投資法施行規則を修正、日系製造業の投資ライセンス更新に支障あった条項を変更
(ベトナム、日本)
ハノイ発
2025年10月03日
ベトナム政府は9月3日付で、投資法(61/2020/QH14)の施行規則を修正・補足する政令239号(239/2025/ND-CP)を公布し、即日発効した。日系製造業の投資登録証明書(IRC:Investment Registration Certificate)の更新に当たって障害となっていた機械設備に関する基準を削除するなど、変更点があった(2024年11月12日記事参照)。
改正前の政令(31/2021/ND-CP)では、「HSコード84類と85類に属する製品(一般機械・電気機器およびそれらの部品が該当)を生産する投資プロジェクトで、10年以上経過した機械設備を使用する場合、プロジェクト期間の調整・延長は原則不可」と規定していた。今回の政令239号では、設備の使用年数に関する記述を削除し、代わりに「機械設備の容量・能力が設計上の容量・能力の85%未満であること、または原材料・資材・エネルギーの消費が設計消費量の115%超となる場合」という基準を追加した。
また、修正前は、上記の機械設備の基準を満たさない場合を含め、環境汚染や資源乱用につながる恐れのある時代遅れの技術を使用する投資プロジェクトは、「プロジェクト期間の調整、延長ができない」と規定していたが、政令239号で「調整」の文言を削除した。
政令239号ではこのほか、投資関連手続きの電子化や承認手続きの簡素化、半導体の設計・製造や人工知能(AI)データセンターなど戦略的ハイテク分野に対する優遇措置の強化なども規定した。
生産設備の経年使用基準を巡る問題は、日本の官民がファム・ミン・チン首相に関係政令の見直しを直接求めたことが回の条項修正につながった(2025年3月13日記事参照)。
しかし、地方行政の再編(2025年7月1日記事参照)に伴う行政手続きの遅延が報告されるなど、ベトナムの行政や法制度には依然として課題が残る。IRCの更新を控える企業は最新の法令動向を注視しつつ、個別プロジェクトごとに早い段階から行政当局との協議や調整を進めていく必要がありそうだ。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、日本)
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