技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

最終更新日:2025年02月07日

技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

ウクライナの知的財産権制度は幅広い分野において保護されている。特許・商標・意匠は登録が必要だが、著作権は自動的に保護される。非居住者へのロイヤルティ支払はウクライナの移転価格規制の対象となる。

ウクライナの知的財産権制度

ウクライナの知的財産権制度は、幅広い分野において強力な保護を提供している。特許、商標、意匠は登録が必要だが、著作権は自動的に保護される。手数料と登録手続きは分野によって異なり、特許と商標は一般的に、有効期間中、毎年維持(更新)手数料が必要である。

管轄官庁:ウクライナ国立知的財産・イノベーション庁(Ukrainian National Office for Intellectual Property and Innovations:NIPO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 特許
    ウクライナにおける特許は、発明、実用新案、意匠を保護する。発明に対する知的財産権の有効期間は20年、実用新案は10年、意匠は5年(申請により延長できるが最大25年)である。
    手続き:ウクライナ国立知的財産・イノベーション庁(NIPO)に申請書を提出する。必要に応じて、説明書、概要、図面などを含める。NIPOは、(発明について)方式審査と実体審査を行う。権利登録申請などの手数料については「知的財産権の保護に関する費用の支払い手続きの承認に関する決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照。
  2. 商標
    商標所有者は、商標を使用、ライセンス供与、または販売する独占的権利を有する。有効期間は10年で、10年ごとに無期限に延長できる。
    手続き:商標に関する詳細(ロゴ、分類など)を記載した申請書類をNIPOに提出する。方式審査と実体審査の後、承認されれば、商標は公表され登録される。権利登録申請などの手数料については「知的財産権の保護に関する費用の支払い手続きの承認に関する決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照。
  3. 著作権
    ウクライナにおける著作権は、文学、音楽、芸術、ソフトウエア、データベースなどのオリジナル作品が創作された事実をもって発生する。
    手続き:著作権は、著作権登録やその他の特別な登録、あるいは著作権の発生と行使のためのいかなる手続きは不要。有効期間は、著作者の死亡の年の翌年1月1日から起算して70年である。権利の追加的な保護のために、国家登録を行うことができる。
  4. ノウハウまたは営業秘密
    ノウハウまたは営業秘密は、競争上の優位性を提供する機密のビジネス情報、生産プロセスまたは慣行を網羅する。ウクライナでは、これらを法的に知的財産権として認めており、機密性があり、商業的価値があり、合理的な安全対策によって保護されている場合、保護を受けることができる。企業は、ノウハウまたは営業秘密の不正使用または無許可の開示があった場合、民事、行政、刑事の救済措置に頼ることができる。秘密保持契約を締結し、アクセスを制限し、効果的な内部ポリシーを実施することにより、企業はノウハウおよび営業秘密保護における法的立場を強化できる。これらの保護期間は企業間契約によって規定され、情報が機密性を保つ期間に限定される。

ロイヤルティ支払と移転価格規制

非居住者へのロイヤルティ支払は、設定された移転価格(TP)の閾値を満たす場合、移転価格規制(TPルール)の対象となる。閾値とは、会社の年間収入が1億5,000万フリブニャ(UAH)を超え、1つの取引相手との総取引高が各年1,000万UAHを超える場合である。この場合、税務コンプライアンスを確保するために「独立企業間原則」に基づいて取引を行う必要がある。
ロイヤルティ支払がTP基準を満たさない場合、ウクライナの税法は、報告年度の前年の課税所得の4%に当年のロイヤルティ収益を足した額という許容最大限度を設定することにより、過剰なロイヤルティ控除を制限している。従って、これらの閾値を超えるロイヤルティ支払は、法人税の目的で控除できない。