日本からの輸出に関する制度

水産物

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年12月

放射性物質規制

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、福島県産と群馬県の一部の水産物のうち、HSコード0302、0303、0304、0305、0308、1504.10、1504.20および1604に該当する水産品またはこれらを50%以上含む食品をEU域内に輸入する際は、政府作成の放射性物質検査証明書が必要です。その他の都道府県産の水産物の場合は産地証明書が必要です。ただし、甲殻類、ホタテを含む軟体動物、ブリ・ヒラマサ、カンパチ、マダイ、シマアジ、クロマグロ、マサバ、海藻および活魚は対象外となるため、本稿で対象の品目に関しては、放射性物質検査証明書は不要です。2021年10月に証明書の様式が変更となっています。放射性物質検査証明書および産地証明書の申請に必要な情報や申請方法に関しては、農林水産省のウェブサイトで確認することができます。いずれの場合も、輸入国においてサンプリング検査が行われる場合があります。

なお、英国には旧EU規則が適用されていることにも、留意してください。

残留モニタリング計画

EU域内にブリを含む水産物(海藻類を除く)を輸出するためには、一次生産(養殖場、生産漁船)から加工・流通(加工船・市場・倉庫を含む)に至るまでEUの求める衛生基準を満たすことが求められています。国レベルでは、対象の動物性食品が「残留モニタリング承認リスト」に掲載され、EU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」となることが要求されており、日本は、(1)EUへの輸出認定国判定を受け、対象品目が指令2011/163/EUの国別のリストに掲載されており(残留モニタリング承認)、(2)実施規則(EU) 2021/404または、実施規則(EU) 2021/405の「第三国リスト」に掲載されていることから、本稿で対象の水産物はEUへの輸出が可能です。

本枠組みの中で、動物用医薬品などの残留モニタリング検査が定期的に実施されています。 詳細は農林水産省「英国、欧州連合、スイスおよびノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」の「8.養殖魚介類を使用した水産食品等の残留動物医薬品等の取扱い」および、同要綱の別添6の「養殖魚介類を用いた対EU輸出水産食品中の残留動物用医薬品等のモニタリング対象物質(EU規則にて定められている物質)」で確認することができます。

Aタンパク同化作用を持つ物質および欧州域内での未承認物質
(A1)Stilbenes(e.g.diethylstilbestrol, hexestrol, dienestrol)
(A3)Steroids(androgens, estrogens and (pro)gestagens)
(A6)Compounds included in Annex IV to Council Regulation (EEC) No 2377/90
1. Chloramphenicol
2. Nitrofurans
3. Nitroimidazoles

B動物用医薬品および環境汚染物質
(B1)Antibacterial substances
(B2a)Anthelmintics
(B3a)Organochlorine compounds including PCB
(B3c)Chemical elements
(B3d)Mycotoxins
(B3e)Dyes (in particular malachite green and its major metabolite leuco malachite green)

なお、二枚貝など(ホタテを含む)もEU向け輸出の生産海域として指定され、貝毒などに関する海域のモニタリングを受ける必要があります。

衛生に関連する規則

欧州議会・理事会規則規則(EC)853/2004 ANNEX III、SECTION VIIIのCHAPTER Vに基づき、次の魚類については、有毒な魚類として上市(市場での販売)が禁止されています。

  • フグ科(Tetraodontidae
  • マンボウ科(Molidae
  • ハリセンボン科(Diodontidae
  • キタマクラ科(Canthigasteridae

さらに、クロタチカマス科(Gempylidae)、バラムツ(Ruvettus pretiosus)およびアブラソコムツ(Lepidocybium flavobrunneum)に属する生鮮、調製済み、冷凍および加工済みの水産物は、ラッピングまたはパッケージングされた形態でのみ上市することが認められています。

また、ふぐ毒のほか、シガテラ毒など生物毒素を含む水産物の上市は禁止されており、日本からの輸出が禁止されている魚種として、厚生労働省により指定されています(農林水産省「英国、欧州連合、スイスおよびノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」別添5)。

  1. ふぐ毒を含有するおそれのある魚種
    • フグ科 Famille CANTHIGASTERIDAE
    • ハリセンボン科 Famille DIODONTIDAE
    • マンボウ科 Famille MOLIDAE
    • マフグ科 Famille TETRAODONTIDAE
  2. シガテラ魚による健康被害を起こすおそれのある魚種
    • アカマダラハタ Epinephelus fuscoguttatus(Forsskal)
    • アマダレドクハタ Plectropomus oligacanthus(Bleeker)
    • バラハタ Variola louti(Forsskal)
    • バラフエダイ Lutjanus bohar
    • フエドクタルミ Lutjanus gibbus(Forsskal)
    • オニカマス Spyraena barracuda(Walbaum)(Picuda)
  3. ワックスによる健康被害を起こすおそれのある魚種
    • アブラソコムツ Lepidocybium flavobrunneum
    • バラムツ Puvettus
  4. ビタミンAによる健康被害を起こすおそれのある魚種
    • イシナギ Stereolepis ischinagi

生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫の基準

食品事業者は、養殖段階から加工段階まで、クロマグロにかかる寄生虫管理が一定の基準に従って行われていること、EU向け輸出生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫による健康危害リスクがないことを保証する必要があります。詳細は、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫管理に関する基準」で確認してください。

その他、EU向け水産品の輸出には、漁獲証明、第一次生産に関連する市場・施設および加工施設の衛生認定が必要なため、次項「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を必ず確認してください。

※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
水産庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)2019/1787 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
実施規則(EU) 2021/1533(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
決定2011/163/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/405(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
農林水産省「EU、EFTA及び北アイルランドによる日本産食品の原発関連の輸入規制について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 「その他証明書や施設認定の申請『原発関連証明書の発行に関する手続(令和3年10月7日更新)』」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「食品等に関する放射性物質検査証明書等の発行要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)749KB
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫管理に関する基準」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「要綱輸出される食品等に関する都道府県による証明書の発行要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)401KB
農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「要綱『別添6養殖魚介類を用いた対EU輸出水産食品中の残留動物用医薬品等のモニタリング対象物質(EU規則にて定められている物質)』」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年12月

【水産品に関連する施設の登録(衛生認定)について】

EU域内にブリを含む水産物(海藻類を除く)を輸出するためには、一次生産(養殖場、生産漁船)から加工・流通(加工船・市場・倉庫を含む)に至るまでEUの求める衛生基準を満たすことが求められています。

国レベルでは、対象の動物性食品が「残留モニタリング承認リスト」に掲載、EU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」となること、
事業者レベルでは、当該水産品が「EU (HACCP)認定施設(漁船・市場・倉庫含む)」を経由、加工を行うことで輸出が可能となります。 なお、加工施設のEU(HACCP)認定取得だけでなく、原料を供給する漁船や養殖場、市場が認定施設由来である必要があります。
具体的には、

  1. EUへの輸出認定国判定を受け、対象品目が指令2011/163/EUの国別のリストに掲載される(残留モニタリング承認)
  2. 実施規則(EU) 2021/404または、実施規則(EU) 2021/405の「第三国リスト」に掲載されている
  3. 欧州委員会規則 (EU) 2017/625 に基づき、『残留物質モニタリング計画』の承認を受ける
  4. 輸出元国などにおいて登録(必要に応じて欧州委員会に通報)された漁船・市場などを経由する
  5. 輸出元国の所轄当局にEU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たしている旨の認定を受けた加工施設などで加工する
    ことが必要となります。
表 1日本の残留モニタリング計画承認状況
動物種 残留物質モニタリング計画の承認状況
ウシおよびウシ科動物(Bovine)
羊・山羊(Ovine/caprine) ×
豚(Porcine)
ウマ科動物(Equine) ×
鶏・家きん類(Poultry)
水産養殖物(Aqua-culture)
魚(鮮魚)・二枚貝など
水産養殖物(Aqua-culture)
魚の派生品・甲殻類
X
乳(Milk)
卵(Eggs)
ウサギ(Rabbit) ×
野生の狩猟獣(Wild game) ×
飼育の狩猟獣(Farmed game) ×
ハチミツ(Honey)
ただし、認定第三国のはちみつを使用して混合食品を製造して、EUへの輸出は可能
×
表 2日本の第三国リスト掲載品
動物種 第三国リスト掲載品目(動物を除く)
生鮮肉/鮮魚
第三国リスト掲載品目(動物を除く)
加工品
生鮮の牛肉 (Bovine animals) 〇 *2
豚(Porcine) × 〇 *2
鶏・家きん類(Poultry) 〇*2
水産養殖物(Aqua-culture) ○ ※1
水産養殖物の加工品(キャビア等派生品を除く)
乳(Milk) 〇(生乳・初乳) 〇(乳製品)
卵(Eggs)
ケーシング 〇(有蹄類と鶏)

前述の表のとおり、日本は、水産品に関して、残留物質モニタリング計画の承認を受け、「第三国リスト」に掲載されているため、認定施設を経由または生産・加工された水産品は、輸出元国の所轄当局が発行する衛生証明書を添付してEU域内に輸出することが可能です。
認定の申請先は、都道府県の水産部局、農林水産省輸出・国際局、厚生労働省地方厚生局、保健所設置市または特別区の衛生部局など、施設の形態により変わってくるため、農林水産省のウェブサイトまたは、「英国、欧州連合、スイスおよびノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」を確認してください。また、以前は水産庁が認定登録を行っていた施設も2021年より農林水産省に変更になっている場合があるため留意してください。

認定施設の認定先
分類 施設 認定当局
第一次生産 養殖場 都道府県の水産部局
冷凍船 (Freezer vessels)
生産漁船
加工船 (Factory vessels) 農林水産省輸出・国際局
市場
(産地市場、消費地市場)
(二枚貝などの)浄化センター・出荷センター 農林水産省輸出・国際局
都道府県の水産部局
厚生労働省地方厚生局
保健所設置市または特別区の衛生部局
水産加工施設
倉庫

農林水産省による認定では、スクリーニング機関が、書類審査および現地調査(スクリーニング)を行ったうえで、農林水産省により確認審査が行われるため、まずはスクリーニング機関である「一般社団法人日本食品認定機構」に申請依頼をしてください。

一般社団法人日本食品認定機構 : 東京都港区赤坂1-9-13三会堂ビル9階
連絡先 : 03-5544-9810

農林水産省による水産加工施設や冷凍倉庫の施設認定の流れの詳細は「農林水産省によるEU向け輸出水産食品取扱施設の認定申請ガイドライン(令和3年3月)」でも確認することができます。

認定養殖場とは別に、二枚貝など(ホタテを含む)もEU向け輸出の生産海域として指定され、貝毒などに関する海域のモニタリングを受ける必要があります。ホタテ貝などの指定海域のリストについては農林水産省のウェブサイトで確認することができます。

衛生証明書に関しては、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項も参照してください。

公的証明書(衛生証明書)について

EU向け水産品の輸出には、政府が発行したEU向けの「公的証明書(衛生証明書)」の添付が必要となります。農林水産省による施設の認定を受けた場合は、農林水産省輸出・国際局に、厚生労働省または都道府県知事(水産部)などによる施設の認定を受けた場合は、当該当局に衛生証明書の発行手続きを依頼します。手続きの詳細や様式は、「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」で確認することができます。

【漁獲証明書について】

これらの認定施設の条件を満たしたのち、欧州委員会規則(EC)1005/2008に基づき、日本船籍の漁船により漁獲された水産物を、EU域内に輸出する際は、当該水産物が違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported and Unregulated)漁業で漁獲されたものではない旨を証明するため、漁獲証明書の提出が必要です。ただし、規則(EC)No 1005/2008のANNEX Iに列記された水産物(稚魚から育てられた養殖魚、淡水魚など)については提出が不要です。

EU/IUU 漁業規則の対象外の品目
HSコード EU/IUU 漁業規則の対象外の品目
03類(HSコードの先頭が03の魚ならびに甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
  1. 生きた観賞用の魚(HS030110)
  2. 稚魚または幼生を養殖して生産された養殖水産物
  3. 淡水で漁獲された水産物
  4. 魚及び水棲無脊椎動物の粉、ミール並びにペレット(食用に適するものに限る。HS030510,030619,030629,030799)
  5. カキ、ホタテガイ、イガイ及び巻き貝 (HS030710,030721,030729,030731,030739,030760)
  6. その他の水棲無脊椎動物(甲殻類、一部のイカなどを除くHS030791,030799)
1604(調製または保存処理済みの魚) 1605(調製または保存処理済みの甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物)
  1. 稚魚または幼生を養殖して生産された養殖水産物を原料とする調製品
  2. 淡水で漁獲された水産物の調製品
  3. カキ、ホタテガイ、イガイ及び巻き貝の調製品 (4)その他の水棲無脊椎動物(甲殻類、軟体動物を除く)の調製品

また、日本船籍以外の漁船で漁獲された水産物を日本で加工したうえでEU域内に輸出する場合、当該船籍国も日本同様、EUに「旗国通知(Flag StateNotification)」のうえ認定されている必要があります。さらに、当該国の漁獲証明書に加えて加工証明書も必要です。EUに通知をして受理された「第三国リスト」の情報(2021/C 93/03)は関連情報のリンクから確認することができます。

日本からHSコード03類、1604類、1605類に該当する水産物をEU域内に輸出する場合は、漁獲証明書・加工証明書が必要です。

日本産ホタテ・ブリ(ハマチ)・太平洋サケ(シロザケおよびカラフトマス)は、稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品であることを日本政府からEU担当局に説明しているため、漁獲証明書の提出義務の対象外です。他国(加工貿易国)を経由した場合などに、漁獲証明書の提出をEU加盟国から求められた場合は、水産庁の発行するレターを提示することで、「稚魚および幼生を用いて生産された養殖水産製品」であることを証明できます。

漁獲証明書・加工証明書については水産庁で発行しています。発行に係る詳細やEU 向け漁獲証明書の発給申請に添付して提出する書類については、水産庁のウェブサイトおよび水産庁「輸出のための水産物トレーサビリティ導入ガイドライン」で確認することが可能です。


まぐろ類の輸出証明書

本稿で対象品目のクロマグロを含むマグロ類を輸出または再輸出する際には、漁獲証明書、統計証明書、輸出証明書または再輸出証明書の添付が必要となります。証明書を発行対象は、 くろまぐろ、みなみまぐろ、めばちまぐろ及びめかじきの魚肉部分となります。具体的に、くろまぐろに関しては、漁獲証明書または再輸出証明書が必要となるため、水産庁漁政部加工流通課または都道府県の部局に証明書の発行申請書類を提出する必要があります。これらの書類は、輸出または再輸出の荷物口ごとに書面、電子メールまたは「NACCS」経由で証明書の発行申請を行います。なお、本稿対象品目ではありませんが、大西洋クロマグロ(トゥヌス・ティヌス)の場合はICCATの電子申請が必要となります。 その他、申請に必要な書類など、詳細は「くろまぐろに係る漁獲証明書及び再輸出証明書の発行機関の登録手続要領」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
水産庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)No 1005/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2019/626 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
決定2007/275/EC(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 2074/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
決定2011/163/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/405(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施決定 (EU) 2021/2315(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会による通知(2021/C 93/03)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
ジェトロ「IUU漁業規則と水産食品の対EU輸出(2014年3月)」
"
欧州委員会「Illegal fishing」(英語)
"
水産庁「水産物のEU向け輸出について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
水産庁「EUのIUU漁業規則について ( EU's IUU Regulation (1005 / 2008) )」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
"
水産庁「輸出のための水産物トレーサビリティ導入ガイドライン」
" "
農林水産省「欧州 : 証明書や施設認定の申請(水産食品)」
"
農林水産省「要綱輸出される食品等に関する都道府県による証明書の発行要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)401KB
"
農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」 PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
農林水産省「農林水産省によるEU向け輸出水産食品取扱施設の認定申請ガイドライン(令和3年3月)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
"
農林水産省「まぐろ類の輸出証明書の取扱要綱」 PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
ジェトロ「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について」(2017年3月発行 / 2019年5月更新)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
農林水産省「欧州:証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」 PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
NACCS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロNACCSの概要:日本

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年12月

欧州委員会規則 (EU) 2017/625および実施規則(EU)2021/632のANNEXのリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0302類、0303類、0304類、0307.92および0307.99類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項で説明のとおり、日本での衛生証明書の発行申請は、厚生労働省または都道府県などで施設認定を受けた場合は都道府県などの衛生部局、農林水産省で施設認定を受けた場合は農林水産省 輸出・国際局となります。衛生証明書の発行申請書については、農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」別紙様式で確認することができます。なお、雛形については、欧州委員会実施規則(EU)2020/2235のANNEX I Chapter3において確認することができます。

EUは、動物由来加工製品(動物性原材料)と植物性原材料の両方を含む食品(魚粉末やカツオエキスなど)を「混合食品」として、独自の規制を設けています。さらに、水産物のみからなる混合食品であるか、肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品であるか、あるいは、その他の条件により、輸出可否や申請先、必要書類が変わるため、注意が必要です。混合食品に関する詳細は、本ポータルサイト「EU」の「混合食品」または「菓子」「調味料」「乳製品」、関連リンクにある農林水産省やジェトロのウェブサイトを確認してください。

(注)『加工』とは加熱、くん製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となる。

詳細は、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」でも確認してください。

EUの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年12月

EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。

EUの食品輸入事業者は、輸入した食品がEUの食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EU が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。例えば、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う日本産食品に対する措置は、同規定に基づくものです。

EUの食品の食品衛生要件に関しては、欧州議会・理事会規則(EC)No 852/2004(一般食品衛生規則)と欧州議会・理事会規則(EC)No 853/2004(動物由来食品衛生規則)で規定されています。
「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項で説明のとおり、同規則の枠組みの中で、欧州議会・理事会規則(EC)No 853/2004により、

  • 生食用
  • 殺虫には不十分なマリネ、塩漬けおよびその他の処理しか施されていない

魚類または頭足類由来の水産物については、加工施設などにおいて特定の温度で一定の期間冷凍処置を施し、寄生虫の殺虫処理を徹底することが義務付けられています。
冷凍処置に際して、食品事業者は、当該水産物のすべての部位について少なくともマイナス20度の温度で24時間以上、またはマイナス35度で15時間以上冷却する必要があります。

なお、次に該当する水産物に関しては、前述の冷凍処理を実施する必要はありません。

  1. 熱処理を行った、または消費前に熱処理を行うことが意図されている水産物で、これにより寄生虫が殺虫されるもの。吸虫類以外の寄生虫の場合、当該水産物は中心温度60度以上で1分以上加熱されなければならない
  2. 寄生虫を殺虫するのに十分な期間冷凍保存された水産物
  3. 次の条件を満たす、野生で捕獲された水産物
    1. 原産漁場が寄生虫の存在に関して健康上の危険をもたらさないことを示す、有効な疫学データがあること
    2. 所轄官庁がそのことを承認していること
  4. 胚から養殖されたうえで、健康上の危険をもたらす寄生虫を含まない飼料のみを与えられた養殖魚に由来する水産物で、次のいずれかの要件を満たすもの
    1. 寄生虫のいない環境に隔離されて養殖されている
    2. 食品事業者が、当該水産物に寄生虫による健康上のリスクがないことを、所轄官庁によって承認された手続きで検証している

これらの水産物を市場に出す際は、最終消費者に供給される場合を除き、冷凍処理を施した業者が作成した冷凍処理の種類を明記した書類が添付されていなければなりません。 また食品事業者は、前述の(c)(d)に該当し、冷凍処理が施されていない、または消費前にその他の殺虫処理を施す予定がない水産物を市場に出す前には、該当水産物が各要件を満たしていることを確認しなければなりません。

その他、生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫管理に関しては、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫管理に関する基準」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)No 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
ジェトロ「IUU漁業規則と水産食品の対EU輸出(2014年3月)」
農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出生食用生鮮養殖クロマグロの寄生虫管理に関する基準」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年12月

欧州委員会規則(EU)2017/625およびEU指令 96/23/EC に基づき、EU向け輸出水産食品(その原材料を含む)のうち養殖魚介類を使用したものについて、農林水産省、厚生労働省、都道府県および食品事業者は、養殖中に使用されるおそれのある動物用医薬品などの残留モニタリング検査を実施することとなっています。 サンプリングは毎年、生産量100トンにつき少なくとも1サンプル以上実施されます。モニタリング検査やサンプリングの詳細については、農林水産省の「英国、欧州連合、スイスおよびノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」の「8.養殖魚介類を使用した水産食品等の残留動物医薬品等の取扱い」で確認することができます。さらに、同要綱の別添6の「養殖魚介類を用いた対EU輸出水産食品中の残留動物用医薬品等のモニタリング対象物質(EU規則にて定められている物質)」で確認することができます。

Aタンパク同化作用を持つ物質および欧州域内での未承認物質
(A1)Stilbenes(e.g.diethylstilbestrol, hexestrol, dienestrol)
(A3)Steroids(androgens, estrogens and (pro)gestagens)
(A6)Compounds included in Annex IV to Council Regulation (EEC) No 2377/90
1. Chloramphenicol
2. Nitrofurans
3. Nitroimidazoles

B動物用医薬品および環境汚染物質
(B1)Antibacterial substances
(B2a)Anthelmintics
(B3a)Organochlorine compounds including PCB
(B3c)Chemical elements
(B3d)Mycotoxins
(B3e)Dyes (in particular malachite green and its major metabolite leuco malachite green)

なお、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項での説明のとおり、二枚貝など(ホタテを含む)もEU向け輸出の生産海域として指定され、貝毒などに関する海域のモニタリングを受ける必要があります。前述の農林水産省の「英国、欧州連合、スイスおよびノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」の「9. ホタテガイ等二枚貝の適合区域の指定等」および同要綱の別添8−1ならびに別添8−2で確認することできます。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年12月

EUでは、欧州委員会規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則(EEC)No315/93 Article 1(1))。これらの最大規定値を超えるものは原材料としても使用できないとされています(規則(EC)1881/2006第3条)。
水産物の場合、次のとおり汚染物質の上限値が規定されています。

汚染物質の上限値 (一部の水産物)
項目 上限値 対象品目
スズ(無機) 200 mg/kg 缶入りの食品(飲料は除く)
1.5 mg/kg 二枚貝(ホタテを含む)(*1)
0.30 mg/kg 魚肉(*1)
0.05 mg/kg 飲み物を除く乳幼児向け食品と穀物ベースの加工品
カドミウム 0.050 mg/kg ブリを含む魚肉(*2)
0.10 mg/kg Thunnus属のマグロを含む魚肉(*3)
1.0 mg/kg 二枚貝(ホタテを含む)
水銀 0.50 mg/kg 一部の水産品(ホタテを含む)とブリを含む魚肉(*4)
1.0 mg/Kg マグロを含む一部の魚肉
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
過塩素酸イオン 0.01mg/kg 乳幼児用向け食品など
3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD) 1000 μg/kg 最終消費者向け、または原料として使用される植物油脂、魚油およびほかの海洋生物からの海産動物油 (バージンオイル、乳幼児用向けは別途規定値)
ダイオキシン類の上限値
項目 上限値 対象品目
ダイオキシン類合計〔OMS-PCDD/F-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※4)〕 3.5pg/g湿重量 魚肉、水産物とその派生品(*5)
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計〔OMS-PCDD/F-PCB-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※4)〕 6.5pg/g湿重量
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 75ng/g湿重量

なお、2021年8月30日より、規則(EC)1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および(EU)2021/1317によりカドミウム、鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」なども追加されているため、加工食品などに原材料として使用する場合は注意が必要です。

さらに、規則(EC)852/2004に記載されている食品衛生基準の順守のほか、鮮度基準を確保するための官能試験、ヒスタミンの限界値、総揮発性窒素、寄生虫、ヒトの健康に有害な毒素に関する保健基準が規則(EC)853/2004により規定されています。

その他、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC) 2073/2005」によりEUにおける食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則により、水産物中のヒスタミン濃度の上限値が定められています。

ヒスタミンの安全基準
食品カテゴリー サンプリング計画(※1)n サンプリング計画(※1)c 濃度限界(※2)m 濃度限界(※2)M
ヒスチジン含有量の多い魚種(※3)で製造する水産製品 9 2 100 mg/kg 200 mg/kg
ヒスチジン含有量の多い魚種で製造する、塩漬けの酵素熟成処理(発酵処理)を行う水産製品(魚醤を除く) 9 2 200 mg/kg 400 mg/kg
魚醤 1 0 1

ブリは該当しませんが、一部の水産物にサルモネラやE.Coliの基準値が規定されています。

その他、ブリやマグロは該当しませんが、欧州委員会規則(EC)2074/2005では全揮発性塩基性窒素(TVB-N)の上限値が定められています。次の表の魚種で未加工水産物の場合、TVB-Nが上限値を超えている場合は市場に出すことはできません。

TVB-N(全揮発性塩基性窒素)の上限値
上限値 対象魚種
25mg/100g メヌケ類、ユメカサゴ、メバル
30mg/100g カレイ類(オヒョウを除く)
35mg/100g 大西洋サケ、メルルーサ類、タラ類
60mg/100g 食用に供する魚油原材料

なお、ドイツでは、アフラトキシンおよびオクラトキシンAについて、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。スペインにおいても、アフラトキシンについて、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。
フランスでは、海藻を対象とする独自の汚染物質規制が定められていますが、その他水産物(海藻以外)に適用され得る独自の汚染物質規制はみられません。

なお、EU実施規則案において、第三国から輸入されるアフラトキシン、残留農薬、ダイオキシンおよびマイコトキシンなど汚染物質に関する国境検査での強化が提案されています(例:中国産の茶やインド産青果など)。現在のところ日本産製品はリストアップされていませんが、規則が変更することもあるため注意が必要です。

関連リンク

根拠法等
規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 2073/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 2074/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2020/685 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2021/1323 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2021/1317 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
"
その他参考情報
農林水産省「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2021年12月

EUでは、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

食品改良剤に関するEU根拠法
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。 ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
- 加工助剤(processing aids)
- 植物の健康に関する共同体ルールに従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
- 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
- 理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
- 規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。“flavouring”、具体的な名称または香料の概要で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。 同規則で定められている食品酵素の名称または販売概要で表示。

EUでは「漂白剤」「炭化剤」「保色剤」が食品添加物として分類に含まれていない一方で、「酸味料」「加工でん粉」「コントラスト増強剤」が食品添加物とされています。

EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「09.1.1未加工の水産品」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかについても確認する必要があります。ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイト「食品添加物検索データベース」で検索が可能です。

ただし、ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEXIIIに掲載されている添加物やキャリアは使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。

また、規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

その他、加工助剤に関しては、食品添加物とされておらず、各加盟国法で定められている場合があります。例えば、フランスにおいては加工助剤に関して、「特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ」で規定されており、食品加工助剤として使用できる酵素のポジティブリストや抽出溶媒などについて定められています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年12月

EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004)。また、欧州委員会規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)が定められています。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

主な食品接触素材に関する根拠法
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 規則(EU) 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材 〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕 規則(EC) 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 規則(EC) 282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
規則(EU) 2018/213:BPA(ビスフェノールA)
規則1895/2005/EC:エポキシ樹脂
指令93/11/EEC: ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

また、EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっているため、注意が必要です。

フランスでは、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。日本では缶の裏側にビスフェノールAが使用されていることが多いため留意が必要です。

その他、デクレNo 2007-766(2007年5月10日付)とデクレNo 2008-1469(2008年12月30日付)により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関するアレテが定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。
また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人口着色料などについても独自規定が設けられています。 その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有される重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無を定めた規定、製造に使用できる素材(木材など)の規定や洗浄剤それぞれ該当規定を確認する必要があります 。
なお、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は「花き」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EEC) 84/500(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No 282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2020/1245(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令 2007/42/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/787 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU規則 93/11/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/2125 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
EU指令 2011/91/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示した仏国内法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、Version à la date du で最新の日付を入力してください。
2008年12月30日付デクレNo 2008-1469 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1976年1月13日付食品に接触するステンレス製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(375KB)
1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1999年9月8日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1912年6月28日付食品の包装と保管、着色に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス法令No 2012-1442(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 食品接触材 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品接触材に関する各国当局窓口(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(579KB)
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州」(貿易・投資相談Q&A)
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)」

6. ラベル表示

調査時点:2021年12月

EU域内に輸出される水産物には、EU向け輸出認定施設(EU(HACCP)認定施設)の認可番号と当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(identification mark)が必要です(規則(EC)No 853/2004 Article 5およびANNEX II Section I)。識別マークは、原則、個々の商品パッケージに貼付または印字する必要があります。ただし、輸送用の容器に入れられており、さらなる小分け、加工などがされるものについては、当該輸送用容器の外面に識別マークを貼付することも認められます。

食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011で規定されています。同規制は EU 域内で流通する食品全般(最終消費者向けおよび調理施設(レストラン、食堂など)向けの輸入食品を含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU 市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。

水産物を輸出する場合、同規則Article 9に基づき、次の項目を表示する義務があります。 なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。

ラベル表示義務項目
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 当該水産物の商業上の名称および学名
    法的名称:EUまたは加盟国の法律、規則等で定められた名称。
  2. 慣習的名称:当該販売国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
原材料リスト 単一原材料で食品の名称と同一である場合は不要。 ただし添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては同規則第20条を参照。
アレルギー物質 表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
正味量 重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。 文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、指令76/211/EEC により、次のとおり規定されています。
公称重量 (g) 許容範囲 (公称容量より少ない場合)公称重量 に対する% 許容範囲 (公称容量より少ない場合)g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g

図:eマーク

賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。 冷凍未加工水産物の場合は、冷凍日を「Frozen on 日/月/年」(複数回冷凍されている場合には最初の冷凍日)と表示する義務が追加されます(同規則ANEX III.6)。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。
水産物の場合、追加要件として
(1) 生産方法(漁獲/淡水漁獲/養殖)
(2) 漁獲/養殖された海域および漁獲に使用された漁具の分類
(規則(EU)No 1379/2013 ANNEX IIIの漁具コードを用いて表記)
(3) 当該水産物が解凍されたかどうか(ただし、生産過程において凍結が不可避な場合、衛生目的で凍結された場合、くん製・塩蔵・酢漬け・調理・乾燥の前に行われた解凍については対象外) の表示が必要とされます。
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(EU域内事業者でない場合は、EUへの輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
委託製造の場合、フランスでは「EMB」の後に5桁の登記番号
原産地 水産物の場合は不要ですが、加工食品の場合、最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる場合には、当該主原料の原産地を記載するか、「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載する必要があります。例えば最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる場合、主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります(委員会実施規則(EU)2018/775)。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示 水産物の場合は不要ですが、加工食品の場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のを指します)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号 (EU指令2011/91/EU) EU域内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。

また、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充填したガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規則ANEX III.1)。
切り身、骨付き、スライス、塊、フィレ、または魚全身の外観を有する水産加工品および水産調製品で、添加水が最終製品の重量の5%を超える場合は、食品の名称に添加水の存在の表示を含める必要があります(同規則ANNEX VI Part A)。

なお、水産物のマーケティング標準について定める欧州議会・理事会規則(EU)No 1379/2013 Article 35に基づき、HSコード 03項 (ただし、0308に該当する水棲無脊椎動物(ナマコ、ウニ、クラゲなど)は対象外)および1212.2(海藻その他の藻類)に該当する水産物をEU域内で実需者または消費者に販売する際は、規則(EU)No 1169/2011に規定される表示義務に加え、表示義務項目が追加されます(包装されていない水産物を小売り販売する場合は、ポスターなどの手法により提供もできます)。

追加義務表示項目
  1. 当該水産物の商業上の名称および学名
  2. 生産方法(漁獲/淡水漁獲/養殖)
  3. 漁獲/養殖された海域および漁獲に使用された漁具の分類
    (規則(EU)No 1379/2013 ANNEX IIIの漁具コードを用いて表記)
  4. 当該水産物が解凍されたかどうか(ただし、生産過程において凍結が不可避な場合、衛生目的で凍結された場合、くん製・塩蔵・酢漬け・調理・乾燥の前に行われた解凍については対象外)
  5. (該当する場合には)品質保持期限(the date of minimum durability
食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載も可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります(欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています
  • 包装面の最大面積が80 cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80 cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 貿易総局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 1379/2013(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令 76/211/EEC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令 2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 2018/775(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 828/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2006年10月2日付規則(アレテ)(フランス語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No 282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令94/62/CE (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
リサイクル可能な製品にかかる共通の記載に関する2014年12月23日付 デクレn° 2014-1577 (仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
廃棄物削減および循環経済に関する2020年2月10日付N°2020-15 (仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)」
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)」
ジェトロ「新食品ラベル表示規則(1169/2011)の適用に関する Q&A」(仮訳)(2014年3月)PDFファイル(1.0MB)

7. その他

調査時点:2021年12月

プライベートスタンダードについて

プライベートスタンダードとは、国・地域が取得・適合を必須要件として定める規制・規格・認証ではないが、商取引を行うにあたり各事業者などが任意で取得・適合する民間基準です。 水産物関係では、環境・自然保護への取り組みが高まっていることを受けて「海のエコラベル」ともよばれる水産物の認証制度が存在します。天然魚を対象とするMSC認証やMEL認証、養殖魚を対象とするASC認証やAEL認証などが存在します。
現地の大手小売りとの商談などでこれらの認証が求められることがあります。 MSC認証(英国の海洋管理協議会(MSC)が所有する、持続可能な漁業で獲られた水産物を認証するラベル)をはじめとする水産物関係の認証の詳細については、関連リンクの「その他の参考情報」を参照してください。