日本からの輸出に関する制度

水産物

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2017年12月

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、福島、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉県産の水産物のうち、HSコード0302、0303、0304、0305、0308、1504.10、1504.20および1604に該当するもの(ただし、甲殻類、軟体動物、一部の魚種(ブリ・ヒラマサ、カンパチ、マダイ、シマアジ、クロマグロ、マサバ)、海藻および活魚を除く)をEU域内に輸入する際は、政府作成の放射性物質検査証明書が必要となっています。その他の都道府県産の水産物の場合は産地証明書が必要です。いずれの場合も、輸入国にてサンプル検査が行われる場合があります。

また、欧州議会・理事会規則規則(EC)853/2004 ANNEXⅢ、SECTIONⅧのCHAPTERⅤに基づき、

  • フグ科
  • マンボウ科
  • ハリセンボン科
  • キタマクラ科

については、有毒な魚類として上市(市場での販売)が禁止されています。

2. 動植物検疫の有無

調査時点:2017年12月

EU域内にブリを含む水産物(海藻類を除く)を輸出するためには、輸出元国が

  1. 欧州理事会指令96/23/ECに基づき、「残留物質モニタリング計画」の承認を受ける
  2. 欧州委員会決定2006/766/ECの「第三国リスト」に掲載されている
  3. 輸出元国などにおいて登録(必要に応じて欧州委員会に通報)された漁船・市場などを経由する
  4. 輸出元国の所轄当局にEU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たしている旨の認定を受けた加工施設などで加工する

必要があります。
この要件を満たした上で、EU域内への水産物輸出に際しては、同要件に関して輸出元国の所轄当局が証明する衛生証明書を提出の上、動物検疫を受ける必要があります。検査対象となる食品のリストは欧州委員会決定2007/275/ECのANNEXⅠ、モデル衛生証明書については欧州委員会規則(EC)1664/2006のANNEXⅥにおいて確認することが可能です。

日本は第三国リストに掲載されているため、EUが認可した施設で生産・加工された水産物は、衛生証明書を添付してEU域内に輸出することが可能です。(ただし、二枚貝、棘皮動物(ヒトデ、ウニ、ナマコなど)、ホヤ、腹足類(巻貝など)については、冷凍または加工処理を施されたものに限りEU域内への輸出が認められています。)

加工施設などとしての認定を受けるための手続きは、厚生労働省管轄下の都道府県あるいは水産庁が実施しており、認定取得後も定期的な監視・検査が行われます。

認定を受けた加工施設などのリストは厚生労働省および水産庁のウェブサイトにおいて確認することが可能です。

3. 残留農薬規制

調査時点:2017年12月

欧州理事会指令96/23/EC Article 29に基づき、EU域内に養殖魚介類を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、都道府県知事などが定めたモニタリング計画および実施要領に従い、残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要です。 サンプリングは毎年、生産量100トンにつき少なくとも1サンプル以上実施されます。検査物質により養殖場の段階で行われる場合と、出荷段階、加工施設あるいは卸売市場の段階で行われる場合とがあります。
検査対象となる残留動物用医薬品などおよびモニタリング検査の詳細については、厚生労働省の「対EU輸出水産食品の取扱要領」の「10.養殖魚介類を使用した水産食品などの残留動物医薬品等の取り扱い」でも確認できます。

4. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2017年12月

EUでは、欧州委員会規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。水産物の場合、鉛、カドミウム、水銀、ダイオキシン類、PCB類、メラミンの上限値が規定されています。

汚染物質の上限値(水産物)
物質名 上限値 対象品目
0.30 mg/kg 魚肉(*1)
カドミウム 0.050 mg/kg 魚肉(*2)
水銀 0.50 mg/kg 魚肉(*3)
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調整食品を除く全ての食品
ダイオキシン類の上限値(水産物)
項目 上限値 対象品目
ダイオキシン類合計(OMS-PCDD/F-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計)) 3.5pg/g湿重量 魚肉、水産物とその派生品(*4)
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計(OMS-PCDD/F-PCB-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジンゾフラン、コプラナーポリ塩化ビフェニルの合計)) 6.5pg/g湿重量 魚肉、水産物とその派生品(*4)
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 75ng/g湿重量 魚肉、水産物とその派生品(*4)
(*1)
甲殻類の付属肢、腹部の肉(カニおよびカニ類甲殻類(ズワイガニ、ケガニなどの短尾下目とタラバガニ、ヤシガニなどの異尾下目)の場合は付属肢の肉)、二枚貝、頭足類(内臓は除く)を除く。
(*2)
(*1)に加えサバ、マグロ、ハリボウズハゼ、マルソウダ、アンチョビ、メカジキ、イワシの魚肉を除く。
(*3)
アンコウ、シロオオカミウオ、カツオ、ウナギ、シラスウナギ、ヒウヒダイ、ソコダタ、オヒョウ、キングクリップ、ニシクロカジキ、ヒラメ、ボラ、ミナミアカヒゲ、カワカマス、プアーコッド、マルバラユメザメ、エイ、タイセイヨウアカウオ、バショウカジキ、タチウオ、タイ、サメ全種、マナガツオ、チョウザメ、メカジキ、マグロの魚肉を除く。
(*4)
捕獲野生ウナギ、捕獲野生アブラツノザメ、捕獲淡水魚肉(淡水で捕獲される回遊魚を除く)、魚のレバーおよびその加工派生品、海洋油を除く。

また、規則(EC)2073/2005において、水産物中のヒスタミン濃度の上限値が定められています。濃度基準の測定に際しては、1ロットあたり任意に採取した9サンプルについて検査し、以下の基準により判定します。

  • 全てのサンプルの平均値が100mg/kgを超えないこと
  • 2サンプルは100mg/kg以上200mg/kg未満でも可
  • 全てのサンプルが200mg/kgを超えない

ヒスチジン含有量の多い魚種由来の食品(特にサバ科、ニシン科、カタクチイワシ科、シイラ科、オキスズキ科、サンマ科など)については留意が必要です。

ブリは該当しませんが、欧州委員会規則(EC)2074/2005では全揮発性窒素の上限値が定められています。下表魚種の未加工水産物の場合、TVB-N(全揮発性塩基性窒素)またはTMA-N(トリメチルアミン窒素)が上限値を超えている場合は市場にだすことはできません。

TVB-N(全揮発性塩基性窒素)の上限値
上限値 対象魚種
25mg/100g ユメカサゴ、メバル、ケープメバル
30mg/100g カレイ類(オヒョウを除く)
35mg/100g 大西洋サケ、メルルーサ類、タラ類
60mg/100g 食用に供する魚油原材料

5. 食品添加物規制

調査時点:2017年12月

EUでは、食品添加物については欧州議会・理事会規則(EC)No 1333/2008に基づきポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。
EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が当該水産物において使用可能かどうかについても確認の必要があります。

ただし、規則(EC)No 1333/2008 ANNEX II PART AのTable 1に基づき、未加工の水産物に対しては、食品添加物の使用が認められていないため留意が必要です。

ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。

6. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2017年12月

食品用の容器・包装に関しては、欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004において枠組み規制が、さらに欧州委員会規則(EC)No 2023/2006において食品と接触する素材および製品の製造工程における適正製造規範(GMP)がそれぞれ定められています。特にプラスチック素材についてはポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会規則(EU)No 10/2011 ANNEXⅠのリストに掲載されている物質のみが原則として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。

また、欧州委員会規則(EC)No 1895/2005により、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)、ノボラックグルシジルエーテル(NOGE)は、食品に接触する素材(吸湿剤などを含む。)への使用が禁止されるとともに、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)およびその派生物は、食品に接触する素材(吸湿剤などを含む。)に使用する場合の上限値が定められています。

また、EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっています。英国は独自規定を設けていませんが、加盟国の中には規定を設けている国もあり、また対象となる素材や規定の内容は各国で異なるため注意が必要です。例えばフランスでは、法令No 2012-1442に基づき食品に接触する全ての包装容器などについてのビスフェノールAの使用が禁止されています。日本では缶の裏側にビスフェノールAが使用されていることが多いため留意が必要です。

7. その他

調査時点:2017年12月

欧州議会・理事会規則(EC)No 853/2004は食品事業者に対し、

  • 生食用
  • 殺虫には不十分なマリネ、塩漬けおよびその他の処理しか施されていない

魚類または頭足類由来の水産物については、市場への投入前に特定の温度で一定の期間冷凍処置を施し、寄生虫の殺虫処理を徹底することを義務づけています。
冷凍処置に際して食品事業者は当該水産物の全ての部位の温度を少なくとも-20℃で24時間以上、または-35℃で15時間以上冷却する必要があります。

なお、以下に該当する水産物に関しては、前述の冷凍処理を実施する必要はありません。

  1. 寄生虫を殺虫するための熱処理を行った、または消費前に熱処理を行うことが意図されている水産物。吸虫類以外の寄生虫の場合、当該水産物は中心温度60℃以上で1分以上加熱されなければならない
  2. 生存可能な寄生虫を殺虫するのに十分な期間冷凍保存された水産物
  3. 次の条件を満たす、野生で捕獲された水産物
    1. 原産漁場が寄生虫の存在に関して健康上の危険をもたらさないことを示す、有効な疫学データがあること
    2. 所轄官庁がこれを認可していること
  4. 胚から養殖された上で、健康上の危険をもたらす生存可能な寄生虫を含まない飼料のみを与えられた養殖魚に由来する水産物で、次のいずれかの要件を満たすもの
    1. 寄生虫のいない環境で排他的に養殖されている
    2. 食品事業者が、当該水産物が寄生虫による健康上のリスクがないことを、所轄官庁が承認した手続きを通じて検証している

前述の水産物を市場に出す際は、最終消費者に供給される場合を除き、冷凍処理を施した業者が作成した冷凍処理の種類を明記した書類が添付されていなければなりません。
また食品事業者は、前述のc・dに該当し、冷凍処理が施されていない、または消費前にその他の殺虫処理を施す予定がない水産物を市場に出す前には、該当水産物が各要件を満たしていることを確認しなければなりません。

また、食品事業者は水産物を市場に出す前に目視検査を実施しなければならず、検査の結果明らかに寄生虫に汚染されている水産物をヒトの食用として市場に出すことはできません。

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