外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年01月25日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

設立発起人の決定、定款作成、業務執行者(取締役)の選任、出資者(親会社)の登記簿謄本などの取得、基本資本金の払込み、定款の公証、商業登記簿への登記など。

現地法人の設立手続き

現地法人の設立手続きは、次のとおり。

  1. 設立発起人の決定
  2. 定款作成
  3. 業務執行者(取締役)の選任
  4. 出資者(親会社)の登記簿謄本などの取得
  5. 定款の公証
  6. 基本資本金の払い込み
  7. 商業登記簿への登記
  8. 透明性登記簿への登記
  9. 税務署への届出
  10. 営業届の提出
  11. 州中央銀行への届出
  12. 雇用関係にかかわる届出(労働局、社会保険局、雇用責任保険組合など)

公証役場での会社設立手続きはオンラインでも可能だが、公証人による本人確認のため、電子認証機能が付いている身分証明書(ドイツあるいは特定のEU加盟国のIDカード)またはオンライン機能を有効にした電子ビザカードが必要になる。連邦公証人会(Bundesnotarkammer)が提供するオンラインプラットフォーム(パソコン等で利用)でビデオコミュニケーションを取り、本人確認の際にはスマートフォンにダウンロードしたノータリーアプリ(Notar App)が使用される。

なお、企業設立の際に助成策を受けるための申請は、企業設立に先立って行わなくてはならない場合がある。
また、法人形態によって、必要な手続き・登録方法が異なる場合がある。地域の商工会議所や投資誘致機関などが、海外投資者に対する助言・援助を行う。

現地法人の設立手続きに関連する有限会社法、営業法、社会法典などの法令、法典は、連邦司法省(BMJ)のウェブサイト「インターネットで読む法律」で閲覧やダウンロードが可能(英語情報が掲載されている場合もある)。

連邦司法省(BMJ):

なお、外国企業による会社設立手続きについては、ドイツ貿易・投資振興機関(Germany Trade and Invest GmbH:GTAI)や地域の商工会議所がウェブサイトで情報を提供している。GTAIのウェブサイトには日本語ページがある。

ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI):ドイツ進出基礎知識:ドイツにおけるビジネスの立ち上げPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(8.2MB)

外国企業の会社清算手続き・必要書類

株式会社および有限会社の清算手続き。

株式会社の清算手続き

株式会社の清算手続きは、以下のとおり(株式会社法262~273条)。

  1. 株主総会で会社の解散を決議。
  2. 取締役会は管轄の登記裁判所へ解散を登記申請する。
  3. 取締役会が清算人とならない場合、株主総会は清算人を指名する。
  4. 清算人を商業登記簿で登録。
  5. 連邦官報(Bundesanzeiger)で、会社の清算を公告する。公告から1年間は債権者を保護する「待期期間」として株主への残余財産の配分は認められない。
  6. 清算人は、開始(会社解散時)貸借対照表とその説明書を発表する。当該会社は「清算中」のステータスになる(年次貸借対照表義務がある)。
  7. 清算人は事業の清算を行う。清算事業および前記「待期期間」の終了後、最終決算を作成し、株主に残余財産を償還する。
  8. 最終決算の作成。
  9. 登記裁判所へ抹消を申請。会社資料を10年間保存しなければならない。

有限会社の清算手続き

有限会社の主な清算手続き例は、以下のとおり(有限会社法60~74条)。

  1. 社員総会が会社の解散を決議する。
  2. 定款に規定がなく、社員総会で清算人が指名されない場合、会社の代表者(Geschäftsführer)が清算人となる。
  3. 清算人が管轄の登記裁判所へ解散および清算人の氏名権限等を登記申請する。
  4. 連邦官報(Bundesanzeiger)で、会社の清算を公告する。公告から1年間は債権者を保護する「待期期間」として出資者への残余財産の配分は認められない。
  5. 清算人は、清算開始の日付にて清算開始貸借対照表とその説明書を発表する。会社は「清算中」のステータスになる(年次貸借対照表義務がある)。
  6. 清算人は事業の清算を行う。清算事業および前記「待期期間」の終了後、最終決算を作成し、株主に残余財産を償還する。
  7. 登記裁判所へ抹消を申請。会社資料は10年間保存しなければならない。
    1. 税務上の清算プロセス
      商業登記簿からの抹消後、会社の納税者番号やVAT課税業者登録が抹消される。
    2. 労務上の注意点
      従業員を解雇する際の通知期間の遵守(雇用契約、労働協約、民法典622条1~3項等に規定されている法定解雇告知期間に従う)
    3. 駐在員の帰任
      1. ドイツ内に住居がなくなる場合、連邦住民登録法17条に従って住民登録を削除する義務がある。
      2. 登録削除後、滞在許可が無効となる。

※有限会社(GmbH)の清算手続きについては、次の調査レポートも参照。
ジェトロ調査レポート:日本企業のドイツ現地法人(GmbH)の清算手続きについて(2022年2月)

連邦司法省(BMJ):

その他

特になし。