外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2023年07月20日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業がアルゼンチンに拠点を設置する際の会社形態には、株式会社、有限会社、支店などがある。

担当機関

司法総監察局(Inspección General de Justicia:IGJ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

会社法(1972年法律19550号)に基づき、外国企業も、国内企業と同様の会社設立手続きを行う。外国企業による新たな会社の設立、または既存の企業への出資のいずれの場合でも、自国で法的正当性をもって設立されている企業であることの事前証明が必要となる。また、商業公共登記所において、現地法人の定款などの登録が求められる。登録は、会社を設立する所在地の商業公共登記所で行う。ブエノスアイレス市の場合は、司法総監察局(Inspección General de Justicia:IGJ)で行う。

企業形態

主な企業形態は、株式会社、有限会社、支店、簡易型株式会社。

  1. 株式会社
    1. 複数株主株式会社(Sociedad Anónima:S.A.)
      複数株主株式会社の設立には、会社の株主が2人、役員(株主である必要はない)は1人以上が必要。役員の大半は国内に居住しなければならない。株主の国籍、所在国は問われない。外国企業が株主の場合、外国企業は事前に商業公共登記所での登録が必要。最低資本金は10万ペソ。定款は公証人の下で作成され、商業公共登記所に登録する必要がある。ブエノスアイレス市で株式会社を設立する場合は、司法総監察局(IGJ)への登録が必要。株式会社の監査は商業公共登記所が行うが、社内では株主総会で定められた評議員が担当する。資本金が5,000万ペソ以上の場合は、司法総監察局(IGJ)が監査を行う。
    2. 単一株主株式会社(Sociedad Anónima Unipersonal:SAU)
      2015年の会社法改正により、株主が1人の単一株主株式会社の設立が可能となった。単一株主株式会社は、個人事業主が有限責任を負うことができる法的手段を求める要望を背景に設けられた法人形態。外国の法人が単一株式会社の株主になることも可能。通常、約2カ月で登記が可能。至急の対応を求める場合は24時間で登録が可能とされるが、提出書類に不備があれば2~3週間は必要となる。
  2. 有限会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada:S.R.L.)
    株式会社より設立が容易で、会社の定款はより柔軟。共同経営者(出資者)は最低2人必要だが、50人を超えない範囲で置くことが可能。株式会社が共同経営者となるのは不可。共同経営者の変更の場合、設立契約書の改正などが必要となる。経営および代表は取締役(Gerente)(共同経営者である必要はない)が担当する。株式会社と同じように、商業公共登記所での登録が必要。
    最低資本金額は定められていないが、会社の目的に見合った額が必要である。ブエノスアイレス市の場合、有限会社の最低資本金額は、株式会社に求められる最低資本金額の30%相当を求めるとしている。なお、株式公開は認められない。
    通常、約2カ月で登記が可能。至急の対応を求める場合は24時間で登録が可能とされるが、提出書類に不備があれば、2~3週間は必要となる。
  3. 支店(Sucursal
    外国企業が支店を設立する場合、代表者を任命することで本社のすべての事業を行うことが可能。ただし、現地での事業責任が本社にも及ぶ。会計義務は、本社とは別に支店独自の財務諸表を定期的に作成する必要がある。代表者は保証保険を契約する必要がある。
  4. 簡易型株式会社(Sociedad por Acciones Simplificadas:S.A.S.)
    起業家資本支援法(2017年法律27349号)に規定。株式会社、有限会社と異なり、オンライン手続きにより24時間で会社を設立できる。起業家による会社設立を簡易化するのが目的で、業種の制限はない。法的代表者が納税者番号を有していることが条件。資本金は最低賃金2カ月分相当、株主は1人、外国人であることも可能。
    2019年12月の政権交代後、簡易型株式会社の制度見直しと廃止も検討されたが、2022年8月現在、SASの設立は可能。2020年3月16日付IGJ一般決議9/2020号は、制度を悪用した犯罪を防ぐ目的で、事業計画書や財務諸表の提出など新たな設立条件が追加された。2022年4月7日付IGJ決議4/2022号では、SASの設立の際または住所変更の際、登記される住所が実際に存在するか証明するべく、次のいずれかの書類を求める。公証人による住所の証明書、公共サービスの支払いの証明書、賃貸契約書、土地・不動産の所有権、自治体の認可書、または法定代理人名義の公共サービス支払い証明書、など。

外国企業の会社清算手続き・必要書類

企業の解散、清算については、会社法(法律19550号)101~366条に基づいた手続きが必要となる。

会社法(1972年法律19550号)101~366条に基づき、解散、清算に関しては、次の手続きを行う。以下は株式会社の手続きだが、基本的には、その他の会社形態についても同様である。

  1. 株主総会において、会社の解散および清算を決定する。
  2. 株主総会において清算人を任命する。清算人は、会社の取締役、株主または第三者の監査役が務めることができる。
  3. 清算人は、会社の解散と清算に向けて会計、債権債務の整理、事前調査(デュージェリデンス)を行う。
  4. 官報などで会社の解散および清算を告知する。
  5. 清算人は、4.までの手続きを終了後、会社の解散、清算に伴う決算および資産の分配計画を取締役(パートナー)に提出する。15日間で承認するか否かを決定しなければならない。承認後、司法総監察局(IGJ)に解散許可申請書および決算書を提出する。
  6. 司法総監察局(IGJ)が会社の解散の申請を承認した場合、会社の登記が無効となる。清算人は、5年間に渡って解散した会社に係るすべての書類を保管する義務がある。
  7. 申請が承認された後、清算人は債権・債務の整理、株主間での資産の分配などを行う。
  8. 解散、清算の手続き中は、会社は法人格を保つため、清算人は、会社の代表として取締役などと同様の義務を果たす。

その他

特になし。