関税制度

最終更新日:2024年01月10日

管轄官庁

国家税務総局、税関総署、財政部関税司 (国務院関税税則委員会)

国家税務総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税を含む租税すべての立法、徴収管理の責任を負う中央官庁で、主な役割は[1]税金徴収管理の法律法規の起草、実施細則の策定、[2]納税システムに対する管理、監督、[3]税制管理情報化システムの整備、[4]税制の国際交流と協力、など。
所在地:北京市海淀区羊坊店西路5号 、郵便番号:100038
Tel:(010)12366

税関総署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

すべての物品の輸出入業務を管理する官庁で、輸出入関税および他の税の徴収管理および保税業務の管理を行う。主な役割は[1]輸出入の管理、監督、[2]関税徴収の管理、[3]通関、保税の監督、など。
所在地:北京市建国門内大街6号、郵便番号:100730
Tel:(010)6519-4114

中華人民共和国財政部関税司 (国務院関税税則委員会)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

主な役割は[1]関税関連法律、行政法規およびその実施細則の起草、[2]関税税種目や税率調整のアドバイスの提示、[3]関税と輸入税収政策のアドバイスの提示、[4]関税交渉方案の作成、関税交渉の担当と特別関税の徴収の提案など。
所在地:北京市西城区三里河南三巷3号、郵便番号:100820
Tel:(010)6855-1114

関税率問い合わせ先

税関総署関税徴管司

税関総署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます関税徴管司

所在地:北京市建国門内大街6号、郵便番号:100730
Tel:(010)6519-4114
出版物:『輸出入税則』(各年版)(中国税関出版社)

関税体系

一般税率と最恵国待遇税率などが併存する複税制、アンチダンピング税、反補助税、特別関税、低税率品目、高税率品目

詳細はPDFファイルを参照。
ジェトロ「中国 関税制度 関税体系」PDFファイル(391KB)

品目分類

HS分類

『中華人民共和国輸出入税則(2024)』によると、税関品目総数は、HSコード8桁分類で8,957品目(2024年1月1日より実施)。

関税の種類

従価税、従量税、複合税

中国の関税は、従価税、従量税および両者を併用する複合税がある。

輸入関税

  1. 従価税の課税基準は、輸入品の関税価格である。
    • 輸入品関税税額=関税価格×関税率

    関税価格は、取引価格をもとに税関によって確定され、しかも輸入品が着岸するまでの輸送費、その他の費用、保険料を含む。
    取引価格が確定できない場合、税関によって、同様商品の取引価格や類似商品の取引価格、国内販売価格からの差引、価格計算(コスト+利潤+費用+輸送費+保険料)またはその他の合理的方法に準じて確定される。

  2. 従量税の課税基準は、重量・面積・長さ・容積・数量などである。
    • 輸入品関税税額=単位ごとの税額×輸入数量

    国務院関税税則委員会は、従量税と複合税を適用する商品リストを公布する。最新のリストは、『2016年関税実施方案』(2016年1月1日より実施)付表2「輸入商品の従量税と複合税の税率表」である。同リストの商品を除き、輸入商品の関税は従価税が課せられる。
    中国の輸入関税は「最恵国税率」「暫定税率」「協定税率」「特恵税率」「普通税率」に分類される。

輸出関税

現在、中国の輸出関税は、主に従価税が課せられる。
従価税の課税基準は、輸出品の関税価格である。

  • 輸出品関税税額=関税価格×関税率

関税価格は、取引価格をもとに税関によって確定され、しかも輸出品が離岸するまでの中国国内の輸送費、その他の費用、保険料を含む。
取引価格が確定できない場合、税関によって、同様商品の取引価格や類似商品の取引価格、価格計算(コスト+利潤+費用+輸送費+保険料)またはその他の合理的方法に準じて確定される。

課税基準

輸入は着岸価格(CIF価格)、輸出は離岸価格(FOB価格)で計算する。

対日輸入適用税率

日本からの輸入品に対しての課税は、最恵国税率が適用される。

特恵等特別措置

特恵税率、二国間・地域間FTAに適用される特別措置

  1. 特恵税率
    中国と特殊な優遇関税協定を結んでいる国・地域、および国務院の関連規定により指定された国・地域に適用され、最恵国税率よりも優遇される特別措置。
    国務院関税税則委員会は、毎年特恵税率を適用される国家・地域を調整する。2012年、エチオピア、ベナンなど国連に認定された計40の後発開発途上国(LDC)に特恵税率が適用された。その後、2013~2017年においても、引き続き40カ国は特恵税率が適用された。
  2. 香港・マカオと『経済・貿易関係緊密化協定(CEPA)』を締結
    地域間のFTAに相当する。同協定は2003年に調印され、2014年1月までに計10回の補充協定が調印・実施された。2014年1月1日より、ゼロ関税優遇措置が適用される香港・マカオ原産地商品はそれぞれ1,791、1,312税目に、2015年1月1日よりそれぞれ1,812、1,315税目に増加した。また、2015年7月1日より、新たにそれぞれ3税目、4税目にゼロ関税優遇措置が適用されるようになった。また、『香港・マカオのCEPAにおけるゼロ関税貨物の原産地を新たに設置、または修正する公告』(税関総署公告2016年第35号、2016年7月1日より実施)により、香港・マカオから、ゼロ関税優遇措置が適用される一部の税目に原産地標準は変更されることになった。
  3. 『地域的な包括的経済連携(RCEP)協定』を締結
    2020年11月15日、第4回RCEP首脳会議において、ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリアおよびニュージーランドが地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。2022年1月1日に日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランドの10カ国で協定が発効。2022年2月1日に韓国、2022年3月18日にマレーシア、2023年1月2日にインドネシア、2023年6月2日にフィリピンにおいて、それぞれ発効した(注)。

    注:中国の国務院関税税則委員会は2022年4月27日、「ミャンマー原産の一部輸入貨物に対する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定税率実施に関する公告」(税委会公告〔2022〕5号)にて、同年5月1日からミャンマー原産の一部輸入貨物に対して、ASEAN加盟国向けRCEP協定税率を適用すると発表した。
    参照 ジェトロの記事:5月1日からミャンマーに対してRCEP協定税率を適用(2022年5月2日付)

関連法

関税に関する法規(税関法、輸出入関税条例、輸出入税則など)

関税の根拠条例は、『輸出入関税条例』および『輸出入税則』である。輸出および輸入する物品に対して課せられる。

詳細はPDFファイルを参照。
ジェトロ「中国 関税制度 関連法」PDFファイル(297KB)

関税以外の諸税

輸入増値税、消費税、船舶トン税

税関が徴収する関税以外の税目として、輸入品にかかわる輸入増値税、消費税、船舶トン税がある。

輸入増値税(1994年より実施)

輸入増値税の税率

  1. 次に挙げる物品を輸入する場合、2018年5月1日より、輸入増値税の税率は11%から10%へ引き下げられた。さらに、2019年4月1日から、輸入増値税の税率は10%から9%へ引き下げられた。
    • 食糧、食用植物油、食用塩とその他の塩・純粋な塩化ナトリウム、水道の水、暖房、冷気、湯、ガス、石油の液化ガス、天然ガス、メタンガス、生活用石炭製品
    • 図書、新聞、雑誌
    • 飼料、化学肥料、農薬、農機具、農業用プラスチック・フィルム
    • 生皮と生毛皮などの獣皮類の商品
    • 音像製品と電子出版物
    • 国務院が定めたその他の品物。
  2. 前記1.以外の輸入品の増値税率は、2018年5月1日より、税率が17%から16%へ引き下げられた。さらに、2019年4月1日から、税率が16%から13%へ引き下げられた。

輸入増値税の免除・減税

  1. 次の項目は、輸入の増値税を免除される。
    • 避妊薬品と用具
    • 中古図書
    • 科学研究、科学実験または教育用の輸入メーター、機械
    • 外国政府、国際組織の無料援助輸入品、設備など
    • 外国が寄贈、返還した文物または取り戻した文物
    • 身体障害者団体が直接輸入し、かつ身体障害者専用の物品
    • 黄金と黄金鉱砂
    • プラチナとその製品
    • 避妊リング
    • 鉛鉱砂とその精鉱(うち黄金の価値に当たる部分に限る)、ニッケル鉱砂・コバルト鉱砂・アンチモン鉱砂とそれらの精鉱(うち黄金の価値に当たる部分に限る)
    • リン酸水素二アンモニウム
    • 関連規定により、増値税の仕入税額が控除できない、外国政府と国際金融機関のローンを利用したプロジェクトで輸入した自家用設備
    • 輸入粗銅に含有される黄金
  2. 一部輸入品の増値税率は減税される。
    無負荷重量が25トン以上の飛行機は、輸入増値税率が5%。リースの目的で輸入する同様な飛行機も、輸入増値税率は5%。

輸入増値税の計算

増値税の課税計算式:課税価格=関税価格+関税+消費税
増値税額=課税価格×適用税率

消費税(1994年から実施)

『消費税暫定条例』(2009年1月1日より改正実施)に基づき、中国国内で生産、委託加工を行う会社と個人と、当該条例に規定される消費品を輸入する会社と個人、当該条例に規定される消費品を販売する会社と個人は、消費税の納入が義務付けられる。

消費税の計算

消費税は、従価税率、従量税率または従価税率と従量税率の複合課税(以下複合課税と略称)方法で納税額を計算する。

  1. 従価税率での計算式:組成課税価格=(課税価格+徴収関税)/(1-消費税税率)
    消費税額=組成課税価格×消費税税率
  2. 従量税率での計算式:消費税額=単位ごとの税額×輸入数量
  3. 複合課税での計算式:組成課税価格=(課税価格+徴収関税+輸入数量×単位ごとの税額)/(1-消費税税率)
    消費税額=(組成課税価格×消費税税率)+(単位ごとの税額×輸入数量)

消費税の課税品目

輸入消費税の課税品目は、酒、タバコ、ガソリン、ディーゼル、航空灯油(暫定的に課税猶予)、溶剤油、燃料油、潤滑油、ナフサ、化粧品(シッカロールを除く)、爆竹と花火、木製の床板、使い捨ての木製箸、高価なアクセサリー、宝石と真珠、乗用車、オートバイ(排気量250cc以上)、超高級車(1台当たりの小売価格が130万人民元(増値税抜き)およびそれ以上の乗用車と中・軽商用車)、レジャーボート、高級腕時計、ゴルフ用品、電池(水銀なし電池、太陽光電池、燃料電池などを除く)、塗料(施工状態で揮発性有機物が420グラム/リットル以下のものを除く)など。

船舶トン税(1952年から実施)

海外港から入国する船舶は『中華人民共和国船舶トン税法』(2018年7月1日より実施)に基づき、船舶トン税が従量税で徴収される。旧『船舶トン税暫定条例』は廃止された。
船舶トン税は優遇税率と普通税率に分かれる。船舶籍の国(地域)が中国と船舶税費最恵国待遇の条約や協定を締結した船舶は、優遇税率を適用される。その他の船舶は、普通税率を適用される。
船舶が入国手続きをする際に、税関に納税を申告し、トン税ライセンスを受け取る。またはトン税ライセンスを提出し、検査を受ける。出国手続きをする際には、トン税ライセンスを提出し、検査を受ける必要がある。

  1. 船舶トン税の計算
    船舶トン税税額=純トン数×適用税率
  2. 船舶トン税ライセンスの申請
    船舶トン税ライセンスを申請する際に、次の資料の提出が必要。
    • 船舶国籍証明書または海洋管理部門が発行した船舶国籍証明書の受領証
    • 船舶トン数証明書
  3. 船舶トン税の免除
    次の条件が満たされる場合、トン税は免除される。
    • 税額が50元未満の船舶
    • 国外から購入、受贈、受継などの方式で船舶の所有権を取得し、海外から初めて輸入した負荷なしの船舶
    • トン税ライセンス満期後24時間以内に貨物・乗客の運行を停止した船舶
    • 非機動船舶(非機動はしけを除く)
    • 漁獲、養殖の漁船
    • 避難、防疫隔離、修理、改造、運営中止、または分解作業で貨物・乗客の運行を停止した船舶
    • 軍隊・武装警察部隊専用または徴用された船舶
    • 警察用船舶
    • 法定免税の外国駐中国大使館、国際機関駐中国代表機構とその関係者の船舶
    • 国務院に規定された他の船舶
  4. 船舶トン税ライセンス期限のうち、次の場合についてライセンス期限を実際に発生日数分延長できる。
    • 避難、防疫隔離、修理、改造、乗客の運行を停止した船舶
    • 軍隊・武装警察部隊に徴用された船舶

その他

関税の免除・還付、増値税の免除・還付および関連政策の調整