税制

最終更新日:2017年08月25日

法人税

居住法人、非居住法人(外国企業の支店等)のいずれも25%が適用される。

  1. 課税年度
    4月1日から3月31日が課税所得の計算期間であり、すべての法人は3月末で終了する会計年度を設定する必要がある。
  2. 納税主体

    納税主体は、居住法人、非居住法人に区分される。
    居住法人:ミャンマー国内で設立登記された法人
    非居住法人:ミャンマー国外で設立登記された法人

    ここでの居住/非居住の区分はミャンマー国内で設立登記されたか、ミャンマー国外で設立登記されたかという区分となる。なお、外国法人のミャンマー支店は、国外で設立登記された法人として非居住法人に該当する。

  3. 課税範囲

    上記2.の区分に従って、以下に対して課税が行われる。
    居住法人:全世界所得
    ※MIC認可企業:ミャンマー国内源泉所得(注)
    非居住法人:ミャンマー国内源泉所得

    (注)居住法人のうち、外国投資法に基づきミャンマーで設立された法人(MIC認可企業)の課税範囲は、ミャンマー国内源泉所得に限定される。

  4. 課税所得の算出方法
    課税所得は、総所得から税務上の損金を控除した額となる。
    1. 総所得
      総売上、事業収入、利子、賃貸料、ロイヤルティー、サービス・フィー、コミッションなどが含まれる。
    2. 税務上の損金
      原則として、課税年度における事業遂行上必要なすべての費用。事業所得を稼得するために直接的に関連して支出された費用、初年度償却を含む減価償却費、税務当局より認められた慈善団体や財団への寄付金(ただし、寄付金は総所得の25%を限度として損金算入が認められている)を含む。
    3. 固定資産の減価償却
      歳入局(Internal Revenue Department)が認めた償却率で計上することができ、それを超える減価償却費は損金として認められない。歳入局が認めた償却率は、例えば建物について5%(約20年)~15%(6.6年)、機械装置10%(10年)、車両については資産の種類に応じて5%(20年)または20%(5年)のように定められている。実際に償却率を決定する際には歳入局が定めた償却率表に従う必要がある。
      年度中に取得された固定資産についても1年間分の減価償却費を計上できるが、年度中に売却・除却された固定資産についてはその年度の減価償却費を計上することができない。
    4. 貸倒損失
      債権回収が不可能であることが証明された時点(実務的には、裁判所での判決を待つ必要がある)で損金に算入され、貸倒引当金への繰り入れは税務上で加算する必要がある。
    5. 損金として控除不可
      資本的支出ならびに事業に関連しない個人的支出、事業の拡大に比例しない費用など
  5. 税率

    居住法人:25%
    非居住法人(外国法人のミャンマー支店):25%
    2015年4月の税法改正により、居住法人と非居住法人との間の税率の差異が解消された。

    固定資産・株式の売却などによって生じるキャピタルゲイン所得は、通常の課税所得からは除外し、別途キャピタルゲイン所得のみに限定した課税計算がなされる。
    資産の売却日から1カ月以内に計算された納税額を申告・納付することになるが、この場合の申告・納税者はキャピタルゲインを得た者となる。
    キャピタルゲインに関する納税額は、売却価額から税務上の減価償却累計額を差し引いた簿価を控除した額に所定の税率を乗じて計算される。

    表1-1 法人所得税率

    法人の種類

    事業所得

    キャピタルゲイン
    一般事業法人 石油・ガス事業法人
    居住法人 25% 10%(注) 40~50%の累進課税(注)
    非居住法人(外国法人のミャンマー支店) 25% 10%(注)

    (注)取引額が1,000万チャットを超える場合にのみ課税される。

  6. 配当金
    配当所得は非課税であり、配当支払い時の源泉税の徴収もない。
  7. 欠損金の繰越
    キャピタルロスを除く税務上の損失額は、同事業年度の課税所得と相殺ができるほか、相殺され得ない損失額は翌年以降の3事業年度に繰り越し、将来の課税所得と相殺することができる。なお、欠損金繰戻しの制度はない。
  8. 申告
    ミャンマーでは諸外国と同様に申告納税制度が採用されており、納税者は自ら納税額の計算をし、税務申告を行う。年度末に税務当局に決算書とともに申告書を提出することになるが、最終税額は当局との擦りあわせが必要となる場合もあり、申告額以上の納付を要請されるケースもある。したがって、実態としては賦課課税方式の側面も残っている。
    申告期限は、後述「税務申告期限」に記載するとおりである。
  9. 源泉徴収税(前払法人税)
    1. 源泉徴収税の概要
      ミャンマー国内での物品の販売やサービスの提供などに際して、代金の支払側で受取側の法人税を前もって徴収し、納付する必要がある。
      ミャンマーの源泉徴収税は、ミャンマー居住法人が対価を受け取る場合と、ミャンマー非居住法人(外国法人のミャンマー支店および外国法人)が対価を受け取る場合とで税率が異なる。また、物品やサービスの対価に関する源泉税については、支払側の区分(国内法人/外国法人)により税率が異なる点に留意が必要である。
    2. 源泉徴収対象所得と税率
      源泉税率は、表1-2のようになっている。なお、ミャンマーとの租税条約の締結国については後段「二国間租税条約」を参照。下表では、例として、タイおよびシンガポールとの租税条約に基づき適用される源泉税率を記載している。

      表1-2 源泉税率

      支払の種類 居住者 非居住者 タイ法人 シンガポール法人
      (a)ローン、負債その他類似の性質の取引または貯金に対する利息の支払い 15% 10% 8%または10%
      (b)配当金
      (c)ライセンス、商標、知的財産権等の使用に対するロイヤルティー 10% 15% 15% 10%または15%
      (d)現行法に基づいて登記・設立された国営組織、国営企業、開発委員会、組合、外国会社、外国企業および組織、現地会社および合弁会社による、国内における入札、契約、見積もりまたは他の形式での商品の購入、業務またはサービスの提供および賃貸借に対しての支払い(上記(a)(c)に記載されるサービスを除く) 2% 2.5%

上記税率に関わらず、新しい査定制度を導入している大規模納税者および中規模納税者との取引の場合、150万チャットの支払いまでは、税金を控除する必要はなく、それ以外の場合も取引額が50万チャットに満たない場合は税金を控除する必要はない。
ただし、非居住外国人に対する支払いまたは外貨での支払いの場合は、すべての支払いに対して控除を行う必要がある。
もっとも、この場合も非居住外国人の支店がミャンマー国内に登記されており、ミャンマー国内での所得について課税されている場合、ローン、債務、類似の取引または預金に対する利子としての所得には、源泉徴収税は課されない。

二国間租税条約

締結済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、バングラデシュ、インドネシア、韓国、ラオス
発効済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、韓国

その他税制

税は国税と地方税から構成されている。このうち代表的なものは、所得税、商業税、関税の3つ。

国税の種類

ミャンマーの国税については次のPDFを参照。
表2 ミャンマーの国税(一部ライセンス料等も含む)PDFファイル(91KB)

所得税

  1. 居住者・非居住者と課税所得の範囲
    1. 課税対象者

      ミャンマー国内で就労する個人は、居住者と非居住者の別にかかわらず、ミャンマーでの所得税の納税の義務を負う。

      国内に継続して90日以上滞在する外国人は、外国人登録証(FRC)を申請することが義務付けられており、FRCの保有者はミャンマーを出国する際には税務クリアランスを行うことが求められる。ただし、このことは国内に90日未満滞在する場合には、個人所得税の課税が発生しないことを意味するものではなく、滞在期間が90日未満であっても、その間に国内での雇用による所得あるいはその他の国内源泉所得がある場合には、課税対象となる点に留意が必要である。

    2. 居住者と非居住者の定義
      個人の場合、毎年、課税年度内(4月1日から3月31日)においてミャンマー国内に183日を超えて滞在する者が居住者と定義され、183日以内の者が非居住者と定義される。
    3. 課税対象所得
      居住者は、全世界所得に対して課税される。一方、非居住者は、ミャンマー国内源泉の所得に課税される。国内源泉所得とは、ミャンマー国内の職位・職責による所得、ミャンマー国内事業所または事業からの所得、ミャンマー国内に所在する資産からの所得を指し、所得の受領地や居住者・非居住者の違いは問われない。

      表3-1 居住者・非居住者の区分

      非居住者 居住者
      滞在期間(通算) 183日以内 183日超
      課税対象範囲 ミャンマー国内源泉所得 全世界所得
  2. 課税所得

    課税所得には、給与、賞与、手当その他の福利厚生費が含まれる。
    福利厚生には、個人に専用の住居として与えられる住居関連費用も含まれ、会社が負担した賃借料の全額が課税所得に含まれる。会社保有の社宅を供与する場合等、その金額が明確でない場合には、給与の10%(家具なしの住居)あるいは12.5%(家具付きの住居)で計算した額が課税所得に加算される。会社が支給する乗用車、また自家用車を使用した場合の燃料費手当などは、金額が合理的な範囲であれば、課税所得に含める必要はないとされている。
    なお、法人がその従業員に課税された所得税を負担する場合、当該所得税額は当該従業員の課税所得に含まれる。

    固定資産の売却による所得、キャピタルゲインに対する課税は、法人の場合と同様に、居住者、非居住者ともに10%の税率でそれぞれ分離課税される。また、配当所得は非課税となっている。

    2017年の連邦税法により、総所得が480万チャット以下の場合には一律非課税となる。その上で、総所得が当該金額を超える場合には、所得控除を行った上で、課税所得に対して累進課税が課されることとなる。

    居住者の所得控除は下表のとおり。

    表3-2 所得控除

    対象 控除内容
    基礎控除 課税所得総額の20%(上限1,000万チャット)
    配偶者控除 所得のない配偶者につき100万チャットの控除
    保険料控除 納税者、配偶者のための保険料支払い額の控除
    扶養控除(子女) 未婚で扶養者となっている子女1人当たり50万チャットの控除。
    18歳を超える子女の場合には、全日制の学校などにおける就学者であることが条件となる。
    扶養控除(親) 同居中かつ扶養者となっている親1人当たり100万チャットの控除
  3. 税率
    個人所得税の税率(キャピタルゲイン税率を含む)は下表のとおりである。なお、2015年4月に所得税の一部改正が行われた。

    表3-3 個人所得税の税率

    納税者区分

    給与所得その他の所得

    キャピタル ゲイン

    給与所得 その他の
    外資収入

    ミャンマー国民

    居住者 0~25%の
    累進税率(表3-2)

    10%

    非居住者 非課税 10%

    外国人

    居住者 0~25%の
    累進税率(表3-2)

    10%

    非居住者


    表3-3-1 個人所得の累進税率

    課税所得 税率
    ~200万チャット 0%
    200万超~500万チャット 5%
    500万超~1,000万チャット 10%
    1,000万超~2,000万チャット 15%
    2,000万超~3,000万チャット 20%
    3,000万チャット超~ 25%
  4. 申告
    申告期限は、後述「税務申告期限」に記載するとおりである。


商業税

  1. 居住者・非居住者と課税所得の範囲
    1. 商業税の仕組み

      諸外国で一般的に課税されている付加価値税(VAT)に相当する。
      ミャンマーで供給される多種多様な物品、サービス、輸入品および輸出品を対象としている。商業税は、生産の各段階で課税する一方、各供給業者が支払った税金について控除を認めることにより、結果的に最終消費者が税負担を行う形で設計されている。

      商業税は、基本的に物品の販売・サービス提供時点で課税されることになるが、物品の輸入に関しては、輸入通関時に輸入関税と同時に徴収されることになる。

      なお、商業税は、諸外国の付加価値税と同様、売上税額から仕入税額を控除する仕組みとなっているが、他国の税制と異なり、売上税額から控除できない仕入の規定がなく、仕入控除の要件が不明確となっている。また、他国同様、還付の規定はあるものの、その詳細な手続きは不明確となっている。

    2. 課税対象取引と税率

      ミャンマー国内で行われた一部の非課税品目を除くすべての物品とサービスの輸入・販売、また、一部の物品の輸出取引が課税対象になっている。
      課税品目・非課税品目、税率について(表4-1)PDFファイル(316KB)

      基本となる税率は5%であるが、乗用車、宝石類、酒類、たばこなどの特定品目については、8~120%までの高い税率が課せられている。2015年4月改正(2015年4月1日より適用)により、特別税率項目、非課税項目等が一部変更されている。
      なお、課税年度内の売上高が2,000万チャット未満の事業者は、非課税事業者として商業税の申告納税は免除される。

  2. 申告
    申告期限は、後述「税務申告期限」に記載するとおりである。
  3. 仕入税額控除
    仕入れに係る商業税を売上げで徴収した商業税と相殺する手続き(仕入税額控除)の規定は順次整備されつつあるものの、仕入税額を証明するための書類の準備は煩雑な手続きとなっており、実務上の障害となっている。

    他国で採用されているような、要件を明確にした単純なインボイス方式を採用して、実務を簡素化することが望まれる。また、売上げに係る商業税は毎月前月分を納付することが求められるが、仕入税額控除の申請自体は四半期ごとにしか認められていないことも実務上の障害となっている。さらに、売上げに直接関連する仕入取引にかかわる商業税が仕入税額控除の対象と規定されているものの、土地、建物、設備代金などの設備投資の支払いにかかわる商業税については、仕入税額控除の対象となるかが不明確である。

    仕入税額控除が認められないという前提に立つ場合、仕入れに係る商業税が直接のコストとなるため、事業計画の検討に当たっては留意が必要となる。

    なお、2014年4月1日以降適用の改正商業税法では、一部の特別税率の適用対象として残された物品(表4-2)について、当該物品の輸入を行う者、あるいは国内製造会社から当該物品を最初に購入する者は、仕入税額控除を行うことができない。当該規定は輸入業者、製造業者に適用されるものであって、その後の流通に関与する者は税額控除が可能となっている。この取扱いは、仕入税額のほうが売上税額よりも大きくなる場合、仕入税額控除を認めると特別税率を課す意味がなくなるため、設けられているものである。

    表4-2 仕入税額控除が認められない特別品目

    Sr. No. 品目 税率
    1 紙巻たばこ 120%
    2 噛たばこ 60%
    3 たばこ葉 60%
    4 両きり葉巻 60%
    5 葉巻 60%
    6 パイプ用たばこ 60%
    7 ペテル・チューイング(ビンロウの実をキンマの葉でくるんだもの) 60%
    8 酒類 60%
    9 ビール 60%
    10 ワイン 50%


税務申告期限(所得税、商業税)

所得税(法人税、個人所得税)、商業税の申告期限は下表のとおり。

表5 税務申告期限

税金の種類 納付の種類 期限
法人所得税 確定申告 年度末から3カ月以内(6月30日まで)に確定申告書を提出、その後発行される課税通知書に記載された日が納付期限となる。
キャピタルゲイン課税 キャピタルゲインが発生してから1カ月以内に申告納税
源泉徴収税(徴収者の支払い) 源泉徴収後7日以内に申告納税
個人所得税 個人給与の源泉徴収税(徴収者の支払い) 源泉徴収後7日以内に納税
確定申告 年度末から3カ月以内(6月30日まで)に確定申告書を提出、その後発行される課税通知書に記載された日が納付期限となる。
商業税 期中納付 翌月10日までに前月分を納付
期中申告 四半期ごとに翌月末までに申告
確定申告 年度末から3カ月以内(6月30日まで)に確定申告書提出


関税

  1. 課税対象
    原則としてすべての輸入品が課税対象となり、課税標準は輸入貨物CIF価額に0.5%を加えたものとなるが、一部の品目については無税(0%)となるものもある。
  2. 税率
    現在入手可能な最新の関税率は2012年1月発行のものである。
    ミャンマーでは、関税率自体は細かい点については随時変更されている可能性があるが、関税率表は毎年発表されない。従って、個別の品目の最新の関税率については、税関にその都度確認する必要がある。
    2012年1月に発行されている関税率(2ケタベースの税率のレンジ)は表6に示すとおり。

    表6 品目種類別関税率PDFファイル(212KB)


(出所)ミャンマービジネスガイドブック(ミャンマー日本商工会議所)

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