第2次補正予算案「経済改革計画」を発表

(パキスタン)

カラチ発

2019年01月30日

パキスタン政府は1月23日、2018/2019年度(2018年7月~2019年6月)の第2次補正予算案を発表した。経済活性化、投資促進、雇用創出、生産コスト削減などが目的とされ、「経済改革計画(Economic Reform Package)」と呼称されている。一部報道では、同案によって2018/2019年度の予想税収の約0.15%に相当する、約68億パキスタン・ルピー(約53億円、1パキスタン・ルピー=約0.78円)の税収減少が見込まれる、との情報もある。

約30項目の改正点のうち、当地進出日系企業に特に重要と考えられる項目は次のとおり。

  • 未配当利益税を撤廃する。
  • 現在、非納税者は自動車購入が禁止されているが、今回の改正により、排気量1300ccまでの自動車について、非納税者も一定の税金を支払うことで購入可能となる(納税者が購入するケースよりも高い税額が賦課される)。
  • 売上税(Sales Tax)の還付約束手形を導入する。
  • 2019年7月1日から(一時避難民救済のための)スーパー・タックスを撤廃する。

未配当利益税については、当地進出日系企業の間でビジネス阻害要因として認識され、ジェトロが日系企業の要望を取りまとめた上で、パキスタン政府に同税の撤廃を要請してきた。2018年12月10日に東京で開催された第6回日本・パキスタン官民合同経済対話(2018年12月14日記事参照)において、パキスタン政府側から同税の撤廃方針が示されており、今回の補正予算案で撤廃が実現する見通しが立った。

非納税者の自動車購入禁止措置は、2018年7月に導入された。同措置の影響で国内自動車販売台数が減少したため、当地日系自動車メーカーの足かせになっている。2018年12月10日に開催された「第8回日本・パキスタン民間経済人会議」(2018年12月14日記事参照)でも、主要議題に取り上げられた。今回の改正では、限定的ながらも日系企業の要望が実現された。

売上税の還付約束手形については、従来、企業などが支払った売上税の還付が遅れたり、還付されない事例が散見されていたが、これを改善する目的で導入される。同手形の有効期間は発行日から3年間、年率10%の利子を付けることが検討されている。

現在、本予算案は下院で審議されている。今後の見通しとしては、上院によるコメントや助言が示された後に、再度、下院で審議され、成立すれば大統領の承認を経て施行される。

(久木治)

(パキスタン)

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