外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2023年07月12日

外国人就業規制

外国人がブラジル国内で報酬を得る活動をするには、就労を許可したビザか居住許可が必要。

ブラジルに入国するには渡航目的に応じたビザを取得する必要がある。
ブラジル国内で報酬を得る活動を行うには、就労を認めるビザか居住許可を取得する必要がある。

在留許可

従来の「外国人規約」に代わって、2017年に「移民法」が発令され、ビザに関する規定が大幅に変更された。商談などを目的に短期間の訪問の場合には「訪問ビザ」、駐在等で赴任する場合には「一時滞在ビザ」を取得する。これまで、役員として駐在する場合に取得していた「永住ビザ(パーマネント・ビザ)」の呼称はなくなった。
2019年6月以降、日本国籍所有者が90日以内の観光、商用、通過(トランジット)、芸術・スポーツ等の各種イベントへの参加を目的としてブラジルを訪問する場合、訪問ビザの取得が免除されているが、ブラジル政府は2023年3月に免除措置は2023年9月末で取りやめると発表。2023年10月1日以降は旅行や短期出張等の場合にも所定のビザ取得が必要となる。

軍事政権時代の1980年に制定された「外国人規約」(Estatuto do Estrangeiro:1980年8月19日付法令第6815号)は、国防と自国労働者保護の観点から外国人の権利を制限する差別的な面があるとして、改定が議論されてきた。2017年に新たに施行された「移民法」(Lei de Migração:2017年5月24日付法令第13445号)は、人道的な観点から移住者の権利と義務を保障するとともに、移住者や訪問者のブラジル入国や滞在に関するガイドラインを定めている。同法の施行前に発給されたビザは、有効期間内であれば効力を有するため、ビザの切り替えは不要。

移民法におけるビザの種類

移民法では、ビザは次の5種類に区分される。

  1. 訪問ビザ "Visto de Visita"
  2. 一時滞在ビザ "Visto Temporário"
  3. 外交ビザ "Visto Diplomático"
  4. 公用ビザ "Visto Oficial"
  5. 非公式外交ビザ(儀礼ビザ) "Visto de Cortesia"

訪問ビザは、次の目的でブラジルへ入国、滞在する場合に取得する。

  1. 観光
  2. 商用
  3. 通過(トランジット)
  4. 文化・スポーツ活動
  5. その他

一時滞在ビザは、次の目的でブラジルへ入国、滞在する場合に取得する。

  1. 学術・研究
  2. 医療
  3. 人道的保護
  4. 留学
  5. 労働
  6. 技術支援・技術移転
  7. ワーキング・ホリデー
  8. 宗教
  9. ボランティア活動
  10. 個人投資家
  11. 不動産投資
  12. 顕著な経済・社会・科学・技術または文化活動
  13. 家族呼び寄せ
  14. 芸術・スポーツ等の各種イベントへの参加

訪問ビザ

2019年6月17日以降、日本国籍所有者が観光、商用、通過(トランジット)、芸術・スポーツ等の各種イベントへの参加を目的としてブラジルを訪問する場合、訪問ビザの取得が免除されている(ビザ免除措置は2023年9月末で取りやめになるため、2023年10月以降に入国する場合には所定のビザの取得が必要となる。なお、日本政府はブラジル人が日本を短期で訪問する際に義務付けているビザを2023年10月までに免除することで調整していると一部のメディアが報じており、日本側の免除が実現すればブラジル側も日本国籍者へのビザ免除措置を再開するものとみられている)。訪問ビザによる滞在可能期間は入国日から数えて最大90日間。ビザの有効期間を超えて滞在する場合、連邦警察で手続きをすることによりさらに最大90日間の延長が可能(訪問目的が監査・コンサルタント業務の場合、滞在期間の延長は認められない)。滞在合計日数は過去1年間に180日を超えることはできない。マルチプルビザのため、滞在期間上限を超えなければ有効期間内に何度でも出入国が可能。訪問ビザでブラジルに滞在する場合、報酬を得る活動を行うことはできない(イベント参加による日当、補助費、出演料、労賃、その他の渡航費用、スポーツ大会および芸術・文化コンクールにおける賞品、賞金の受け取りは認められる)。技術援助(機械の据付、メンテナンス、修理等)は商用に当てはまらず、一時滞在ビザが必要。

居住許可

労働、技術支援・技術移転、研究・留学、宗教・ボランティア活動などのために、「訪問ビザ」で認められる期間を超えてブラジルに居住する場合や、報酬を得る活動を行う場合には「居住許可」の取得が必要。
居住許可の有効期間は滞在目的に応じ最大2年間。さらに同期間の延長あるいは無期限の居住許可への切り替えが可能。企業の役員としてブラジルに居住する場合には無期限の居住許可が認められる。
居住許可の手続きは、申請者がすでにブラジル国内にいる場合と、申請者がブラジル国外にいる場合とで異なる。帯同家族は「家族同居」を目的とする居住許可を申請する(申請者本人の申請と同時に行うことができる)。帯同家族には申請者と同じ有効期間の居住許可が与えられ、ブラジル国内で労働する権利も与えられる。

  1. 申請者がブラジル国内にいる場合
    ビザ免除措置により入国した日本国籍者や他の訪問目的によるビザを取得してブラジルに入国している場合には、目的に応じた「居住許可」を申請する。居住許可が承認されると、申請者は30日以内にブラジル国内の連邦警察に出頭し、ブラジル国内での法的身分を証明するCRNM(国家移住登録証)を申請する。国家移住登録証の有効期間は居住許可の有効期間と同一になる。居住許可の有効期間が「無期限」の場合、国家移住登録証の有効期間は9年となる。国家移住登録証の有効期間中に60歳に達する場合、国家移住登録証の有効期間は「無期限」となる。正当な理由なしに継続して2年以上ブラジル国外に滞在した場合、居住許可は失効する。
  2. 申請者がブラジル国外にいる場合
    申請者は「事前居住許可」を申請する。事前居住許可が承認されると、申請者は在外ブラジル公館に出頭し、目的に応じた一時滞在ビザの申請を行う。一時滞在ビザでブラジルに入国してから90日以内に連邦警察に出頭しCRNM(国家移住登録証)を申請する。

一時滞在ビザの種類と概要

学術・研究

滞在目的が次のいずれかに該当し、滞在期間が90日以上となる場合、一時滞在ビザを取得する。滞在目的が次のa.~g.に該当する場合、ブラジル国内企業・団体との雇用契約を締結することはできない。滞在目的が次のh.に該当する場合、労働許可が必要となる。滞在期間が90日未満の場合には訪問ビザを取得する。

  1. 科学者および研究者として、パートナーシップ、技術拡大、サービス提供、研究プロジェクトおよび科学分野での国際ネットワーク、技術革新および技術拡張の目的で次のケースで参加する場合:
    1. 海外企業との協力協定、研究センターおよび海外企業の開発、研究、および外国教育センターとブラジルの[1]国内企業、[2]国内企業のインキュベーター、[3]科学技術機関(Instituição Científica, Tecnológica e de Inovação - ICT)、[4]技術イノベーションセンター(Núcleo de Inovação Tecnológica - NIT)、[5]支援財団、[6]テクノロジーパーク、[7]高度技術集積都市、[8]公立および私立の教育研究機関、との間で締結された協定またはそれに類似するものに基づき渡航する場合
  2. 出身国または出国地の機関に属したまま、ブラジルの大学と締結された協定またはそれに類似するものに基づき渡航する場合
  3. ブラジル教育文化省公認の高等教育の学術・研究奨学金受給者
  4. 高等教育および科学技術研究の支援財団による奨学金受給者がブラジル教育文化省公認の高等教育機関またはブラジル科学技術革新省公認のその他の国家科学技術機関へ参加する場合(1990年法令98830号 第14条)
  5. 国家科学技術開発審議会(CNPq)、高等教育課程人材育成組織(CAPES)、研究・プロジェクト公社(FINEP)、またはその他の公立研究支援機関による奨学金受給者
  6. 1990年法令第98830号に該当しない科学者、研究者および専門家
  7. 外務省公認の国際協力協定に基づいて派遣される科学者、研究者および専門家
  8. ブラジルで雇用契約のある研究、教育、学術振興活動を行う者
医療

滞在期間が90日以上となる治療等を受けることを目的としてブラジルを訪問する外国人患者および同伴者に対し発給される。就労および報酬を得る活動は認められない。また、ブラジル外務省の事前許可が必要。ビザおよび居住許可の有効期間はいずれも1年で、延長が可能。滞在期間が90日未満の場合、訪問ビザを取得する。

留学

ブラジルの教育機関への入学・留学、学生研修プログラムやロータリー活動等への参加を目的に、90日以上滞在する場合に発給される。滞在期間が90日未満の場合、訪問ビザを取得する。留学の場合、1週間に15時間以上の授業を受ける必要があり、スポーツ留学には適用されない。報酬を受け取る活動は、学業に支障のない範囲で認められる。

労働

滞在目的が次のいずれかに該当する場合に発給される(カッコ内のRNはブラジル国家移民審議会の規範決議番号)。なお、日本とブラジルとの間ではワーキング・ホリデーの協定は締結していない。

  1. ブラジル企業との雇用契約に基づき仕事をする場合(RN02)
  2. ブラジルの企業との契約や協定に基づき、技術支援(RN03)・技術移転(RN04)を行う場合
  3. 有効な国際船員手帳を所持せずに、ブラジルの海岸線を航行するクルーズ船の乗組員として91日以上仕事をする場合(RN05)
  4. ブラジル海域内で航行する外国船籍の乗務員またはプラットフォームで働く専門家の場合(RN06)
  5. ブラジルでの雇用契約なしにブラジル政府の仕事または技術補佐の仕事を行う場合(RN07)
  6. ブラジルでの雇用契約なしに国際協力協定に基づく仕事をする場合(RN08)
  7. 外国の金融機関の代表として、ブラジルでの雇用契約なしに仕事に従事する場合(RN09)
  8. ブラジルでの雇用契約なしに非営利法人の代表として仕事に従事する場合(RN10)
  9. ブラジル企業の経営者、支配人、理事、管理者として投資する場合(VITEM IX)(RN11)
  10. 雇用契約なしに、特例によりブラジルでの無期限の在住を要する職務に従事する場合(RN12)
  11. ブラジルの雇用や収入に結びつく可能性のあるプロジェクトを通じて、ブラジルの法人に外資による自己資金を投資する個人投資家の場合(RN13)
  12. 新聞、ラジオ、テレビ、外国の報道局の特派員の場合(RN17)
  13. ブラジルに本社のある経済取引グループ会社に所属する外国人が、ブラジルでの雇用関係なしに、同じ市民社会、商業社会、複合企業において運用・管理上の技術的機能を果たしている本社において、企業文化や運営方法の訓練および同化を目的とし、専門家たちによって果たされる職務と不可欠な経験を共有するためにブラジルで働く場合(RN18)
  14. 外国企業に所属する者が、ブラジルでの雇用契約なしに同じ経済グループに属するブラジルの子会社、支社、または本社で職業訓練を受ける場合(最高2年間で延長不可)(RN19)
  15. プロスポーツ選手が民間のスポーツチームとの契約に基づいてスポーツ活動を行う場合(RN21)
  16. ブラジルに拠点のある会社とのチャーター契約があり、ブラジルの海域で漁業を行う予定の(または行っている)外国漁船で、ブラジルでの雇用契約なしに90日を越えて働く乗組員の場合(RN22)
  17. 雇用契約に基づいて、研究、教育、学術振興活動を行う場合(RN24)
  18. ブラジルでの雇用契約に基づき(または雇用契約なしに)、職業研修または職業交流を行う場合(RN26)

従来の外国人規約では、ブラジルに設立した現地法人に役員を派遣するには「永住ビザ」の取得が必要だったが、新たな移民法では永住ビザの呼称はなくなった。また、永住ビザの取得には役員1人につき60万レアル相当額以上の投資が必要だったが、移民法では、役員用一時滞在ビザ発給のための事前居住許可を申請する際に、同額の投資証明書(ブラジル中央銀行に外国投資登録した証明書)が必要となった。会社設立あるいは当該役員のブラジル入国後2年以内に10人以上の新規の現地雇用を創出する場合、15万レアル相当額以上の投資により居住許可を申請できる。

技術支援・技術移転

現地企業と雇用契約を締結せずに契約や協定に基づき技術支援や技術移転を目的にブラジルを訪問する場合にも、労働目的の一時滞在ビザと事前居住許可を取得しなければいけない。有効期間を超えて滞在する場合、現地企業と雇用契約を締結しなければいけない。

  1. 技術支援・緊急技術支援
    技術支援を目的とする居住許可は、次の3種類に分けられる。総務業務、会計業務、経営上の技術支援には、一時滞在ビザは発給されない。
    1. 技術支援:通常手続き
      契約書あるいは協定に基づく場合に発給される。居住許可の有効期間は最大1年。
    2. 技術支援:簡略化された手続
      ブラジル企業の招聘状がある場合には簡略化された手続きにより5営業日以内に発給される。居住許可の有効期間は最大180日。
    3. 緊急技術支援
      緊急時に簡略化された手続きにより2営業日以内に発給される。居住許可の有効期間は最大180日。
  2. 技術移転
    技術移転を目的とする場合に発給される。居住許可の有効期間は最大1年。
宗教

宗教家や宗教団体のメンバー等が、宗教活動や布教を目的としてブラジルに滞在する場合に発給される。ブラジル側団体との雇用関係は認められない。滞在期間は最大1年で、延長が可能。

ボランティア

ブラジルのNPOあるいは外国政府と連帯している組織で、ボランティア活動をすることを目的に一時滞在ビザを取得するには、ブラジル外務省の事前許可が必要。ブラジルでの雇用契約の締結および報酬を得る活動は認められない。滞在期間は最大1年で、延長が可能。滞在期間が90日以下の場合、訪問ビザを取得する。

個人投資家

個人投資家が、ブラジル国外にある50万レアル相当額を超える資産をブラジル国内の法人に投資する場合、または、ブラジル国内で雇用あるいは所得を生み出す可能性のあるプロジェクトに投資する場合に発給される。15万~50万レアル相当額の投資でも、投資の目的が科学および技術の革新・基礎研究・応用研究分野への活動にあり、投資先企業が次の条件の少なくとも1つに該当する場合には、ビザの申請が可能。

  1. 政府機関から技術革新支援への投資、融資、援助を受けている。
  2. テクノロジーパークに所在している。
  3. インキュベートに関するサービス(事業の創出や創業を支援するサービス・ 活動に関する支援)を受けているか、あるいはその卒業企業である。
  4. 政府のスタートアップ支援プログラム対象企業である。
  5. ブラジルでのスタートアップ支援プログラムの恩恵を受けている。
    投資先企業が次の条件を満たす場合も、外国人の個人投資家は15万~50万レアル相当額の投資で、ビザ申請が可能。
    1. 市場に導入する、または企業のメイン活動となる製品、生産プロセスまたはサービスがオリジナリティを有する。
    2. 市場に導入する、または企業のメイン活動となる製品、生産プロセスまたはサービスが広く普及している。
    3. 市場に導入する、または企業のメイン活動となる製品、生産プロセス、またはサービスが重要な価値創出ポテンシャルおよびインパクトを有する。

有効期間は無期限。個人投資家に対する一時滞在ビザの発給には、ブラジル法務・公安省の事前許可が必要。

不動産投資

100万レアル以上を投資し建物および建設中の建物を購入する場合、有効期間が最高2年の居住許可が発給される。2年が経過し継続して投資した建物を所有する場合、有効期間が無期限の居住ビザに切り替えることができる。物件がブラジル北部および北東部に所在する場合、投資金額は70万レアル以上であればよい。建物は住居用、商業用のいずれでも構わないが、都市部に所在する建物を購入する場合に限られる。

顕著な経済、社会、科学、技術または文化活動

経済、社会、科学、技術または文化面で顕著な活動を行う場合に発給される。

家族呼び寄せ

ブラジル国籍者および居住許可を有する外国人(呼び寄せ人)が、配偶者およびブラジルの法秩序における内縁関係者(性別を問わない)、子供、ブラジル人の子供がいる者、居住許可を保持する子供がいる者、父母・祖父母、18歳未満の兄弟姉妹・孫、または年齢を問わず呼び寄せ人に経済的に扶養されていることを証明できる兄弟姉妹、ブラジル人の後見人・監護者・管財人(被呼び寄せ人)を呼び寄せる際に発給される。被呼び寄せ人としてビザもしくは居住許可を得た者は呼び寄せ人にはなれない。

芸術・スポーツ等の各種イベントへの参加

芸術・スポーツ等の各種イベントへの参加、アミューズメントショーの技術者またはアーティスト、アスリートのアシスタントとして活動する場合にも、一時滞在ビザの取得が必要。個人または法人との雇用関係のない、期間限定契約に限られる。14歳以上18歳未満の者が文化センターまたはスポーツ団体が提供するスポーツトレーニングへ参加する場合、滞在期間は最長1年。14歳以上の者が学校休業期間に限ってスポーツ交流に参加する場合、滞在期間は最長90日で延長不可。滞在期間が90日以下の場合、訪問ビザを申請する。

外交ビザ

公務でブラジルへ渡航する外交官およびその同伴家族に発給される。ビザの有効期間は最大3年。外交・領事・他の公務のためにブラジルに渡航する外交パスポート所持者の場合、滞在期間を問わずビザは免除される(外交パスポートを持つ家族についても免除)。外交・領事・他の公務以外の目的でブラジルに渡航する外交パスポート所持者の場合、滞在日数が90日を超えない場合にはビザは免除される。就職、永住、自由業、他の生業(報酬を得ることを目的とする芸能およびスポーツを含む)に従事することを目的とする場合は、ビザの取得が必要となる。

公用ビザ

ブラジルが承認している国家または国際機関の公務で渡航される者およびその同伴家族に発給される。ビザの有効期間は最大3年。外交・領事・他の公務のためにブラジルに渡航する公用パスポート所持者の場合、滞在期間を問わずビザは免除される(公用パスポートを持つ家族についても免除)。外交・領事・他の公務以外の目的でブラジルに渡航する公用パスポート所持者の場合、滞在日数が90日を超えない場合にはビザは免除される。就職、永住、自由業、他の生業(報酬を得ることを目的とする芸能およびスポーツを含む)に従事することを目的とする場合は、ビザの取得が必要となる。

非公式外交ビザ(儀礼ビザ)

外交官の家庭内就労者や、ブラジルへ非公式で訪れる政府高官およびその家族、外交ビザ・公用ビザ・非公式ビザ保持者の家族およびその家事就労者、外交使節団としてブラジルにおいて報酬を受けない、文化的意義の高い無償の芸術・スポーツイベントに参加する場合に発給される。ビザの有効期間は最大3年。

現地人の雇用義務

従業員の3分の2以上が、ブラジル人労働者でなければいけない。

従業員数ベースおよび支払給与額ベースで、全体の3分の2以上がブラジル人労働者でなければならない〔統一労働法第352条、第354条〕。役員、ブラジルに10年以上居住する外国人、ブラジル人の配偶者あるいは子を持つ外国人は、ブラジル人とみなして計算される〔同法第353条〕。また、外国人と同じ業務に就くブラジル人に対し、外国人より少額の賃金を支払うことは認められない〔同法第358条〕。

その他

年金の二重加入解消を目的に、2010年に日本ブラジル社会保障協定を締結。

日本とブラジルは2010年7月、「社会保障に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の協定」(日本ブラジル社会保障協定)を締結、2012年3月に発効した。同協定により、ブラジルで就労する日本人は、日本あるいはブラジルのいずれかで、年金制度に加入すればよいことになり、年金制度への二重加入の解消および年金保険料の掛捨て防止が可能となった。

  1. ブラジルでの就労期間が5年以下と見込まれる場合
    日本の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を受けることにより、ブラジルの社会保障制度への加入が免除される。「適用証明書」は、日本の事業主が日本年金機構に対し、原則ブラジルへの渡航前に申請する。就労者が現地企業の「役員」であるか否かを問わず適用される。
  2. 就労期間が5年を超えると見込まれる場合
    日本の事業主が厚生年金保険および健康保険の資格喪失届を年金事務所へ届け出て、ブラジルの社会保障制度のみに加入する。ブラジルの年金制度に加入した場合には、両国での年金制度への加入期間を通算し、年金受給要件の最低期間を超えれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国から受給できる。

なお、日本からブラジルへの派遣が2回目以降の場合は、直近の一時派遣によるブラジルでの就労期間が終了した時点から次の一時派遣による就労期間が開始する時点までの間少なくとも1年が経過していることが必要となる。また、日本からブラジルに一時派遣され、ブラジルの社会保障制度が免除される者については、両国の労災保険制度にカバーされない状態になるため、日本の労災保険制度の特別加入制度や民間労働災害保険等への加入が推奨される。