税制
最終更新日:2021年02月18日
- 最近の制度変更
-
-
2020年8月24日
-
法人税
基本実効税率を段階的に引き下げ、2022年には25%とすることになっている。ただし、一定の条件を満たす中小企業に対しては、軽減税率の15%が適用される。
軽減税率
次の条件を満たす中小企業には15%の軽減税率が適用される(2020~2022年)。
- 当該営業年度の総売上高(税抜)が2020年度は763万ユーロ未満、2021年度から1,000万ユーロ未満。
- 資本金を全額払い込み済み
- 当該営業年度中を通じて、資本の75%以上を自然人(またはa.~c.の条件を満たすところの法人)が保有する。ただし、軽減税率の15%が適用されるのは、当該営業年度12カ月間に発生した課税対象利益のうち、3万8,120ユーロまで。
- 2020年度の基本税率は28%、売上高が2億5,000万ユーロ以上の企業の50万ユーロを超える利益に対する税率は31%。前記の軽減税率の適用を受ける中小企業は、課税対象利益のうち3万8,120ユーロまでは税率15%が適用される。
- 2021年度の基本税率は、売上高が2億5,000万ユーロ未満の企業が26.5%、売上高が2億5,000万ユーロ以上の企業は27.5%で、前記の軽減税率の適用を受ける中小企業は、課税対象利益のうち3万8,120ユーロまでは税率15%が適用される。
- 2022年度の基本税率は25%で、前記の軽減税率の適用を受ける中小企業は、課税対象利益のうち3万8,120ユーロまでは税率15%が適用される。
社会保障負担金
年間の売上高が763万ユーロ以上の企業で法人税額が76万3,000ユーロを超える企業は、法人税の支払額と76万3,000ユーロの差額に対し、3.3%の社会保障負担金(Contribution sociale sur les bénéfices:CSB)が課せられる(一般税法典CGI第235terZC条)。前記a.~c.の条件を満たす中小企業については免除される。
年間の売上高が1,900万ユーロを超える企業は、売上高の0.16%相当の企業連帯社会拠出金(Contribution sociale de la solidarité des sociétés:C3S)が課せられる(社会保障法典L651-3条、L245-13条)。
二国間租税条約
日本との間には、2007年12月1日付協定があり、源泉税率は、親子会社間の配当に対しては5%、配当一般に対しては10%、利子に対しては10%、使用料に対しては0%。
- 日本との租税条約
1996年3月に発効した「二重課税防止に関する日仏協定」に関し、日仏両国政府は2007年1月、改定議定書に署名し、同年12月に発効した。これにより、配当、利子、使用料など、投資所得に対する源泉地国における課税は軽減・免除された。
- 外務省:「日・仏租税条約改正議定書
」協定文、概要
- 財務省:「日・フランス租税条約改正
(228KB)」
-
2007年11月23日付政令(デクレ)no.2007-1675
- 外務省:「日・仏租税条約改正議定書
- 二国間租税条約
フランスは、日本を含む次の国・地域と二国間租税条約を締結している。
南アフリカ共和国、アルバニア、アルジェリア、ドイツ、アンドラ、サウジアラビア、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、バーレーン、バングラデシュ、ベルギー、ベナン、ベラルーシ、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブラジル、ブルガリア、ブルキナファソ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ、チリ、中国、キプロス、コンゴ共和国、韓国、コートジボワール、クロアチア、デンマーク、エジプト、アラブ首長国連邦、エクアドル、スペイン、エストニア、米国、エチオピア、フィンランド、ガボン、ジョージア、ガーナ、ギリシャ、ギニア、香港、ハンガリー、モーリシャス、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、アイスランド、イスラエル、イタリア、ジャマイカ、日本、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、キルギス、コソボ、クウェート、ラトビア、レバノン、リビア、リトアニア、ルクセンブルク、北マケドニア(旧マケドニア)、マダガスカル、マレーシア、マリ、マルタ、モロッコ、モーリタニア、メキシコ、モナコ、モンゴル、モンテネグロ、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ノルウェー、ニューカレドニア、ニュージーランド、オマーン、ウズベキスタン、パキスタン、パナマ、オランダ、フィリピン、ポーランド、仏領ポリネシア、ポルトガル、カタール、ケベック、ルーマニア、英国、ロシア、サン・バルテルミー、サン・マルタン、サンピエール・エ・ミクロン、セネガル、セルビア、シンガポール、スロベニア、スリランカ、スウェーデン、スイス、シリア、台湾、チェコ、スロバキア、タイ、トーゴ、トリニダードトバゴ、チュニジア、トルクメニスタン、トルコ、ウクライナ、ベネズエラ、ベトナム、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ。
その他税制
付加価値税(VAT)は標準税率が20%で、軽減税率は対象によって、10%、5.5%、2.1%と異なる。
個人所得税は、所得額によって、0%、14%、30%、41%、45%と異なる。
付加価値税(VAT、フランス語では、la Taxe sur la Valeur Ajoutée:TVA)
- 標準税率(20%):大半の工業製品、加工製品および一般サービスに適用(一般税法典CGI278条)
- 軽減税率
- 10%:未加工の農水産品、住居の改築工事、レストランなど一部のサービスなどに適用(一般税法典CGI第278-bis条、278quater条、278sexiesA条、278septies条、279条)
- 5.5%:食品、書籍、身体障害者用機器などに適用(一般税法典CGI第278-0bis条、278-0bisA条、278sexies条)
- 特別税率(2.1%):一部の医薬品などに適用(一般税法典CGI第281quarter条~281nonies条)
個人所得税(impôt sur le revenu)
個人所得税は課税所得に応じ、累進課税方式で次の5段階に分かれる(一般税法典CGI 第197条)。
- 課税所得が1万84ユーロ以下は非課税
- 課税所得が1万84超~2万5,710ユーロ以下は11%
- 課税所得が2万5,710超~7万3,516ユーロ以下は30%
- 課税所得が7万3,516超~15万8,122ユーロ以下は41%
- 課税所得が15万8,122ユーロを超える場合は45%
さらに、課税所得が25万ユーロを超える高額所得者に対しては、超えた額に対して特別課税(contribution exceptionnelle)が加算される。
加算される課税率は、課税所得に応じて2段階に分かれる。
- 課税所得が25万超~50万ユーロ(夫婦の場合、50万~100万ユーロ)までは3%
- 課税所得が50万ユーロ(夫婦の場合、100万ユーロ)を超える場合は4%
例えば、60万ユーロの所得がある単身者の場合:
通常の所得税(前述e.の45%)に加えて、
特別課税が25万超~50万ユーロの部分(50万ユーロ-25万ユーロ=25万ユーロ)に対して3%、
50万超~60万ユーロの部分(60万ユーロ-50万ユーロ=10万ユーロ)に対して4%課税、特別課税額は(25万ユーロ×0.03)+(10万ユーロ×0.04)=11,500ユーロとなる。
不動産富裕税(impôt de solidarité sur la fortune immobilière)
保有する不動産の資産価値(1月1日時点)が130万ユーロ超の場合、次の不動産富裕税が課税される。
- 純資産が80万ユーロ以下は非課税
- 純資産が80万超~130万ユーロ以下は0.5%
- 純資産が130万超~257万ユーロ以下は0.7%
- 純資産が257万超~500万ユーロ以下は1%
- 純資産が500万超~1,000万ユーロ以下は1.25%
- 純資産が1,000万ユーロを超える場合1.5%
企業負担の地方税(国土経済拠出金:CET)
企業負担の地方税として、国土経済拠出金(CET)がある(一般税法典CGI 第1447条、第1478条)。
CETは、「事業所が使用する不動産評価額」を対象とする企業不動産負担金(CFE)と、「当該事業所が生み出す付加価値」を対象とする企業付加価値負担金(CVAE)の2項目から構成されている。
CVAEは、CFEの課税対象となる企業のうち、売上高(税抜き)が年間50万ユーロを上回る企業に対してのみ課税されるが、売上高が15万2,500ユーロを超える企業には同社が生み出す付加価値額の申告が義務付けられている。CETの税率は各地域で異なるが、CVAEの税率は全国一律で付加価値額に対して課税される。
CVAEの実質課税率(0.5%~0.75%)は売上高に応じ、一般税法典CGI第1586quater条に基づき、次の算定式で得られる。
- 売上高が50万ユーロ未満は0%
- 売上高が50万ユーロ以上300万ユーロ未満は、0.25%×(売上高-50万ユーロ)÷250万ユーロ
- 売上高が300万ユーロ以上1,000万ユーロ未満は、0.25%+0.45%×(売上高-300万ユーロ)÷700万ユーロ
- 売上高が1,000万ユーロ以上5,000万ユーロ未満は、0.7%+0.05%×(売上高-1,000万ユーロ)÷4,000万ユーロ
- 売上高が5,000万ユーロ以上の場合は0.75%
参考:
フランス貿易投資庁-ビジネスフランス(BUSINESS FRANCE)
一般税法典(CGI)
フランス公的投資銀行(BPIFRANCE)