税制

最終更新日:2023年04月26日

法人税

2022年法律第2277号により、2023年の法人所得税は35%となった。

2022年法律第2277号により、法人税率は35%となった。なお、以下の事業を行う法人は上乗せ課税が課される。

金融機関

課税所得が12万UVT(※)を超える法人は、2027年までは所得税に5%を上乗せした税率で支払う必要があるため、合計税率は40%となる。

水力発電事業者

課税所得が3万UVTを超える法人は、2023年~2026年の課税期間中、3%の上乗せ課税を支払う必要があり、合計税率は38%となる。設備容量が1,000キロワット以下の小規模水力発電所には適用されない。

炭化水素および鉱業部門

国際価格の変動に応じ、価格上昇に応じて高い税率が課される。原油については、課税年度のブレント原油の平均価格が過去10年の月平均価格の30パーセンタイル未満の場合上乗せ課税はなく、標準税率の35%となる。30~45パーセンタイルの場合、上乗せ税率は5%、45~60パーセンタイルは10%、60パーセンタイル以上では15%となる。石炭については、45パーセンタイル未満は上乗せ課税なし、45~60パーセンタイルの場合5%、60パーセンタイル以上は10%と定めた。

その他

フリー・トレードゾーン(保税地区)における法人所得税は20%。
課税所得には、キャピタルゲイン、受取配当金、受取利子も含まれる。
※UVTについては後述の個人所得税の項目参照。

二国間租税条約

コロンビアは、アンデス共同体および11カ国・地域と二重課税防止条約を発効済み。日本とは2018年12月19日に署名を行い、2022年9月4日に発効した。

二国間租税条約を発効済みであるのは、アンデス共同体(1980年)、および、スペイン(2008年)、チリ(2009年) 、スイス(2012年) 、カナダ(2012年) 、メキシコ(2013年)、韓国(2014年)、インド(2014年) 、ポルトガル(2015年)、チェコ(2015年)、英国(2019年)、日本(2022年)の11カ国・地域。

同条約を署名済みであるのは、フランス(2015年)、アラブ首長国連邦(2017年)、イタリア(2018年)の3カ国。

その他税制

主な国税は、法人所得税、個人所得税、臨時利益税、金融取引税、付加価値税、消費税、保有資産税、など。
主な地方税は、工業・商業税、自動車税、たばこ税など。

国税

個人所得税(Impuesto sobre la Renta y Complementarios

税法868条(2006年12月27日法律第1111号第50条により改正)により、国税庁(DIAN)によって管理される税金と納税義務に関する規則に含まれる金額を調整する測定方法として、課税基準単位(Unidad de Valor Tributario:UVT)が創設された。同制度は、課税対象額や範囲を単位表示として制度化したもので、1UVT当たりの額は消費者物価指数の変動に基づいて調整され、国家統計庁(DANE)が毎年10月頃に発表する。2023年の1UVTは4万2,412ペソとなっている(2022年DIAN決議第1264号)。
給与所得者等に対する源泉徴収率(税法第383条)は、社会保障制度(医療、年金)への支払額を除いた平均月収(UVT換算)に基づき、規定される(2012年法律第1607号第14条)。128.96UVT未満は非課税で、最高税額(月額所得1,136.92UVT超の労働者)は、月額所得の27%から135.17UVTを控除した額。

年収に基づく個人所得税率(税法第241条、2019年法律第2010号)
月額所得 税率
1,090 UVT以下 非課税
1,091~1,700 UVT UVT換算された課税所得と1,090 UVTとの差額の19%
1,701~4,100 UVT UVT換算された課税所得と1,700 UVTとの差額の28%に116 UVTを加算した額
4,101~8,670 UVT UVT換算された課税所得と4,100 UVTとの差額の33%に788 UVTを加算した額
8,671~18,970 UVT UVT換算された課税所得と8,670 UVTとの差額の35%に2,296 UVTを加算した額
18,971~31,000 UVT UVT換算された課税所得と18,970 UVTとの差額の37%に5,901 UVTを加算した額
31,001 UVT以上 UVT換算された課税所得と31,000 UVTとの差額の39%に10,352 UVTを加算した額

臨時利益税(Impuesto sobre Ganancias Ocasionales

税率は、法人・個人ともに15%(税法第313条および314条、2022年法律2277号32条および33条)。課税対象となるのは営業活動によらない収益で、固定資産の売却による収益、企業の精算による収益、遺産相続・贈与・寄付金による収益など。宝くじ、賞金、抽選、およびこれらに類するものによる収益には、20%が課税される(税法317条)。

金融取引税(Gravamen a los movimientos financieros

銀行振込や口座間取引、口座からの引き出しや引き落とし等に対して、金融取引税の0.4%(1,000ペソに対し4ペソ)が課税される(2006年法律第1111号第4章)。

印紙税(Impuesto de Timbre

2022年法律2277号により、印紙税が復活した。2023年以降、価値が2万UVT(8億4,824万ペソ)から5万UVT(21億2,060万ペソ)の不動産の処分のために発行される公正証書に対して印紙税が課せられる。税率は以下のとおりである。

印紙税率
UVT範囲 限度税率 税額
~20,000(8億4,824万ペソ)未満 0% 0
20,000(8億4,824万ペソ)以上
~50,000(21億2,060万ペソ)未満
1.5% (UVTでの処分価額-20,000UVT)×1.5%
50,000(21億2,060万ペソ)以上 3.0% (UVTでの処分価額-50,000UVT)×3.0%

健康税(Impuestos Saludables

加糖飲料や、しょうゆなどの調味料を含む超加工食品を対象とし、製造者または輸入者に課される。課税額または課税率は以下のとおり。

  1. 加糖飲料:砂糖含有量が100ミリリットル当たり6~10グラムの飲料については、課税額が100ミリリットル当たり2023年は18ペソ、2024年は28ペソ。10グラム以上の飲料では、2023年が35ペソ、2024年が55ペソ。2025年については、砂糖含有量が100ミリリットル当たり5~9グラムの飲料が100ミリリットル当たり38ペソ、9グラム以上の飲料の場合は65ペソ課税される。2026年以降の税額は、課税基準単位(UVT)に基づいて毎年決定される。
  2. 超加工食品:ナトリウム含有量が100グラム当たり300ミリグラム以上または1キロカロリー当たり1ミリグラムの食品、砂糖含有量および飽和脂肪酸量が総エネルギーの10%以上の食品に対しては、2023年10%、2024年15%、2025年以降20%の健康税が課税される。

付加価値税(IVA)

付加価値税の標準税率は19%だが、品目・サービスの種類に応じて5%、0%の特別税率がある。

特別税率と主な品目(2018年法律第1943号)
税率 主な品目
0% 生活最低必需食料(野菜、果物、コーヒー生豆、コメ、パン等)。牛(闘牛を除く)、豚、羊等生きた動物類。生きた魚類(熱帯魚を除く)、乳製品、種子植物、販売価格が50UVT以下のコンピューター、販売価格が22UVT以下のスマートフォンおよびタブレット、エストラト(社会経済階層)1、2 の世帯におけるインターネット接続サービス、旅客輸送の公共交通用車両、積荷輸送のための公用または私用の車両など。
5% 焙煎済コーヒー、カフェイン抜きのコーヒー、コーヒー豆の果皮、工業用の小麦・トウモロコシ、小麦粉その他粉類、砂糖、チョコレート、パスタ類、ケーキ類、農具・農業機械など。

消費税(Impuesto Nacional al Consumo

標準税率は8%で、特別税率として4%、16%がある(税法第512条、2012年法律第1607号第71~83条)。2019年法律第2010号により2万6,800 UVTを超える新築および中古不動産の販売に消費税が適用されることになった。ただし、補助金付住宅は対象外となる。不動産の売却については、売主または譲渡人が責任を負うものとし、税率は、販売価格全体の2%である。

消費税率
税率 主な品目
4% 携帯電話サービス(付加価値税課税前の利用額に対して課税)
8% 飲食店のサービス(フランチャイズや利権営業などの商業施設・店舗には適用されず、付加価値税が課税される。サンアンドレス諸島、アマゾン地域で一部例外あり)、FOBまたはFOB相当価格3万ドル未満のファミリーカー、ジープ(ともにHSコード8703)とピックアップトラック(同8704)。排気量200cc超のオートバイ(同8711)、娯楽・スポーツ用船舶(同8903)。なお、飲食の提供によって得た前年課税所得が3,500UVT以下の個人および最大1カ所の飲食施設を有する個人も飲食店に属するものとする。
16% FOBまたはFOB相当価格3万ドル以上のファミリーカー、ジープ、ピックアップトラック、飛行船(HSコード8801)およびヘリコプターなどの航空機(同8802)(私用に限る)。

配当税(Impuestos a los dividendos

配当税は、株主総会が配当を承認した時点で課税され、支店の場合、配当が海外に送金されるときに課税される。本税の適用対象は、居住者、法人、非居住者である。

配当税(2019年法律第2010号)
分類 配当金額(単位:UVT) 税率
法人(居住者) 一律 10%
法人(非居住者)、個人(非居住者) 一律 20%
個人(居住者) 0~300 0%
301以上 10%

地方税

工業・商業税(Impuesto de Industria y Comercio:ICA)

すべての工業、商業活動、サービス業に対し、輸出を除く前年の所得をベースに課税される。税率は各地方自治体によって異なるが、工業は0.2~0.7%、商業・サービス業は0.2%~1.0%、ただしボゴタ市の場合は、工業は0.41~1.14%、商業・サービス業は0.41~1.38%程度。早期に支払えば割引になる。

固定資産税(Impuesto Predial

税率は、不動産が存在する地方自治体が不動産価格に基づいて決定するため、不動産の所在地によって異なるが、不動産査定額の0.5~1.6%程度。市街化可能地区で市街化されていない不動産に対する本税の上限税率は3.3%。ボゴタ市の場合は、0.2~1.5%程度。

路線価効果税(Valorizacion

道路等のインフラ整備事業費として、ボゴタ市などでは投資便益を享受する地域の不動産所有者に対し、本税を課すことができる。プロジェクトが立ち上げられるときに、臨時に徴税される。

登記税(Impuesto de registro

商工会議所や公文書登記所(Oficinas de Instrumentos Publicos)に対して行う、法に基づいた行為、契約、商取引、書類の登記手続き、商業登録等に課せられる税。税率は県議会が決定し、手続きの内容により税率が異なる。代表者や経営者の変更等、貨幣価値を伴わない手続きの場合は、法定最低賃金日額の2~4日分(ボゴタ商工会議所の場合4日分)、会社設立に伴う商業登記等の貨幣価値を伴う手続きについては、商工会議所への登記は手続き書類に記載されている金額(資本金等)の0.3~0.7%、公文書登記所への登記は0.5~1%と規定されている。

自動車税(Impuesto sobre vehículos automotores

税率は、車種や製造年、排気量等による評価額に基づき、毎年見直される(大蔵・公債省のウェブサイトにて概算可能)。ボゴタ市の場合は1.5~3.5%。公共車両は0.5%。

広告・掲示補完税(Impuesto sobre publicidad y propaganda comercial

これは地方税で、工業・商業税(ICA)を補完し、公共のスペースにおける広告板、広告、掲示板の設置に対して課税される。対象の地方自治体において工業・商業・サービス活動を実施する個人、法人または匿名組合で、これらの媒体を使って公共のスペースにおいて事業の広告・宣伝行為を行うすべての者に課せられる。ICAの支払額が課税ベースとなっており、税率は15%である。

その他

環境

  1. 環境税

    大気・水・土壌について、直接または間接に利用するか、排出または廃棄物を伴うあらゆるビジネス、プロジェクト、工事、または活動が本税の課税対象となる。環境税は、1993年法律第99号と1997年政令第901号によれば所得税でも取引税でもなく、環境・持続的開発省が最低税率やケースごとの課税基準を設定する。
    環境税の税率は環境および社会的な損害による価値下落の程度や資源の再生コストに応じ、ケースごとに環境・持続的開発省が計算する。例えば排水に関しては、その中に含まれた汚染を除去するのに必要なコストがこの税の目的である。地域要素、排出量とその頻度、および排出される物質に関する要素などが、この税の計算の基礎となる。さらに、毎年の不動産税収入の一部は、当該管轄地域公団に振り向けられる。

  2. 炭素税

    2016年法律第1819号により、炭素税が導入された。2023年の負担額はCO2排出量1トン当たり2万3,394.6ペソで、各化石燃料の単位量当たりの税額は以下のとおりとなっている(2023年国税庁決議第12号)。税額は、毎年2月1日に国税庁が前年のインフレ率などをもとに決定する。

    化石燃料 単位 税額(ペソ)
    石炭 トン 5,9587.76
    天然ガス 立法メートル 36
    LPガス ガロン 152.92
    ガソリン ガロン 169
    灯油およびジェット燃料 ガロン 230.52
    軽油 ガロン 191
    燃料油 ガロン 271.61

    パリ協定に署名したコロンビアは、2030年までに温室効果ガスの排出を20%削減することを目指している。

  3. 電力・エネルギー部門の社会的負担

    1993年法律第99号に従い、1994年政令第1933号で規制される電力部門は、次のように、総売上の一定割合を社会的負担として支払わなければならない。

    すなわち水力発電会社は、総売上の3%を地域公団へ、1.5%をダムの主要水源がある市町村へ、1.5%をその他のダム水源がある市町村へ支払わなければならない(政令第1933号第5条)。また火力発電会社は、総売上の2.5%を地域公団へ、1.5%を所在地の市町村に支払わなければならない(同第6条)。支払いを受けた公団・市町村は、その資金を、環境保護と被害を受けた地区の復興に当てなければならない。1万kW以上を発電する設備を持つあらゆる公営・私営の企業が販売する電力について、本規制は適用される。

鉱業と炭化水素部門

鉱物および炭化水素は国家の所有物であることから、コロンビア政府は、これらを採掘する対価として、ロイヤルティーやその他の権利、補償について定める権利があると解釈している。対価の額は採掘される鉱物の種類によって異なるが、一般的に対価は権利維持料金およびロイヤルティーの2種類に分かれる。
うち権利維持料金は主に鉱区の規模および占有表面積によって定められ、ロイヤルティーは採掘される鉱物により固定率または変動率で適用され、政府の選択によって現金または現物で支払われる。細かい規制や適用率は、鉱種、容量、炭化水素の質、鉱床の場所(オンショアまたはオフショア)などによって異なる。これらは、1994年法律第141号、2002年法律第756号に定められており、その関連条項は鉱区契約に含まれなければならない。

税制の概要

PROCOLOMBIA投資情報専用ウェブサイトには、税制の概要についてのガイドが掲載されているため、参照されたい。

また、法務省のウェブサイトから、直近の税制改正の内容を確認することができる。