外資に関する規制

最終更新日:2025年02月07日

規制業種・禁止業種

ウクライナ法では、特定の地域または産業における外国投資家や外国企業の活動を制限または禁止する場合がある。現時点で、外国投資家または外国企業に対して制限を設けている対象物、産業、地域の一覧はない。

出資比率

原則、有限責任会社・株式会社ともに100%外資出資可。

有限責任会社(LLC)や株式会社(JSC)への外資出資の制限はない。ただし、国有企業(SOE)への外国投資は例外事項がある。法律により、国有財産をもとに設立された合弁会社については、資本金の50%以上を国が保有する必要があり、これは外国投資にも適用される。そのため、そのような合弁会社への外国投資は最大49%となる。

  1. 有限責任会社の場合
    追加拠出金の増資に関する社員総会決議においては、会社の資本金の増加総額、各株主の持分に対する増加額の比率、計画される資本金総額を決定する必要がある。
  2. 株式会社の場合
    合併する株式会社(事業会社)の株式(持分、単位)を合併後の株式会社の株式へ転換する場合は、あらかじめ合併契約書に規定された手順と株式交換比率に従って行わなければならない。株式交換比率は、合併によって消滅する株式会社の株式の額面価額と、承継会社の株式の額面価額との比率による。

外国企業の土地所有の可否

外国法人は農業用地の所有は禁止、非農業用地は条件により土地の取得が可能である。

ウクライナは2020年3月に、農業用地の売買を禁止していた20年間のモラトリアムを解除した。2021年からウクライナの国民の、2024年からウクライナ人が所有する法人の農業用地の取得が許可された。

外国人の個人・法人は、リース契約に基づいて土地を利用することができる。
2024年、ウクライナ国有財産基金は、国有農業用地をオンライン入札でリースするための透明かつ効率的なプラットフォームである「ランドバンクプロジェクト」を設立した。

農業用地

外国法人および株主(創設者)または最終受益者がウクライナ国民でない、ウクライナ法に基づいて登録された法人は、農業用地を所有することが禁止されている。
また、すべての法人は、農業用地を所有する法人(銀行の資本金を除く)の資本金、株式、または会員資格を取得することが禁止されている。

非農業用地

外国の法律に基づいて設立・登録された法人は、以下のような明示的に規定された場合に、非農業用地を取得することができる。

  1. 市街地において、不動産の取得およびウクライナにおける事業活動に関連する施設の建設を行う場合。
  2. 市街地外において、不動産物件を取得する場合。

国有地または市有地

外国の法律に基づいて設立・登録された法人が国有地または市有地を取得しようとする場合、ウクライナ国内で経済活動を営む権利を持つ恒久的施設を登録し、ウクライナ政府機関に申請する必要がある。
国有地または市有地の外国法人への売却手続きは以下のとおり。

  1. 国有地の売却(民営化対象物件が所在する土地を除く):ウクライナ閣僚会議(CMU)が最高会議(国会)の承認を得て実施する。
  2. 民営化対象物件が所在する国有地の売却:国営民営化機関がCMUの承認を得て実施する。
  3. 市有地の売却:関連する市議会がCMUの承認を得て実施する。

資本金に関する規制

有限責任会社(LLC)については、資本金の最低額に関する要件はない。
株式会社(JSC)の資本金の最低額は、設立(登記)日時点の最低賃金の200倍である。2025年2月時点の最低賃金は8,000フリブニャ(UAH)であり、JSCの資本金の最低額は160万UAHである。

その他規制

ウクライナは多くの分野において、外国投資に対する特定の国内比率や調達率を義務付けていない。ウクライナはWTO加盟国として貿易関連投資措置(TRIMs)を撤廃することにコミットしている。

ウクライナは、ほとんどの分野において外国投資に対する特定の国内産比率を義務付けておらず、外国投資家は物品やサービスの調達において柔軟性を保つことができる。国内産比率の要件は通常、国内の資源と労働力の活用が奨励される特定の産業に関連している。
輸出について、一般的には投資家の裁量にゆだねられているが、戦略物資の場合、輸出義務が課される場合がある。
国内販売の制限は、戦略物資の国内市場を守るために課されることが多く、ほとんどが一時的な措置である。

ウクライナはWTO加盟国として、WTO協定に違反する貿易関連投資措置(TRIMs)を撤廃することにコミットしている。TRIMsには、特定レベルの国内産比率を要求するもの(ローカルコンテント要求)、輸入を自社の輸出額や量に応じて制限するもの(輸出入均衡要求)、輸出義務を課すものなど、貿易を歪めるような方法で外国投資を制限するものが含まれる。この取り組みは、外国投資家と国内投資家が平等に扱われ、投資関連の措置が貿易または投資の流れを歪めてはならないことを意味する。ウクライナは2008年のWTO加盟以来、TRIMsを大部分廃止し、WTOの要件との投資政策の調和を続けている。WTOの規則では、開発途上国に対してTRIMsに関する例外的規定を認めているが、ウクライナはTRIMs撤廃に継続して取り組んでおり、大部分は完了している。