関税制度
最終更新日:2025年01月22日
管轄官庁
財務・計画・経済開発省
財務・計画・経済開発省(Ministry of Finance, Planning and Economic Development
)
所在地:Secretariat Building, Colombo 01, Sri Lanka
Tel:94-11-2324272, 94-11-2431020
Fax:94-11-2449823
関税率問い合わせ先
スリランカ税関、スリランカ貿易省、スリランカ産業省
スリランカ税関(Sri Lanka Customs
)
所在地:No 40, Main Street, Colombo 11, Sri Lanka
Tel:+94-11-2470945~8, +94-11-2445147
スリランカ貿易省(Ministry of Trade
)
所在地:No. 27, CWE Secretariat Building, Vauxhall Street, Colombo 2, Sri Lanka
Tel:+94 11-211-566
スリランカ産業・起業開発省(Ministry of Industry and Entrepreneurship Development
)
所在地:73/1, Galle Road, Colombo 3, Sri Lanka
Tel:++94-11-2392149, 2392150
Fax:+94-11-2449402
E-mail:admin1@industry.gov.lk
現時点の実行輸入関税率表は、税関ウェブサイトの「Customs Import Tariff - 2024」を参照。なお、同関税率表は、データベース方式ではないもののHSコードごとに、ライセンス取得の必要性の有無、特恵関税率、一般関税、輸入付加税など輸入諸税を網羅するとともに、輸入関税や輸入諸税の免除部分などの解説にて構成される。
現時点の実行輸出関税率については、税関ウェブサイトの「Exports Tariff Rates(416KB)」を参照。
関税体系
商品には、「輸出関税率」の各税率表に定める一般税率または特恵税率が適用される。
各種貿易協定に従い、優遇関税率が適用される。
また、スリランカ政府は、必要に応じて、特定の目的あるいは機関の輸入品目に対して、関税免除(官報で通知する)および関税放棄の特恵を供与する。
品目分類
商品分類は、「商品の名称および分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に準拠した、国際統一商品分類システム(HSシステム)に基づいている。
関税の種類
大半の品目に関しては、取引額に基づく従価関税(率)が課せられている。特定の関税率が適用される品目は少ない。課税対象重量は、純重量(総重量から風袋重量の分を差し引いた重量)である。
課税基準
関税は、取引額に対して課税される。2003年1月以降、関税価値の評価にWTOルールが導入されている。
輸入品には以下のような関税や課徴金があり、スリランカ税関が輸入時に徴収している。それぞれ次のとおり課税される。
- 輸入品目に課せられる付加価値税(VAT)
(輸入品目のCIFルピー価格+輸入品目のCIFルピー価格の10%+関税+物品税+港湾・空港開発税+Cess+サーチャージ)×VAT税率 - 物品税(特別規定)(Excise (Special Provisions) Duty)
(輸入品目のCIFルピー価格+輸入品目のCIFルピー価格の15%+関税+港湾・空港開発税+Cess)×物品税率(特別規定) - 港湾・空港開発税(PAL)
輸入品目のCIF価格×PAL税率 - Cess
(輸入品目のCIFルピー価格)×Cess税率、または課税対象品の数量×Cessの単位税率 - 関税
CIF価格×関税率、または課税対象品の数量×関税の単位税率 - 特別商品税
課税対象品の数量×特別商品税の単位税率 - サーチャージ(追加賦課金)
関税×サーチャージ率 - 社会保障負担賦課金(Social Security Contribution Levy:SSCL)
(CIF価格+CIF価格の10%+関税+港湾・空港開発税+Cess+特別商品税+サーチャージ)×SSCL税率
関税
輸入業者がCIF価格が10万ルピーの物品を輸入する際に課税される税は次のとおり。関税、Cess、物品税、特別商品税、サーチャージの課税率は品目によって異なり、以下では税率を便宜的に設定した。
税 | 税率 | 金額(ルピー) |
---|---|---|
関税 | 30% | 30,000 |
PAL(港湾空港開発税) | 5% | 5,000 |
VAT | 18% | 39,906 |
物品(特別規定)税 | 37% | 59,200 |
社会保障負担賦課金(SSCL) | 2.5% | 5,542.5 |
Cess | 10% | 10,000 |
サーチャージ | 25% | 7,500 |
課税額合計 | ‐ | 157,148.5 |
付加価値税(VAT)の計算
輸入品目のCIFルピー価格が10万の場合のVATは以下のとおり。
VATの課税ベース=(輸入品目のCIFルピー価格+輸入品目のCIFルピー価格の10%+関税+物品税+港湾・空港開発税+Cess+サーチャージ)×18%
=(100,000+10,000+30,000+59,200+5,000+10,000+7,500)×18%=39,906ルピー
物品(特別規定)税の計算
輸入品目のCIF価格が10万ルピーの場合の物品(特別規定)税は以下のとおり。
物品(特別規定)税の課税ベース=(輸入品目のCIFルピー価格+輸入品目のCIFルピー価格の15%+関税+港湾・空港開発税+Cess)×37%
=(100,000+15,000+30,000+5,000+10,000)×37%=59,200ルピー
社会保障負担賦課金(SSCL)の計算
輸入品目のCIF価格が10万ルピーの場合の社会保障負担賦課金(SSCL)は以下のとおり。
SSCL税の課税ベース=〔輸入品目のCIFルピー価格+輸入品目のCIFルピー価格の10%+関税+港湾・空港開発税+Cess+物品税(特別規定)+サーチャージ〕×SSCL税率(2.5%)
=(100,000+10,000+30,000+5,000+10,000+59,200+7,500)×2.5%=5,542.5ルピー
サーチャージ(追加賦課金)の計算
サーチャージ=30,000×25%=7,500ルピー
対日輸入適用税率
日本からの輸入品に適用される関税率は、通常の関税率である。
特恵等特別措置
次の国・地域に、特恵関税制度が適用される。
南アジア地域協力連合(SAARC)/南アジア自由貿易地域(SAFTA)加盟国、アジア・大洋州貿易協定(APTA)、開発途上国間の貿易特恵国際制度(GSTP)の参加国、インド(インド・スリランカ自由貿易協定)、パキスタン(パキスタン・スリランカ自由貿易協定)
特恵関税が適用される国・地域は次のとおりである。
- ジェトロ:世界のFTAデータベース
- スリランカ税関:スリランカ輸入税ガイド(Sri Lanka Customs National Imports Tariff Guide 2024
(1,302KB))
- 南アジア地域協力連合(SAARC)/南アジア自由貿易地域(SATA)加盟国
バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン。 - アジア・太平洋貿易協定(APTA)
域内の貿易促進を目的として、1997年に発足した。APTA加盟国は、バングラデシュ、インド、韓国、ラオス、中国。 - 発展途上国間の貿易特恵国際制度(GSTP)の参加国
アルジェリア、アルゼンチン、バングラデシュ、ベナン、ブラジル、ボリビア、カメルーン、チリ、コロンビア、キューバ、エクアドル、エジプト、ガーナ、ギニア、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、韓国、北朝鮮、リビア、マレーシア、メキシコ、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、シンガポール、スリランカ、スーダン、タンザニア、タイ、トリニダードトバゴ、チュニジア、ベネズエラ、ベトナム、ジンバブエ。 - 南アジア自由貿易地域(SAFTA)の参加国
アフガニスタン、バングラデュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。 - インド(インド・スリランカ自由貿易協定)
- パキスタン(パキスタン・スリランカ自由貿易協定)
- シンガポール(シンガポール・スリランカ自由貿易協定)(一時停止中)
現在、日本とスリランカの間に地域貿易協定はない。
関連法
輸出入は通関法によって規定されており、通関局が執行責任を持つ。
- 通関条例(1869年法律第17号を改定)における主な改定としては、1974年の通関法(同改定)および1988年の法律第83号通関法(同改定)がある。
- 歳入保護法(1962年法律第19号)
- 1938年の航空(通関)規則
- 1951年の航空法(同改訂)
スリランカの通関当局は、次のとおり、他の法律(通関法以外)の歳入・税金・著作権使用料に関する規定も統括している。
- 酒税法(1989年法律第13号、特別規定)
- 付加価値税(2002年法律第14号、正規に改定)
- スリランカ輸出促進庁法(1979年法律第40号)
- 紅茶局法(1975年法律第14号)
- ココナツ開発法(1971年法律第46号)
- ゴム・ココナツ法(1956年法律第11号)、およびゴム・ココナツ法の改定(1983年法律第10号)
スリランカの通関局は、次のとおり、他の法律(通関法以外)で定める輸入・輸出規制、輸入・輸出制限、輸入・輸出許可、輸出・輸入検疫に関する特定の規定の施行にも責任を持つ。
- 動物保護法(1992年法律第59号)
- 骨董品条例(1940年法律第9号)
- 化粧品・薬物法(1980年法律第27号)
- 動物疾病条例(1909年法律第25号)
- 外国為替管理法(1953年法律第24号)
- 爆発物法(1956年法律第21号)
- 銃器条例(1916年法律第33号)
- 動植物保護条例(1937年法律第2号)
- 食品法(1980年法律第26号)
- 輸入・輸出管理法(1969年法律第1号)
- 国立公文書館法(1973年法律第45号)
- 卑猥出版物条例(1927年法律第4号)
- 植物保護法(1999年法律第35号)
- 毒物・麻薬・危険薬物条例(1929年法律第17号)
- 検疫・疾病予防条例(1897年法律第3号)
- スリランカ基準機関法(1984年法律第6号)
関税以外の諸税
関税に加え、次の税金・課徴金が輸入品に課せられる。
付加価値税(VAT)
付加価値税法(2002年法律第14号)に従い、付加価値税の支払対象となる輸入品に対しては、18%の付加価値税が課せられる。
港湾・空港開発税(PAL)
スリランカに輸入される物品の通関価格に課される。加工・再輸出または輸出品製造を目的とした輸入品は非課税である。その他の輸入品には様々な税率が適用される。
物品(特別規定)税
物品税(特別規定)法(1989年法律第13号)に従い、 輸入または国内で製造あるいは組み立てられた、たばこ、軽油、ガソリン、ケロシン、自動車、ミネラルウォーター、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、TV、電化製品、競馬に関する出版物などの製品には、物品税(特別規定)が課される。たばこと自動車に関しては、VATとNBTの代わりに課税される。税率については、2015年11月20日付官報No.1885/42で発表されている。
輸出税(Export Cess)
2013年11月21日付公報第1837/31号に則り、巻き貝、茶、ゴム、ココナツ製品、胡椒、シナモン、クローブ、ナツメグ、ふすま、天然黒鉛、石英、カオリン、花崗岩、小石、マイカ、原皮、原木、鉄廃棄物の輸出に対して課税される。税率は随時変更されており、スリランカ税関のウェブサイトで発表されている。
- スリランカ税関ウェブサイト:輸出税率(Export Tariff Rates
(416KB))
Cessは、1979年スリランカ輸出振興法第40条第1項に基づき、輸出と輸入の双方に課される。
- EDB:スリランカ輸出振興法に基づくCESSガイド(CESSES IMPOSED UNDER THE SRI LANKA EXPORT DEVELOPMENT ACT NO. 40 OF 1979
(175KB))
輸入税(Import Cess)
2014年10月24日付の官報1885/45に則り、多くの品目に対して輸入税が課せられる。輸入税率は随時変更されており、スリランカ税関のウェブサイトで発表されている。
- スリランカ税関ウェブサイト:輸入税率(Import Tariff
)
特別物品税(Special Commodity Levy)
特別物品税法(2007年法律第48号)に基づき、特定の一次産品を課税対象として、輸入品に適用される複数の税の代替として徴収される複合的な税である。同税は、必需品に対する複数の課税の適用と管理に伴う複雑さを回避するために導入された。現在、課税対象品目は、スプラッツ(小魚)、にんにく、ジャガイモ、タマネギ、エンドウ、ヒヨコマメ、緑豆、黒豆、ササゲ、ダール、チリ、缶詰、砂糖、魚(生または冷蔵)、モルディブフィッシュ、オレンジ、ブドウ、リンゴ、コリアンダー、クミン、フェンネル、ターメリック、マスタードの種、パーム油、大豆、ひまわり油、ココナツ、ココナツオイル、原油である。税率は従価的もしくは品目別に設定され、スリランカ税関のウェブサイトで発表されている。
- スリランカ税関ウェブサイト:特別物品税率(SCL Charges
(1,932KB))
その他課徴金
コンテナ検査費用等。
その他
スリランカ投資委員会(BOI)は、輸出加工区の設置、輸出企業への財政支援などを行う。
輸出加工区および他の輸出譲許措置
スリランカ投資委員会法(1978年法律第4号)に基づいて設置されたスリランカ投資委員会(BOI)は、次の政策を講じている。
- BOIは、輸出加工区(EPZ)をKatunayake、Biyagama、Koggala、Malwatte、Mirigama、Wathupitiwela、Mawathagama、Polgahawela、Seethawaka、Horana、Mirijjawila、Bingiriya、Eravurに、また工業団地(IP)を Pallekele、Wagawattaに、工業区(Industrial zone)をWagawatta、Arabokkaに設置し、これらEPZおよびIPへの輸出志向製造業の誘致を目指している。
- BOIは、輸出志向製造業に対して(具体的な基準に基づく)財政的譲許措置を提供する。そうした財政的譲許措置には、課税免除、譲許的税率、輸入関税免除、外国為替管理適用免除等が含まれる。
なお、付加価値税法により、輸出に対しては付加価値税「0(ゼロ)率」が適用され、製品・サービスの仕入れ時に負担した支払済みのVATはクレジット・バウチャー(取消伝票)により還付される。
また、2011年4月より導入された簡易版VAT(SVAT)スキームにより、輸出業者は仕入れ時のVATが免除される代わりに、当該VAT相当分についてクレジット・バウチャー(取消伝票)を発行することになった。これにより、輸出業者へのVAT還付は発生しなくなった。
経済効果のための通関制度(CPEI)
CPEIは、基本的に、特定の目的のために特定の条件下で、輸出入の商品、商品、製品にかかる関税やVATを含むその他の課税を条件付きで免除するものである。現在、スリランカ税関はCPEIに関し、以下の制度を実施している。
- 保税倉庫
輸入された物品の保税倉庫への入庫、保管、確保が免税で可能となる。物品が後続の税関手続きに出されるまでは課税されない。保税製造(例:アパレル産業)、特定商品倉庫(例:砂糖ボンド)、免税店、船舶貯蔵品供給、バンカーオペレーション、複数国混載、宅配サービス、旅客荷物通関などに適用される。 - 輸出のための一時輸入制度(TIEP)
TIEPには、TIEP-Ⅰ、TIEP-Ⅳ/Ⅴ、INFACの3つの制度がある。- 輸出加工用一時輸入(TIEP-Ⅰ)制度
商品の加工、組み立て、製造のための投入資材の最低限のコストでの輸入に際し課税されず、VATが繰り延べられる。このような投入材料から生産される付加価値製品は輸出することとなっている。 - TIEP-Ⅳ/Ⅴ制度
輸出品の生産・加工に使用する資本投入物(工場、機械、設備、予備品)の輸入に際し、関税が免除され、VATが繰り延べられる。 - 関税投資促進センター(INFAC)制度
特に繊維・アパレル産業を支援するもので、財務長官の条件に従って輸入税が免除される。
- スリランカ税関ウェブサイト:Customs Procedures with Economic Impact:CPEI
- 輸出加工用一時輸入(TIEP-Ⅰ)制度
- 一次搬入制度
再輸出、他の輸出産業への投入、商品の通関を目的とする資材輸入に適用される制度。- スリランカ税関ウェブサイト:一次搬入制度(Temporary Admission
)
- スリランカ税関ウェブサイト:一次搬入制度(Temporary Admission
- 中継貿易制度
再輸出のために商品を輸入したり、第三者に再輸出するために倉庫に保管したりする際に関税や課徴金が免除される。同制度は加工作業の発生にかかわらず適用できる。中継貿易のために輸入した物品は、直接再輸出されるか、または、加工の有無に関わらず、その後の再輸出のために保税倉庫に預けられる。- スリランカ税関ウェブサイト:中継貿易制度(Entrepôt Trade
)
- スリランカ税関ウェブサイト:中継貿易制度(Entrepôt Trade
- 郵便・宅配便
書類、小包、サンプルなどの通関を郵便や宅配便で行う際に適用される。- スリランカ税関ウェブサイト:郵便・宅配便(Postal Services
)
- スリランカ税関ウェブサイト:郵便・宅配便(Postal Services