外資に関する規制
最終更新日:2023年12月21日
規制業種・禁止業種
2021年1月1日より施行された投資法61/2020/QH14は、投資禁止および経営禁止分野と条件付き経営投資分野について明記している。
関連法
- 1996年:ベトナム外国投資法(52-L/CTN)
- 1998年:内国投資奨励法(03/1998/QH10)
- 2000年:ベトナム外国投資法(52-L/CTN)の一部条項の補足、改正法(18/2000/QH10)
- 2005年:1996年のベトナム外国投資法(52-L/CTN)、2000年の外国投資法(52-L/CTN)の一部条項の補足、改正法、1998年の投資奨励法に代わる投資法(59/2005/QH11)(2006年7月1日より施行)
- 2014年:ベトナムにおける投資活動およびベトナム国外における海外投資活動に関する投資法(67/2014/QH13)(2015年7月1日より施行)。以降、投資家の国籍に関わらず、ベトナムにおいて投資・経営活動を行う場合、当法律に従うこととなった。
- 2016年:条件付経営投資分野について定めた投資法第6条および付録4の改正および補足に関する改正法(03/2016/QH14)
- 2020年:投資法(61/2020/QH14)(2021年1月1日施行。投資法61/2020/QH14の施行に伴い、第75条を除く投資法(67/2014/QH13)およびその改正法令は失効)
- 2022年:公共投資法、PPP法、投資法、住宅法、入札法、電気法、企業法、特別消費税法および民事判決実施法を改正する法律03/2022/QH15
経営投資禁止業種、条件付事業分野
- 経営投資禁止分野
- 投資法61/2020/QH14別表1に記載される各麻薬物質に関する事業
- 投資法61/2020/QH14別表2に記載される各種化学物質、鉱物に関する事業
- 投資法61/2020/QH14に定める、絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の付録1に記載される自然に由来する各種野生植物、動物の標本に関する事業、および投資法61/2020/QH14の付録3に記載されるグループⅠにおける、自然に由来する絶滅のおそれのある、貴重で、希少な野生動植物、水産物の標本に関する事業
- 売春事業
- 人身売買、生体の組織・死体・身体の一部・胎児の売買
- 人の無性生殖に関連する事業活動
- 爆竹販売に関する事業
- 債権回収事業
旧投資法67/2014/QH13と比較すると、新たな投資法61/2020/QH14では、a.~g.の7つの分野に加えて新たに債権回収事業が経営投資禁止分野として追加された。
- 条件付経営投資分野
条件付経営投資分野は、当該分野の経営投資活動を実施するにあたり、国防、国家の治安、社会の秩序、安全、社会道徳、市民の健康の保持を理由とする条件を満たさなければならない。詳細は別添のとおり。
ジェトロ:条件付き経営投資分野、業種の目録/投資優遇分野、業種の一覧(382KB)
投資法61/2020/QH14の一部条項のガイダンスである政令31/2021/ND-CP(2021年3月26日発行、同日より有効)によると、書面によるライセンス、条件充足の承認書、行為許可書、事業責任保険承認書、各書類の承認書を取得し条件を満たした後に実施ができる分野と規定されているが、書面による前記の承認書を取得する必要がなく、条件を満たすことにより条件付経営投資事業を実施できる分野もある。なお、投資法61/2020/QH14では、ライセンス、証明書、行為許可書、確認・承認文書を取得した後に実施できる分野を明確に定める。
条件付経営投資分野リストについて、投資法61/2020/QH14の付録4では、投資法67/2014/QH13およびその改正規定などによって定められた244分野から229分野に削減された。それにより、フランチャイズ事業や物流事業などが削除された(削除となる分野においては、投資法上の手続きの一部が軽減される)。
また、投資法61/2020/QH14は、新たに外国投資家に対する市場アクセスの分野、業種および条件に関する規定を設け、外国投資家は原則として内国投資家と同じ市場アクセス条件の適用を受けるが、法律、国会決議、国会常務委員会令、国会常務委員会決議、政府の政令およびベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約に基づいて、外国投資家に対する市場アクセス制限分野、業種を定めた場合には、政府がその目録を公表するものとし、これを受けて、政令31/2021/ND-CPには、「外国投資家が市場アクセスできない分野」および「外国投資家に対する条件付き市場アクセス分野」のリストが掲載されている。詳細は別添のとおり。
ジェトロ:外国投資家に対する市場アクセス制限分野、業種(666KB)
WTO加盟に伴うサービス分野の開放
2007年1月に、ベトナムは正式に世界貿易機構(WTO)に加盟した。これにより、ベトナムではそれまで規制分野であったサービス分野の多くが開放されることとなった。しかし依然として合弁形態でしか設立が認められず、外資制限している業種もある。また、開放されている業種においても確実に承認される訳ではなく、WTOサービス分野公約の第II節1項F(a)にて開放の例外とされているタバコ広告を除いた広告業など、開放後の事業分野でもライセンスが認可されにくい業種も存在する。
外資系企業による輸入・卸売販売・小売販売
ベトナムは、卸売販売サービス(CPC622)・小売販売サービス(CPC632)の市場開放を外資企業に確約したが、次の留意点がある。
ベトナムにおける外資系企業の商品売買活動などに関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CPが2018年1月15日公布、同日施行された。本政令で、小売業、油などの輸入・卸売り、一定のサービスについて営業許可証を取得する必要があることが明記された。
一方、石油および歴青油以外の卸売業については営業許可証の取得は不要であることが明確になり、HSコード記入の必要もなくなり、投資登録証明書(IRC)の申請にあたり、輸出権、輸入権、小売権、卸売権を記入して申請すればよいこととなった。
- 営業許可証の発行方法(政令09/2018/ND-CP第5条第1項a、b、cおよび第8条第3項a、b)
- コメ、砂糖、録画製品、図書、新聞、雑誌以外の商品の小売販売を行う場合、管轄市・省の商工局は単独で営業許可証を発行することができる。
- 石油および歴青油の輸入・卸売販売を行う場合、管轄省・市の商工局は営業許可証の発行前に、商工省からの承認を得る必要がある。
- コメ、砂糖、録画製品、図書、新聞、雑誌の小売販売を行う場合、管轄市・省の商工局は営業許可証の発行前に、商工省ならびに管轄当局からの承認を得る必要がある。
(※)留意点:a.~c.の場合以外、物流サービス、商品リース、貿易促進、貿易仲介、電子商取引、商品やサービスの入札の場合も、営業許可証が必要になる。
- 営業許可証の取得条件(第9条)
- 外国投資家が、ベトナムが加盟する国際条約の加盟国・地域に属する場合
- ベトナムが加盟する国際条約における市場進出条件を満たす。
- 営業許可証の取得要件を満たす財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上が経過し、繰延税金負債を有しない。
- 外国投資家が、ベトナムが加盟する国際条約の加盟国・地域に属さない場合
- 営業許可証の取得要件を満たす財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上が経過し、繰延税金負債を有しない。
- 専門の法律規定を遵守している。
- 同一業種におけるベトナム企業との健全な市場競争が可能である。
- ベトナム人労働者の雇用機会を創出する。
- 国家予算へ貢献する。
- 外国投資家が、石油および歴青油、コメ、砂糖、録画製品、図書、新聞、雑誌を取り扱う場合
- 運営活動を実行するための財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上が経過し、繰延税金負債を有しない。
- 専門の法律規定を遵守している。
- 同一業種におけるベトナム企業との健全な市場競争が可能である。
- ベトナム人労働者の雇用機会を創出する。
- 国家予算へ貢献する。
- a.~c.の条件に加え、次の留意点がある。
- 石油および歴青油を取り扱う場合
次の外資企業に対し、輸入・小売販売許可を検討する。- ベトナムで石油および歴青油を製造する外資企業
- ベトナムで石油および歴青油を使用する機械設備、製品の製造、販売を行う外資企業
- コメ、砂糖、録画製品、図書、新聞、雑誌を取り扱う場合
スーパー、コンビニエンスストアなどの小売店舗を有する外資企業に対し、小売販売許可を検討する。
- 石油および歴青油を取り扱う場合
- 外国投資家が、ベトナムが加盟する国際条約の加盟国・地域に属する場合
- ベトナムにおける商品売買活動および商品売買に直接関連する活動を実施する外国投資家の指針
2013年12月24日、商工省は、ベトナムにおける外資企業の販売活動および商品販売に直接関連する活動に関する通達34/2013/TT-BCTを公布した。
本通達は、外資企業が輸入・輸出・販売できない商品を、ネガティブリスト方式で規定している。具体的には、外資企業は、石油および歴青油・軽質油(HSコード2710.12、2710.19)などの輸入は許可されず、稲・コメ・甘蔗糖・甜菜糖・原油および加工油・すべての録画製品・図書・新聞・雑誌などの販売が禁止されている。
本通達のネガティブリストに該当しない商品については、政令09/2018/ND-CP(2018年1月15日施行)により、小売業を行う場合、事業ライセンスの発給を受けなければならない。また、石油および潤滑油については、同政令による事業ライセンスを取得すれば、輸入業・卸売業を行うことができる。
外資企業の小売店舗設立
政令09/2018/ND-CP(2018年1月15日施行)第22条および第23条に基づき、小売店舗の設立許可証が外資企業に発行される。小売店舗の設立許可証の発行条件は次のとおりである。
- 1店舗目の設立
- 小売店舗の運営に関する財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上経過している場合は、繰延税金負債を有しない。
- 小売店舗の設立住所が、市場区域の計画立案に適合している。
- 2店舗目以降の設立
-
Economic Needs Test:ENT(経済的需要審査)の実施が免除される場合
500平方メートル未満の面積で、かつ、商業施設で設立され、また、コンビニエンスストアもしくは小型スーパーマーケットに該当しない場合は、ENTの実施が免除されるが、次の要件を満たす必要がある。- 小売店舗設立のための財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上経過している場合は、繰延税金負債を有しない。
- 小売店舗設立場所が市場区域の計画立案に適合している。
- ENTの実施が義務付けられる場合
- 小売店舗設立のための財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上経過している場合は、繰延税金負債を有しない。
- 小売店舗設立場所が市場区域の計画立案に適合している。
- 政令09/2018/ND-CP第23条第2項に定めるENTの審査基準を充たす。
また、ENTに関しては、日本とベトナムが締結国である環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)によって例外が設けられている。具体的には、CPTPPの附属書Ⅰ投資・サービスに関する留保(現在留保)において、ENTの適用はCPTPPの発効日である2019年1月14日から5年後に廃止されると規定されている。国際条約法108/2016/QH13第6条第1項では、条約と国内法との間で相違点がある場合、条約を優先すると規定している。
2023年12月21日現在では、ベトナム政府が今後CPTPPに基づく国内法令を制定するか否か、また、国内法令を制定しないままCPTPPのベトナム国内における効力に基づいてENT規定を廃止扱いとするのかなどについて、ベトナム政府の対応が公式に発表されていないため、今後の動きを注視する必要がある。 -
Economic Needs Test:ENT(経済的需要審査)の実施が免除される場合
- 政令09/2018/ND-CP(2018年01月15日施行)後、通達34/2013/TT-BCTのみが依然として有効であるが、政令23/2007/ND-CPおよび通達08/2013/TT-BCTは無効になった。
外資系企業による投資分野の規制に関する現行法令
詳細は、別添のとおり。
ジェトロ:各事業分野での規制(731KB)
- 会計法88/2015/QH13
- 独立監査法67/2011/QH12
- 税金管理法38/2019/QH14
- 都市区画法30/2009/QH12(地方政権組織法77/2015/QH13、計画に関する37の法律の一部条項を改正する法律35/2018/QH14、建築法40/2019/QH14および投資法61/2020/QH14により一部改正)
- 広告法16/2012/QH13(計画に関する37の法律の一部条項を改正する法律35/2018/QH14により一部改正)
- 金融機関法47/2010/QH12
- 金融機関法47/2010/QH12の一部条項を補足する2018年1月15日付改正法17/2017/QH14
- 商業銀行、外国銀行支店、外国金融機関の駐在員事務所、その他のベトナム国内において銀行業務を行う外国組織のライセンス発行および機構、運営について規定する2011年12月15日付通達40/2011/TT-NHNN
- 商業銀行、外国銀行支店、外国金融機関の駐在員事務所、その他のベトナム国内において銀行業務を行う外国組織のライセンス発行および機構、運営について規定する2011年12月15日付国家銀行発行通達40/2011/TT-NHNNの一部条項を改正する通達17/2017/TT-NHNN、通達28/2018/TT-NHNN、通達25/2019/TT-NHNN、通達28/2021/TT-NHNNおよび通達13/2023/TT-NHNN
- 商事仲裁法54/2010/QH12
- 商事仲裁法54/2010/QH12のガイドラインを定める政令63/2011/ND-CP(政令124/2018/ND-CPにより一部改正)
- 通信法41/2009/QH12(競争法23/2018/QH14および計画法21/2017/QH14により改正)
- 郵便法49/2010/QH12
- 映画法05/2022/QH15
- 不動産事業法66/2014/QH13(投資法61/2020/QH14により一部改正)
- 弁護士に関する法65/2006/QH11(法65/2006/QH11の一部条項の補足、改正法20/2012/QH13、刑事訴訟法101/2015/QH13、法101/2015/QH13の一部条項の補足、改正法02/2021/QH15により一部改正)
- ベトナム民間航空法66/2006/QH11(2006年の民間航空法の一部条項の補足、改正法61/2014/QH13、土地法45/2013/QH13および価格法16/2023/QH15により一部改正)
- 情報技術法67/2006/QH11(計画法21/2017/QH14および電子取引法20/2023/QH15により一部改正)
- 基準および技術認証法68/2006/QH11(計画に関する37の法律の一部条項を改正する法律35/2018/QH14により一部改正)
- 改正証券法54/2019/QH14、そのガイドラインを定める政令155/2020/ND-CP
- ベトナムの株式市場における外国投資活動について、組織と個人の義務について政令155/2020/ND-CPをガイドラインする通達51/2021/TT-BTC
- 建設法50/2014/QH13(計画に関する37の法律の一部条項を改正する法律35/2018/QH14、および建築法40/2019/QH14、建設法50/2014/QH13の一部条項の補足、改正法62/2020/QH14により一部改正)
- 環境保護法72/2020/QH14(価格法16/2023/QH15、民間防衛法18/2023/QH15および監察法11/2022/QH15により一部改正)
- 保険事業法08/2022/QH15
- 診断治療法40/2009/QH12(計画法21/2017/QH14により改正)(2023年1月9日に公布された診断治療法15/2023/QH15は2024年1月1日から施行。診断治療法40/2009/QH12はそれによって失効)
- 2017年観光法09/2017/QH14
- 金取引活動管理に関する政令24/2012/ND-CP
- 自動車輸送事業および運営条件に関する政令10/2020/ND-CP(自動車輸送事業および運営条件に関する政令10/2020/ND-CPの一部条項を改正する47/2022/ND-CPにより改正)
- 住宅法の一部条項の細則を定め、施行をガイドする政令99/2015/ND-CP(政令71/2010/ND-CPの代替)(住宅法のガイドラインに関する2015年10月20日付政令99/2015/ND-CPを改正および補足する政令30/2019/ND-CP、政令30/2021/ND-CP、政令104/2022/ND-CPおよび政令35/2023/ND-CPにより改正)
- 建設投資案件の管理に関する政令15/2021/ND-CP(政令35/2023/ND-CPにより改正)
- 環境保護法のガイドラインに関する政令08/2022/ND-CP(政令02/2023/ND-CPにより一部改正)
- 2018年1月1日付政府発行の2017年観光法を補足する政令168/2017/ ND-CP(政令94/2021/ND-CP、政令142/2018/ND-CPにより一部改正)
- 電子商取引に関する政府発行の政令52/2013/ND-CP(電子商取引に関する政令52/2013/ND-CPの一部条項を改正する政令85/2021/ND-CP、政令08/2018/ND-CPにより一部改正)
- 海運事業サービスについての政令160/2016/ND-CP(海洋分野の規定に関する複数の政令の一部条項を改正および補足する政令147/2018/ND-CPにより改正)
- 内陸水路輸送事業条件を定める政令110/2014/ND-CP(政令128/2018/ND-CPにより改正)
- 条件付分野のいくつかの分野において、公安・秩序の条件を定める政府の2016年7月1日付政令96/2016/ND-CP(投資法の一部条項のガイダンスである政令31/2021/ND-CPおよび政令56/2023/ND-CPにより一部改正)
- 職業教育法のガイドラインである政令15/2019/ND-CP(職業教育分野における投資および運営条件に関する政令を改正する政令24/2022/ND-CPにより一部改正)
- 2017年外国貿易管理法05/2017/QH14
- 2017年中小企業支援法04/2017/QH14(投資法61/2020/QH14およびPPP法64/2020/QH14により一部改正)
- 酒の事業についての政令105/2017/ND-CP(政令17/2020/ND-CPにより一部改正)
- 肥料事業管理についての政令84/2019/ND-CP(政令130/2022/ND-CPにより一部改正)
- 科学物質法の施行についての政令113/2017/ND-CP(科学物質法の施行についての政令113/2017/ND-CPを改正する政令82/2022/ND-CP、政令17/2020/ND-CPにより一部改正)
- 物流サービスに関する2018年2月20日付政府発行の政令163/2017/ND-CP
- 外国投資家、外資企業の商品売買活動および商品売買に直接関連する活動に関する商法および外国貿易管理法の詳細に関する2018年1月15日付政府発行の政令09/2018/ND-CP
- 薬事法の一部条件および適用方法に関する2017年7月1日付政府発行の政令54/2017/ND-CP(保健省所轄の経営に関する一部条項を改正する政令155/2018/ND-CPにより改正)
- 国家プロジェクトの運営条件に関する商工省の政令の一部を改正する政府発行の政令08/2018/ND-CP(武器、爆発物、戦闘装備品の管理および使用に関する法律の細則を定める政令71/2018/ND-CPおよび政令17/2020/ND-CPにより改正)
- 2018年5月15日付政府発行の外国貿易管理法の各条一部の詳細を定める政令69/2018/ND-CP
- 2018年11月7日付政府発行の事業および投資条件に関する各政令の改正および補足を定める政令151/2018/ ND-CP(証券法一部条項の実行ガイドラインを規定する政令155/2020/ND-CP、外国人向けボーナスゲーム事業に関する政令121/2021/ND-CP、保険事業法のガイドラインに関する政令46/2023/ND-CPにより一部改正)
出資比率
投資法61/2020/QH14の一部条項のガイダンスである政令31/2021/ND-CPの付属文書1では、法律・国会決議・政府政令によって規定された、外国投資家の参入が禁止される事業分野、および条件付きで参入が認められる事業分野のリストが公表されている。
外国投資家の参入が禁止される事業分野(25事業分野)とは、法律・国会決議・政府政令により、外国投資家による投資が認められていない分野をいう。
条件付きで参入が認められる事業分野(59事業分野)とは、法律・国会決議・政府政令により、外国投資家による投資について所定の条件の充足が要求されている分野をいう。主な分野は以下のとおり。
物流分野(コンテナ荷役サービス(空港で提供されるサービスを除く))、複合一貫輸送の全補助サービスとして分類される倉庫サービス、配送サービス、通関仲介サービス、貨物の保管、回収、集積、分類の管理および納品を含む卸売、ならびに小売補助サービス、コンテナステーション・サービス、商品運送代理サービス、航空機の修理と整備、船荷証券チェック、商品運送仲介、検品、商品サンプリングおよび重量測定、荷受け、交通機関のバウチャー準備などのサービスを除く)や通信分野、娯楽サービス、鉄道サービス、運搬サービス(海上運輸サービス、国内水路運輸サービス、鉄道運輸サービス、道路運輸サービスを含む)、ゲーム事業サービス、契約によるベトナム人労働者海外派遣など。
詳細は別添のとおり。
ジェトロ:法定資本が必要となる投資分野、外資系企業に対する出資比率の制限(265KB)
外国企業の土地所有の可否
外資系企業、あるいは事業協力契約の外国当事者は、投資案件の実施に際して、土地を所有することは認められず、ベトナム政府から土地使用権を取得する形になる。
土地使用権
ベトナムでは、土地は全人民の所有に属するとともに、政府の管理下に置かれている。政府が土地を使用する者に土地使用権を付与する。
外国の組織は、外交の機能を営むもの(領事機関、国連に属する組織の代表組織など)を除き、土地使用権の付与の対象にはならない。外国の組織が土地使用権者から転借することは可能である。
他方、外資系企業(100%外資企業、合弁企業など)は、次の場合には土地使用権を取得することが可能である。
- 外資系企業が、現物出資として土地使用権を受け入れる場合
- 外資系企業が、販売および賃貸の目的で居住用家屋を建設する投資プロジェクトを実施するため、政府から土地の割当を受ける場合
- 外資系企業が土地使用権を保有するその他の会社を取得することにより、土地使用権を取得する場合
- 土地使用権を保有するベトナム現地企業が、外国の投資家の出資を受けることにより外資系企業となる場合
- 外資系企業が国家から土地を賃借する場合
- 外資系企業が、べトナム政府より年払いで賃借している土地に付属している資産を、その資産の所有者から取得する場合(べトナム政府は売主から土地を引き上げ、買主に残存期間賃貸する)
土地使用権および土地に付属する資産の証明書に関する法令
天然資源環境省は、2014年5月19日付で通達17/2009/TT-BTNMTに代わり通達23/2014/TT-BTNMT(通達02/2015/TT-BTNMT、通達33/2017/TT-BTNMT、通達09/2021/TT-BTNMT、通達02/2023/TT-BTNMTおよび通達14/2023/TT-BTNMTにより一部改正)を発行し、土地使用権および土地に付属する資産の証明書(レッドブック)に関するガイドラインを公表した。
通達23/2014/TT-BTNMTはレッドブックに記載される内容について詳細に規定している。具体的には、土地使用権および土地に付属する資産を譲渡、贈与、賃貸、または資本拠出する場合、土地使用権者は地域の天然資源環境局に登録を行う必要がある。
申請書類については、通達24/2014/TT-BTNMT(通達02/2015/TT-BTNMT、通達33/2017/TT-BTNMT、通達09/2021/TT-BTNMT、通達02/2023/TT-BTNMTおよび通達14/2023/TT-BTNMTにより改正)に定められており、原則、次のとおり。
- 申請書式
- 譲渡、賃貸、資本拠出の契約書
- 土地使用権および土地に付属する資産の証明書の原本
- 管轄当局の承認(例えば、現物出資による土地所有権の受入れの場合、変更された企業登録証明書)
土地使用権保有者は、申請書類を土地使用権証書登録局とその他管轄当局に提出する。また、海外在住ベトナム人やベトナム滞在外国人の土地使用権と関連する家屋の所有に関する情報は、天然資源環境省の公式ウェブサイト上で公表される。
資本金に関する規制
一部の条件付経営投資分野に関しては、法定資本金が定められている(銀行業、保険業、海外向け労働者派遣、監査事業、証券仲介サービス事業、航空サービス、映画制作など)。
法定資本比率
かつてのベトナムにおける外国投資法では、「合弁会社の法定資本金には外国投資家の出資比率については制限がなく、各出資者の合意に従うものとする。ただし、合弁会社の法定資本比率は30%以上に設定しなければならない(1996年ベトナム外国投資法(52-L/CTN)第8条)。特別な場合には、総投資額の法定資本比率は30%を下回ることもできるが、投資および協力についての国営委員会の承認による1991年政令(28/1991/HDBT)第30条)」とされていた。
2005年投資法において、そのような法定資本比率の規制は廃止されており、2014年投資法および投資法61/2020/QH14においても、同様である。ただし、条件付経営投資分野に該当する業種の中には、法定資本が定められている業種(銀行業、保険業、海外向け労働者派遣、不動産、監査事業、証券仲介サービス事業、航空サービス、映画制作など)も存在する。なお、投資法61/2020/QH14では、不動産業の法定資本規制(200億ドンつまり約1億円以上の資本金がなければならないこと)については廃止された。
その他規制
ベトナム証券市場における外国投資家保有率の拡大、各事業分野での規制など。
ベトナム証券市場における外国投資家の株式保有率の拡大
2019年証券法、証券法一部条項の実行ガイドラインを規定する政令155/2020/ND-CPが2021年1月1日より施行された。
従前は、公開企業における外国投資家の株式保有比率の規定に関する決定55/2009/QD-TTg第2条の規定に従い、外国投資家は公開株式会社の総株式を最大49%保有できるとされていたが、2021年1月1日から有効となった政令155/2020/ND-CPによると、ベトナムの公開企業における外資比率は次のとおり規定される。
- ベトナムが加盟する国際条約で、公開企業が稼働している業種に対して外資比率が規定されている場合はそれに従う。
- 関連法において、外資比率の制限がある業種におけるベトナム公開企業の場合、外資比率はその法令に従うものとする。
- 外国投資家に対して市場アクセスの制限がある業種リストにおいて稼働している公開企業の場合、そのリストにおいて定められた上限に従う。当該リストにおける業種には外資出資比率の条件に関する具体的な定めがなければ、外資比率は最大50%とする。
- 公開企業が複数の事業を行い、それらの事業それぞれに対して法律で外資比率が規定されている場合、外資比率の上限は、それらの事業に認められた外資比率のうち最も低い事業に従うものとする。
- 1~3に該当しない公開企業の外資比率には、制限を設けない。
- 公開企業が1~5の外資比率の最大より低い比率を最大比率として定めた場合、企業が定めたその最大比率は株主総会で可決され、会社の定款で明確に定められなければならない。
各事業分野での規制
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