ジェトロ対日投資報告2020(要約)

第1章 世界・日本のマクロ経済・対内直接投資動向

2019年の世界の対内直接投資額は増加も、2020年は前年比で最大40%減と予測

  • 国際連合貿易開発会議(UNCTAD)によると、2019年の世界の対内直接投資額(ネット)は前年比3.0%増の1.5兆ドルで、4年ぶりに前年比増となった。

世界の対内直接投資額

世界の対内直接投資額のグラフ。縦軸に単位10億ドルで500から2500まで表記。横軸は2000年から2020年まで表示。先進国・地域と新興国・地域で棒グラフを重ねて表示。2000年の約1400から2003年までの約500まで減少し、2007年の約1900まで増加、2009年約1250まで減少、2015年の2000超まで増加、2019年の約1600まで減少、2020年は1000以下まで減少見込み。前年比・全体を折れ線グラフ表示、単位は-60から%+60%まで。2000年の+20%から翌年-40%、2006年+50%まで増加、2008年-20%まで減少、2015年+40以上まで増加、2017年の-10%まで減少、2019年は僅かに増加、2020年は-40%減少見込み。
  1. 〔注〕

    ①2020年の見通しは30~40%減と予測されている。図表は40%減の場合を想定。
    ②先進国・地域の地域区分はUNCTADの区分に準拠する。途上国・地域は全体から先進国・地域を差し引いて算出。

  2. 〔出所〕

    「World Investment Report 2020」(UNCTAD)から作成

  • 2020年は新型コロナの影響により、世界の対内直接投資額は前年比30~40%減と見込まれる。2020年上半期の対内直接投資額は、前年同期比49%減とされた。

2020年の対内直接投資額伸び率(予測)

2020年の対内直接投資額伸び率(予測)の縦棒グラフ。縦軸に0から下に-60%、横軸に各地域名。北米が-20~-35%、先進国・地域、アフリカが-25-40%、世界が-30~-40%、欧州、新興国・地域、アジアが-30~-45%、中南米が-40~-55%。
  1. 〔注〕

    地域区分はUNCTADに準拠する。

  2. 〔出所〕

    「World Investment Report 2020」(UNCTAD)から作成

2019年の対日直接投資額は過去2番目の規模で、2020年も堅調に推移するも、今後の動向は注視が必要

  • 2019年の対日直接投資額(ネット)は前年比37.3%増の4.0兆円で、比較可能な2014年以降では2番目に大きかった。

対日直接投資額推移

対日直接投資額推移の縦棒グラフ。縦軸に6兆5千億円まで、横軸に1996年から2020年1-9月までの表記。1999年,2002年に1兆5千億円規模,2007年,2008年に2兆5千億円規模,2016年に4兆5千億円規模に拡大。2020年1-9月は6兆5千億円規模に拡大。
  1. 〔注〕

    2013年以前は計上原則が異なるため、単純比較はできない。

  2. 〔出所〕

    「国際収支統計」(財務省、日本銀行)から作成

  • 米国からの投資は1.9兆円と前年比141.5%増で最大だったほか、アジア主要国・地域からの投資の増加が顕著だった。
  • 2020年1~9月までの対日直接投資額は前年同期比増で推移も、グリーンフィールド投資件数などをみると、今後の動向は引き続き注視が必要。
対日直接投資額(上位10カ国・地域)(単位:億円、%)
2019年
順位
順位変動 出資国・地域 2019年 割合 前年比 2020年
1月~9月(P)
1 米国 19,140 48.3 141.5 22,204
2 英国 3,122 7.9 -35.6 31,577
3 香港 2,519 6.4 192.9 1,327
4 シンガポール 2,141 5.4 - 3,410
5 中国 2,090 5.3 135.9 170
6 ケイマン諸島 1,445 3.6 -65.1 -1,214
7 ルクセンブルク 1,387 3.5 - -318
8 フランス 1,370 3.5 -48.0 1,357
9 タイ 1,135 2.9 -13.9 1,216
10 台湾 1,114 2.8 170.4 763
- - 全体 39,637 100.0 37.3 65,210
対日直接投資額(上位業種)(単位:億円、%)
2019年
順位
順位変動 業種 2019年 前年比 2020年
Q1-Q2
(P)
1 金融・保険業 8,875 41.8 3,955
2 電気機械器具 3,877 -29.3 1,968
3 輸送機械器具 3,813 76.6 2,114
4 化学・医薬 3,359 28.5 90
5 サービス業 1,289 3827.9 976
6 食料品 610 556.8 4
7 不動産業 349 -57.3 619
8 建設業 267 - -14
9 運輸業 170 38.3 -37
10 鉄・非鉄・金属 109 52.5 -4

2019年末の対日直接投資残高は33.9兆円まで増加

  • 2019年末の対日直接投資残高は、前年比10.4%増の33.9兆円で、最高額を更新した。残高の対GDP比は前年の5.6%から6.1%まで増加した。2020年第2四半期末時点の推計では、残高は39.2兆円となった。

対日直接投資残高推移

対日直接投資残高推移の縦棒グラフ。対GDP比(%)を折れ線グラフで平行表示。縦軸に40兆円まで、横軸に2000年から2020年Q2まで表記。2020年5兆円超から右肩上がりで2019年の33.9兆円まで増加。2020年Q2で40兆円に迫っている。対GDP比は2000年約1%から2019年の6.1%まで増加。
  1. 〔出所〕

    「本邦対外資産負債残高」(財務省、日本銀行)、「国民経済計算」(内閣府)から作成

  • 2019年末の対日直接投資残高を国・地域別にみると、米国の残高は8.0兆円で、全体の23.6%と、2番目に残高の多いフランス(4.0兆円)の2倍超となった。
対日直接投資残高(国・地域別)(単位:億円、%)
順位 国・地域 残高 割合
1 米国 79,801 23.6
2 フランス 39,284 11.6
3 オランダ 39,067 11.5
4 シンガポール 35,618 10.5
5 英国 24,960 7.4
6 ケイマン諸島 19,485 5.8
7 スイス 14,725 4.3
8 香港 12,365 3.7
9 ルクセンブルク 9,727 2.9
10 ドイツ 9,576 2.8
- その他 54,103 16.0
- 全体 338,711 100.0
  • 業種別では、非製造業が全体の59.2%を占める。詳細業種をみると、金融・保険の残高が9.5兆円で、全体の39.4%を占め、最多だった。
対日直接投資残高(業種別)(単位:億円、%)
順位 業種 残高 割合
1 金融・保険業 94,995 39.4
2 輸送機械器具 35,990 14.9
3 電気機械器具 26,638 11.1
4 化学・医薬 20,161 8.4
5 通信業 15,550 6.5
6 サービス業 12,712 5.3
7 一般機械器具 5,247 2.2
8 不動産業 5,121 2.1
9 運輸業 4,079 1.7
10 ガラス・土石 3,371 1.4
- その他 17,056 7.1
- 合計 240,920 100.0

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