外資に関する奨励
最終更新日:2023年10月31日
奨励業種
輸出志向産業、ハイテク産業、国産天然資源を活用する産業、国産原料に依存する産業など。
各種優遇措置
法人税免除、 輸出加工区(EPZ)および経済特区(EZ)進出企業への主な優遇措置、その他主な優遇措置(輸出指向産業・輸出関連産業、 IT・ソフトウエア会社向け含む)など。
法人税免除
2020年7月~2025年6月の間に、事業を開始する次の指定産業は、法人税の減免措置が受けられる(2023年所得税法(Income Tax Act 2023))。
指定業種
- 次の品目の製造
- 原薬、放射性医薬品
- 農業機械
- 自動ハイブリッドホフマン・クリーン技術を採用したレンガ
- 自動車
- 避妊具、コンドーム
- 基礎電子部品(例:抵抗器、キャパシタ、トランジスタ、電子回路など)
- 自転車(自転車部品も含む)
- 天然肥料
- バイオテクノロジーを利用した農産品
- ボイラー(部品も含む)
- コンプレッサー(部品も含む)
- コンピュータのハードウェア
- 家具製造業
- 家電機器(ブレンダー、炊飯器、電子レンジ、電子オーブン、洗濯機、電磁調理器、水フィルターなど)
- 殺虫剤、農薬
- 石油化学製品
- 医薬品
- LEDテレビ
- 革・革製品
- 携帯電話
- プラスティックリサイクル業
- バングラデシュ産の野菜、果物の加工
- 変圧器
- 繊維機械
- 組織移植
- 玩具製造業
- タイヤ製造業
- 合成繊維・繊維または人工繊維の製造業
- 自動車または自動車部品の製造
- オートメーションおよびロボット工学の設計、製造、部品およびコンポーネント
- 人工知能ベースのシステム設計と製造
- ナノテクノロジーベースの製品製造
- スペアパーツの製造を含む、航空機の重整備サービス
- バングラデシュ産の果物や野菜の加工と保存
- 組織移植、バイオテクノロジーの開発、放射能(拡散)、応用産業の開発(ポリマーの品質改善、ポリマーの分解、食品の保存、医療機器の滅菌など)
- 政府官報での通知により指定されるその他の業種、業界団体またはその他の事業体
- インフラ事業
- 深海港
- 高架高速道路
- 輸出加工区
- 高架道路(フライオーバー)
- ガスパイプライン
- ハイテクパーク
- ICTパーク、ビレッジまたはソフトウエア技術ゾーン
- 承認を受けた水処理プラント
- 水供給システムおよび廃棄物処理プラント
- LNGターミナルおよび導管
- モノレールおよび地下鉄
- 再生可能エネルギー
- 有料道路・橋
- その他、政府官報による通知で指定されるインフラ施設
※対象となるインフラ事業はバングラデシュにて、2024年6月までに操業が開始されるものとする。
減税措置
前記の事業は、以下のとおり、減税措置を受けることができる。
- ダッカ管区およびチョットグラム管区(ダッカ、ナラヤンガンジ、ガジプール、チョットグラム、ランガマティ、バンドルボン、カグラチャリを除く)に位置する事業は、商業生産の開始月から以下の割合で5年間、法人税の減税措置を受けることができる。
1年目:法人税90%減税
2年目:法人税80%減税
3年目:法人税60%減税
4年目:法人税40%減税
5年目:法人税20%減税 - ラジジャヒ県、クルナ管区、シレット管区、バリサル管区(City Corporation管轄地域を除く)、ランガマティ、バンドルボン、カグラチャリに位置する事業は、以下の割合で10年間、法人税の減税措置を受けることができる。
1~2年目:法人税90%減税
3~4年目:法人税80%減税
5~6年目:法人税50%減税
7年目:法人税40%減税
8年目:法人税30%減税
9年目:法人税20%減税
10年目:法人税10%減税
※減税措置を受けるためには、[1]バングラデシュ投資開発庁(BIDA)への登録、[2]国家歳入庁への申請、[3]当該申請から45日以内に証明の取得、が条件となる。
国家歳入庁:Income Tax Act 2023(1665KB)
民間電力会社の減税措置
2023年1月~2024年6月30日までの間に事業を開始した企業は、事業開始から2036年6月30日まで、次の減税措置を受けることができる。
- 発電事業からの所得に対してのみ100%の免税措置が受けられる。
- 海外からの融資に対する利子の支払い、ロイヤルティー、技術ノウハウ、技術支援料の支払いに対する源泉徴収税が免税される。
- 株式譲渡に対する投資家へのキャピタルゲイン税が免税される。
2024年6月30日から2025年6月30日までの間に事業を開始した企業は、発電事業からの所得に対して、次の免税措置を受けることができる。
- 事業開始から最初の5年間は100%の免税
- 次の3年間は50%の免税
- 次の2年間は25%の免税
国家歳入庁:S.R.O No.208-law/Income Tax/2023(511KB)、2023年6月26日発行
経済特区(Bangladesh Economic Zones Authority:BEZA)およびハイテクパークの減免措置
- 経済特区およびハイテクパークデベロッパー会社
次の減税が受けられる〔S.R.O. No.227-law/Income Tax/2015およびS.R.O. No.229-law/Income Tax/2015、2015年7月8日発行〕。- 設立当初の10年間:法人税100%減税
- 11年目:法人税70%減税
- 12年目:法人税30%減税
- 経済特区内に設立した企業
次の減税が受けられる(食用油、砂糖、小麦粉、セメント、鉄および鉄関連製品を除く)〔S.R.O. No.104 Act/Income Tax/ 2020(924KB)、2020年3月25日発行〕。- 設立当初の3年間:法人税100%減税
- 4年目:法人税80%減税
- 5年目:法人税70%減税
- 6年目:法人税60%減税
- 7年目:法人税50%減税
- 8年目:法人税40%減税
- 9年目:法人税30%減税
- 10年目:法人税20%減税
※注意事項
- 経済特区外に位置する企業の事業が経済特区内に移転する場合は対象外。
- 国内で生産した製品またはサービスに使用された機械や設備の移設による事業は対象外。
- 経済特区内外での事業は、異なる銀行口座にて管理されなければならない。
- 経済特区内外の事業間での取引はすべて所得税申告をしなければならない。
- 会計年度ごとに規定された時期に、会計監査報告を行い、所得税申告をしなければならない。
- ハイテクパーク内に設立した企業
次の減税が受けられる〔S.R.O. No. 352 Act/Income Tax/2018、2018年11月29日発行〕。- 設立当初の7年間:法人税100%減税
- 8~10年目:法人税70%減税
輸出加工区(Export Processing Zone:EPZ)
輸出加工区(EPZ)
1980年12月の輸出加工区法(The Export Processing Zone Act)により規定されている。
現在、バングラデシュには8カ所の輸出加工区(EPZ)があるが、首都ダッカおよび第2の都市チッタゴン周辺のEPZ 5件は既に手狭となっている。
民間運営の工業区としては、1996年9月に、民間企業による輸出加工区設立を可能とする〔民間輸出加工区法1996〕が成立。
韓国企業がチッタゴン地域にKorean EPZを建設し、企業誘致を進めている。
輸出加工区の概要やその進出企業については、輸出加工区庁(BEPZA)ウェブサイトおよび参考資料を参照。
なお、バングラデシュ政府は新たなEPZを設定しない代わりに、経済特区(Economic Zone:EZ)を開発中で、2016年2月に10カ所が開始、日本とバングラデシュが官民一体になって開発する「バングラデシュ経済特区」(BSEZ)がナラヤカンジ県アライハザール地区にて2022年12月から操業を開始している。政府は全国に100カ所のEZ設立を目指している。
輸出加工区庁(Bangladesh Export Processing Zones Authority:BEPZA)
経済特区庁(Bangladesh Economic Zones Authority:BEZA)
※参考資料
- ジェトロ:EPZハンドブック(2022年10月)(2111KB)
- ジェトロ:バングラデシュ 輸出加工区(EPZ)関連法・規則全集(2022年10月)(427KB)
- ジェトロ:バングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)ガイドライン(1・2・3)(2006年2月)(467KB)
- ジェトロ:BEPZAガイドライン補足情報(BEPZA労働法令2019)(136KB)
- ジェトロ:輸出加工区 労働組合法の概要(666KB)(EPZ Workers’ Welfare Association and Industrial Relations Act, 2010)
法人税の免税措置
EPZ内の工場で、2012年1月以降に登録した企業が対象。
- チョットグラム、ダッカ、クミラ、アダムジー、カルノフリ
対象期間:商業生産開始月から5年間
- 設立当初の2年間:法人税100%減税
- 次の2年間:法人税50%減税
- 次の1年間:法人税25%減税
- モングラ、イシュワルディ、ウットラ
対象期間:商業生産開始月から7年間- 設立当初の3年間:法人税100%減税
- 次の3年:法人税50%減税
- 次の1年:法人税25%減税
EPZ進出企業への主な優遇措置
- 建築資材、機械、設備、部品などの輸入関税免除
- 原材料の輸入関税および完成品の輸出関税免除
- 二重課税の回避
- 配当課税の免除
- 一般特恵関税制度が利用可能
- 機械および工場に対する加速償却の許可
- ロイヤルティー、技術指導料、コンサルティング料の送金許可
- EU、カナダ、ノルウェー、オーストラリアなどへの割当無制限の免税措置
- 外資100%による企業進出が可能
- 最恵国待遇を享受
- 海外投資、国内投資の上限なし
- 資本金、配当の本国への送金許可
- 海外からの外貨ローンの自動承認
- 非居住者外貨預金の許可
- 外資と地場の合弁、または100%地場資本出資の企業に対する外貨口座運用の許可
※参考資料
項目 | 輸出加工区(EPZ) | 経済特区(EZ) |
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所管省庁 | 輸出加工区庁(BEPZA) | 経済特区庁(BEZA) |
開発・運営主体 |
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主な工業団地 |
BEPZA主体:
民間主体:
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政府認可済のEZ開発計画:計97 次のBEZAウェブサイトに掲載されているリストを参照。 ECONOMIC ZONES SITE |
進出日系企業数 | 27社(衣料品、その他製造業) | 6社(二輪製造、インキ製造、トイレタリー、その他製造業)(予約契約など含む) |
入居可能な工業団地(2023年8月時点) | 空きがあるのはウットラ、イシュワルディ、モングラの3カ所のみ |
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設置の背景と今後の開発予定 | BNP政権下にて(1983年以降)設置。 |
アワミ連盟(AL)政権下にて(2010年~)設置。 政府は合計100のEZ目指す。 |
入居可能業種 | 政府の定める規制業種以外は入居可能。 | 政府の定める規制業種以外は入居可能。 |
法人税の免税 |
5年間免税 チョットグラム、ダッカ、クミラ、アダムジー、カルナフリ 7年間免税 モングラ、イシュワルディ、ウットラ |
一部の業種を除き、原則10年間減免税 操業開始から1~3年目:100%免税、4年目:80%減税、5年目:70%減税、6年目:60%減税、7年目:50%減税、8年目:40%減税、9年目:30%減税、10年目:20%減税 |
法人税の免税の適用条件 | EPZにて登記・操業していること | EZにて登記・操業していること |
輸入税の免税 |
原材料の輸入 輸出向け企業の機械・部品の新規導入 |
原材料の輸入 輸出向け企業の機械・部品の新規導入 |
輸入税の免税の適用条件 | 保税ライセンス(Bond license)の所有 | 保税ライセンス(Bond license)の所有 |
VATの免税 | 水道光熱費など | 水道光熱費など |
VATの免税の適用条件 | 政府当局より免税許可を取得する必要あり。 | 政府当局より免税許可を取得する必要あり。 |
その他の優遇措置(一例) |
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開発主体向け
入居企業向け
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出資比率・資本金に係る規制 | なし | なし |
海外送金に係る規制 |
中央銀行が定める金融規制(外為取引ガイドラインおよび随時発出される通達)が適用される。 ※EPZのみを対象とした規制変更もあり得るため、留意が必要。 |
中央銀行が定める金融規制(外為取引ガイドラインおよび随時発出される通達)が適用される。 ※EZのみを対象とし規制変更もあり得るため、留意が必要。 |
適用される労働法 |
BEPZA Labour Act, 2019 BEPZA Labour Rules, 2022 |
BEPZA Labour Act, 2019 BEPZA Labour Rules, 2022 |
労働組合設置の義務 | 設置義務はないが、労働者が労働組合を設立および加入する権利は認められている。 | EPZと同様 |
その他、留意すべき規制 | 通達(SRO)による規制変更が頻繁に行われるため、それらの確認も必要。 | EPZと同様 |
その他主な優遇措置
- 海外投資家は、二重課税防止条約に基づき、二重課税はされない。
- 海外投資家は、ロイヤルティー、技術ノウハウ、技術支援料の海外送金が可能。
- 投資資本、配当の本国送金が可能。
- 撤退時の資産の本国送金が可能。
- 海外資本による100%全額出資が可能。
- 外国(銀行)からの融資の金利にかかわる課税免除。
- 投資家に対するマルチプル(複数回入国可能な)ビザの交付。
- 100万ドルの投資もしくは認可金融機関への200万ドルの預金(本国送金不可)を条件とする、市民権付与。
- 20万ドルの投資(本国送金不可)を条件とする、永住権の付与。
輸出指向産業、輸出関連産業
輸出指向産業、輸出関連産業には、これら優遇措置とは別に、輸出政策に基づく措置も適用される。
- 保税倉庫の利用および見返り信用状開設が可能。
- 手工業および家内産業による輸出収益には、所得税を免除。その他の産業については、所得税の割戻しが受けられる。
- EPZ内企業の製品の10%は、外貨建て信用状で決済され、所定の税金を支払うことを条件に、国内一般関税地域への輸出が認められる。
- EPZ外の100%輸出指向産業は、所定の税金の支払いを条件に、製品の20%を国内での販売が認められる。
IT・ソフトウエア会社
政府はデジタル・バングラデシュへ向けてのロードマップを作成し、2018年に「ICT Policy 2018」を承認した。
- 法人税免除(2024年6月まで)
- 政府はIT産業のために、これまでに工業地区(ハイテクパーク)やインキュベーションセンターなどを10カ所に設置した。
- IT産業の工業地区(ハイテクパーク)、ICTビレッジまたはソフトウエア技術ゾーン、ITパークなどに設立した場合、7年間法人税免除。
その他免税対象の業種
2021年6月以降、新たに以下の業種の生産活動において、所定の条件・手続きにより法人税を免除(10年間)。
- 食品(果物加工、野菜加工、乳製品、乳幼児用食品)、農業機械(SRO No.-164-law/Income Tax/2021(165KB))
- 軽工業(SRO No.-166-law/Income Tax/2021(179KB))
- キッチン器具(洗濯機、ブレンダー、電子レンジ、ミシン、IH機器、包丁)(SRO No.-167-law/Income Tax/2021(185KB))
- 教育機関、職業訓練(農業、漁業、化学、情報科学(IT))(SRO No.-168-law/Income Tax/2021(320KB))
- ヘルスケア・サービスを提供する施設、病院(SRO No.-169-law/Income Tax/2021(362KB))
- 自動車(3輪および4輪)(SRO No.-170-law/Income Tax/2021(552KB))
その他
特になし。