外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2023年12月15日

外国人就業規制

あらゆる職種や職能レベルにおいて、マレーシア人が訓練され雇用されるようにすることが、マレーシア政府の方針である。しかし、訓練を受けたマレーシア人が不足している職種には、外国人の雇用が認められている。

新型コロナウイルスの流行に伴い日本人を含む外国人のマレーシアへの出入国・滞在には諸々の制限が設けられていた。その間、雇用パスなどの申請プロセスも、過去に比べると時間を要したり、申請が却下されたりするケースも多く見受けられた。2022年4月1日からは、観光目的での入国を許可するなど入国制限が緩和されたことに伴い、雇用パスなどの申請プロセスの遅延について一定の改善がみられた。2023年6月15日からは、雇用パスの申請期間短縮に向け新システムであるXPats Gatewayを開始した。しかし、新型コロナ禍以前のように複数年の雇用期間の申請を許可されることは珍しく、管理職レベルでも1年(更新可能)しか許可を得ることができないなどのケースが多く見受けられる。

2021年1月1日より、外国人の雇用パス申請および外国人労働者の就労許可申請に先立ち、マレーシア人が当該ポストに応募する機会を広く提供するために、政府の求人サイトであるMYFutureJobsポータルにおいて広告を掲載する必要がある。従来30日間と定められていた掲載期間は、2023年6月以降14日間に短縮された。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、広告が免除される。

  • 上級職(CEOやCFOなどのC-suite)やキーポスト
  • 月給1万5,000リンギ以上
  • 雇用主が駐在員事務所や地域事務所の場合
  • 投資家、株主、オーナー
  • 企業グループ内の異動、出向、貿易協定に基づく異動
  • 雇用主が国際機関の場合

出向が免除要件に該当するため、現地採用ではない日本人駐在員の雇用パスの取得の場合は、広告が免除される。

MYFutureJobsポータル(MYFutureJobs外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

マレーシア投資開発庁(MIDA)による申請のワークフロー(New Process Workflow for Expatriate ApplicationsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(288KB)

関連法

外国人の就労査証については、出入国管理法(Immigration Act 1959/63)で定められている。

関係機関

在留許可

マレーシアにおける外国人向けの就労ビザには、駐在員のための長期滞在・就労のための雇用パス(Employment Pass)、機械設置や研修などを目的とする短期就労のためのプロフェッショナル・ビジット・パス(Professional Visit Pass)などがある。

マレーシア投資開発庁(MIDA)認可の外国人就労枠の取得

MIDAでは、製造業や国際調達センター(IPC)、地域流通センター(RDC)、経営統括本部(OHQ)、プリンシパル・ハブのステータスを有する会社について、外国人就労枠(Key Post永久ポスト/Time Post 3~5年の期限付きポスト)の申請を受け付けている。

また、マルチメディア・デジタル経済公社(Multimedia Digital Economy Corporation:MDEC)では、マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)ステータスの企業については、必要に応じて外国人駐在員を認めるとしている。
なお、こうした外国人就労枠の認可を得ていない販売会社やサービス会社は、次に述べる雇用パス取得の手続きに従う。

就労査証(就労ビザ)

就労を目的とする滞在には、短期間でも就労ビザの取得が必要である。就労ビザには、雇用パス、プロフェッショナル・ビジット・パス、外国人労働者(ワーカー)に対するワーク・パーミットなどがある。これらの申請は、いずれも入国管理局に対して行う。

雇用パス(Employment Pass

通常、マレーシアの雇用主(マレーシアで法人化された子会社、マレーシアで登記された外国企業の支店、マレーシアの駐在員事務所)に雇用される管理職・専門職の外国人に発給される。

2015年7月より、内務省は外国人への雇用パスの発給について、被雇用者の最低月額給与をベースに3つのカテゴリーに大別しているが、2017年4月1日付けでカテゴリーが再分類され、同年9月1日より施行されている。

雇用パスのカテゴリーの詳細
カテゴリー 最低月額給与 雇用期間 家族帯同の可否 メイド雇用の可否 更新
カテゴリーⅠ 10,000リンギ以上 5年まで 更新時に考慮される
カテゴリーⅡ 5,000~9,999リンギ 2年まで 更新時に考慮される
カテゴリーⅢ 3,000~4,999リンギ 1年以下 不可 不可 更新は最高2回まで
主な取得要件
  1. 最低払込資本金
    資本構成 払込資本金
    100%ローカル資本(マレーシア) 25万リンギ
    ローカルと外資の合弁(外資30%以上) 35万リンギ
    100%外資 50万リンギ
    流通・サービス取引を行う外資51%以上の会社およびレストラン 100万リンギ
    国内取引・生活費省の管轄下に新たに入った他の法令で規定されていないサブセクター(The sub sectors on unregulated services)において、サービス取引を行う外資51%以上の会社 100万リンギ

    出所:入国管理局の外国人サービス部門(Expatriate Service Division:ESD)
    ESDオンライン・ガイドブック "ESD Online Guidebook V4 2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(8.5MB)"

  2. 最低月額給与
    カテゴリーⅢの雇用パスを申請する会社は、最低月額給与5,000リンギの要件を免除する旨の認可を内務省から受けた後、初めてカテゴリーⅢの申請が可能になる。
  3. 駐在員・知的労働者の場合の要件
    年齢制限はないとしながらも、申請ポストにふさわしい資格・経験が必要とされており、履歴書については、以前より詳しいものが求められている。資格・経験の要件は、次のとおり。
    1. 大卒以上で、かつ3年以上のrelevant fieldを経験していること。
    2. Diploma(短大卒業資格)保持者なら、5年以上のrelevant fieldを経験していること。
    3. 職業訓練校などの技術系証書などの取得者なら、7年以上のrelevant fieldを経験していること。
  4. 株主個人が雇用パスを申請する場合の要件
    1. 申請会社の株式の30%以上を保有していること。
    2. CCM(会社登記所)に登記されている取締役であり、かつ会社での重要な役職に就いていること。
  5. その他
    雇用期間は、給与額や役職によって、1年から5年である。雇用パスの発給を受けるためには、申請者のパスポートの有効期間が少なくとも12カ月間必要である。また、雇用パスの更新には、申請会社が発行した給与明細、および個人所得税の納付証明が必要である。
申請の手続き

2014年4月よりオンラインでの申請が導入され、雇用パスの申請に関しては、新規、延長を問わずオンラインでの申請が必須となった。まずオンラインにより、入国管理局の外国人サービス部門(Expatriate Service Division:ESD)に会社を登録し、登録完了後、申請者の雇用パス申請を、同様にオンラインで行う。
会社登録申請の際には、プロジェクション(雇用パス申請予定枠数)の申請も行う。プロジェクション申請人数については、雇用パスの申請を予定する申請者の詳細(氏名、パスポート番号、役職名、給与額、職務内容)を記載したレターを提出することとなっており、予め多めの申請をしておくことができないため、赴任予定の駐在員を早めに特定する必要がある。プロジェクションについては、年内の追加申請も可能であるが、残数があっても翌年には持ち越せないため、毎年申請を行う必要がある。また、申請者の詳細については、会社登録申請時の初回のみ提出が求められ、次回以降は、現状不要である。
申請手続きの詳細については、次のガイドブックを参照。

ESDオンライン・ガイドブック "ESD Online Guidebook V4 2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(8.5MB)"

2023年6月15日より、申請期間短縮に向けた新システムであるXPats Gatewayが導入された。これまで雇用パスを申請する際に申請企業が行う事業を管轄する所轄機関(許諾機関)からサポートレターを取得する必要があったが、新システム上でサポートレター取得の申請が可能となった。申請企業をTier1~Tier5に分類し、ファストトラック扱いになるTier1、Tier2および重要分野企業は最短5営業日でビザ発給許可証を取得することができる。ノーマルトラック扱いとなるTier3~Tier5の企業は15営業日程でビザ発給許可証を取得することができる。

XPats Gateway外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
XPats Gateway申請手続き "XPats Gateway ユーザーマニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.2MB)" (ESD)
XPats Gatewayガイドブック ″Xpats GATEWAY GUIDEBOOK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1.6MB)

カテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲの雇用パスを含むビザ発給申請者は、マレーシア入国時に入国管理局のカウンターでビザ発給認可書を提示し、入国の際、入国管理局のカウンターで認可書を提示すると、通常は30日の滞在許可が得られるので、その間に雇用パスの発給(エンドースメント)を受ける。つまり、雇用パスの申請はマレーシア国外にいるうちに行い、雇用パスの発給を受けるためには、ビザ発給認可書を入手した後、マレーシアに入国しなければならない。雇用パス申請中に既にマレーシアに滞在している場合は、認可が下りた後一旦出国し、再入国する必要がある。また、雇用パスの発給手続きに要する期間は、ガイドラインでは3営業日とされている。2021年年末より、クアラルンプール国際空港ターミナル1(KUALA LUMPUR INTERNATIONAL AIRPORT Terminal 1)に設けられたESDのサテライトセンター(ESC)においてビザの発給手続(エンドースメント)を受けられるようになった。空港でビザ発給を受けられる申請者はカテゴリーⅠ,Ⅱの雇用パス発給申請者、駐在員配偶者・子供の滞在パス発給申請者、長期ソーシャル・ビジット・パス発給申請者に限定されていたが、2023年2月よりカテゴリーⅢの雇用パス発給申請者およびプロフェッショナル・ビジット・パス発給申請者も利用可能となった。空港でのビザ発給を受けるためには、マレーシア入国前にESDポータル上にて必要書類をアップロードして空港でのビザ発給手続を行うための承認レターを受領し、同承認レターをKLIAターミナル1のESCにて提示する必要がある。

ESD:KLIAターミナル1でのビザ発給に関するガイドライン ″GUIDELINES OF ENDORSEMENT PROCEDURE AT THE ESD SATELLITE CENTRE (ESC), KUALA LUMPUR INTERNATIONAL AIRPORT 1 (KLIA 1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(308KB)

マレーシア・デジタル(Malaysia Digital:MD)ステータスを持たない会社を含む、ICT企業による雇用パスの申請は、MDECのeXpats Service Centreにオンラインで行う。
ただし、後述のプロフェッショナル・ビジット・パス申請については、ICT企業もESDに会社をオンライン登録して申請する必要がある。

eXpats Servisce Centre:雇用パス申請手続き "Application Process for MD外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

2023年1月1日より、2022年改正雇用法(EMPLOYMENT (AMENDMENT) ACT 2022)により、雇用主は外国人労働者を雇用する場合は、労働局長官から事前の承認を得ることが必要となった。雇用主は、事前の承認を得た後、労働局長官に対して雇用する外国人労働者の詳細を提出しなければならない。
駐在員、外国人警備員、外国人漁師、船員、専門家訪問パス保有者、学生パス保有者、レジデントパス保有者、マレーシアマイセカンドホーム(MM2H)プログラム参加者およびマレーシアプレミアムビザプログラム(PVIP)参加者の雇用申請は、人的資源省(Ministry of Human Resources : MHR)のオンラインポータルであるePPAX(ePPAX Sistem Pengurusan Pekerja Asing Bersepadu外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を通じて申請を行う。

2022年改正雇用法 "EMPLOYMENT (AMENDMENT) ACT 2022PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(300KB) " (政府法令サイト)

レジデンス・パス(Residence Pass

国家重要経済分野に貢献する優秀な外国の人材を誘致することを目的として、2011年4月から導入されたパスで、Talent Corporation Malaysia Bhd外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのウェブサイトを通じて申請する。申請資格条件などの詳細についても、同ウェブサイトを参照。レジデンス・パスの主な特典は、次のとおり。

  1. マレーシアにおいて、最長で10年間の就労・滞在が可能。
  2. パスを更新しないままで、就労先を変更することが可能。
  3. 配偶者および18歳未満の同伴家族も当該パスの申請が可能であり、配偶者も雇用パスの取得なしに就労可能。
  4. 18歳以上の同伴家族、両親、義理の両親も、5年間の滞在ビザ(Social Visit Pass)申請が可能。

プロフェッショナル・ビジット・パス(Professional Visit Pass

マレーシア国外の会社に籍を置いたままマレーシア国内で短期就労を行う外国人に発給されるビザで、2014年10月1日よりオンライン申請が導入された。

本パスの発給を申請する会社は、入国管理局のESDにオンラインで会社を登録した上で、申請理由などを記載したカバーレターおよびマレーシア国内の保証人の保証書を添え、パス申請者のマレーシアでの活動予定表を提出する。本パスは、契約内容や目的などに応じて最長1年認められるが、本パス取得者の家族の帯同は認められていない。また、企業研修生については、6カ月までの認可となっていて延長は認められていない。

2016年8月1日より、プロフェッショナル・ビジット・パス申請者も、雇用パス申請者と同様、マレーシア入国の際に入国管理局のカウンターで認可書を提示することとなった。入国の際、入国管理局のカウンターで認可書を提示すると14日の滞在許可が得られ、この間にプロフェッショナル・ビジット・パスの発給申請を行う。申請手続き詳細については、前述のESDオンライン・ガイドブックを参照。申請から発給までに要する期間は、3営業日とされている。

デジタルノマド・パス(DE Rantau Digital Nomad Pass

IT、デジタルマーケティング、デジタルクリエイティブコンテンツ、デジタルコンテンツ開発などの分野におけるデジタルフリーランサー、独立請負業者、リモートワーカーを対象にマレーシアで旅行や仕事を可能にするビザで、2022年10月1日よりオンライン申請が導入された。
プロフェッショナル・ビジット・パスの一種で3カ月から12カ月の滞在許可が得られ、最大12カ月の更新が可能である。また、デジタルノマド・パスは、配偶者や18歳未満の子供などの親族も帯同が可能であるが、配偶者の就労は認められていない。

MD DE RANTAU:

駐在員の配偶者・子供の滞在ビザ(Dependent Pass

マレーシアにおける雇用パスを取得した駐在員が帯同する家族は、滞在ビザ(ディペンデント・パス)の発給を受けることが可能となる。このパスの有効期間は、駐在員の雇用パスの有効期間と一致する。
学童の就学には、ディペンデント・パスに加え、就学許可(Study Approval)の取得が必要となる。なお、ディペンデント・パス保持者の就労は認められていない。配偶者が就労する場合は、ディペンデント・パスをキャンセルし、改めて雇用パスを取得する必要がある。

マレーシア人の外国人配偶者の就労許可

マレーシア人の配偶者である外国人が、配偶者として1年以上の長期滞在ビザを取得した上で就労する場合は、就労許可を取得できる。長期滞在ビザは、最長5年の期間で許可が得られる。外国人配偶者の場合、年齢、給与の最低限度の基準は適用されず、職位についても制限がない点が、雇用パスの認可基準と異なる。

半熟練または非熟練外国人労働者

  1. 外国人労働者の雇用

    マレーシア政府は「マレーシア人の雇用第一(Malaysians First)」という政策を掲げ、マレーシア人の雇用確保を政府の方針としている。外国人労働者の雇用が認められるセクターや外国人労働者の送出が認められる国は限定される。

    また、外国人労働者には、雇用に係わる人頭税(Levy)が課せられる。2016年3月に、人頭税(Levy)の引き上げが発表された。外国人労働者に課せられる人頭税については、次のPDFを参照。

    ジェトロ:外国人労働者の雇用に課せられる人頭税PDFファイル(59KB)

    これまで、人頭税の支払い義務については、明確に雇用主の負担であるとはされていなかった。そのため、一旦は雇用主が人頭税を支払って、後で外国人労働者の給与から差し引くなどの例も見られた。
    しかし、人的資源省は2017年12月20日付けで、2018年1月1日より人頭税の支払い義務を雇用主に課すことを発表した。2018年1月以降は、新規雇用だけでなく更新時の支払いについても雇用主負担となる。人頭税の雇用主負担義務化については、当初は2017年1月1日より適用される予定であったが、様々な経済団体からの反対を受け延期されてきた経緯がある。
    人的資源省は、Employers Undertakingの書式中にも人頭税が雇用主負担であることを言明し、雇用主責任の強化を図ることとしている。

    人的資源省:Levy payment for foreign workersPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(274KB)(マレー語)

    新規外国人労働者の受入れについては、新型コロナウイルスの流行を背景に、2020年6月末に人的資源省大臣が、2020年中の外国人労働者の新規受入れを凍結すると発言した。その後、7月末に農業、プランテーション、建設業のみに限定し凍結が解除されていた。2022年2月15日から、許可されたすべての雇用分野での新規外国人の受入れを開始するとして同規制が緩和された。

    外国人労働者の雇用・送出が認められる国については、次のPDFを参照。

    ジェトロ:外国人労働者の雇用が認められている業種及び外国人労働者の送出が認められている国PDFファイル(313KB)

  2. 外国人労働者のワーク・パーミット
    外国人労働者のワーク・パーミット取得手続きは、次のとおり。
    1. 外国人労働者を雇用しようとする会社は、まず人的資源省の労働力局およびMYFutureJobsという求人・求職のマッチングサイトに登録した上で求人を行う。求人を行っても、マレーシア人の労働者が得られなかった場合は、外国人労働者を雇用してもよいとする確認書を労働力局から取得する。
    2. 必要人数、送出国などを内務省に申請し、認可されたら雇用税を支払い、外国人労働者雇用の認可書を入手する。
    3. 外国人労働者の採用を決定した会社は、当該外国人労働者の雇用および雇用に関する書類について、送出国のマレーシア大使館の認証を得る。
    4. 当該外国人労働者の照会ビザ(Visa with reference:VDR)およびワーク・パーミットを入国管理局に申請する。VDRの申請は、2015年6月より外国人労働者集中管理システム(FWCMS)を通して、オンラインで行うこととなっている(窓口での申請は、2015年7月1日をもって終了)。

      外国人労働者集中管理システム "Foreign Workers Centralized Management System:FWCMS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

      また、ワーク・パーミットの申請は、2017年2月1日より、次のリンクよりオンラインで行うこととなっている。

      ePPAx(バングラデシュ以外)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    5. 前記d.のワーク・パーミット認可後、外国人労働者送出国のマレーシア大使館・領事館で、入国のための照会ビザを取得する。
    6. 外国人労働者がマレーシアに入国する際には、申請会社の人事担当者・取締役が入国管理局で入国手続きを取る。外国人労働者は、入国後24時間以内に滞在パスなどの発給を受ける必要がある。通常30日の滞在パスが発給されるので、会社はこの間に当該労働者の健康診断を行い、健康上適格という診断を得た上で、ワーク・パーミットのエンドース申請を行う。ワーク・パーミットの認可期間は1年であるが、毎年更新を行うことで、通常は3年間認められる。
      また、2011年4月1日より、ワーク・パーミットは10年までの延長が認められることとなった。

現地人の雇用義務

マレーシア政府は、すべての企業に対し、従業員の民族構成比が、マレーシア社会全体の構成比を反映したものとなるよう努力することを求めている。

雇用法

あらゆる職種において、マレーシア人が訓練を受けて雇用されること、そして企業内の従業員構成比がマレーシア社会全体の民族構成比を反映していることが、マレーシア政府の希望である。1955年雇用法(Employment Act 1955)では、外国人労働者の雇用を目的として、マレーシア人従業員の雇用契約を解除することが禁止されている。また、従業員数を削減する場合は、マレーシア人従業員を解雇する前に、同程度の能力を有するすべての外国人労働者を解雇するよう要請している。

雇用法は、西マレーシアにおける雇用に関するすべての事項を規定し、雇用主と雇用契約を締結している労働者に適用される。コモン・ローは、従業員および雇用主双方の基本的な義務を定めているが、従業員の雇用条件については、従業員と雇用主間の同意に委ねられている。

人的資源省:1955年雇用法 "EMPLOYMENT ACT 1955外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(813KB)"

なお、2012年に改正された雇用法では、セクシャルハラスメントに関する規定が導入され、2012年4月1日より施行されている。

2022年5月10日に、2022年改正雇用法(Employment(Amendment)Act2022)が公布され、2023年1月1日から施行された。主な改正点としては、月の一部のみ勤務する労働者の給与の計算方法明記、外国人労働者雇用の事前承認および外国人労働者の解雇時の労働局長への通告制度の導入、労働時間の短縮(週48時間から45時間)、強制労働・差別・セクハラに対する厳格化、妊娠中の女性従業員に対する解雇の制限、産休期間の延長(60日間から98日間)や既婚男性の育休取得(7日間)、労働者の申請によるフレックス制の導入、雇用における差別に関する紛争の処理規定などが挙げられる。
雇用法の改正に伴い公布された雇用法第一附則改正令(EMPLOYMENT (AMENDMENT OF FIRST SCHEDULE) ORDER 2022)に基づき、改正雇用法および雇用法の規定は賃金にかかわらず、全労働者に適用されることとなった。ただし、月給4,000リンギを超える労働者には残業代に関する規定および解雇・退職時の給付に関する規定は適用されない。

政府法令サイト:

最低賃金令

マレーシアでは、2020年までに「高所得国」に移行することを目指し、2013年1月1日より、2012年最低賃金令(Minimum Wages Order 2012)が施行された。最低賃金は、半島マレーシアで月額900リンギ、サバ、サラワク、ラブアンでは同800リンギであったが、2012年最低賃金令に代わって2016年7月1日より施行された2016年最低賃金令(Minimum Wages Order 2016)では、それぞれ月額1,000リンギ、同920リンギに引き上げられた。
2018年5月に誕生したマハティール政権は、最低賃金の段階的な引き上げを志向しており、2019年1月1日より、全マレーシアで1,100リンギに引き上げられている。
2020年1月1日以降は、主要57都市のみ、最低賃金が1,200リンギに引き上げられた。また、2022年5月1日より、家事使用人など一部の労働者を除き最低賃金が1,500リンギに引き上げられた。
ジェトロの記事:「最低賃金を25%引き上げ、5月1日から実施」(2022年5月2日付)

最低退職年齢法

2013年7月1日より、2012年最低退職年齢法(Minimum Retirement Age Act 2012)が施行され、60歳定年制が、法的に民間企業に導入された。これに伴い、従業員積立年金制度(Employees Provident Fund:EPF)の拠出についても、60歳の定年までの継続が義務付けられた。

従業員積立基金(EPF)

従業員積立基金(EPF)は、マレーシア人および永住権を持つ外国人の被雇用者は強制加入となる公的な積立貯蓄制度である。雇用主負担部分と従業員負担部分があり、60歳未満の場合の毎月の給与に対する法定(最低)負担率は、雇用主負担が13%(月給が5,000リンギ超の場合は12%)、従業員負担が11%である。従業員負担部分は給与から天引きされる。従業員は、55歳以降、積み立てられている金額の全額の払い戻しを受けることができる。永住権を持たない外国人も任意加入できるが、雇用主の法定負担率は月当たり5リンギである。

新型コロナウイルスの影響に対する経済対策の一環として、2020年4月から12月の間、従業員の法定(最低)負担率は7%に引き下げられた。2021年1月から12月までの従業員の法定(最低)負担率は9%に引き下げられたが、2022年7月から再び11%に引き上げられた。

従業員積立基金:Employees' Provident Fund外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

従業員社会保障制度(SOCSO)

従業員社会保障制度(SOCSO)は、主として傷病により就労に支障が生じた被雇用者に対して医療費などを補償することを目的とした、労災保険類似の公的社会保険制度である。傷病保険制度と就労不能保険制度から成り、マレーシア人および永住権を持つ外国人の被雇用者は強制加入となる。毎月の被雇用者の給与に対して、一定率の雇用主負担と従業員負担(給与天引き)により拠出される。
2019年1月1日より、外国人労働者も傷病保険制度については強制加入に変更された。

従業員社会保障制度 "Social Security Organization外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

雇用保険制度

2018年1月より、社会保障機構(SOCSO)は、解雇された者に月額600リンギを最長3カ月給付する雇用保険制度(Employment Insurance Scheme:EIS)を導入した。拠出率は、被雇用者と雇用主がそれぞれ0.2%(ただし上限はそれぞれ月額7.90リンギ)となっており、民間企業には拠出が義務付けられている。

雇用保険制度 "Employment Insurance System - Eligibility外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

その他

2023年10月24日以降に認可された[1]雇用パス(EP)カテゴリーI~III、[2]レジデンス・パス-タレント(RP-T)、[3]RP-Tの帯同家族、のいずれかのビザを保有している者に対しては、外国人が取得できる身分証明書「アイカード(i-KAD)」が発給される。なお、駐在員の帯同家族などに発給される滞在ビザ(ディペンデント・パス)では、アイカードは発行されない。