輸入手続き
1. 施設登録、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
英国では、特定の動物製品の輸入に際して、輸入ライセンスの取得を必要としています。魚はその対象ですが、本ページに記載している一連のEUによる輸入条件の設定により適用を中止しているため、実際には、現時点で輸入ライセンスの取得は必要ありません。
欧州委員会規則(EC)1005/2008に基づき、日本船籍の漁船により漁獲された水産物を英国に輸出する際は、当該水産物が違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported and Unregulated)漁業で漁獲されたものではない旨を証明するため漁獲証明書の提出が必要です。
また、日本船籍以外の漁船で漁獲された水産物を日本で加工したうえで英国に輸出する場合には、当該船籍国の漁獲証明書に加えて加工証明書が必要です。
ただし、漁獲証明書・加工証明書の提出を求められるのは、次のHSコードに該当する水産物をEU域内に輸出する場合に限られます。
- 03類(HSコードの先頭が03の魚ならびに甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
- 1604(調製または保存処理済みの魚)
- 1605(調製または保存処理済みの甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
漁獲証明書、加工証明書については水産庁で発行していますが、加工証明書の発行には漁獲船の船籍国が発行した漁獲証明書が必要です。発行に係る詳細については、水産庁のウェブサイトで確認が可能です。
また、規則(EC)No 1005/2008のANNEX Iに列記された品目(養殖魚、淡水魚など)はIUU漁業規則の対象外とされており、日本産ホタテ・ブリ (ハマチ)・太平洋サケ(シロザケおよびカラフトマス)は稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品であることを日本政府からEU担当局に説明しているため、漁獲証明書の提出義務の対象外です。万が一、ほかの加工貿易国を経由した場合などに、漁獲証明について英国から提出を求められた場合は、水産庁の発行するレターを提示することで、「稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品」であることを証明できます。
なお、本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。
関連リンク
- 関係省庁
-
英国政府 動物性食品の輸入ライセンスについて(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1005/2008(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
日本から英国に水産物を輸入する際には、次の書類が必要になります。
- 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))
EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。 - インボイス(商業送り状)
- パッキングリスト(包装明細書: P/L)
- 価格申告書(Customs Value Declaration)
CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。 - 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
- 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P) /衛生証明書および識別マーク
- 放射性物質検査証明書または産地証明書(該当する場合)
- EUのIUU漁業規制に基づく漁獲証明書
- 加工証明書(該当する場合)
2019年12月14日から、公的管理の新規則 (EC)2017/625 が適用開始となり、貨物の到着1日前までに共通衛生入域文書(CHED : Common Healthy Entry Document)をTRACES などの電子システム経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。
通常の通関書類(インボイスおよびパッキングリスト)に加えて、放射性物質検査証明書または産地証明書(該当する場合)(「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」参照)、衛生証明書および識別マーク(「3. 動植物検疫の有無」参照)、EU(英国を含む)のIUU漁業規制に基づく漁獲証明書(「2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)」参照)、加工証明書(該当する場合)(「2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)」参照)の提出が必要となります。
3. 輸入時の検査
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
水産物の輸入時には動物検疫が課されます(「輸入規制」の「3.動植物検疫の有無」参照)。
英国での動物検疫は、規則 (EU) 2017/625および 委員会実施規則(EU) 2019/1014に規定された国境検疫所(Border Inspection Post)に相当する国境管理ポスト(Border Control Post)で実施されます。このため、英国に輸出される水産物は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。さらに、品目の種類によって、対応可能な国境管理ポストが異なるため、英国政府のウェブサイトから、水産物の動物検疫が対応可能な国境管理ポストを必ず確認してください。
動物検疫の手続きなどについては、主として委員会規則 (EU) 2017/625に規定されています。
まず、動物検疫の対象となる食品を英国に輸出するには、国境管理ポストに事前通知を行う必要があります。事前通知は、貨物が国境検疫所に到着するまでになされる必要があります。また、この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通検疫入国証」(Common Veterinary Entry Document)のPart 1で要求される情報を添える必要があります。共通検疫入国証は、動物検疫に合格した際に検査官から発行される書類で、実施規則(EU) 2019/2130および実施規則 (EU) 2019/628ANNEX Iにおいて様式が規定されています。 この事前通知については、2020年12月7日午前6時(英国時間)以降、EUのウェブシステム「TRACES」は利用できず、英国独自の新たなシステムであるIPAFFS(the Import of Products, Animals, Food and Feed System)を通して行う必要があります。
動物検疫は、(1)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、(2)同一性検査(貨物が提出書類と一致しているかの確認)、(3)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。(1)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、(3)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から共通検疫入国証が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
これら動物検疫上の検査に加えて、食品添加物規制や残留農薬基準など、食品衛生に関するほかのEU規制(英国を含む)についても、適合状況をあわせて検査される場合があります(規則(EU)2017/625 第44条)。
いずれの検査についても、要した費用が請求されますので、詳細は利用したBCPに問い合わせてください。
関連リンク
- 関係省庁
-
英国政府BCP所在地について(英語)
-
英国政府動物性食品の輸入について(英語)
-
英国政府IPAFFSシステムについて(英語)
- 根拠法等
-
規則(EU)2017/625(英語)
-
実施規則(EU) 2019/1014(英語)
-
実施規則(EU) 2019/2130(英語)
-
実施規則 (EU) 2019/628 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
英国動植物衛生庁「EU域外から英国への動物性製品の輸入にかかる動物検疫に関するインフォメーション・ノート」(英語)
(144KB)
-
欧州委員会 TRACES(英語)
4. 販売許可手続き
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
食品事業者は英国法または英国国内法に組み込まれたEUの衛生法に従い動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(「一般食品に関する衛生規則」規則(EC) No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」規則(EC) No 853/2004第4条)。
英国において食品事業を開始する際も、その施設を登録しなくてはならず、管轄の地域の自治体に開業の28日前に登録・通知する必要があります。レストラン、小売り、テイクアウト、ケータリングだけでなく、遠隔販売、宅配、一時的なポップアップストアなど、食品を調理、料理、保管、流通、供給、販売など取り扱いをする事業者は登録が必要です。
また、食肉、生乳、卵や水産物など動物性食品を製造・加工する食品事業者は施設認定が必要となりますが、直接消費者に販売する商店(肉屋や魚屋など)は前述の自治体への登録・通知のみとなります。ただし、例外規定もあるため管轄地域の当局に問い合わせる必要があります。詳細は英国食品基準庁(FSA) のウェブサイトで確認できます。
これらの衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002、欧州議会・理事会規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)、欧州議会・理事会規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)そして、欧州議会・理事会規則 (EU) 2017/625(新公的管理規則)により補完されます。
関連リンク
- 関係省庁
-
英国食品基準庁「食品事業を始められる方へ」(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 852/2004 (英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
規則(EC)No 178/2002(英語)
-
規則(EU)No 2017/625 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
5. その他
調査時点:2020年10月
なし
英国内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
英国は、EU離脱移行期間終了後、EU共通の関税ではなく、英国独自の関税であるThe UK Global Tariff (以下「UKGT」)が適用されます。これは、英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。
なお、日本からEUへの輸出品は、EU離脱移行期間終了後、日EU経済連携協定(日EU・EPA)が適用されない一方、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)が発効される見込みです。ただし、日英・EPAが発効されない、または発効後適用されない場合、前述の UK GTによる税率が適用されます。 なお、日英・EPA適用後の関税率は、表のとおりです。
また、日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明書については、輸入規制の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。
CNコード/品目 | 関税率:通常 |
関税率:日EU・ EPA適用 |
---|---|---|
0304.49.9090 生鮮または冷蔵されたその他の魚のフィレ(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
18.0% |
非課税 (0%) |
0304.59.9090 生鮮または冷蔵されたその他の魚のフィレ以外の魚肉(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
15.0% |
非課税 (0%) |
0304.89.9090 冷凍されたその他の魚のフィレ(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
15.0% |
非課税 (0%) |
0304.99.9990 冷凍されたその他の魚のフィレ以外の魚肉(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
5.6 % | 8年後に非課税(0%) |
CNコード/品目 | 関税率:通常 |
関税率:日英・ EPA適用 |
---|---|---|
0304.49.90 生鮮または冷蔵されたその他の魚のフィレ(特にほかに定めのないもの) |
18.0% |
非課税 (0%) |
0304.59.90 生鮮または冷蔵された同コードで除外した魚のフィレ以外の魚肉(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
14.0% |
非課税 (0%) |
0304.89.90 冷凍されたその他の魚のフィレ(特にほかに定めのないもの) |
14.0% |
非課税 (0%) |
0304.99.29~65 冷凍された各コートで規定する魚のフィレ以外の魚肉(細かく切り刻んであるかないかを問わない) |
7.5~15 % |
非課税 (0%) |
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 税制関税同盟総局(英語)
- その他参考情報
-
欧州委員会 関税検索サイト(英語)
-
英国政府 関税検索サイト(英語)
-
農林水産省 日EU・EPAにおけるEU側の農林水産物に関する合意内容
(1.32MB)
-
税関 原産地規則ポータル
-
税関 EPA原産地規則マニュアル
(1.6MB)
-
英国政府離脱移行期間後の輸入関税(英語)
-
ジェトロ 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)
(722KB)
-
ジェトロ 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)
(711KB)
2. その他の税
調査時点:2020年10月
英国では、「品目の定義」のHSコードに該当するブリを含む水産物の販売にVATは課されません。
関連リンク
- 関係省庁
-
英国歳入関税庁
- 根拠法等
-
指令2006/112(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
英国政府 関税検索サイト(英語)
3. その他
調査時点:2020年10月
なし
その他
調査時点:2020年10月
英国では、EU離脱後も2020年末までは移行期間として現行のEU規制が適用されます。また、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、現行のEU法は、原則的に英国国内法体系に、直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。そのため、以後、EU法としての記述は、そのまま英国国内法規定として読み替えてください。
- 有機食品に関する規制
- 2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合、英国の規則(イングランド、ウェールズ、スコットランド)を順守する必要があり、EUの規則と類似のものとなる予定です。 英国に有機食品を輸入する場合、英国の有機認証団体から認可を受け、その詳細を商品のラベルに記載することが必要です。
- また、2021年1月1日以降、英国の食品にEUの有機ロゴを利用することはできません。ただし、EUの有機ロゴを利用してEUに輸出することをEU側が認可している場合、英国とEUで相互に同等性認証に合意している場合は、利用可能です。
- なお、英国では、2021年12月31日まで、EUでの有機認証との同等性を認め、EUで有機認証されている食品は、英国でも有機食品として登録されます。一方、2021年1月以降、EUで英国の有機認証を認めるかどうかは、EUで決定されます。
- 日本の特定の有機食品は、英国との間で同等性が認められており、そのような商品は、英国に有機食品として輸出できますが、すべての食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)にお問い合わせください。
- 英国に有機食品を輸入する際、EUの TRACESシステムは利用できなくなります。そのため、2021年1月1日以降、英国の暫定的な有機輸入システムを利用する必要があります。さらに、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)へ有機食品を輸入するには、検査証明書を取得しなければなりません。 EU域内(英国を含む)で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および規則(EC)1235/2008で規定されていますが、新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が2021年1月1日から適用されます。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州委員会農業農村開発総局(英語)
-
英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 834/2007(英語)
-
規則 (EC) 1235/2008 (英語)
-
規則(EU)No 2017/625 (英語)
- その他参考情報
-
農林水産省 有機JASに基づく有機食品の輸出入方法などの変更について
-
農林水産省 有機食品の検査認証制度
-
農林水産省 有機登録認定機関一覧
(148KB)
-
欧州委員会農業農村開発総局 Import/Export: Trade in organic products(英語)
-
欧州委員会 TRACES(英語)
- ジェトロ 欧州における有機食品規制調査(2018年3月)
-
英国政府 2021年1月1日以降の有機食品の取引とラベルについて(英語)
-
英国政府(英語)有機食品について
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)