税制
最終更新日:2024年02月21日
- 最近の制度変更
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2021年6月22日
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2019年1月30日
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2018年12月14日
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2018年7月24日
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2018年4月17日
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法人税
所得税法(Income Tax Ordinance, 2001)における法人に関する制度としては、法人所得税(Corporate Income Tax)、源泉徴収税(Withholding Tax)、売上高税(Turnover Tax)、内部留保税(Tax on Undistributed Reserves)、一時避難民救済のためのスーパー・タックス(Super Tax)がある。
法人所得税(Corporate Income Tax)
会計年度 | 企業 | 小企業 | 銀行 |
---|---|---|---|
2019/20 | 29% | 23% | 35% |
2020/21 | 29% | 22% | 35% |
2021/22 | 29% | 21% | 35% |
2022/23以降 | 29% | 20% | 39% |
課税所得の算定においては、経費を差し引くことや、損失の繰越、タックス・クレジット(税額控除)の使用が可能である。
中小企業向け
財政法(2001年)第2節(59A)、第100E条、第14表。
ここにおける「中小企業」の定義は、「商品の生産および製造に従事する者で、物を加工して別の物として使用することができるすべての工程を含む者で、事業売上高が2億5,000万ルピーを超えないこと」。
中小企業の輸出収益は、年間事業高が1億ルピーを超えない場合は総売上高の0.25%。年間事業高が1億ルピーを超え2億5,000万ルピー以下の場合は総売上高の0.5%が、最終税方式(Final Tax Regime)の対象となる。
源泉徴収税(Withholding Tax)※前払い所得税
法人所得税は、普通、通常税方式(NTR)によって納付されるが、特定の支払い・受け取りを行った場合には、最終税方式(FTR)が適用されて前払い所得税が徴収されることがある。この場合、経費の差し引き、損失の繰越、タックス・クレジットの使用は認められない。FTRで課税された源泉所得には、他の税は課税されない。
この税が適用されるのは、輸出(1%)、パキスタンソフトウエア輸出委員会に登録された者によるコンピュータソフトウエア、ITサービス、IT対応サービスの輸出代金(0.25%)、配当受取(7.5~25%)、利子受取(15~20%)などである。
売上高税(Turnover Tax) ※最低税(Minimum Tax)
売上高が1億ルピー以上の国内企業に適用される。売上総利益の黒字・赤字にかかわらず、当該年度における売上高の1.25%相当と法人所得税を比較し、より大きい金額の方を支払う制度。売上高税を払った場合、法人所得税より多く支払った過払い額については、5年間繰り越せる。しかし、純損失(赤字)により法人所得税が該当しない場合、繰り越せない。立ち上げ間もない企業への負担が大きい制度。特定のセクター(石油マーケティング、養鶏業、肥料、医薬品およびFMCG製品の販売業者、二輪車のディーラーなど)の場合、以上の税率より低い最低税率が適用される。
スーパー・タックス(Super Tax)
貧困軽減のため、該当する法人や個人が、課税所得に対して次の税率のとおり納税義務を負う。
会計年度 | 銀行 | 3億ルピー以上の所得がある法人・個人 |
---|---|---|
2019/20 | 4% | 0% |
2020/21 | 4% | 0% |
2021/22 | 10% | 4% |
2022/23 | 10% | 4%(所得5億ルピー超の場合、10%) |
2022年外国投資法(促進および保護)(XXXV of 2022)に基づく免除
2023年財政法により、2001年所得税法に第44A条が追加され、適格投資に関する所得税(キャピタルゲインを含む)、前払い税、源泉徴収税、最低税および最終税が、同法に規定された税率および方法で免税または課税対象となる。
二国間租税条約
二国間投資条約および二重課税防止条約がある。
日本‐パキスタン租税条約
2008年11月に改正された日本‐パキスタン租税条約では、主に次の点が変更された。
- 事業利得に対する課税方式が、総合主義から帰属主義に変更された。
- 配当に対する源泉地国における限度税率は、配当受け取り側の法人が、配当を支払う法人の議決権のある株式の50%以上を保有している場合は5%、25%以上を保有している場合は7.5%、その他の場合は10%となった。
- 利子に対する源泉地国の限度税率は、それまでの30%が10%になった。
- ロイヤルティーに対する源泉地国の限度税率は10%。
- 技術上の役務の料金についての範囲が明確にされるとともに、限度税率が10%となった。
- そのほか、譲渡収益に関する条項が導入されるとともに、みなし外国税額控除は廃止された。
参考:日本・外務省「日・パキスタン租税条約の発効について」
二重課税防止条約
- 締結国(66カ国)
日本、韓国、中国、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、モーリシャス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギス、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、イラン、オマーン、カタール、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、ヨルダン、レバノン、シリア、イエメン、トルコ、エジプト、リビア、チュニジア、モロッコ、南アフリカ共和国、ナイジェリア、英国、アイルランド、イタリア、フランス、ドイツ、ポーランド、スイス、オーストリア、オランダ、スペイン、ポルトガル、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ルーマニア、セルビア、ベラルーシ、ウクライナ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マルタ、ハンガリー、米国、カナダ、ブルネイ、チェコ、香港、ブルガリア
- 条約内容
締結国の国内居住者に対して、もう一方の締結国内で発生した所得が支払われる際の二重課税を防ぐことを目的としている。非パキスタン居住者のパキスタン国内源泉所得への課税について、パキスタン国内の税法よりも租税条約上のルールが優先される。
二国間投資条約
- 締結国(32カ国)
日本、韓国、中国、オーストラリア、シンガポール、ラオス、スリランカ、モーリシャス、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、アラブ首長国連邦、オマーン、イラン、シリア、レバノン、クウェート、トルコ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、スペイン、ポルトガル、スイス、スウェーデン、デンマーク、ルーマニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ベルギー・ルクセンブルク経済同盟、バーレーン
- 条約内容
- 契約当事者は、各自の投資分野において、他の契約当事者による投資を奨励すること。
- 国内投資家と第三国の外国投資家は、お互いに差別的な待遇をしないこと。
- 戦争、その他の武力紛争、国家非常事態宣言、徴用手段等に起因する損失に対する代償を行うにあたっては、平等/非差別的に対処すること。
- 投資やその他の独占的ではない個々の事業がもたらす利潤、配当金、利息、譲渡、もしくは清算による収益、ローンの返済金、給与、労賃に関しては、自由な送金が可能。
- 個々の協定の解釈に関する国家間の争議を解決するため、争議解決機構を設置する。
- 投資受け入れ国と外国投資家との間の争議を解決するための手順。
その他税制
個人所得税(Individual Income Tax)、売上税(Sales Tax)、連邦物品税(Federal Excise Duty)がある。関税については、「関税制度」の項を参照されたい。
個人所得税
所得額 | 税率(%) |
---|---|
Rs.600,000以下 | 0% |
Rs.600,001~1,200,000以内 | Rs.600,000を超えた部分について2.5% |
Rs.1,200,001~2,400,000以内 | Rs.15,000+Rs.1,200,000を超えた部分について12.5% |
Rs.2,400,001~3,600,000以内 | Rs.165,000+Rs.2,400,000を超えた部分について22.5% |
Rs.3,600,001~6,000,000以内 | Rs.435,000+Rs.3,600,000を超えた部分について27.5% |
Rs.6,000,001以上 | Rs.1,095,000+Rs.6,000,000を超えた部分について35% |
売上税(Sales Tax)
標準的な売上税率は、商品の場合は18%、サービスの場合は、サービス業者が所在する州またはサービスが利用される州により、13~16%。
関連法としては売上税法(Sales Tax Act, 1990)がある。
連邦物品税(Federal Excise Duty)
特定の物品やサービスに課税される税金で、タバコ、ガソリン、航空、通信、金融サービスなどに賦課される。
関連法としては連邦物品法(Federal Excise Act, 2005)がある。