品目別輸出ガイド

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のCNコード

(EU域内で使われる全8桁の合同関税品目分類表で、6桁まではHSコードと共通。)

2203 00:ビール
2204:ワイン、スパークリングワイン
2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。)
2206 00:その他の発酵酒(清酒、りんご酒、梨酒を含む)
2208 20:ぶどう酒またはぶどう酒もろみの搾りかすから得た蒸留酒
2208 30:ウイスキー
2208 40:ラムなど発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒
2208 50:ジンおよびジュネヴァ
2208 60:ウオッカ
2208 70:リキュールおよびコーディアル
2208 90:その他の蒸留酒等(焼酎を含む)

関連リンク

根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年7月

なし。

また、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。

※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、調査時点でジェトロが把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年7月

日本からEU域内へアルコール飲料を輸入する際に、施設登録は必要ありません。
日本の制度で、酒類の輸出には、「輸出酒類卸売業免許」が必要となりますが、酒類製造者が自ら製造した酒類を輸出する場合には、必要ありません。また、酒類製造者が自ら輸出、または輸出業者を通じて輸出するために酒類製造場から移出した酒類については、所定の手続きにより日本の酒税が免除されます。詳細は、国税庁のウェブサイトを参照、または管轄の税務署の酒類指導官に問い合わせてください。管轄の酒類指導官設置署については、国税庁サイト内「酒税とお酒の免許についての相談窓口」で確認することができます。

ワインについては、通常、規則(EU) 1308/2013第90条により、

  1. EUが定めるワインの定義または分類に合致していること
  2. 国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が勧奨し公表しているワイン醸造行為に従っていること、または、EUが認可したワイン醸造行為に従っていること

を証明する必要があります。しかし、日EU経済連携協定(EPA)により、日本ワイン〔「果実酒等の製法品質表示基準」(平成27年国税庁告示第18号)に定める日本ワインをいう〕の基準などを満たしており「同一の産品」に、補糖と補酸、あるいは補酸と除酸を行っていない場合にはEUの醸造規則によらずとも、EU向けの輸出が可能です。

日本ワインを1貨物あたり100リットル超えて輸出する場合、当該ワイン生産国の公的機関が発行した証明および分析報告など(VI1 document)を当該貨物に添付する必要があり、日本では酒類総合研究所が証明書発行および認証機関として欧州委員会による承認を受けています。このため、日本ワインをEU向けに輸出する場合、酒類総合研究所が発行する証明書または証明書および分析報告書を当該貨物に添付する必要があります。

なお、日本産ワイン製造者による自己証明書および分析報告書を発行する場合、酒類総合研究所による承認を受け、欧州委員会に通報・公表される必要があります。 証明書の取得手続きなどについては、酒類総合研究所のウェブサイトで確認することができます。

EU市場に輸入する蒸留酒に関しては、特別な証明書は求められませんが、規則(EC) 110/2008に規定される定義や販売呼称などにのっとる必要があります。詳細は次の食品規格の項で確認することができます。

ただし、前述で特別な証明書が必要ないとしている場合においても、日EU経済連携協定に基づく特恵税率の適用を受けるためには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日EU経済連携協定では、自己申告による原産地証明制度が採用されており輸入者、輸出者または代理人(通関業者等)のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。自己申告制度や書式に関しては税関のウェブサイトで確認することができます。
輸出側としては、日 EU・EPA に定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日 EU・EPA 自己申告及び確認の手引き(2021 年 2 月)」に記載されているとおり、日EU経済連携協定ANNEX 3-D に規定された原産地に関する申告文をインボイスその他の商業上の文書上に記載することとなっています。23言語(EU加盟国公用語)の申告文は、同ANNEX 3-Dで確認することができます。

申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄は空欄のままでよい。)

関連リンク

関係省庁
国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU) No 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2018/273 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/934 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州理事会決定 (EU) 2019/136 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
日EU・EPAワインに関するワーキンググループの決定No 1/2019 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
税関「原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁「酒類の輸出免税等の手続きについて」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.26MB)
国税庁「酒税の輸出免税にかかる手続簡素化について」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(427KB)
税務署「酒類卸売業免許の申請等の手引」(令和3年7月)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4.11MB)
国税庁「酒類の免許」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁「酒税とお酒の免許についての相談窓口」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁「酒税とお酒の免許に関するご質問やご相談等について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒類総合研究所「EU向け輸出ワインの分析・証明及び自己証明制度について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(454KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
外務省日EU経済連携協定(和文テキスト)「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日EU経済連携協定 ANNEX 3-D (英文)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)
ジェトロ「日EU・EPA解説書:日EU・EPAの特恵関税の活用について(2020年3月)」PDFファイル(6.29MB)
財務省関税局・税関「日 EU・EPA 自己申告及び確認の手引き (2021 年 2 月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(577KB)
ジェトロ「日EU・EPAの 特恵関税利用(輸出時)の留意点」PDFファイル(12.88MB)
酒類の販売業免許の区分及び種類とその意義PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年7月

日本からEUにアルコール飲料を輸出する場合は、特別な検疫上の措置は求められません。本ページで定義するアルコール飲料に植物検疫証明書の取得も不要です。

ただし、動物由来加工製品を原材料に含む場合には、混合食品の規制の対象となるため、注意が必要です。

また、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU)2019/2072(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
植物防疫所「輸入規則等詳細情報欧州連合(EU)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

EUの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年7月

ビール
ビールに関しては、EUで統一した規格はありませんが、各加盟国法で規格が制定されていることがあるため注意が必要です。
例えば、フランス国内法では、Décret n° 92-307 du 31 mars 1992第1条 によりビールという名称を使用できる飲料の条件を次のように規定しています。
  • 穀物、穀物由来の原料、糖分そしてホップの麦芽からなる麦汁とホップから溶け出した苦み成分と飲み水をアルコール発酵により得られる飲料に使用される。
  • 穀物の麦芽比率はアミラーゼ酵素または糖化が活性化した原料の物質量の最低50%以上とされる。
  • アルコール発酵前の麦汁の比重は初期比重の最低2%以上とされる。
  • 天然の香味付きの香草やスパイスをビールに添加することはできるが、これらの成分の添加により、最終製品が当該添加物のフレーバーの典型的な特徴を知覚できるようにならないこと。
その他、乳酸発酵ビール、ノンアルコールビール、フレーバー付きビール、パナシェやピュアモルト (pur malt) 、ビエール・ド・ギャルド(Biere de Garde)などについても定義されています。
ワイン
ワインとは、破砕された、もしくは破砕されていない新鮮なブドウ、またはブドウ果汁を部分的もしくは完全にアルコール発酵させて生産されたものであって、原則としてアルコール度数が8.5%以上、15%以下のものと定義されています。
さらに、使用可能なブドウ品種、醸造方法、原産地呼称制度、ラベル表記などについて規則(EU) 1308/2013で定められており、これらに従うとともに、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が勧奨する醸造方法またはEUにより認可されたワイン醸造行為に従って生産されたワインをEU市場に上市することが、求められます。
EUが認可しているワインの規格や醸造の仕様については、規則(EU) 1308/2013のANNEX や委任規則(EU) 2019/934で確認することができます。
ラム、ウイスキー、ウオッカ、ジン等蒸留酒の定義に関しては規則(EU) 2019/787 ANNEX Iに規定されています。ここでは、次の定義のすべてを網羅していませんので、詳細は必ず規則の原文を確認してください。
ラム
ラム酒とは、サトウキビから砂糖を製造する際に生成される廃糖蜜または甘蔗汁をアルコール発酵させたもの、あるいはサトウキビの搾り汁そのものをアルコール発酵させて、アルコール度数96 %未満で蒸留して製造された蒸留酒をさし、瓶詰めする際のアルコール度数は最低37.5度以上のもの。アルコール添加、カラメル色素以外の着色、着香はできません。
ウイスキー
※ただし、アイリッシュウイスキー・スコッチウイスキーの定義は除く
ウイスキー(whiskyまたはwhiskey)とは、麦芽化されていない穀物の全粒の併用の有無を問わず、麦芽にした穀物の麦汁を蒸留したものであり、1) ほかの天然の酵素の併用の有無を問わず、そこに含まれる麦芽のジアスターゼ(アミラーゼ)により糖化され、2)酵母の作用により発酵された蒸留酒をさします。アルコール度数94.8%未満で蒸留して製造され、蒸留液が使用原材料に由来する香りおよび味を有し、最終蒸留後最低3年間、700リットル以下の木樽での熟成が必要とされます。アルコール度数は最低40度のものと定義されており、アルコールの添加や、カラメル(E150a)以外の着色、着香、甘味を含む添加物の使用はできません。「シングルモルト」の法的名称は、単一蒸留所で大麦麦芽のみから蒸留された場合に使用することができます。
ウオッカ
ウオッカとは、じゃがいもや穀物または両方、あるいはその他の農産物原材料の酵母を発酵することで得られる農産物由来のエチルアルコールから作られる、スピリッツ飲料であり、アルコール度数は最低37.5度のものと定義されています。
ジン(※より詳細なロンドンジン、蒸留ジン(Distilled gin)、スロージン (Sloe gin) の定義は除く。)
ジンとは、ジュニパーベリー(Juniperus communis L.)によりフレーバー付けをされた農産物由来のエチルアルコールの蒸留酒で、アルコール度数は最低37.5度のものと定義されている。香味物質または香料調製品あるいは両方をジンの製造で使用することができ、ジュニパーベリーの風味が主体となっているものをさす。最終製品の砂糖などの甘味料を添加が0.1g/1L以下である場合には「dry(gin)」をつけることができます。
その他の蒸留酒やリキュールに関しても、規則(EU) 2019/787を確認してください。
なお、清酒や焼酎についての食品規格は定められていません。ただし、日EU経済連携協定による、容器容量規制(四合瓶・一升瓶)の緩和の対象となる単式蒸留焼酎(いわゆる「本格焼酎」)の定義は、「日本国の酒税法第3条10に定義されるもの」とされています。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 農業・農村開発局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則 (EU) No 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/934 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 110/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2019/787(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
1992年3月31日付デクレn° 92-307(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示した仏国内法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、Version à la date du で最新の日付を入力してください。
その他参考情報
国税庁「果実酒等の製法品質表示基準」(平成 27年国税庁告示第 18 号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 農業・農村開発総局 Agricultural markets and prices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒類総合研究所「OIV分析方法(アルコール分、総酸、二酸化硫黄)の仮訳」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年7月

EUでは、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用しており、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit、MRL)が規定されています(欧州議会・理事会規則(EC) 396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの上限値が適用されます。 すべての食品に対するMRLは、「EU農薬データベース」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。データベースは、関連リンクの「その他参考情報」にある「EU農薬データベース(英語)」を参照してください。また、データベースの使用方法については、関連リンクの「その他参考情報」にあるジェトロ調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」を参照してください。

なお、オランダでは、残留農薬に関するEU規制に加えて、食品と接触する装置の消毒に用いられる薬剤についても、独自にMRLが定められているため、注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)No 396/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
商品法残留農薬規則(オランダ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
EU農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年7月

EUでは、欧州委員会規則(EC) 1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則(EEC) 315/93 第1条(1))。
本ページで定義するアルコール飲料が該当し得る汚染物質の上限値を抜粋すると、表のとおりです。

汚染物質の上限値(清酒)
物質名 上限値 対象品目
アフラトキシン B1:2.0μg/kg すべての穀物および穀物加工品※1
B1,B2,G1,G2の総量:
4.0 μg/kg
すべての穀物および穀物加工品※1
オクラトキシンA 3.0 μg/kg 穀物加工品およびヒトが直接消費する穀物を含む、未加工穀物から作られるすべての製品※2穀物加工品およびヒトが直接消費する穀物を含む、未加工穀物から作られるすべての製品※2
2.0μg/kg ワインや果実酒(スパークリングワインを含み、リキュールワインやアルコール度数15%以上のものを除く)
2.0μg/kg フレーバーのついたワインベースのアルコール飲料、ワイン醸造のフレーバーカクテル
80μg/kg 飲料や菓子に使用されるスペインカンゾウ(liquorice)のエキス
パツリン 50μg/kg 蒸留酒※3 、シードルおよびその他のリンゴベースの醸造飲料
0.2mg/kg(ブドウの収穫年が2001 -2015年)
0.15mg/kg(ブドウの収穫年が2016年以降)
ワイン、スパークリングワイン、シードル、梨酒、果実ワイン
0.2mg/kg(ブドウの収穫年が2001 -2015年)
0.15mg/kg(ブドウの収穫年が2016年以降)
フレーバーのついたワインベースのアルコール飲料、ワイン醸造のフレーバーカクテル
無機スズ 100mg/kg 缶入りの飲料
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製食品および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品

なお、ドイツでは、アフラトキシンおよびオクラトキシンAについて、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。スペインにおいても、アフラトキシンについては、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。
フランスでは、海藻を対象とする独自の汚染物質規制が定められていますが、アルコール飲料に適用され得る独自の汚染物質規制はみられません。
オランダでは、サプリメントなどを対象とする独自の汚染物質規制が定められていますが、アルコール飲料に適用され得る独自の汚染物質規制はみられません。
イタリアに関しては、汚染物質に関する独自規制はみられません。

関連リンク

根拠法等
規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EEC)No315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU)No 2019/787(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
食品中の汚染物質に関する規則(ドイツ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品中のアフラトキシン最大許容量を定める勅令475/1988(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2021年7月

EUでは、食品添加物に関しては欧州議会・理事会規則(EC) 1333/2008に基づきポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。
EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が当該食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかについても確認する必要があります。本ページで定義するアルコール飲料については、同規則ANNEX II のPART E「14. Beverages(飲料)」で食品カテゴリーごとに使用可能な添加物と使用条件を確認することができます。また、ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトでも検索が可能です。
また、同規則により、本ページで定義するアルコール飲料は、添加物を含むことが禁止されている飲食品(ANNEX II のPART A)にリストされていませんが、着色料の添加が禁止されている飲食品(同PART B)に、「26.ワインおよびその他の製品」「27.蒸留酒スピリッツ飲料」「28.サングリアなど」「32.モルト・モルト製品」が記載されています。
一方で、現状、ワインへの次の物質の使用または添加について、日本の法律では認められていますが、EUでは認められていません。
L-アスコルビン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アンモニア、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、カゼインナトリウム、活性白土、カラギナン、寒天、キトサン(除:真菌起源)、ケイソウ土、小麦粉、柿タンニン、コラーゲン、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、硝酸カリウム、食塩、ソルビン酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、パパイン、微少繊維状セルロース、フィチン酸、プロテアーゼ、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸

なお、本項目に関して、国によってEU規制の運用が異なる場合があることに留意が必要です。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年7月

EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC) 1935/2004)。また、欧州委員会規則(EC) 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。
欧州議会・理事会規則(EC) 1935/2004 ANNEX Iには、食品接触素材の製造に使われる17の素材および製品(アクティブ・インテリジェント素材、接着剤、セラミック、コルク、ゴム、ガラス、イオン交換樹脂、金属・合金、紙・ダンボール紙、プラスチック、印刷用インク、再生セルロース、シリコン、繊維、ニス・コーティング材、ワックス、木材)が列挙されていますが、そのうちアクティブ・インテリジェント素材、セラミック、プラスチック、リサイクルプラスチック、再生セルロースにのみEUレベルで特定の規則が定められており、規則(EC) 1935/2004第16条により、適合宣言書の添付が規定されています。

アクティブ・インテリジェント素材(鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など))については、食品と誤認されるおそれがある場合には、欧州委員会規則(EC) 450/2009の規定により、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。

セラミック素材については、カドミウムと鉛の検出上限値が欧州理事会指令(EEC) 84/500に規定されています。

プラスチック素材についてはポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会規則(EU) 10/2011 ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています(ただし、複数のプラスチック層からなる食品接触素材で、食品と接触しない層に使われるプラスチック原料については、当該層が機能的なバリア層によって食品接触層から隔離されており、かつ、当該原料が食品に移行しないことが検査によって確認できていれば、ANNEX Iのリストに記載されていない物質も利用することができます)。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。また、リサイクルプラスチックに関しては規則 (EC) 282/2008 に規定されています。

また、再生セルロースについてもポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会指令(EC) 2007/42 ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、欧州委員会規則(EC) 1895/2005により、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)、ノボラックグルシジルエーテル(NOGE)は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)への使用が禁止されるとともに、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)およびその派生物は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)に使用する場合の上限値が定められています。

EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっています。
フランスでは、デクレNo 2007-766(2007年5月10日付)とデクレNo 2008-1469(2008年12月30日付)により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関するアレテが定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。
また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人工着色料などについても独自規定が設けられています。
その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有する重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無を定めた規定、製造に使用できる素材(木材など)の規定や洗浄剤それぞれ該当規定を確認する必要があります 。また、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。特に清酒などアルコール飲料のキャップにはビスフェノールAが使用されていることが多いため、留意が必要です。

オランダでは、紙、コーティング剤、ゴム、金属、木材・コルク、布、着色料・顔料、エポキシ樹脂、ガラス、エナメルなどについて独自規制が定められているため、それぞれ該当規定を確認する必要があります。また、プラスチックについても、EUのポジティブリストに加え、独自の規定が設けられています。

なお、ワインおよび蒸留酒については、指令2007/45/ECにおいて販売可能な容量サイズが規制されており(例:非発泡性ワインは100、187、250、375、500、750、1,000、1,500の8種、蒸留酒は100、200、350、500、700、1,000、1,500、1,750、2,000の9種)、日本で流通している四合瓶(720ml)や一升瓶(1,800ml)は流通・販売が認められていませんが、清酒は当該規制の対象に含まれないため、四合瓶や一升瓶での輸出が可能です。また、日EU経済連携協定の発効に伴い、単式蒸留焼酎(いわゆる「本格焼酎」)の容器容量規制が緩和され、四合瓶・一升瓶でも輸出できるようになりました。「日本産の単式蒸留焼酎」であることを証明する書類については、輸入手続きの「2.輸入通関手続き(通関に必要な書類)」を確認してください。
なお、英国では日英包括的経済連携協定により、単式蒸留焼酎の五合瓶(900ml)の流通が認められることになりましたが、EUでは例外対象ではありませんので留意してください。

また、第三国からEU への貨物の輸入に用いられる木材梱包材(パレットや木箱など)に関しては、規則(EU)2016/2031第43 条に規定されるとおり、隔離病害虫の侵入およびまん延の経路となる可能性があることから、植物衛生措置の国際規格 no.15「ISPM15」の要件を満たしている必要があります。詳細は、「花き」の食品関連の規制「5.食品包装規制」新しいウィンドウで開きますで確認することできます。

関連リンク

関係省庁
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2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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2008年12月30日付デクレNo 2008-1469 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1999年9月8日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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包装および食品用器具に関する規則(オランダ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
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ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2021年7月

食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU) 1169/2011で規定されています。同規制はEU域内で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。

アルコール飲料を輸出する場合、同規則Article 9に基づき次の項目を表示する義務があります。 なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。

  1. 商品名
    商標やブランド名は表記できますが、商品名称としての使用はできません。
  2. アレルゲン(該当物質は次のとおり。詳細については、同規則ANNEX IIを参照)
    1. グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
    2. 甲殻類および同製品
    3. 卵および同製品
    4. 魚および同製品(一部例外あり)
    5. ピーナッツおよび同製品
    6. 大豆および同製品(一部例外あり)
    7. 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
    8. ナッツ類およびその製品
    9. セロリおよび同製品
    10. 辛子および同製品
    11. ゴマおよびその製品
    12. 濃度が1キロ/1リットル当たり10mg超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
    13. ルピナス(マメ科植物)および同製品
    14. 軟体動物および同製品
  3. 正味容量 体積単位で、「ミリリットル」、「センチリットル」、「リットル」のいずれかで表示します。
  4. 賞味期限(アルコール度数10%以上の場合は省略可能)
  5. 特別な貯蔵条件/使用条件(ある場合)
  6. (当該商品について責任を負う)EU域内の事業者あるいは輸入業者の名称と住所
  7. アルコール度数

アルコール度数1.2%を超える場合は、アルコール度数を小数点第一位まで明記する必要があります(「○度~○度」などの幅を持たせた表示は不可)。アルコール度数の後には「%vol.」と表記しなければなりません。アルコール含有を意味する「alcohol」、または「alc」をアルコール度数の前に表記することも可能です。アルコール度数は摂氏20度で決定されます(日本では酒税法上摂氏15度)。表示に際して許容される誤差は、次のとおりです。

アルコール度数の表示で許容される誤差の範囲
品目 許容される誤差
アルコール度数5.5% vol.以下のビール、
ワイン(発泡性のものを除く)
±0.5%vol
アルコール度数5.5% vol.を超えるビール、
ワイン(発泡性のものに限る)、
ブドウ以外の果実から作られるサイダー、ペリー、果実ワインおよび
類似の製品(微発泡性か発泡性かは問わない)、蜂蜜酒
±1%vol
果実または植物を浸けたアルコール飲料 ±1.5%vol
アルコール度数1.2% vol.を超えるほかのすべての飲料 ±0.3%vol

栄養表示に関しては度数1.2%以上のアルコール飲料は表示義務対象外ですが、エネルギー量のみを任意で表示することも可能です。エネルギー量を表示する場合は、kJとkcalの両方を記載しなければなりません。

また、欧州議会・理事会規則(EC)1924/2006により、アルコール度数1.2 % 以上のアルコール飲料に関しては、健康強調表示(「カルシウムは〇〇の促進に寄与します」などの表現」)が禁止されています。また、アルコール飲料に関する栄養強調表示は、「低アルコール度数」「アルコール量オフ」「エネルギー量オフ」の表示のみが認められていますが、EUレベルでは基準となる値が規定されておらず、各加盟国の国内法に委ねられています。

アルコール度数10%以上の清酒で、賞味期限の表示を省略した場合は、これらに加え、指令2011/91/EUに基づき、製品ロット番号の表示が必要になります。

また、次に該当する場合は、規則(EU) 1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。

  • 密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんしたガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する必要があります。
  • (食品添加物として認可された)甘味料を含む場合は「with sweetener(s)」、砂糖と甘味料の両方を添加した場合は「with sugar(s)and sweetener(s)」と食品名に添える必要があります。特にアスパルテームを含む場合で、原材料リストにはアスパルテームのE番号(添加物番号)のみを記載している場合には「contains aspartame(a source of phenylalanine)」とラベルに記載する必要があります。
  • ポリオールを10%超添加した場合は、「excessive consumption may produce laxative effects」(摂り過ぎるとおなかがゆるくなることがある)旨を記載する必要があります。
  • 甘草(カンゾウ・リコリス)あるいはグリチルリチン酸など(甘草抽出物)を含む場合は、濃度により「contains liquorice – people suffering from hypertension should avoid excessive consumption」(甘草が含まれています-高血圧の方は過剰摂取を避けてください)などと記載する必要があります。
  • カフェインの含有量が150mg/リットルを超える飲料(希釈または抽出して飲む飲料を含む)の場合には、「高カフェイン含有。子供、妊婦、授乳中の女性にはお奨めしません(High caffeine content. Not recommended for children or pregnant or breast-feeding women)」と商品名と同一視野内に記載した上で、続けてカフェイン含有量(mg/100ml)をカッコ書きで表記する必要があります。
  • フィトステロール類、フィトスタノール類を含む場合には、食品名と同一視野内に「with added plant sterols」などの記載した上で、原材料リストに添加量の表示義務があるほか、摂取対象者などに関する記載義務があります。

これらに加え、委員会実施規則(EU)2018/775の規定により、最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる(例えば、最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる)場合には、当該主原料の原産地を記載するか、「(○○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載する必要があります。なお、ここでの主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります。

食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載も可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります(欧州議会・理事会規則(EU) 1169/2011 Article 15)。
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上

委員会施行規則(EU) 828/2014に基づき、グルテン含有量が20mg/kg以下である場合には「gluten-free」の表示が可能です。その際には、「gluten-free」の表示とともに「suitable for people intolerance to gluten(グルテン不耐症のヒト向け)」または「suitable for coeliacs(セリアック病患者向け)」の文言を付すことも可能です。
また、日EU経済連携協定の発効に伴い、日本の地理的表示(GI)がEU圏内でも保護されることになりました。
清酒に関しては、「日本酒」「山形」「白山」「はりま」「灘五郷」がEU圏内でも保護されます。また、焼酎に関しては、「壱岐」「球磨」「琉球」「薩摩」がEU圏内で保護され、ワインの「山梨」「北海道」についてもEU圏内で保護されます。
他方、EUで保護されている名称を商品名として使用することもできません。リストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。

なお、フランスでは、2006年10月2日付規則(アレテ)に基づき、国内で販売されるすべてのアルコール飲料に対し、妊娠中のアルコール摂取によって胎児に影響を及ぼすリスクの警告表示を義務付けています。具体的には、妊婦に対する警告ロゴ(図)か、文章「La consommation de boissons alcoolisées pendant la grossesse, même en faible quantité, peut avoir des conséquences graves sur la santé de l’enfant.(妊娠中のアルコール飲料の摂取は少量でも子供の健康に深刻な影響を与える可能性がある)」の表示義務があります。

その他の国においても、アルコール飲料のラベル表示に独自の規制を設けている可能性もあるため、輸出国ごとに確認が必要です。

容器包装のリサイクルなどに関する表示

リサイクルプラスチックに関しては規則 (EC) 282/2008に規定されており、同規則第11条により、リサイクルプラスチックの表示はISO 14021:1999に準ずるものまたは同等のものとされています。
なお、EUレベルでは、環境を配慮する目的で、包装および包装廃棄物の管理に関する国内措置(システム)を整備するEU指令94/62/CEの枠組みの中で、2014年から、使用されている包装容器が「PRO EUROPE」のリサイクルシステムに組み込まれていることを証明するロゴ 「グリーンドット」Green Dot.(独 :グリューネ・プンクト, 仏 : Le Point vert)が導入されています。 これらのリサイクルシステムは各加盟国の団体組織により管理されています。
フランスにおいては、CITEO (現Eco-Emballageただしガラス瓶はAdelphe)により運営されており、92年以降本システムを利用している包装容器に「Point vert」の表示が義務化されておりましたが、2017年に義務的表示が廃止となりました。さらに、消費者に「リサイクル可能な容器であると誤認させている」という理由で、2021年1月以降表示が禁止となる予定ですが、調査時点では、適用開始日に関し協議中です。他方で、一部のEU加盟国(スペイン、キプロス)では表示が義務化されています。

PRO EUROPEに参加していることを証明する (Green Dot.)(独 :グリューネ・プンクト, 仏 : Point vert)

他方で、飲料用ガラス瓶は調査時点で、対象外ですが、2015年からフランス国内市場で流通する「リサイクル可能でゴミの分別の対象である包装容器」には「トリマン(Triman)」ロゴの表示が、製造業者、輸入業者または流通業者に義務付けられています。多くの場合、ゴミの分別方法の説明を「Info-tri」(CITEO)というイラストで補完しています。

(左)トリマンロゴ (右) 現行のInfo-tri (CITEO)マーク

なお、「廃棄物削減および循環経済に関する法律」により、2022年1月以降リサイクル可能か否か関係なく家庭消費向け包装容器(飲料用ガラス瓶は除く)にはトリマンロゴとフランスで統一したゴミの分別方法のロゴ(現行の「Info-tri」に代わるもの)の表示が義務付けられる予定ですが、2021年7月調査時点では統一された「分別方法のイラスト」は公表されていません。

EU加盟国(仕向け地)により、表示する「リサイクル可能な包装容器」あるいは「リサイクルシステム採用」ロゴが変わってきますので、留意してください。

関連リンク

関係省庁
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欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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根拠法等
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指令94/62/CE (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
リサイクル可能な製品にかかる共通の記載に関する2014年12月23日付 デクレn° 2014-1577 (仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
廃棄物削減および循環経済に関する2020年2月10日付N°2020-15 (仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
国税庁「諸外国との間で相互保護に合意している地理的表示(GI)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
ジェトロ「新食品ラベル表示規則(1169/2011)の適用に関する Q&A(仮訳)(2014年3月)」PDFファイル(1.0MB)
ジェトロ「健康食品関連規制調査(EU)(2017年3月)」
ジェトロEU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス国務院の2021年3月15日付け決定 (仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Pro Europe (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2021年7月

  1. EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
  2. EUの食品輸入事業者は、輸入した食品がEUの食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EUが当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

EUの食品の食品衛生要件に関しては、欧州議会・理事会規則 (EC) 852/2004 (一般食品衛生規則)と欧州議会・理事会規則 (EC) 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

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EUでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年7月

EU規制において、清酒の輸入に際してライセンスなどの要件は定められていません。 ただし、加盟国により、輸入者や販売者に課されるライセンスや義務があるため、確認が必要です。詳細は、4.販売許可手続きの項を参照してください。
また、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年7月

日本からEU域内にアルコール飲料を輸入する際に、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document)) EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration) CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)

ワインの場合は、「ワイン輸出証明書」または「日本ワイン輸出証明書」の添付が必要です。

日EU経済連携協定(日EU・EPA)では、自己申告による原産地証明制度が採用されており輸入者、輸出者または代理人(通関業者等)のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のウェブサイトで確認することができます。
有機製品の場合、共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-PP)の添付が必要です。
2019年12月14日から、公的管理の新規則 (EC) 2017/625 が適用開始となり、貨物の到着1日前までに共通衛生入域文書(CHED : Common Healthy Entry Document)をTRACES などの電子システム経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。
なお、動物由来加工製品を原材料に含むアルコール飲料の場合には、混合食品規制の対象となりますので、注意が必要です。混合食品規制については、「混合食品」のページを参照してください。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年7月

EUに日本からアルコール飲料を輸入する場合、特別な検疫上の措置は求められません。ただし、公的管理の規則(EU) 2017/625第44条および第47条に基づき、通常国境管理所で公的管理の対象とならない製品も、リスクに応じた適切な頻度で定期的に、EUの食品衛生基準に適合しているか、消費者を誤認させる可能性があるかどうかのサンプリング検査をしており、書類検査または、同一検査あるいは現物検査が実施される場合があります。
検査に要した費用は請求されます。
なお、動物由来加工製品を原材料に含むアルコール飲料の場合には、混合食品規制の対象となりますので、注意が必要です。混合食品規制については、「混合食品」のページを参照してください。

関連リンク

根拠法等
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
残留農薬のMRLへの適合を判定するための推奨サンプリング法(CODEX)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(213KB)
RECOMMENDED METHODS OF SAMPLING FOR THE DETERMINATION OF PESTICIDE RESIDUES FOR COMPLIANCE WITH MRLS (CAC/GL 33-1999), Codex Alimentarius Commision, FAO(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(126KB)

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年7月

アルコール飲料の販売について、EUレベルでの規制はされていませんが、アルコール類の販売に関する許可やライセンスなど、販売国ごとの規制を確認する必要があります。
例えば、フランスでアルコール飲料を輸入販売するには、認可倉庫業者(entrepositaire agréé de boissons)として物品税登録番号(numéro d’accise)の取得が必要です。
さらに、フランスでアルコールを提供する小売り(débit de boissons)またはレストランを営業する場合、「Permis d’exploitation」という酒類提供の営業許可をもらうためにライセンス(licence de débit de boissons ou de restaurant)が必要となります。
レストラン、バー、 カフェ、喫茶店、ディスコなどその場でアルコール飲料だけが提供され、消費される場合(Les débits de boissons à consommer sur place)と、スーパーマーケット、食品雑貨屋、ワインカーブ、通販、EC販売などが対象となるテイクアウト(Les débits de boissons à emporter)に適用されるライセンスに分かれており、さらにレストランのように、アルコール飲料が食事と同時に提供される場合(licence restaurant)では、アルコールライセンスのカテゴリーが変わります。例えば、ワインバーのような場所でアルコール飲料が提供される場合はライセンスIIIまたはIVの「その場で消費 à consommer sur place」となります。またこれらのアルコールライセンスIII & IVおよびレストランのアルコール飲料のテイクアウトは許可されています。

フランスにおけるアルコール飲料の販売に関するライセンス
カテゴリー 飲料提供の開店許可 (débit de boissons) レストラン
飲み物だけを提供しその場で消費Les débits de boissons à consommer sur place テイクアウト
Les débits de boissons à emporter
レストラン
licence restaurant
1 ノンアルコール飲料 ライセンス無 ライセンス無 ライセンス無
3 蒸留していない醸造飲料:
ワイン、ビール、シードル、洋梨酒、蜂蜜酒、カシスリキュールなどアルコール度数3度までの果実・野菜果汁, ワイン・リキュール、ワインベース食前酒、フルーツリキュール(アルコール度数18度以下)
ライセンスIII
「Licence restreinte」
- 交付数に上限あり
(譲渡は可能)
- ライセンス料あり
「Petite licence à emporter」
テイクアウト用
簡易ライセンス
「Petite licence restaurant」
簡易レストラン
ライセンス
4&5 ラム酒、蒸留酒、前述以外のすべてのお酒
日本酒・焼酎はここに含まれる
ライセンスIV
「grande licence」または「licence de plein exercice」
- 基本的に新規の交付なし
- ライセンス譲渡規制あり
- ライセンス料あり
「Licence à emporter」
テイクアウト用ライセンス
「licence restaurant」
レストランライセンス

ライセンスIIIまたはライセンスIVあるいはレストランライセンスを取得する場合、レストラン業の「外食事業者の食品衛生講習」とは別に20時間(3日間)の「営業許可の研修」(une formationpermis d’exploitation)を認定機関において受講する義務があり、アルコール販売に課せられる義務、アルコール依存症の防止、未成年者の保護、麻薬の規制、騒音対策、民事責任と刑事責任の一般原則などを学ぶ必要があります。
研修を受講し、認定機関より「営業許可(Permis d'exploitation)」が発行された後、所定の様式「CERFA 11542」で、事業所の拠点がある市当局(パリの場合パリ警視庁)に営業を事前申告する必要があります。新規開店、譲渡、移転にかかわらず、アルコールを販売するレストランや事業所は営業開始する15日前までに申告をし、受領証(レセピセ)を入手する必要があります(死亡による譲渡の場合は営業開始の1カ月前まで)。
アルコール飲料小売りのライセンスは「成人した、国の保護下にない、特定の罰則の宣告を受けていないこと」が条件とされています。22時から朝の8時までアルコールをテイクアウト形式で販売する場合は「夜間販売用」に別途、市への申請が必要です。
その他、「débit de boissons」ライセンスの譲渡は同地域内に限定され、営業時間の規制などもあります。なお、カテゴリー 4 & 5の移動販売・行商販売はその場での消費、テイクアウト含め禁止されています。また、自動販売機のアルコール飲料の販売や小売りにおけるアルコール飲料の売り掛け販売は禁止されています。

5. その他

調査時点:2021年7月

なし

EU内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年7月

EUは域外共通関税制度の下で、域外からの輸入品の関税率は域内各国で一律となっています。 関税および統計的分類表ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則(EEC) 2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、当該合同関税品目分類表のCNコードの中から該当する品目の関税率を特定する必要があります。
また、2019年2月から、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)の適用対象となります。日EU・EPA適用後の関税率は、次の表のとおりです。
日EU・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日EU・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸入者、輸出者または代理人(通関業者等)のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により、税関当局に照会することができます。
関税率は、欧州委員会通商総局が提供する「Access2Markets」や税制・関税同盟総局が提供する「TARIC Consultation」などで検索することができます。

CNコードと関税率
CNコード/品目 関税率 関税率
通常 EPA適用
2203 00
ビール
非課税(0%) 非課税(0%)
2204 10
スパークリングワイン※1
32ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2204 21 06 - 2204 21 09、2204 22 10、2204 29 10
弱発泡性ワイン※2:
32ユーロ/100リットル* 非課税(0%)
2204 21 93 - 2204 21 98
ワイン(スパークリングワイン、弱発泡性ワインを除く):EU以外で生産された2リットル以下の容器入りにしたもの
アルコール度数13%以下:13.1ユーロ/100リットル
アルコール度数13%超え15%以下:15.4ユーロ/100リットル
アルコール度数15%超え18%以下:18.6ユーロ/100リットル
アルコール度数18%超え22%以下:20.9ユーロ/100リットル
アルコール度数22%超え:1.75ユーロ/度数/100リットル
非課税(0%)
2204 22 93 - 2204 22 98、2204 29 93 - 2204 29 98
ワイン(スパークリングワイン、弱発泡性ワインを除く):EU以外で生産された2リットルを超える容器入りにしたもの
アルコール度数13%以下:9.9ユーロ/100リットル
アルコール度数13%超え15%以下:12.1ユーロ/100リットル
アルコール度数15%超え18%以下:15.4ユーロ/100リットル
アルコール度数18%超え22%以下:20.9ユーロ/100リットル
アルコール度数22%超え:1.75ユーロ/度数/100リットル
非課税(0%)
2205 10 10
ベルモットその他のぶどう酒:アルコール度数が18%以下のもので2リットル以下の容器入りにしたもの
10.9ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2205 10 90
ベルモットその他のぶどう酒:アルコール度数が18%超えのもので2リットル以下の容器入りにしたもの
0,9ユーロ/アルコール度数/100リットル + 6.4ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2205 90 10
ベルモットその他のぶどう酒:アルコール度数が18%以下のもので2リットル超えの容器入りにしたもの
9ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2205 90 90
ベルモットその他のぶどう酒:アルコール度数が18%超えのもので2リットル超えの容器入りにしたもの
0,9ユーロ/アルコール度数/100リットル 非課税(0%)
2206 00 31、2206 00 39
その他の発酵酒、発酵酒の混合物および発酵酒と非アルコール飲料の混合物:発泡性のもの
19.20ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2206 00 51、2206 00 59
その他の発酵酒、発酵酒の混合物および発酵酒と非アルコール飲料の混合物:非発泡性のもので2リットル以下の容器入りにしたもの
7.70ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2206 00 81、2206 00 89
その他の発酵酒、発酵酒の混合物および発酵酒と非アルコール飲料の混合物:非発泡性のもので、2リットル超えの容器入りにしたもの
5.76ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2208 20 12 - 2208 90 78
蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(ラムその他これに類する発行したさとうきびの製品から得た蒸留酒を除く)
非課税(0%) 非課税(0%)
2208 40 11、2208 40 39
ラムその他これに類する発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒:2リットル以下の容器入りのもの(純アルコール1リットルあたり7.9ユーロを超えるものを除く)
0.6ユーロ/アルコール度数/100リットル + 3.2ユーロ/100リットル 非課税(0%)
2208 40 51、2208 40 99
ラムその他これに類する発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒:2リットル超えの容器入りのもの(純アルコール1リットルあたり2ユーロを超えるものを除く)
0.6ユーロ/アルコール度数/100リットル 非課税(0%)

※1スパークリングワインとは、20℃で3気圧以上のガス圧を有するワインを意味する。
※2弱発泡性ワインとは、20℃で1気圧以上3気圧未満のガス圧を有するワインを意味する。

関連リンク

関係省庁
European Commission Taxation and Customs Union (欧州委員会税制関税同盟総局)Taric Consultation(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 関税検索サイト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 日EU・EPAにおけるEU側の農林水産物に関する合意内容PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.32MB)
税関 原産地規則ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(454KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)
ジェトロ「日EU・EPA解説書:日EU・EPAの特恵関税の活用について(2020年3月)」PDFファイル6.29MB
外務省日EU経済連携協定(和文テキスト)「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日EU経済連携協定 ANNEX 3-D (英文)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局・税関「日 EU・EPA 自己申告及び確認の手引き (2021 年 2 月)」PDFファイル(575KB)
ジェトロ「日EU・EPAの 特恵関税利用(輸出時)の留意点」PDFファイル(12.88MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ|EPA/FTA、WTO」

2. その他の税

調査時点:2021年7月

付加価値税(VAT)

EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムについては欧州理事会指令2006/112において規定されています。
加盟国ごとのアルコール飲料に適用されるVATの税率は以下のとおりです。ただし、用途によって異なる税率が適用される場合がありますので、注意が必要です。

加盟国 税率 加盟国 税率
ベルギー 21 % リトアニア 21 %
ブルガリア 20 % ルクセンブルク 14/17 %
チェコ 21 % ハンガリー 27 %
デンマーク 25 % マルタ 18 %
ドイツ 19 % オランダ 21 %
エストニア 20 % オーストリア 20/13 %
アイルランド 23 % ポーランド 23 %
ギリシャ 24 % ポルトガル 23/13 %
スペイン 21 % ルーマニア 19/5 %
フランス 20 % スロベニア 22 %
クロアチア 25 % スロバキア 20 %
イタリア 22 % フィンランド 24 %
キプロス 19 % スウェーデン 25 %
ラトビア 21 %

物品税(酒税)等

また、酒税についても、輸入国によって異なるため、国ごとに確認する必要があります。
ドイツ、フランスおよびイタリアにおいてアルコール飲料に課される酒税は、次のとおりです。

種類 ドイツ フランス イタリア
アルコール度数0.5%を超え、2.8%以下のCNコード2203のビールまたは、ノンアルコール飲料とビールが混合したCNコード2206のもの 0.787ユーロ/100リットル/プラート度 3.84ユーロ/100リットル/アルコール度数 2.99ユーロ/100リットル/プラート度
アルコール度数2.8%を超える、CNコード2203のビールまたは、ノンアルコール飲料とビールが混合したCNコード2206のもの 0.787ユーロ/100リットル/プラート度 7.68ユーロ100リットル/アルコール度数 2.99ユーロ/100リットル/プラート度
CNコード2204または2205で最終品のアルコール度数が1.2%を超え、15%以下の非発泡ワイン(100%醸造によりアルコール非添加)※1 0ユーロ/100リットル 3.91ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
CNコード2204または2205で最終品のアルコール度数が1.2%を超え、8.5%以下の発泡性ワイン(100%醸造によりアルコール非添加)※1 (6%未満) 51ユーロ/100リットル 9.68ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
CNコード2204または2205で最終品のアルコール度数が8.5%を超え、15%以下の発泡性ワイン(100%醸造によりアルコール非添加)※1 136ユーロ/100リットル 9.68ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
アルコール度数1.2%を超え、15%以下の非発泡のその他の醸造酒(100%醸造によりアルコール非添加) 0ユーロ/100リットル 3.91ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
アルコール度数1.2%を超え、8.5%以下の発泡性のその他の醸造酒(100%醸造によりアルコール非添加) (6%未満) 51ユーロ/100リットル 3.91ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
シードルや梨酒などの発泡性の醸造酒 136ユーロ/100リットル (6%以上) 1.37 ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
アルコール度数1.2%を超え、15%以下の発泡性のその他の醸造酒(100%醸造によりアルコール非添加) 136ユーロ/100リットル (6%以上) 3.91ユーロ/100リットル 0 ユーロ/100リットル
アルコール度数15%を超え22 %以下の醸造酒。あるいは醸造用アルコールを添加した5.5%を超える非発泡性の醸造酒。または、8.5%を超える発泡性の醸造酒 ※2 153ユーロ/100リットル 195.47ユーロ/100リットル 88.67ユーロ/100リットル
アルコール度数22%超える醸造酒 あるいは、CNコード2207または2208の蒸留酒 1,303ユーロ/純アルコール100リットル 1,802.67ユーロ/純アルコール100リットル 1,035.52ユーロ/純アルコール100リットル

さらに、フランスにおいてアルコール度数が18%を超える蒸留酒の場合、578.8/純アルコール100リットル、その他のアルコール飲料には、48.87ユーロ/100リットルの社会保険料分担税が上乗せされます。また、アルコールと非アルコール飲料(炭酸水やフルーツジュース)を混ぜたアルコール度数1.2%を超え、12%未満の飲料やフレーバーのついたワインベースのアルコール飲料には3ユーロ/純アルコールデシリットルまたは11 ユーロ/純アルコールデシリットルのプレミックス税が課税されます。

関連リンク

根拠法等
指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EEC) 92/83 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EEC) 92/84 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
Value Added Tax Act 1994(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
アルコール税法(ドイツ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般税法典(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
社会保障法典(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 租税検索サイト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス政府 フランスの酒税率(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2021年7月

なし

その他

調査時点:2021年7月

有機食品に関する規制
EU域内で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC) 834/2007および 規則(EC)1235/2008 で規定されていますが、新公的管理の規則(EU) 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が2022年1月1日から適用されます。
清酒などアルコール飲料は、有機JAS認定の対象外であるため、EU域内で有機商品として販売することを希望する場合は、EU有機の認定を取得する必要があります。日本国内にはEU有機の認定を行っている認定機関があります。EU有機は、有機JASと要求条件が異なる点があるため、取得に際しては注意が必要です。なお、EU輸出時に提出する有機証明書は、2017年10月19日からTRACESシステムを用いて電子的に提出することが義務付けられており、証明書を発行する登録認定機関がTRACESに登録されている必要があります。
また、有機ワインの生産に関しては、欧州委員会規則(EC) 889/2008の第3章a(第29条b〜d項)に規定されており、同規則ANNEX VIII aに使用できる原料物質がリストアップされています。新規則 (EU) 2018/848においては、第18条およびANNEX II第6章に規定されており、新たに禁止される醸造工程や慣行が追加されています。
食品へのEUの有機ロゴ(ユーロリーフ)の使用に際しては、日本からの輸入品には「non-EU Agriculture」の表示を記載する必要があります。生産国が日本のみの場合は、「non-EU」を国名で代替・補足することも可能です。
欧州理事会規則(EC) 834/2007および欧州委員会規則(EC) 889/2008に基づき、EU域内に有機食品を輸入・流通させるにあたっては、EU側の輸入者・販売者にも当局への登録、査察の受入れ、証明書の保持などが義務付けられています。このため、輸出に際してはEU域内の相手方事業者がこれらの要件を満たす事業者であるかどうかについて確認を行うことも必要です。
なお、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていませんが、国によってEU規制の運用が異なる場合があることに留意が必要です。